閑居人のアイデア
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最終更新日:2016年7月1日
1.船舶用ディーゼルエンジンにおける中・低負荷運転時の低燃費化の強い要望
三菱重工MEETニュース第3号(2013年2月)https://www.mhi-mme.com/cms_docs/meetnews_3rd_j.pdfにおいて、
株式会社 商船三井の吉田常務執行役員は、今後の船舶用ディーゼルエンジンの性能について、以下のような船会社 としての改善を要望する発言が掲載されている。
『今の海運経済は、輸送需要は伸びているものの、船の供給過剰でマーケット(=運賃)が大暴落しています。下落し
た海運競争の中で減速運航を取り入れるのは自明なことです。燃費は船速の3乗に比例しますので、船速を80% とすると燃費は半分になります。この影響は大型船だけではなく、中小型船にも出てきています。定格負荷の60% や70%ではなく、30%や40%を狙って行く必要を感じています。期間としても5年以上続くでしょう。場合によって は、スピード運航の時代の戻らず、ずっと続く場合もあります。EEDI(Energy Efficiency Dsign Index) の規制やSEEM P(Ship Energy Efficiency Management Plan) の問題などCO2削減要求の影響もあると考えます。』
『トータルコストで考えれば、減速運航のメリットは、メンテナンスフィー やその人件費を大幅に上回ります。今後一つの
課題として、いかなる運転領域でも安定した運転が出来るエンジンの開発が必要ではないでしょうか。船会社は柔軟 な運航が出来るエンジンを期待しています。』
この三菱重工MEETニュース第3号に掲載された「船の供給過剰でマーケット(=運賃)が大暴落しています。」との
商船三井・吉田常務執行役員の2013年2月のコメント発表よりも2年以上を経過した現時点(2015年9月現在)で は、「ギリシャ危機でのEUの経済不調」や「中国バブル経済の崩壊開始」により船舶の供給過剰が更に酷くなっている と予想され、世界経済の更なる停滞・減速が強まっている状況と考えられる。そのため、最近では、船舶輸送のマーケ ット(=運賃)も一段と下落しているものと推測される。したがって、船会社は、エンジンメーカや造船会社に対し、燃 料費の削減を図るために、船舶の大幅な減速運航を可能にするディーゼルエンジンを早急に実用化して欲しい と強く要望しているものと推測される。
2.最近の急激な船舶の減速運航の増加とその課題・問題点
そもそも船舶の「減速運航」の世界的な普及は、2008年のリーマンショックの経済不況により、コンテナ輸送事業がの
赤字に陥ったことが拡散・普及の発端のようである。当時の海運会社は、赤字解消の苦肉の策として、「減速運航」を 積極的に導入し始めたようである。その結果、2010年頃にはコンテナ輸送事業の黒字化の目処を付けることが出来た とのことである。また、「減速運航」は、船会社にとっては、「燃料消費量の削減によるコスト低減」や「余剰船舶の有効 利用」の他に、「CO2排出削減による環境負荷低減の社会的貢献」のメリットがあり、荷主にも「運賃低減」をもたらす 優れた手法であるとの認識が広まったようである。その結果、現在では、「減速運航」は、コンテナ船以外の船舶にも 急激に実施され始めているようである。
2−1.最近の大型船舶における「減速運航」の導入・普及の実態
日本マリンエンジニアリング学会誌第49巻 第1号(2014)に掲載の論文「減速運航の実態ー減速運航の課題・対策
及びその実績ー」(著者:鰹、船三井 小林正和、橋口靖生、澤田典一、平成25年10月25日)(https://www.jstage.jst. go.jp/pub/pdfpreview/jime/49/1_49_74.jpg)に、近年の燃料価格の高騰とマーケット(=運賃)の大暴落による輸送コス ト削減を図るため、大型2サイクルエンジンを搭載した最近の大型船舶における「減速運航」の実態が詳細に報告され ている。その概要は、以下の通りである。
(1) コンテナ船の減速運航の状況
一般的に、高速運航が求められているコンテナ船は、その船舶の排水量(=排水トン数)に対して相対的に高出力な
エンジンが搭載されている。そのため、コンテナ船では、100%のエンジン出力で26〜27ノット程度の高速運航が可能と なっている。しかし、現状では、燃料費の節約による輸送コスト削減を図るため、以下の図1に示したように、50%以下 のエンジン出力の減速運航が大部分を占めている。そして、現在では、高出力エンジン搭載のコンテナ船は、10% 〜40%のエンジンン出力での減速運航が主体のようである。
(2) 自動車運搬船の減速運航の状況
一般的に、自動車運搬船(=PCC:Pure Car Carrier)は、コンテナ船のような高速運航が必要とされていない。その
ため、自動車運搬船では、求められてはいないいるコンテナ船は、その船舶の排水量(=排水トン数)に対して相対的 に低い出力のエンジンが搭載されている。したがって、この自動車運搬船では、100%のエンジン出力で21ノット程度の 運航が可能な低出力のエンジンが搭載されている。このような低出力のエンジン搭載の自動車運搬船であっても、現 状では、更なる燃料費の節約による輸送コスト削減を図るため、以下の図2に示したように、40%〜80%のエンジン出 力の減速運航が実施されているようである。その中でも特に40%〜50%のエンジン出力の減速運航の多いことが特徴 である。
2−2.「減速運航」の「効果」と、それに付帯する「問題・課題」
この「減速運航」の「効果」と、「問題点や課題」を纏めると、以下の通りである。
● 「減速運航」の効果
@ 「減速運航」は、運航時の燃料消費量の削減(=燃料コストの削減)に絶大の効果がある。(注1参照)
A 「減速運航」で採用される負荷は、50%〜40%〜40%程度から、更には10%〜20%の低負荷の領域に
及んでいる。(注1参照)
