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最終更新日:2016年7月1日
1.大型トラックの分野では、昔から続いているメーカ間の熾烈な燃費改善の競争
大型トラックは、日本の経済活動と生活の物流面での主役を担っていることは誰もが認めるところである。南北に
細長く形成されている日本での全国的な貨物輸送を行うため、大型トラックの場合には一日に1000km以上も走行す ることも珍しくはない。一般的に長距離輸送に使用されることの多い大型トラックは1日当たりの燃料消費量も多い。 仮に燃費の劣る大型トラックを購入してしまった運送会社は、その日から運行経費の増大を負担することになる。こ のような状態に陥ることを避けるため、運送会社は購入したトラックの燃料消費状況を常に監視しているのである。こ のように、トラックの燃費の良否が運送会社の収益に影響することから、昔から運送会社はトラックメーカに対して常 に燃費削減を強く求めている。そのような運送業界に各メーカが自社のトラックを売る込む際の大きな武器となるの が燃費向上だ。そうしたことから、各トラックメーカの重要な研究開発課題の一つは、いつの時代でも必ず挙げられて いるテーマが、トラックの『燃費向上』である。逆に言えば、燃費の劣るトラックを販売してしまったメーカは、その後の 販売においてシェアを低下させてしまう不幸に見舞われてしまうことになる。
この、燃費悪化による急激な販売シェアの低下は、特に大型トラックの分野において著しい。その販売シェアを低下
させたトラックメーカが数年後にモデルチェンジを行って燃費を改善した大型トラックを販売出来るようになったとして も、その販売シェアを元のレベルまで回復するまでは10年程度の歳月を要してしまうと云われている。このように大型 トラックにとっての燃費の悪化は、トラックメーカとしての致命傷になりかねないことから、トラックメーカの燃費改善は 永遠に続く「開発課題」と言えるのではないだろうか。
2.ディーゼルエンジンにおける排出ガス低減と燃費改善
ディーゼルエンジンでは、NOxは燃焼室内の燃焼の局部的な高温の領域で生成され、PM(パーティキュレイト)の
核となるカーボン、スモークおよびCOは燃焼室内の局部的な酸素不足の領域で生成され、PM構成物のHC(未燃 燃料)は燃焼室内の火炎伝播の到達できない燃料の過剰希釈領域で生成されると云われている。そのため、ディー ゼルエンジンのNOx、HC、CO、PMおよびPMの排出ガスを削減するためには、燃焼中の燃焼室内の高温領域、 酸素不足領域および燃料の過剰希釈領域をできる限り少なくするような燃焼をさせるために、燃焼室内の空気量を 増やし、燃料の微粒化や良好な分布を図って混合気の形成を促進し、完全な燃焼に近づけることが必要となる。
昭和47年7月のディーゼル車の黒煙規制開始(3モード法)以来、ディーゼルエンジンの研究開発の目的はそれま
での燃費改善に新たに排出ガス削減の研究目標が加わった。排出ガス削減には燃焼改善が必須であるため、これ から後にはメーカ・研究機関のディーゼルエンジンの研究開発は燃費向上と排出ガス削減のための燃焼改善に全力 が傾注されたて来たように思われる。最近では、ディーゼルエンジンの研究開発には燃焼改善に尿素SCR触媒やD PF装置などの排出ガス後処理が加わり、表1に示した技術により現在の燃費と排出ガス性能を持つ大型ディーゼル トラックが実用化されたのである。
これまでのディーゼルエンジンにおける排出ガス低減と燃費改善は、長年にわたって研究改良が続けられてきたこ
ともあって現在では限界に近づいており、上記のエンジン本体の技術改良では燃費改善が得られ難くなってきてい る。また、パティキュレート規制が厳しくなった新長期規制(H17年)以降の排気ガス規制では、パテキュレート削減の ために採用されたポスト噴射再生式DPF装置や排気管噴射再生式のDPF装置は、明らかに燃費の悪化を招く装置 であるにもかかわらず、これを使わざるを得ない状況となってきているのである。
このポスト噴射再生式DPF装置のポスト噴射は、気筒休止はDPFの自己再生を促進 (強制再生の削減で燃費悪化
