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パルスEGRシステム(特許公開2005-54778)

発明の名称:多気筒過給エンジンのEGR装置



通常、従来のターボ過給エンジンにおいては、エンジン回転の中速の最大トルク付近での運転時にはターボ過給機
が高い過給機効率で作動するため、平均給気ブースト圧力(コンプレッサ出口圧力)が平均排気圧力(タービン入
口圧力)より高くなり、エンジンのポンピング損失が低下してエンジン熱効率が向上し、エンジンの燃費が良い状態
となる。ところが、この運転領域では、平均給気ブースト圧力が平均排気圧力より高い状態となるため、EGRが不能
の状態となり、EGRによるNOx低減が不可能となる。



従来のターボ過給エンジンでのEGRが困難な運転領域

当該運転領域で排気ガスを給気管に還流させるEGRを可能にするためには、排気タービンノズルを絞るか、若しく
は低効率で作動するターボコンプレッサ仕様を選択するなどの過給機効率の低い状態で運転させることが必要とな
る。このような低過給機効率での運転はポンピング損失が増大し、エンジン燃費の悪化を招くことになる。今後、N
Oxの大幅な低減が必要なポスト新長期排出ガス規制への適合には、排出ガス試験での使用頻度高く、排出ガス
測定値に占める割合の高い最大トルク付近の大量EGRの実現によるNOx低減が必要と思われる。 

この最大トルク付近の大量EGRのを可能にするアイデアが現特許公開2005-54778「多気筒過給エンジンのEGR装
置」である。この出願特許は、多気筒過給エンジンの排気マニホールド集合部と過給機の排出ガス入口の間の排
気管にロータリー式EGR弁を備えたEGRガス取入口を設け,エンジンからの排気脈動圧力の高いピーク圧力がロ
ータリー式EGR弁に伝播するタイミングでクランク軸で駆動されるロータリー式EGR弁を開弁させて排気ガスの一
部を吸気管に還流させるEGR装置である。

ロータリー式EGR弁を回転駆動する駆動系の途中に進角装置を設けてエンジン運転の状態に応じた進角と遅角の
進角制御を行うことにより、異なるエンジン運転状態でも排気脈動の高いピーク圧力がロータリー式EGR弁の入口
に伝播したタイミングに同期してロータリー式EGR弁が開弁されるようにする。


ロータリー式EGR弁のシステム図



 ロータリー弁の図面

一方、ロータリーEGR弁を用いた特許公開2005-54778「多気筒過給エンジンのEGR装置」では、このようなターボ過
給エンジンの平均給気ブースト圧力が平均排気圧力より高いた状態においても過給機効率の大きな低下を招くこと
なく大量のEGRが実現できNOxの低減が可能となる。
その結果、従来のターボ過給エンジンでは困難なエンジンの全運転領域においてEGRが可能となり、NOxの低減を
実現することができる。このように、特許公開2005-54778「多気筒過給エンジンのEGR装置の特許はNOxの大幅低
減が必要なポスト新長期規制への適合に有効な手段の一つのなり得る可能性がある。
また、このパルスEGRシステムの特許技術を用い、全運転領域における大量EGRによるNOxの大幅な低減を図
った場合には、NOx規制値に適合するための尿素SCR触媒によるNOx削減の負担を軽減することが可能となる。
その結果、NOx削減の負担が軽減された尿素SCR触媒では、消費する尿素水の消費量を少なくできる効果があ
る。勿論、この特許技術による中速の高トルク領域におけるEGR増大は、ターボ過給機の効率悪化を抑制できる
ため、エンジン燃費を悪化させることは無い。

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