B コンテナ船での燃料節減の成功により、現在ではタンカー、バルカーや自動車運搬船(PCC)等の他の船種
においても「減速運航」が一般的となっている。(注1参照)
● 「減速運航」の問題点や課題
@ 「減速運航」に常用するエンジンは、低負荷時の不具合が発生(注1参照)
(当然のことながら、部分負荷のエンジン運転のため、燃料消費率が悪化)
(回転数を下げて運転することで着火タイミングが変わってしまい、エンジンの燃料消費率やNOx等の排ガスの特
性が悪化)
(一部部品の頻繁な作動による不具合の発生)
(低負荷の運転では排気温度や過給圧も下がるため、過給機や排気管がカーボン等による汚れの増加)
(低速の機関(100RPM以下)になると、軸受の油膜が保持できるかも心配)
A 「減速運航」時においても高い燃費効率を維持するため、低負荷時にも高過給圧を得られるような改造(例
えば、過給機バイパスなど)やチューニングが行われている。これらは、低負荷時の給気量の増大による燃焼 温度の低下からライナ壁温が硫酸露点以下となって硫酸が凝縮し易くなる。(注1参照)
(注:燃焼ガスの温度が約130℃未満の場合に発生しや易い。)
B 低硫黄燃料から高硫黄燃料まで対応できる中間塩基(55〜60mgKOH/g)のシリンダ油が開発された
が、この中間塩基シリンダ油を「減速運航」用の新型エンジンに用いても、「減速運航」によって酸中和性能が 不足して硫黄による低温腐食(サルファータック)が発生する現象が認められた。(注1参照)
C 現時点では、「減速運航」を用の新型エンジンでも「減速運航」を前提とする場合には、70mgKOH/g 以上
(80〜100mgKOH/g)のシリンダ油が推奨されている。ただし、機関の改良は未だ十分に成功したとは言え ず、現在進行形の課題といえる。(注1参照)
D ユニフロー掃気方式の2ストロークディーゼル機関の大型船舶を40%付近より低い負荷で運転する場合に
は、過給機のコンプレッサ出口に装備した電動のブロワを作動させてシリンダ内へ高圧の掃除空気(掃気)を 供給する必要がある。そのため、2ストロークディーゼル機関の船舶を40%付近より低い負荷で長時間の減速 運航を行う場合には、電動ブロワの作動による燃費悪化の不利益(=欠陥)と、電動ブロワの故障リスクを抱え 込むことになる。(注2参照)
(現状では、電動ブロワ用の電動機の予備を常に準備しておくことで対処している模様)
E 4ストローク機関を搭載した船舶での35%負荷以下の減速運航の場合には、ターボ過給機の効率低下によ
る低負荷での空気量の不足から,排ガス温度は高めになりがちであり,燃焼が悪化して信頼性が低下し,燃料 消費率の増加やスモークの発生を招く傾向がある。(注3参照)
注1:日本マリンエンジニアリング学会誌 第49巻 第1号(2014年)に掲載の随想ー「減速運航」特集号によせて(著者:日鉱日石エネルギー
竹島茂樹)(日本マリンエンジニアリング学会誌 第49巻 第1号(2014年) 随想 著者:竹島茂樹を参照)
注2:日本マリンエンジニアリング学会誌第49巻 第1号(2014)に掲載の論文「減速運航の実態ー減速運航の課題・対策及びその実績ー」(著
者:鰹、船三井 小林正和、橋口靖生、澤田典一、平成25年10月25日)(https://www.jstage.jst.go.jp/pub/pdfpreview/jime/49/1_49_74.jpg)
注3:三菱重工技報 Vol.52 No.1(2015) に掲載の論文「舶用ディーゼル機関用ターボチャージャーの電動アシストによる省絵ね効果」(著者:
白石啓一、小野嘉久、山下幸生、坂本武蔵)(https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/521/521043.pdf)
3.「減速運航」によって発生する問題点・課題と、その解決方法
3−1 「減速運航」によって生じるよるエンジン不具合の発生原因とその対策の一例
商船三井の報告では、現行の減速運航が実施されている大型船舶に搭載の2サイクルターボ過給ディーゼル
エンジンでは、以下の図3−1に示したように、エンジンの出力の低下に伴って給気量(=掃気量・吸入空気 量)の不足が生じるとのことである。
@ エンジンの出力が50%〜100%の範囲では、過給機により十分な空気量が確保できる運転領域
A エンジンの出力が37%〜50%の範囲では、過給機の効率の低下による空気量の不足している運転領域
B エンジンの出力が37%以下の範囲では、過給機の効率の低下による空気量の不足のために補助ブロワを
作動させて強制的に空気を供給することが必要な運転領域
三井造船の報告では、現行の減速運航が実施されている大型船舶に搭載の2サイクルターボ過給ディーゼ
ルエンジンでは、以下の図3−2に示したように、エンジンの出力の低下に伴って「タービン入口の排気ガスの 温度と圧力の低下」および「ターボ過給機の効率低下」等により、給気量(=掃気量・吸入空気量)の不足が生 じる。この不具合の軽減を図るため、エンジンの出力が40%以下となる領域では、吸入空気量の増加を図る ために補助ブロワを作動させる対策が施されている。
本来、ターボ過給機は、最高の効率で運転できる出力範囲が狭い特性がある。そのため、通常の舶用ディーゼルエ
ンジンにおいては、ターボ過給機は、定格出力時(=100%出力時)にターボ過給機が最高の効率で作動する仕様を 採用されている。そのため、50%〜100%の運転領域(=@の説明領域)では、過給機により程々の空気量が確保 できるとしている。しかし、40%以下のエンジン出力で船舶を運航する状況では、給気量(=掃気量・吸入空気量)の 不足の問題が生じることになる。この40%以下のエンジン出力での給気量(=掃気量・吸入空気量)に起因するエンジ ン不具合の問題を解消するため、上記の図3−1および図3−2に示した場合には、電動の補助ブロアを作動させて 吸気量不足の不具合を解消しているようである。
3−2 「減速運航」によって生じるよるエンジン不具合の他の対策技術