を防止)に詳細に説明しているように、シリンダの中で燃料を燃やすことが目的ではなく、ポスト噴射の燃料は触媒で 酸化させることによって排気温度を600℃前後に上昇させ、DPFに堆積したパティキュレート燃焼し、除去するための ものである。このポスト噴射式DPF装置を搭載した小型ディーゼルトラックが多く使用される人口密集地域の集配業 務等では発進・停止が頻繁に行われるためにエンジンからのパテキュレート排出量が激増することから、ポスト噴射 によるフィルタの再生が頻繁に行うことが必要となる。このポスト噴射によるDPFの自動再生の頻度に比例して燃料 が浪費されるため、ポスト噴射再生式DPF搭載の新長期規制(H17年)適合の小型ディーゼルトラックでは、実走行燃 費を著しく悪化させてしまうのだ。勿論、排気管噴射再生式のDPF装置でも、DPFの自動再生の頻度に比例して燃料 が浪費されることは、ポスト噴射再生式DPF装置と同様である。
そのため、新長期規制(H17年)適合のポスト噴射式DPF装置を搭載した小型ディーゼルトラックは、以前の規制で
ある新短期規制(H15年)適合のポスト噴射式DPF装置を搭載していない小型ディーゼルトラックに比べ、実走行燃費 が30%前後も悪化しているのである。このことは、排気管噴射再生式のDPF装置でも全く同様である。
3.開発中を含めた主要なディーゼルエンジンの燃費改善の技術
表2は、社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系文化会環境部会・第9回合同会議資料(2008年
2月14日(出典:http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/koutu/kankyou/goudou9/080214/03.pdf)に記載されている ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンやそれらを動力源とする自動車の主要な燃費削減技術が示されている。 ![]()
注:赤字は筆者の追記部分
表2において10%以上のエンジン燃費が向上できると記載されている技術の中で、ディーゼルエンジン適用可能な
燃費改善技術としてはハイブリッド化、ミラーサイクル、可変気筒機構(気筒休止エンジン化)およびエンジンの小型 化である。これらの中の可変気筒機構(気筒休止エンジン化)以外の技術では、ターボ過給ディーゼルエンジンを搭 載した大型トラックで10%以上の燃費改善を図ることは、困難と思われる。その理由を以下の表3に示した。
また、従来より大型ディーゼルトラックにとっては燃費改善が最重要の課題であるため、何れのトラックメーカでも常
に新しいディーゼルエンジンの燃費向上技術の開発に挑戦しているようだ。ディーゼルエンジンの燃費改善に関連 し、ターボコンパウンド、二段過給およびLPL EGR(Low Pressure Loop EGR)の開発が行われており、一部メーカ ではそれを既に商品化してところもある。(表4参照方)
大型トラックメーカでは、大型ディーゼルトラックの燃費改善のために、ターボコンパウンドや二段過給に加え、NOx
削減の大幅な削減とそれに伴う燃費悪化の防止を狙ってLPL EGR(Low Pressure Loop EGR)の新技術の開発が 行われている。しかしながら、現時点ではこれら新技術は、大型トラックの十分な燃費改善を実現できる機能は無い と考えられる。したがって、近い将来、LPL EGR(Low Pressure Loop EGR)以外の技術は、市販の大型ディーゼル トラックに広く採用されていく可能性はそれほど高くないのではないかと思っている。
4.大型トラック分野における今後の重要課題は燃費削減の技術開発
大型トラックの分野では、今後、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)やその後の更なるNOx削減強化規制へ
の適合にはNOxとPMの削減が必要であるが、NOx削減は尿素SCR触媒、PM削減はDPF装置により目標レベル に到達させることが可能であると云われている。このようにディーゼルエンジンの排出ガス低減については、その方 法・手段は固まりつつあることは多くの専門家が認めるところである。ディーゼルエンジンにおける排出ガス後処理技 術が実用化されたことにより、これまでのようなディーゼルエンジンの燃焼改善に偏った排出ガス削減の必然性は大 きく減退したものと考えて間違いがない。現在では、大型ディーゼルトラックにおける将来的な排出ガス規制は、排出 ガス後処理の技術によって適合が可能になったと考えて間違いないだろう。
ところが、この排出ガス後処理の中のPM削減に採用されているDPF装置では、規定量以上のPMがフィルタに堆積
