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                        ひ   ま
閑居人のプロフィール


最終更新日:2008年1月10日



氏 名
石田 明男 
Eメール
    akio-ishida@r7.dion.ne.jp
住 所
    現在、横浜市に在住
職 歴


業 績


1972年4月に某自動車メーカーに入社し、大型トラック・バス用ディーゼルエンジンの排出ガス低減
技術の研究開発に従事。2003年3月に当該自動車メーカーを退職する。
 
 自動車メーカに在職中、スリーブ制御のディーゼル燃料噴射ポンプであるプレストローク制御式
噴射ポンプ(国内商品名:TICS)を発明した。このプレストローク制御式噴射ポンプは、過去の或る
期間、日本(三菱、日野、いすゞ、日産ディーゼル)や欧州(ボルボ、ベンツ、MAN他)の多くの大
型トラックに採用された実績がある。このプレストローク制御式噴射ポンプの技術は、現在までの
ところ欧州の大型トラック用ディーゼルエンジンに採用された唯一の日本のオリジナル技術ではな
いかと考えられる。
 
 なお、プレストローク制御式噴射ポンプの発明・開発に関し、下記の賞を受ける栄誉を得た。
   ・ 日本自動車技術会賞(論文賞) [1989年](主著者:石田)
    ・ 機械振興協会賞 [1989年]
    ・ 日本機械学会賞(技術賞) [1990年]
 
 近年の発表論文は以下の通り。
    ・ 日本機械学会論文集(B編)68巻671号(2002-7)(主著者:石田)
      「自家発電装置用ディーゼルデュアルフュエルエンジンの開発」
   ・ 自動車技術会学術講演会前刷集No.71-00(2000年5月)
  「323 中型トラック用ECOS-DDF 天然ガスエンジンの開発 」(20005001) (主著者:石田)

 最近の出版物に執筆した内容は以下の通り。
 潟Gヌ・ティー・エス(http://www.nts-book.co.jp/)から2008年
11月14日に「クリーンディーゼル開発の要素技術動向」という
専門書(http://www.nts-book.co.jp/item/detail/summary/
energy/20081114_51.html)が発行された。この本の第5章の7
項に、「環境負荷から環境浄化へ-----天然ガスを併用するデ
ィーゼルエンジン-----」と題し、ディーゼルデュアルフュエル天
然ガスエンジン(DDFエンジン)について執筆した。

ここでは、DDFエンジンは、大型トラックの「脱石油」、「CO2の
削減」および「燃料費の削減」が一挙に推進できる技術である
ことを詳述している。



  【 雑 感 】

  1990年代に、或る日本の部品メーカーから、「欧州の自動車メーカーに高額の特許料を支払ってコモンレール式
燃料噴射装置の特許実施権を取得した」との話を聞きました。(この部品メーカーは、欧州からコモンレールの特許実
施権を取得した事実を国内で完全に封印することに成功しているようです。) その後、その部品メーカーは技術的な
困難を克服して世界に先駆けてコモンレール式燃料噴射装置を実用化したとの記事を見ました。しかしながら、コモン
レール式は、欧州の自動車メーカーに特許料を支払って特許実施権を得ていることから、欧州のオリジナル技術で
あることは間違いないと考えられます。
 
  これに対し、筆者が発明したプレストローク制御式噴射ポンプは、日本から欧州の部品メーカーに特許実施権を
与えた日本のオリジナル技術です。そして、このプレストローク制御式噴射ポンプは、エンジン性能の低下を抑え
ながら当時の欧州と日本の排出ガス規制に適合させるための有効な手段であったため、数年前までは欧州の
ボルボ、ベンツ、MANや日本の三菱、いすゞ、日野、日デの大型トラックのエンジンに数多く採用されていた実績が
あります。当時の欧州の大型トラックにはカムリフトが17mmの高圧タイプのプレストローク制御式噴射ポンプが採用
されていたのに対し、日本の大型トラックにはカムリフトが14mmの低価格・低圧タイプが採用されていました。同じ
プレストローク制御式噴射ポンプと云う名称でも噴射ポンプのカムリフトが17mmと14mmでは燃料噴射の能力には
格段の差があります。
 
  一方、コモンレールではエンジンの運転中は常に噴射弁から高圧燃料が漏洩して燃料タンクにリターンし続ける
ため、燃料噴射系の駆動損失が増大し、燃料消費率を悪化させる欠点があります。このようなコモンレールの欠点
を伏せ、当時、日本の大型トラックに採用されていた14mmの低価格・低圧タイプのプレストローク制御式噴射ポンプ
と比較してコモンレールが高性能であると盛んに発表されていました。その影響かどうか判りませんが、当時から、
何故か日本ではプレストローク制御式噴射ポンプを嫌っている学者・技術者が多かったように思います。
 