3−2−1 大小各1台の過給機を装着する「減速運航」の対策技術
そこで、最近では、大小各1台の過給機を装着し、エンジン出力が50%〜100%の範囲内であっても、エン
ジン運転時の出力の高低によって大小各1台の過給機を「大小各1台の中の1台の過給機だけの単独作動」と 「大小各1台の過給機の並列作動」の切り替えの運転を行い、長時間にわたって定格出力時(=100%出力 時)よりも低い運転領域でのエンジン燃費(=熱効率)の悪化を防止するシステムが実用化されているとのこと である。その例が、以下の図4に示した常石造船株式会社の大小各1台の過給機を装着しシステムである。こ のシステムは、三井造船の「シーケンシャル過給機」に相当すると考えられるため、以後、これを「シーケンシャル過 給機」と称することにする。
また、前述の図3に示したように、現行の減速運航が実施されている大型船舶に搭載の2サイクルターボ過給ディー
ゼルエンジンは、エンジン出力が50%以下の運転領域(=前述の図3の@とAの領域)では、エンジンの出力の低下 に伴う給気量(=掃気量・吸入空気量)の不足を補うため、外部から電力を供給して電動補助ブロアや電動過給機を 作動させてエンジンの気筒に空気を強制的に送り込む必要がある。電動補助ブロアや電動過給機を作動に必要な外 部から電力エネルギーの供給は、燃費悪化の要因である。したがって、現行の減速運航が実施されている大型船舶に 搭載の2サイクルターボ過給ディーゼルエンジンにおける50%以下の出力での減速運航の燃費は、電動補助ブロア や電動過給機を作動に必要な外部から電力エネルギー分を差し引いた改善に留まることになる。
また、C重油を燃料とする2ストロークディーゼル機関の大型船舶では、エンジントルクが50%以下となる「減速運
航」の場合、1気筒当たりの燃料噴射量が全負荷時の50%以下(=1気筒当たりの毎回燃料噴射量が全負荷時の5 0%以下)となるため、エンジンにおける「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発生」、「燃料消費率の悪化」、「過 給機や排気管がカーボン等による汚れの増加」の不具合が発生する恐れがある。
3−2−2 電気推進式を採用する「減速運航」の対策技術
減速運航を可能にする方法としては、最近の大型の豪華客船に採用されている複数台のディーゼル発電装置(=下
図を参照方)を用いた船舶の電気推進装置を貨物船(=コンテナ船、タンカー、バラ積み貨物船等)に採用することが 考えられる。
この船舶の電気推進装置は、騒音や振動を著しく削減できる特徴ががある。そこで、低振動や低騒音が必要な豪華
客船では、その大部分では電気推進装置が採用されている。ところが、この電気推進装置は極めて高価ではある。そ のため、低振動や低騒音の必要性の低い貨物船(=コンテナ船、タンカー、バラ積み貨物船等)に電気推進装置を採 用することは不可能である。
3−2−3.エンジンの気筒休止による「減速運航」の対策技術
例えば、多気筒エンジンンの半数の気筒を休止する「気筒休止」を採用した場合、エンジントルクが50%の「減速運
航」時においては、半数の稼動気筒での1気筒当たりの燃料噴射量が全負荷時と同じ100%(=毎回噴射量が全負 荷時と同じ100%)となるために気筒内の燃焼ガスが高温となるため、「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発 生」、「燃料消費率の悪化」、「過給機や排気管がカーボン等による汚れの増加」の「減速運航」時のエンジン不具合が 発生することが防止できる。このように、エンジントルクが50%以下の「減速運航」時においては、全気筒が稼動する 従来のエンジンに比較した場合、半数の気筒を休止する気筒休止エンジンでの稼動気筒の1気筒当たりの燃料噴射 量は2倍(=毎回噴射量が2倍)となるため、「減速運航」時のエンジン不具合の発生を防止することが可能となる。つ まり、エンジントルクが50%以下となる大幅な「減速運航」において発生する問題や課題を解決する方法は、多 気筒エンジンの一部の気筒を休止し、残りの気筒に燃料を噴射する「気筒休止運転」を実施することである。
また、「減速運航」時においては、「1気筒当たりの燃料噴射量の減少(=毎回噴射量の少量化)」や「回転数の低下」
により、「最適燃料噴射タイミングからの逸脱」のために「NOxの増加」や「燃料消費率の悪化」の問題が発生する恐れ がある。この「最適燃料噴射タイミングからの逸脱」は、電子制御の燃料噴射システムの採用により、最適なタイミング での燃料噴射に制御することが可能である。したがって、従来型エンジンを搭載した船舶の「減速運航」によって生 じるエンジンの不具合問題は、「気筒休止」、「電子制御の燃料噴射システム」の採用により、容易に解決する ことが可能と考えられる。
なお、この気筒休止による減速運航時の燃費改善は、貨物船(=コンテナ船、タンカー、バラ積み貨物船等)
に前述の図5に示した電気推進装置を採用する場合と機能・効果が略同等と考えられる。
3−3.減速運航の課題を解消する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術
船舶の「減速運航」においては、ポンコツ元技術屋の筆者が提案する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特
許技術は、「減速運航」によってエンジンに生じる「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発生」、「燃料消費率の悪 化」、「過給機や排気管がカーボン等による汚れの増加」の「減速運航」時のエンジン不具合の発生を画期的に抑制で きる極めて有効なシステムである。
この「気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を6気筒エンジンに適用した例は、図6に示した通りであ