した場合には、排気ガス温度を600℃程度の高温に制御する手動再生または自動再生を行う必要がある。現在、DP F装置のフィルタを手動再生または自動再生する方法としては、筒内の燃焼終了後の軽油を噴射するポスト噴射方 式(日野、いすゞ等が採用)と排気管内にHCインジェクターから軽油(HC)を噴射するHC排気管噴射方式(三菱ふそ う、UD、ボルボ等が採用)の2種類の再生方式が実用化されている。これらポスト噴射方式とHC排気管噴射方式の 何れの方式においても、DPF装置のフィルタ再生時には多量の燃料を浪費する欠陥を抱えていることは変わりはな いのである。
なお、ポスト噴射再生式DPF装置やHC排気管噴射再生式DPF装置を搭載している都市間走行の大型ディーゼルト
ラックでは、頻繁に発進・停止を繰り返す都市内走行の小型トラックに行われる頻繁なフィルタ再生を必要としない。 そのため、都市間走行の大型ディーゼルトラックではフィルタ再生時のポスト噴射やHC排気管噴射による燃料浪費 はそれほど多くはないと考えられるが、フィルタ再生時のポスト噴射やHC排気管噴射によるによる燃料浪費は皆無 ではない。したがって、現在のような燃費改善が最重要課題になっている時代では、トラックの通常走行においてポス ト噴射やHC排気管噴射等の燃料を無駄に浪費するフィルタ再生が不要にできるDPF装置の再生システムの開発も ディーゼルトラックの喫緊の課題と考えられる。
因みに、ポスト噴射方式のDPF再生時における燃料浪費については、燃費悪化のポスト噴射を止め、気筒休止で
DPFを再生する新技術のページに詳述している。このページでは、ポスト噴射再生式DPF装置を搭載している新長期 規制(H17年)適合の小型ディーゼルトラックがこのDPFを搭載していない新短期規制(H15年)適合し小型ディーゼル トラックに比べ、30%前後もの実走行燃費が悪化している現状が読者には良く理解していただけるものと思われる。 既に多くのディーゼルトラックに装着されているポスト噴射再生式DPF装置では、人口密集地域を走行する場合の頻 繁な発進・停止や加速・減速によってDPF装置のフィルタにパティキュレートの堆積が激しくなるためにポスト噴射によ るフィルタ再生の頻度が増加し、ポスト噴射による燃料浪費が増えて実走行燃費が悪化しているのが現状である。な お、HC排気管噴射方式のDPF再生時の燃料浪費はポスト噴射方式と全く同様である。
ところで、CO2削減や省資源・省エネルギーを求める最近の社会ニーズの高まりを受け、ディーゼルエンジンが主
体のトラック・バスを対象として、重量車(車両総重量2.5t超)の自動車に対する2015年度(平成27年度)重量車燃費 基準を新たに規定した法律が施行された。これにより、今後の大型トラックに関連した技術開発については、排出ガ ス削減よりもディーゼルエンジンの燃費削減(=CO2削減)の技術開発に重点が移されて行くものと考えられる。
このように、CO2削減や省資源・省エネルギーが求められている現在、大型トラック用ディーゼルエンジン関連の燃
費改善が最も重要な課題の一つである。この課題の解決には、エンジン本体の燃費を改善することと、現行のポスト 噴射再生方式とHC排気管噴射再生方式のDPF装置におけるフィルタ再生時の燃料浪費を削減することが必要であ る。このディーゼルエンジン本体の燃費削減と、現行のDPF装置のフィルタ再生時における燃料浪費の防止 の両方に有効な技術として、筆者は2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を考案 した。この2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラック用ディーゼルエンジンに 採用することによって、大型ディーゼルトラックの燃費が5〜10%程度を改善できるものと考えている。なお、ポスト 噴射やHC排気管噴射によるフィルタ再生の頻度を激減させて燃料浪費の効果を倍加させるためには、後処理制御 システム(特許公開2005-69238)を組み合わせることが有効である。
5.各気筒の負荷制御の最適なマネジメントによるディーゼルエンジンの燃費改善
これまで世の中に広く普及している石油由来の軽油を燃料とするディーゼルエンジンでは燃費改善の割合はCO2
削減の割合と等しくなるため、このディーゼルエンジンの「燃費改善」は「CO2削減」と同じ意味(同義語に近い意味) を持つことになる。このディーゼルエンジンについて、自動車技術会発行の「自動車技術」誌Vol.64、No.1、2010 (2010年1月1日発行)に掲載の論文「ディーゼルエンジンこの10年」(著者:飯田訓正 慶大教授と他3名)の「5 おわ りに」には、以下のように記述されている。