  しかしながら、プレストローク制御式噴射ポンプは、当時の数多くのディーゼルエンジンに搭載され、整備士試験の
試験問題にも出題されており、ディーゼルエンジンの一般的な重要技術として認知されていたことは明らかです。その
ような状況であったにも係わらず、日本自動車技術会の[日本の自動車技術240選
(http://www.jsae.or.jp/autotech/)]にはプレストローク制御式噴射ポンプは選定されていません。しかし、驚くこと
に欧州のオリジナル技術であるコモンレール式燃料噴射装置は選定されています。本来、日本自動車技術会の
[日本の自動車技術240選]に関係されている学者・技術者は、豊富な専門知識を駆使して公正な技術評価を行う
責務を負わされていると思いますが、「そんなの関係ねぇ〜」と筆者が考案したプレストローク制御式噴射ポンプを
「評価に値しないレベルの低い技術」と断定し、発明者が日本人にあることの妬みからか、毛嫌いされたようです。

 日本の自動車技術の指導的立場にある学者・技術者は、常日頃、日本自動車技術会の出版物等でわが国の
発展のために独自技術の開発の必要性を強調され、若い技術者の更なる奮起を促されれています。それにもかか
わらず、日本で発明・実用化され、欧州でも広く使われたプレストローク制御式噴射ポンプの技術が無視されて
います。日本自動車技術会には未だに欧米技術崇拝の舶来コンプレックスから完全に脱し切れていない人が選定
に携わっているのでしょうか。因みに、プレストローク制御式噴射ポンプのように、日本人が発明した技術の特許
実施権を欧米の会社に有償で与え、その欧米会社が生産した部品を欧米の自動車メーカが広く採用した実績のある
プレストローク制御式噴射ポンプのような日本のオリジナル技術は、日本自動車技術会の240選の技術の中に
一体、何件あるのでしょうか。
 
  日本自動車技術会の「日本の自動車技術240選」の表題を率直に解釈すると、「世界中で採用された実績のある
日本の優れたオリジナル自動車技術240選]と理解されます。しかし、この「240選」の選択された多くの技術内容を
見ますと、欧州で発明された技術を有償での特許実施権を得た上で日本国内で実用化されたコモンレール式燃料
噴射装置や、日本の特定の自動車メーカだけの製品に採用されているローカルな技術が多数を占めているよう
です。このように、 日本自動車技術会の「日本の自動車技術240選」では、日本のオリジナルでない技術や、
各自動車メーカの自社製品だけに採用されているだけの技術を選定していながら、日本自動車技術会が堂々と
「日本の自動車技術240選」と称していることについて、多くの人に誤解を与える表題は、慎むべきではないか考え
られます。因みに、表題の意味が[日本の製品に組込まれた自動車技術240選]として、それぞれの時代において
各自動車メーカが自社の商品の優位性を図るための宣伝文句に使うだけで実質的な技術上の効果の期待できない
技術を選定したものもあることから、この「日本の自動車技術240選」は、自動車技術会の業務では無く、自動車
工業会に相応しいように考えられます。
 
  何はともあれ、プレストローク制御式噴射ポンプを発明した技術屋としては、日本自動車技術会の[日本の自動車
技術240選]の選定に外れたことより、欧州や日本の大型トラック用ディーゼルエンジンの世界で一つの時代を成した
プレストローク制御式噴射ポンプが、日本の自動車技術の歴史から早晩に忘れ去られることが危惧され、寂しい
限りです。
 
  かつて「プレストローク制御式噴射ポンプの開発」について筆者が米国自動車技術会(SAE)で論文発表を
行った際、発表会場で他の日本メーカーの技術者からは「プレストローク制御式噴射ポンプは、日本が世界に誇る
技術」と言われました。また、これまで日本や欧州の殆んど全てのトラックメーカで採用された実績のあるプレ
ストローク制御式噴射ポンプの技術は、1989年に日本自動車技術会賞(論文賞)、1989年に機械振興協会賞、
1990年に日本機械学会賞(技術賞)を受賞しました。そのような技術が、[日本の自動車技術240選]の選定外となって
しまった本当の理由をご存知の方が居られれば、お教え頂きたいと願っているところです。
 
趣 味
写真撮影、オートキャンプ、旅行
特 技
ギター伴奏(ただしコードのみ)



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