る。その構造は、6気筒エンジンを第1気筒群と第2気筒群に分け、気筒群毎に独立した吸気通路、排気通路、EGR ガス通路の各通路を設け、それら通路毎にEGR弁、EGRクーラ、EGR通路、過給装置、給気インタークーラ、排気絞 り弁、DPF装置、酸化触媒装置、NOx吸蔵還元装置、尿素SCR装置等の吸排気関連制御装置を配置し、それぞれ の気筒群毎の吸入空気、EGRガスおよび排気ガスの流れが互いに混合しない流れ通路の回路としたことが特徴であ る。
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そして、以下の図7に示したように、エンジンECUの信号により、第1気筒群と第2気筒群への燃料供給、過給装置
および排気後処理装置は気筒群毎に独立して制御するものである。これによってエンジンの部分負荷運転では、何れ か一方の気筒群に燃料を供給してエンジン出力を発生させる稼動気筒群として運転し、他の気筒群には燃料供給を 中止する休止気筒群として運転し、過給装置および排気後処理装置は、それぞれの気筒群に適した制御を行う。な お、部分負荷時の稼動気筒群は一定時間毎に第1気筒群と第2気筒群とを切り替えるようにする。 ![]()
3−4.気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)での減速運転時の出力と燃費改善の試算
計算する船舶は、プロペラ軸にディーゼルエンジンを直結したタイプとする。
・ 船舶運航時の必要馬力P1の計算
P2=a×N1^3 N1:プロペラ軸回転数 a:定数
・ エンジン出力P2の計算
P1=T×ω=b×T×N2 T:エンジントルク、ω:エンジン回転の角速度、N2:エンジン回転数、b:定数
・ プロペラ軸に6気筒ディーゼルエンジンを直結したタイプ仮定したことにより、P1=P2=P、N1=N2=N
故に
・ P=a×N^3=b×T×N → エンジントルク:T=(a×N^3)/(b×N)
このエンジントルク:T=(a×N^3)/(b×N)の関係式を用いて、エンジンの回転数と負荷が100%で運航中の船舶を
減速運航した場合のエンジントルクと燃料消費量を計算し、それを表1に示した。
この表1から明らかなように、、6気筒エンジンを第1気筒群と第2気筒群に分けた気筒休止エンジン(特許公開2005
-54771)を採用したエンジンのエンジン回転数を60%にする「減速運航」では、燃料消費量を全速運航の21.6%まで 減らすことが出来る。そのため、78.4%の燃料コストの削減が可能となる。そして、気筒休止エンジン(特許公開2005 -54771)の2ターボ方式気筒休止システムを採用した6気筒エンジンの場合では、回転数を60%にする「減速運航」の 時には半分の気筒が休止状態である。そのため、エンジン回転数を60%にする「減速運航」の稼動気筒の1気筒当た りの毎回燃料噴射量は、全負荷時の72%の高負荷運転の状態となる。つまり、2ターボ方式の6気筒エンジンの気 筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を採用した船舶が減速運航した場合、稼動気 筒の1気筒当たりの毎回燃料噴射量は、全気筒を稼動する従来型6気筒エンジンの2倍の1気筒当たりの毎 回燃料噴射量のエンジン運転状態で船舶を運航させることが出来る。そのため、稼動する気筒は、高い熱効 率で運転できるため、減速運航時の燃費が大幅に向上できるのである。
一方、前述の図1のコンテナ船のの年間運航パターンに示したように、現在では、「燃料消費量の削減によるコスト低
減」や「余剰船舶の有効利用」の他に、「CO2排出削減による環境負荷低減の社会的貢献」のために、ほとんどの船 舶が「減速運航」を実施されている状況のようである。したがって、現在のコンテナ船の通常の運航は、エンジンの定格 出力付近では無く、極めてエンジン性能の劣る10%〜40%のエンジンン出力での減速運航が主体のようである。この ように、コンテナ船の例に限らず、減速運航が多くの船舶に広く一般化した現在では、船に搭載のエンジンは、最も高 性能が発揮できる定格出力付近が使われていないのが現状のようである。
このような減速運航に運転されるエンジンの低い出力の領域での性能向上を図る手段として、筆者が提案している
のが気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術である。この特許技術は、エンジンの低出力の領域におい て、高いエンジン性能を発揮できることが特徴である。その理由を簡単に纏めると、以下の通りである。
以上の図3に示したように、最近の2サイクル過給エンジンでは、エンジン出力が50%以上の領域は、補助ブロワを
作動させないでエンジンが正常に運転できるとのことである。このように、従来型6気筒エンジンの出力が50%〜10 0%のエンジン運転領域では、補助ブロワを作動させないでエンジンが正常に運転できるのである。特に、最近では、 前述の図4に示したように、大小各1台の過給機を装着し、エンジン出力が50%〜100%の範囲内であっても、エン ジン運転時の出力の高低によって大小各1台の過給機を「大小各1台の中の1台の過給機だけの単独作動」と「大小 各1台の過給機の並列作動」の切り替えの運転を行い、長時間にわたって定格出力時(=100%出力時)よりも低い 運転領域でのエンジン燃費(=熱効率))の悪化を防止するシステムが実用化されている。
つまり、従来型6気筒エンジンの出力が50%時の1気筒当たりの毎回燃料噴射量は、表1に示した通り、全負荷の6
4%である。このことから、全気筒が稼動する従来型6気筒エンジンでは、1気筒当たりの毎回燃料噴射量が64%〜1 00%のエンジン運転領域では、ターボ過給機が高い効率で作動するため、補助ブロワを停止した状態でもエンジンン に必要な十分な給気量の高効率でのエンジン運転が可能となるのである。そして、従来の船舶の通常の運航である全 速運航は、この全気筒が稼動する従来型6気筒エンジンでの1気筒当たりの毎回燃料噴射量が64%〜100%の領 域でエンジンが運転されていたのである。そのため、従来の舶用ディーゼルエンジンは、1気筒当たりの毎回燃料噴射 量が64%〜100%の領域で高性能が発揮できるように設計されており、定格出力付近で高性能を発揮する舶用エン ジンが普及していたのである。