このように、この飯田訓正 慶大教授と他3名の論文では、ディーゼルエンジンのCO2削減(=燃費改善)が「大きな
挑戦課題」と断定されており、この「課題達成」には「従来のディーゼルエンジンの要素システムに加え、燃料、燃焼、 触媒の研究、システム制御の統合化技術が求められている」と記載されているだけだ。そして、ディーゼルエンジンの CO2削減(=燃費改善)に有効な技術が具体的に一つも記述されていないのだ。このように、飯田 慶大教授と他3 名の著者は、具体的な技術アイテムを何一つ示すこと無く、ディーゼルエンジンのCO2削減(=燃費改善)は「大きな 挑戦課題」と主張しているのみである。この主張を判り易い言葉で置き換えれば、「良いディーゼルエンジンを開発し ろ!」と述べているに過ぎないのである。これは、何とも中身に無い主張ではないだろうか。
現在、各トラックメーカの多くのエンジン技術者は、ディーゼルエンジンの燃費改善やCO2削減に有効な技術を開
発すべく、日々、奮闘中と考えられる。そのようなトラックメーカの多くのエンジン技術者は、ディーゼルエンジンの燃 費改善やCO2削減の技術上の示唆を求めて自動車技術会発行の「自動車技術」誌Vol.64、No.1、2010(2010年1月 1日発行)に掲載の論文「ディーゼルエンジンこの10年」を読んでいるものと考えられる。しかし、この論文を読み終 え、著者の飯田訓正 慶大教授と他3名が、「ディーゼルエンジンのCO2削減(=燃費改善)が「大きな挑戦課題」と主 張されていることに落胆された人も多かったのではないだろうか。このように、飯田訓正 慶大教授と他3名の論文 は、「ディーゼルエンジンの燃費改善やCO2削減」に効果のある技術を早期に実現させるように単に叱咤激励してい るだけであり、その中には課題の解決に役立つ技術的な知見や情報が何も記載されていないのだ。
したがって、この論文の飯田訓正慶大教授と他の著者3名の主張を直接的な言葉に置き換えれば、ディーゼルエ
ンジンのCO2削減(=燃費改善)は、「技術的に八方塞がり」の状況にあるとの意味であり、「現時点では技術的な解 決策が不明」と理解しても大きな間違いは無いと考えられる。 この記述の内容について、遠い昔にディーゼルエンジ ンの研究開発に携わった経験のある元技術屋の筆者にとっては、淋しい限りだ。
因みに、「自動車技術」誌は、会費を納めている自動車技術会の会員に最新の技術情報を伝えることが本来の目
的の筈である。そのような「自動車技術」誌に、飯田訓正慶大教授と他の著者3名は、ディーゼル関係者が解決に苦 慮している課題解決の糸口となるような技術的な示唆や見識を何一つ示さず、しかも、上から目線で「ディーゼルエン ジンのCO2削減(=燃費改善)は大きな挑戦課題」として読者の自動車技術会の会員に課題解決を叱咤激励する論 文を発表しているのだ。このような叱咤激励で「自動車技術」誌の紙面を割くのは、「ページの無駄」、「資源の浪費」 ではないだろうか。なぜなら、自動車技術会の多くの会員は、勤務先で上司から毎日のように、「燃費改善に有効な 技術を早期に開発せよ!」との叱咤激励を受けていると推察うされるためだ。自動車技術会の会員の技術者は、会 社に出勤すれば、朝から晩まで燃費改善の技術開発を促す叱咤激励で耳にタコができているのである。多くの自動 車技術会の会員がそのような状況に置かれている中で、新たな技術情報が得られることを期待して「自動車技術」誌 のページを開いてみると、論文の中に叱咤激励の言葉が躍っているのである。これを目にした自動車技術会の会員 の中には、「この役立たず!」と怒りを覚える人も数多くいるのではないだろうか。このような新たな技術情報を記載 せずに叱咤激励する論文を掲載した「自動車技術」誌の編集に携わった人達は、一体、何を考えているのかと問い 質したいところだ。
さて、これまでのディーゼルエンジンが発展してきた歴史の中で、ディーゼルエンジンは燃焼改善によってある程度
の燃費改善(=CO2削減)が図られてきた事実は正直に認めるが、現在ではディーゼルエンジンの燃費改善(=CO 2削減)の技術開発が大きな壁に突き当たっていることは確かなようだ。今後、更なる燃費改善(=CO2削減)を実現 して行くためには、筆者は多気筒エンジンの各気筒の負荷制御を最適にマネジメントすることが必要と思っている。そ して、この「気筒負荷制御マネジメント」の最適化以外に、ディーゼルエンジンにおける十分な燃費改善(=CO2削 減)は困難ではないかと思っている。ディーゼルエンジンの燃費改善(=CO2削減)が容易に実現できる「気筒負荷制 御マネジメント」として、筆者が提案しているのが2ターボ過給機方式の『気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)』 の技術である。このトラック用ディーゼルエンジンの燃費を容易に改善できる気筒休止ディーゼルエンジンについて、 以下にその概要を説明する。
6.気筒休止エンジンによる大型ディーゼルトラックの燃費改善
6−1.アイドルストップと異なるターボ過給ディーゼルエンジンの気筒休止システム
アイドルストップは自動車の停車時にエンジンを停止するだけのものである。したがってアイドルストップによって得ら
れる燃料消費の改善の量は、無負荷で一定の回転数に維持されているアイドルリング時の燃料流量にアイドルリン グ運転時間を乗じれば算出されるものだ。そのためアイドルストップによる燃費改善は、自動車走行の総時間数に 中のアイドリング運転の占める総時間数が判明すれば、単純に計算できるのである。
これに対し、ターボ過給ディーゼルエンジンにおける気筒休止の技術は、アイドルストップと大きく異なる技術であ
る。先ず、ターボ過給ディーゼルエンジンの気筒休止のシステムでは、表3に示したように、ターボ過給機の台数を含
めて給気方式が異なった2種類のシステムが存在する。
このように、過給ディーゼルエンジンでは、「2ターボ方式」と「吸・排気弁休止方式」の2種類の気筒休止システムが
ある。何れの方式の気筒休止エンジンにおいても、気筒休止運転時の稼動気筒での「冷却損失の減少」、「サイクル 効率の向上」による燃費改善が得られることは間違いない。しかし、これら2種類の気筒休止エンジンでの気筒休止 運転を行う部分負荷運転状況を比較すると、2ターボ方式気筒休止システムのターボ過給機の過給機効率は、 吸・排気弁休止気筒休止システムのターボ過給機の過給機効率よりも常に高い効率で運転できるのである。 そして、2ターボ方式での気筒休止エンジンは、吸・排気弁休止ので気筒休止エンジンに比較して、気筒休止 の運転領域が広いことも特徴の一つである。そのため、「2ターボ方式気筒休止システム」の方が「吸・排気弁休 止気筒休止システム」に比べて優れた燃費改善が得られるのだ。これについては、気筒休止エンジンによる大型トラ ックの低燃費化のページにも説明を記載しているので、それも御覧いただきたい。
ボルボは、気筒休止のガソリンエンジンと同様な、吸・排気弁を休止してシリンダを密閉する機構を持つ吸・排気弁
休止方式のディーゼルエンジンの気筒休止システムを提案しているが、日本のトラックメーカもボルボと同様の吸・排 気弁休止方式のディーゼルエンジンの気筒休止システムを考えているようである。ことを示した。日本のトラックメー カが出願しているディーゼルエンジンの吸・排気弁休止方式の気筒休止システムに関する特許・実用新案を、以下の 表2に示した。
以上の表2に示した日本のトラックメーカがこれまで出願している気筒休止に関する特許・実用新案を見る
と、殆ど全てが吸・排気弁休止方式の気筒休止システムに限られているようだ。そして、次項から以降に詳述し たような筆者提案の2ターボ方式の気筒休止システム[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]に類似した特許出 願は、今のところ1件も無いようである。
そして、結論から言うと、吸・排気弁休止方式の気筒休止システムは、筆者が提案している2ターボ方式の気筒休
止システム[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]よりも気筒休止で運転できるエンジン負荷が低い欠点があ る。その結果、吸・排気弁休止方式の気筒休止システムは、2ターボ方式の気筒休止ステム[気筒休止エンジン(特 許公開2005-54771)]に比較し、大型トラックの高速道走行時の燃費改善や重量車モード燃費の改善が大幅に劣る 欠点・欠陥がある。これについては、日野自動車が論文発表した燃費改善機能の劣る気筒休止システムのページに 詳細しているので、興味のある方はご覧いただきたい。
このように、吸・排気弁の密閉化による吸・排気弁休止方式の気筒休止システムでは、シングルターボ方式の大型