そして、最近では、この全気筒が稼動する従来型6気筒エンジンでの1気筒当たりの毎回燃料噴射量が64%〜10
0%の領域では、前述の図4に示したように、大小各1台の過給機を装着し、エンジン出力が50%〜100%の範囲内 であっても、エンジン運転時の出力の高低によって大小各1台の過給機を「大小各1台の中の1台の過給機だけの単 独作動」と「大小各1台の過給機の並列作動」の切り替えの運転を行い、長時間にわたって定格出力時(=100%出 力時)よりも低い運転領域でのエンジン燃費(=熱効率))の悪化を防止するシステムが実用化されているのである。
この従来の舶用ディーゼルエンジンの定格出力付近と同等の高性能を、減速運航時のエンジンの低出力時において
一部の稼動気筒(=例えば、6気筒エンジンの中の3気筒)において発揮させる構造としたのが気筒休止エンジン(特 許公開2005-54771)の特許技術である。つまり、この特許技術は、エンジンの低出力時に一部の気筒(=例えば、6気 筒エンジンの中の3気筒)を定格出力付近と同等の「高出力で高性能」の状態で運転し、残りの気筒(=例えば、6気筒 エンジンの中の3気筒)を無噴射の休止気筒としてエンジンを運転する方法である。
この特許技術が減速運航に最適と考えられる理由の一つは、前述の表1に示した通り、気筒エンジンのエンジン出
力が34%(=エンジン回転数70%)では、従来型6気筒エンジンの1気筒当たりの毎回燃料噴射量が49%となり、エ ンジン出力が100%時の半分となる。このエンジン出力が34%の状態では、6気筒エンジンの3気筒の燃料を無噴射 として休止し、残りの3気筒に100%の1気筒当たりの毎回燃料噴射量を噴射するエンジンの運転が可能となることで ある。つまり、エンジン出力が34%以下の運転状態では、6気筒エンジンの半分の3気筒を休止する「気筒休止」の運 転し、残りの3気筒に100%の1気筒当たりの毎回燃料噴射量を噴射することにより、コンテナ船の減速運航に最適 な34%の出力でエンジンが運転できることである。そして、補助ブロワを停止した状態でもエンジンンに必要で十分な 給気量となるの稼動気筒の1気筒当たりの毎回燃料噴射量64%のエンジン出力が18%出力(=エンジン回転数5 7%)である。このエンジン出力が18%以上の運転状態では、気筒休止の運転状態でも補助ブロワを作動させずにエ ンジンが正常に運転できると推測される。
更に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を6気筒エンジンに適用して第1気筒群と第2気筒群に
分け、第1気筒群と第2気筒群の各気筒群に図4に示したような大小各1台の過給機を装着したシーケンシャル過給 機のシステムを搭載することも可能である。その場合には、エンジン出力が18%〜34%のエンジン運転領域におい て、稼動する気筒群での「シーケンシャル過給機の大小各1台の中の1台の過給機だけの単独作動」と「シーケンシャ ル過給機の大小各1台の過給機の並列作動」の切り替えの運転を行うことによって18%〜34%のエンジン運転領域 内の燃費効率の向上が可能となる。勿論、この時には、他の休止する気筒群の「シーケンシャル過給機の大小各1台 の過給機」は休止状態(=単なる風車の状態)となる。勿論、6気筒エンジンに気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の特許技術を適用した第1気筒群と第2気筒群の各気筒群の過給機には、シーケンシャル過給機の他にも、 可変ノズル過給機(=Variable Geometry Turbo過給機・VGターボ過給機)を用いても良い。
この各気筒群の各々に「シーケンシャル過給機」や「可変ノズル過給機」を備えた気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の技術を適用したディーゼルエンジン搭載の船舶では、18%〜34%出力の減速運航を実施した場合には、 補助ブロワを作動させないで高効率のエンジン運転が可能になると考えられる。以下に示した表2は、気筒休止エンジ ン(特許公開2005-54771)の特許技術を適用した6気筒エンジンを二つの気筒群に分割し、且つ、二つの気筒群の 各々に「大小各1台の過給機」を備えた気筒休止制御の舶用ディーゼルエンジンにおいて、エンジン出力と気筒制御を 最適に実施した状態を、模式的に整理したものである。
因みに、前述の「図1 コンテナ船の年間運航パターン」に示したように、2サイクルディーゼルエンジンを載したコンテ
ナ船では、エンジンンの10%〜40%出力での減速運航が主体の「年間運航パターン」とのことである。そこで明らかな ことは、現在の2サイクルディーゼルエンジン搭載の現行のコンテナ船は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771) の特許技術が不採用であるが故に、例えば、20%程度のエンジン出力の減速運航の場合には、補助ブロワを常に稼 動させる状態の燃費不良や耐久性・信頼性の劣る状態で船舶が、日々、運航されていると云うことである。
そして、コンテナ船等の20%程度のエンジン出力の減速運航の場合には、最新の低燃費のインタークーラ・タ
ーボ過給機備えた2サイクルディーゼルエンジン搭載のコンテナ船は、実際の日常のコンテナ輸送の運航で は、その殆どが「電動補助ブロワや電動アシスト過給機を作動させながら運転する骨董品と思しき半世紀以上 も昔の2サイクル無過給ディーゼルエンジン」の形態で運航されているものと推測される。謂わば、最新の2サイ クル過給ディーゼルエンジン搭載のコンテナ船は、電動補助ブロワや電動アシスト過給機を作動させる「パッチ当てに 類する愚鈍な対処療法的技術」によって辛うじて日常的な運航の減速運航を可能にしているようである。このように、エ ンジンメーカを含む造船会社は、現時点では「パッチ当てに類する技術」を採用した船舶を製造・納入しているにもかか わらず、「船舶のエネルギー効率を高める多様かつ独創的な省エネ・新環境ソリューションを提案して、船舶の効率的 な運航と地球環境保全に貢献する技術」との恥ずかしくなるような美麗字句の宣伝を行っているようである。