トラック用6気筒過給ディーゼルエンジンの場合には、3気筒を休止するエンジン運転が殆ど不可能と云う致命的な 欠陥があるためだ。一方、このような吸・排気弁休止方式の気筒休止システムと異なり、2ターボ方式の気筒休止エ ンジン[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]は、0〜1/2 負荷の広い運転領域で気筒休止が可能となる優れた 特長を備えた技術である。このように、2ターボ方式の気筒休止エンジン[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)] は、広いエンジン運転領域で気筒休止が可能なため、吸・排気弁休止方式の気筒休止システムの過給ディーゼルエ ンジンに比較して、気筒休止による「燃費向上」と「SCR触媒でのNOx削減」の面で優れた効果が発揮できるのであ る。
何はともあれ、表1に示したように、ボルボ・トラックスや日本のトラックメーカのエンジン技術者は、気筒休止の技
術としては、「燃費向上」と「SCR触媒でのNOx削減」の効果の劣る吸・排気弁休止方式の気筒休止システムの過給 ディーゼルエンジンの気筒休止を考えているようである。この吸・排気弁休止方式の気筒休止システムは、ガソリンエ ンジンと気筒休止システムをそのまま模倣した技術を過給ディーゼルエンジンに適用しものと推察される。このことか ら、トラックメーカのエンジンのエンジン技術者は、過給ディーゼルエンジンでは「燃費向上」と「SCR触媒でのNOx削 減」の機能の劣る吸・排気弁休止方式の気筒休止システムしか頭に思い浮かばなかったとすれば、彼らの発想が意 外に乏しいと言われても仕方が無いのではないだろうか。
しかしながら、大型トラックにおける「燃費向上」と「NOx削減」の課題を抱えたトラックメーカのエンジンのエンジン技
術者は、筆者の提案する2ターボ方式の気筒休止エンジン[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]の技術を知る ことになれば、十分な「重量車モード燃費の向上」と「SCR触媒でのNOx削減」が実現できるために、迷うことなく2ター ボ方式の気筒休止システムを採用する可能性が高いと考えられる。しかしながら、筆者の提案する2ターボ方式の気 筒休止エンジン[気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]の技術を知ることになっても、これまで通りのガソリンエ ンジンと同様の吸・排気弁を密閉する機構を持つ吸・排気弁休止方式の気筒休止システムの気筒休止ディーゼルエ ンジンの研究・開発を行うエンジン技術者・専門家が存在したとすれば、その人達はターボ過給ディーゼルエンジンに ついて十分な知識を持ち合わせていないと考えて間違いないだろう。 6−2. 2ターボ過給機方式の気筒休止エンジンのメカニズム
この2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では、図1に示したように、多気筒ディーゼルエ
ンジンを第1気筒群と第2気筒群に分け、気筒群毎に独立した吸気通路、排気通路、EGRガス通路の各通路を設 け、それら通路毎にEGR弁、EGRクーラ、EGR通路、過給装置、給気インタークーラ、排気絞り弁、DPF装置、酸化 触媒装置、NOx吸蔵還元装置、尿素SCR装置等の吸排気関連制御装置を配置し、気筒群毎の吸入空気、EGRガ スおよび排気ガスの流れが互いに混合しない流れ通路の回路とする。 ![]()
そして図2に示したように、エンジンECUの信号により、」第1気筒群と第2気筒群への燃料供給、過給装置および
排気後処理装置は気筒群毎に独立して制御するものである。これによってエンジンの部分負荷運転では、何れか一 方の気筒群に燃料を供給してエンジン出力を発生させる稼動気筒群として運転し、他の気筒群には燃料供給を中止 する休止気筒群として運転し、過給装置および排気後処理装置は、それぞれの気筒群に適した制御を行う。なお、 部分負荷時の稼動気筒群は一定時間毎に第1気筒群と第2気筒群とを切り替えるようにする。 ![]()
6−3 2ターボ過給機方式の気筒休止エンジンで部分負荷時に燃費が改善される理由
気筒休止エンジンが2/4負荷で運転する場合、図1に示したように第1気筒群を稼動気筒群として運転した場合は