因みに、2サイクル過給ディーゼル機関はB&W社が1952年に世界で最初に実船に装備されたとのことである。そし
て、現在のコンテナ船ではエンジンの定格出力で航行が殆ど実施されていない状況であることから判断すると、現行 のコンテナ船に搭載されているインタークーラ・ターボ過給機を備えた高性能な2サイクルディーゼルエンジン は、単に「高価な飾り物」の役目しか果たしていないと言われても仕方が無いと考えられる。そして、この状況につ いては、「搭載エンジンは宝の持ち腐れ」との説明が最も的を射ているのではないだろうか。
現在のコンテナ船での日常的な大幅な減速運航において、インタークーラ・ターボ過給機を備えた高性能な2サイク
ルディーゼルエンジンの低燃費性能を十分に発揮できるエンジンに性能向上することが、船会社にとっての喫緊の課 題と考えられる。言い換えれば、コンテナ船での日常的な大幅な減速運航において、電動補助ブロワや電動アシスト過 給機を停止させて排気ガスのエネルギーで必要な過給(=掃気)の状態でエンジンが運転できる新技術の早急な実用 化が求められていると云うことである。この船会社の求める機能・性能を満足させる新技術がポンコツ元技術屋の筆 者の提案している気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術である。例えば、表1に示したように この気 筒休止エンジン(特許公開2005-54771)特許技術を採用した6気筒の2サイクルディーゼルエンジンをコンテナ船に搭 載し、そのコンテナ船が20%程度の出力での減速運航を行った場合には、エンジンの6気筒中の半分の気筒が休止 することにより、残りの半分の気筒が稼動する時の1気筒当たりの毎回燃料噴射量が全負荷時の70%程度の高負荷 運転の状態に出来るのである。
この20%程度の出力でのコンテナ船の減速運航においては稼動気筒の1気筒当たりの毎回燃料噴射量が全負荷
時の70%程度の高負荷の運転となり、その運転状態では最新のインタークーラ・ターボ過給機(=例えば、シーケンシ ャル過給機、VGターボ過給機等)を備えた2サイクルディーゼルエンジンの低燃費の機能が十分に発揮できる状況と なる。そして、その場合には、2サイクル過給ディーゼルエンジンの低負荷運転によって引き起こされる「燃料消費率の 悪化」、「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発生」、「過給機や排気管がカーボン等による汚れの増加」の不具 合の発生が回避できることになる。つまり、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の採用は、コン テナ船の大幅な減速運航において、エンジン出力が18%〜34%の領域の減速運航では、現行のコンテナ船 に搭載されているインタークーラ・ターボ過給機を備えた2サイクルディーゼルエンジンの本来の高い性能・機 能が十分に発揮できるのである。
このように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用した2サイクルディーゼルエンジン
搭載の大型船舶は、以下の図9に示したように、17%〜34%の出力の減速運航においては電動ブロワの作 動が不要となり、更なる燃費向上が得られ、且つ、電動ブロワの長時間稼動による故障発生のリスクも回避す ることが可能となる。つまり、エンジン出力が17%〜34%の領域では、エンジン出力が100%付近(=定格出力 付近)と同等の高い熱効率での船舶の運航が可能となる。
以上のことから、10%〜40%のエンジンン出力での減速運航が主体のコンテナ船に2ターボ方式の6気筒エン
ジンの気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を採用した場合には、エンジン出力が 17%〜34%の領域での減速運航では、電動補助ブロア等の燃費悪化を招く装置を稼動させる必要が無いため に、100%のエンジン出力時と同等の熱効率でのエンジン運転が可能である。したがって、10%〜40%のエン ジンン出力での減速運航が主体のコンテナ船のエンジンに気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)の特許技術を採用した場合には、電動ブロワの作動による燃費悪化の不利益(=欠陥)と、電動 ブロワの故障リスクを抱え込むこと無く、低燃費(=高い熱効率)の減速運航が実現できることになる。因みに、 9気筒や12気筒の多気筒エンジンを搭載したコンテナ船では、第1気筒群、第2気筒群、第3気筒群の三つの気筒群 に分割し、各気筒群の出力を適切に制御することにも可能であり、その場合には更にエンジン出力の広い範囲での燃 費改善が出来るものと推測される。
このように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したエンジンでは、エンジン出力が
17%〜34%の領域において稼動気筒の気筒当たりの毎回燃料噴射量がエンジン全負荷運転時の毎回燃料噴 射量の多い状態が維持できるため、燃焼室内の高温化による「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発 生」の防止が可能となり、ターボ過給機の高効率の作動によるブースト圧力の高圧化で「稼動気筒での良好な 燃料消費率の確保」や「過給機や排気管がカーボン等による汚れの増加」の不具合の発生も抑制することが可 能となる。
更に、エンジン出力が17%〜34%の「減速運航」においては、全気筒を稼動する従来型6気筒エンジンの運
転の場合に比べ、2ターボ方式の6気筒エンジンの気筒休止システムを採用した船舶では高温の排気ガス温 度が維持できることから、尿素SCR触媒での高いNOx削減率が実現できるのである。そのため、将来的に「減 速運航」時のNOx規制が強化された場合でも、その規制強化への適合が容易となる。
4.気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、高性能な減速運転を可能にする技術
従来型の全気筒が稼動するディーゼルエンジンと比較した場合、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特
許技術は、エンジンの部分負荷運転時の「NOx削減」と「燃費改善(=高い熱効率)」の実現に優れた効能を発揮す る。このことについては、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!および気筒休止エン ジンによる大型トラックの低燃費化において、大型ディーゼルトラックを対象として詳述しているので、興味のある方は 御覧頂きたい。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、大型ディーゼルトラックの場合と同様 に、舶用ディーゼルエンジンにおいてもエンジン部分負荷運転時の「NOx削減」と「燃費改善(=高い熱効率)」を容易 に実現できるものと考えられる。
このように、現在の今後の舶用エンジンの減速運航においては、更なる「燃費改善(=高い熱効率)」の他にも、「硫
黄による低温腐食(サルファータック)の防止」、「良好な燃料消費率の維持」、「過給機や排気管がカーボン等による汚 れの抑制」を可能にし、エンジンの部分負荷運転時の尿素SCR触媒での高いNOx削減効率を維持することが強く求 められている。この困難な船会社の要望・要求を十分に満たす唯一の実用的な技術が気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)の特許技術であると推測される。それ故に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、近 い将来には舶用ディーゼルエンジンの標準仕様になっているものと予想される。これについての異論のある諸氏は、そ の根拠・理由を末尾のEメール宛にお送りいただければ幸いである。その場合は匿名でも結構である。何故ならば、筆 者は異論の根拠・理由が知りたいだけであり、それを本ページの内容を訂正・修正する糧にさせて頂きたいと思ってい る。勿論、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を凌駕する技術の存在を御存知の諸氏は、そ の技術を是非とも御教えいただきたい。それが事実であることを確認した場合には、この減速運航関係のペー ジを即刻に削除する予定である。
因みに、民主党所属の参議院議員 蓮舫氏の「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょう
か?」との発言が世間をい大いに沸かせたことは、記憶に残っている人も多いと思われる。この騒動は、人間は誰もが 「第1位の最高の技術」を採用した製品・商品を購入するのが当たり前であり、「第2位の劣る技術」の製品・商品を喜 んで買う馬鹿者の居ないことを蓮舫議員が理解していなかったようだ。このように、研究開発の重要性を全く理解して いないタレント出身の蓮舫議員は、真剣な顔で研究開発行政に対しての「馬鹿丸出し」の発言(=口出し)を堂々と行 い、国民の失笑を買ってしまったものと推測される。つまり、世の中の技術発展の世界では殆どの場合において「第1 位の最高の技術」だけが実用化されて製品・商品に採用されている道理を、蓮舫議員が少しも理解していなかった悲 劇とも考えられる。
それはそうと、仮に、筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の気筒休止の特許技術を凌駕する新技
術が世の中に存在した場合には、この気筒休止の特許技術は、恥ずべきポンコツ技術と云うことになる。つまり、この 筆者提案の気筒休止の特許技術は、未来永劫に亘って製品・商品に採用されて実用化されることが無い「落ち毀れの 技術」と云うことになる。その場合には、この減速運航のページは、存在する意義が無くなるため、躊躇すること無く削 除する予定である。
ところが、筆者にとって幸運なことに、現時点においては筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特
許技術を凌駕する減速運航の更なる高性能化を可能にする技術が見当たらないようである。そのため、この特許技術 を採用した舶用エンジンの開発に早急に着手することは、「硫黄による低温腐食(サルファータック)の防止」等が完璧 な優れた耐久性と高い信頼性とを持つ低燃費の減速運航が実現できることになる。そして、この特許技術を採用した 舶用エンジンの早期の実用化は、舶用エンジンメーカが近い将来に大きく飛躍できる鍵ではないかと考えられる。そし て、船会社からコンテナ船等の高性能な減速運航の強い要望が出されている現状を鑑みると、大型舶用ディーゼルエ ンジン(2ストローク)では、三菱重工(自社のUE機関、スルザー)、川崎重工(MAN・B&W)、三井造船(MAN・B& W)、日立造船(MAN・B&W)、IHI(バルチラ、MAN・B&W)の何れのメーカも気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の特許技術を採用した舶用エンジンの開発を早急に開始する動機や必要性は、十分にあると考えられる。何 故ならば、これらのメ−カは、「硫黄による低温腐食(サルファータック)の発生」、「燃料消費率の悪化」、「過給機や排 気管がカーボン等による汚れの増加」の「減速運航」時のエンジン不具合が発生することを防止した10%〜20%のエ ンジン低負荷の領域の減速運転が可能な大型舶用ディーゼルエンジン(2ストローク)の熾烈な開発競争の真っ只中に あるためだ。