第2気筒群は休止気筒群として運転する。この時、稼動気筒群の第1気筒群は、4/4負荷の運転となるため、第1気 筒群のEGR装置、過給装置および排気ガス後処理装置は全負荷状態で運転されるため、シリンダ内圧力が高圧と なってサイクル効率が高くなって燃費が良好となり、排気ガス温度も高温となって第1気筒群のDPF装置では自然再 生が促進される状態となる。
そのため、ポスト噴射式DPF装置においてポスト噴射で排気管に燃料を供給し、このポスト噴射燃料を酸化触媒で
燃焼させて排気ガス温度を600℃まで高温化して堆積したパティキュレートを燃焼させてフィルタから強制的に除去す る処置が不要となり、フィルタ再生でのポスト噴射の燃料浪費を無くすことが可能ろなる。その結果、第1気筒群では 高いサイクル効率で低燃費で且つDPF装置の自然再生が促進される状態が運転継続が実現できることなる。そして この時の第2気筒群は休止気筒群として運転しているため第2気筒群の冷却損失は零に近いため、気筒休止エンジ ンが2/4負荷で運転する場合の冷却損失は同じ出力を全気筒を稼動する従来のエンジンに比べて、ほぼ半分まで 減少できることも燃費改善の大きな理由の一つである。
また。この気筒休止エンジンが0〜2/4負荷の間で運転する場合、図1に示したように第1気筒群を稼動気筒群と
して運転した場合は第2気筒群は休止気筒群として運転する。この場合も、稼動気筒群の第1気筒群は、同じ出力を 全気筒を稼動する従来のエンジンに比べて、2倍の正味平均有効圧力で運転するため、第1気筒群のサイクル効率 が高くなって燃費が良好となるり、同じ出力を全気筒を稼動する従来のエンジンに比べて、冷却損失がほぼ半分まで 減少することも燃費改善の要因となる。つまり、この運転領域おいて従来のエンジン運転では2気筒に供給していた 燃料を稼動気筒群の1気筒に供給することになるため、稼動気筒群の気筒は筒内の最高圧力と最高温度が上昇す ると共に冷却損失が減少することによって高いエンジンサイクル効率が得られるためである。2ターボ過給機方式の 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)ではこのようなエンジンサイクルマネジメントを行うことによってエンジンの 部分負荷時の燃費が容易に向上できるのである。
そして同様に、この気筒休止エンジンが2/4〜4/4負荷の間で運転する場合、第1気筒群と第2気筒群を共に稼動
気筒群として運転するが、第1気筒群を4/4負荷で運転して第2気筒群を不足する出力を補う部分負荷運転とした場 合、第2気筒群は出力を補う部分負荷運転となるため燃費の悪い運転となるが、第1気筒群は4/4負荷運転のため にサイクル効率が高くなって燃費が良好な運転となる。このようにエンジンサイクルマネジメントを行うことによって、2 /4〜4/4負荷の間で運転するエンジン全体の燃費は、全気筒を同じ出力で稼動する場合に比較して、低燃費を得る ことが可能となる。
以上に説明したような気筒休止エンジンの第1気筒群を優先的に稼動さるせ制御を行った場合には、気筒休止エ
ンジンの各出力範囲に対応する第1気筒群と第2気筒群の各気筒群の運転は、図3に示した通りとなる。 ![]()
以上のように2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では、従来の全気筒を等しい負荷で
稼動させるエンジンに比べて、特に図3に示した緑色と赤線および赤線に接した空色の領域の負荷(2/4〜3/4負 荷)の燃費が改善されることになる。なお、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)が大幅に燃費を向上でき る理由については、気筒休止により、燃費削減と尿素SCR触媒でのNOx削減が可能だ!のページでも詳述している ので、ご覧いただきたい。
6−4 気筒休止エンジンで大型ディーゼルトラックの走行燃費が改善される理由
前述の通り、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃費改善のためのに、ターボコンパウンド、二段過給化、ミラー
サイクルおよびカムレスシステムのような新しい技術の研究開発が行われているようである。しかし、これら技術の中 で、ミラーサイクルでは2%程度の燃費改善が可能であるが、その他の技術における燃費改善は1%にも満たない 微々たるものに過ぎないのだ。したがって、これら技術が近い将来、市販の大型ディーゼルトラックに広く採用される 可能性は極めて低いと考えられる。
そこで、筆者が大型トラックの大幅な燃費改善が見込める実用的な技術として提案しているのが2ターボ過給機方