一方、最近では、中小型用舶用ディーゼルエンジン(4ストローク)を主機とする船舶においても、大幅な減速運航を
可能にするのために、更なる低負荷の領域の長時間運転の可能にしたディーゼルエンジンの早期の実用化を、船舶 会社がエンジンメーカに強く求めているようである。そのため、新潟原動機(旧新潟鉄工所)、神鋼造機、赤坂鉄工所、 阪神内燃機工業、ダイハツディーゼル、神戸発動機等は、「燃料消費率の悪化」、「過給機や排気管がカーボン等によ る汚れの増加」のエンジン不具合の発生を防止した10%〜30%のエンジン低負荷の領域の減速運転が可能な中小 型用舶用ディーゼルエンジン(4ストローク)の開発にしのぎを削っているようである。現時点では、10%〜30%のエン ジン低負荷の領域の減速運転が可能な中小型用舶用ディーゼルエンジン(4ストローク)を容易に実現できる方法・手 段は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術が唯一のものではないかと考えられる。したがって、この 特許技術の実用化に成功したメーカが、10%〜30%のエンジン低負荷の領域の減速運転が可能な中小型用舶用デ ィーゼルエンジン(4ストローク)を市販する利益を享受し、メーカとしての成長の恩恵に浴することが出来るものと推測 される。そのため、現在のような激しい技術競争の時代において、それほど遠くない将来に発展するエンジンメーカと 衰退するエンジンメーカの分かれ目は、各エンジンメーカの技術系幹部が、このページに記載の気筒休止エンジン(特 許公開2005-54771)の特許技術を正しく理解できているか否かの違いではないかと思うが、如何なものであろうか。
因みに、数年前のデータでは、日本の舶用ディーゼルエンジンの世界シェアを見ると、大型舶用ディーゼルエンジン
(2ストローク)では三菱UE(3.2%)であり、中小型用舶用ディーゼルエンジン(4ストローク)ではヤンマー(2.6%)、 ダイハツ(1.5%)、阪神(1.4%)、新潟(0.7%)、赤坂(0.4%)のようであり、何れの日本ブランドも数パーセント 以下のシェアに留まる寂しい状況である。このような状況を打破するためにも、気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の特許技術を積極的採用することによって、耐久性・信頼性が高い上に、優れた出力・燃費・NOxの性能を持 つ日本ブランドの減速運航用の舶用ディーゼルエンジンを早期に実用化すべきであると考えられる。そして、近い将 来、舶用エンジンの世界で日本ブランドが世界を席巻する時代を迎えて欲しいものだ。これは、ポンコツ元技術屋の筆 者の心からの願いでもある。
ついでに申し上げると、2016年3月3日に国土交通省は、クリーンディーゼルエンジンが搭載と宣伝して市販されて
いる現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、東京近郊の冬場の10℃近傍以下での路上走行では 保護制御ソフトによってNOx削減装置を停止させるためにNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxを垂れ流 す欠陥?のあることを発表した。しかし、驚くことに、国土交通省は、この冬場の路上走行でNOxを垂れ流すランドクル ーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車がエコカー減税の政府の優遇策を受けて今後も市販することを承認しているよう である。
因みに、欧州のディーゼル自動車では、2017年9月には「路上走行のNOx排出値が台上試験のNOx基準値の2.1
倍以内」の路上走行のNOx排出値に規制する予定を既に発表している。しかし、朝日新聞デジタルの2016年3月5日 の報道j記事によると、日本の国土交通省は、これから5年後(=2021年2月頃?)に欧州と同様のディーゼル自動車 での路上走行のNOx排出値の規制実施を検討し始めたようである。これが事実であれば、東京近郊の冬場の10℃近 傍以下での路上走行でNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxの垂れ流しの欠陥を改善したランドクルー ザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、2021年2月頃になるまで、日本では市販されない可能性もあると考えられる。 これは、トヨタ自動車がランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車の路上走行での高濃度のNOxの垂れ流しの欠 陥を改善できる技術が未開発と、国土交通省が認識しているためであろうか。
ところが、この現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車に気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の
特許技術を採用した場合には、冬場の路上走行で高濃度のNOxの垂れ流す欠陥を容易に改善することが可能であ る。つまり、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディー ゼル車は、冬場の路上走行においても、NOx規制値のクリーンなNOx排出状態でのの運航が可能になる。これにつ いては、気筒休止は、プラド(トヨタ)ディーゼル車の冬場のNOx垂れ流しの欠陥を改善に詳述しているので、興味のある方 は、御覧いただきたい。
上記本文中で誤り等がございましたら、メール等にてご指摘下さいませ。また、疑問点、ご質問、御感想等、どのよう
な事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。
筆者宛のメール
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