式の『気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)』である。前述のように、筆者が提案の気筒休止エンジンでは1気筒 群と第2気筒群の二つの気筒群に分け、気筒休止エンジンの0〜2/4負荷の運転では1気筒群または第2気筒群の 一方の気筒群を稼動運転して残りの気筒群を休止運転する。これによって、比べて、この稼動気筒群は全気筒を均 等の出力で稼動する従来のエンジンの2倍の正味平均有効圧力で運転できるため、サイクル効率が高くなって燃費 が良好となるり、同じ出力を全気筒を稼動する従来のエンジンに比べて、冷却損失がほぼ半減することも燃費改善 の要因となる。そして、この気筒休止エンジンが2/4〜4/4負荷の運転では、第1気筒群と第2気筒群を共に稼動気 筒群として運転する。しかし両気筒群の出力は異なり、第1気筒群を4/4負荷で運転して第2気筒群を不足する出力 を補う部分負荷運転とした場合には、第2気筒群が出力を補う燃費の悪い部分負荷運転となるため運転となるが、 第1気筒群は4/4負荷運転のためにサイクル効率が高くなって燃費が良好な運転となる。この場合でも、2/4〜4/4 負荷の間で運転するエンジン全体の燃費は、全気筒を同じ出力で稼動する場合に比較して、低燃費を得ることが可 能となる。 ![]()
以上の気筒休止エンジンの気筒群制御について、実際の大型トラックでの制御について示したものが、図4であ
る。この図4は、大型トラック(GVW:25トン、最大積載量16トン)に半積載(8トンの積載)した条件で、第5次中環審 答申で示された環境省が行った走行実態調査を基に新長期排出ガス規制用試験モードであるEDモードを運転した 場合のエンジン負荷と回転数比の使用品頻度のデータ(出典:交通安全環境研究所、http://www.ntsel.go.jp/ronbun /happyoukai/14files/algorithm.pdf)に、筆者が提案している2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005 -54771)である第1気筒群と第2気筒群の二つの気筒群に分割し、1気筒群と第2気筒群の負荷を独立して制御する 気筒休止エンジンの気筒群制御による燃費改善の可能な運転領域を追記したものである。この図4の赤線枠内の 運転領域では一方の気筒群を稼動運転して残りの気筒群を休止運転することによって燃費を改善し、緑線枠内の運 転領域では一方の気筒群では4/4負荷で運転して残りの気筒群を部分負荷運転することによって燃費を改善するこ とが可能となる。
これによって実走行の大型トラックにおける実用的なエンジン運転領域のほぼ全域にわたって、気筒休止エンジン
で低燃費が確保できる気筒群の制御が可能となる。この2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005 -54771)の技術を大型トラックに採用した場合には、従来の全気筒を均等出力で稼動するエンジンに比較し て、5〜10%程度の重量車モード燃費値や実走行燃費値を改善できるものと予想している。なお、全気筒を常 に稼働させる従来エンジンに比較して、この2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、燃 費向上に加え、NOxも削減できる根拠については、気筒休止は、燃費削減と尿素SCRのNOx削減率の向上に有 効だ!にも詳述しているのでご覧いただきたい。
ところで、これはガソリンエンジンの場合ではあるが、マツダの人見光夫氏の講演(2015年12月14日)では、人見光
夫氏はマツダ2.5L SKYACTIVエンジンにおける気筒休止によってエンジンの低負荷の運転領域での大幅な燃費改 善の可能性を図示されている。 このことから、マツダは、近い将来には気筒休止エンジンを搭載した自動車を市場 に投入する可能性があるのではないかと考えられる。その場合、ディーゼルにおいても気筒休止を採用した自動車 を市販する可能性が無きにしも非ずと考えられる。、
(出典:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151214_735090.htmlに掲載の図http://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/735/
090/html/71.jpg.htm)l
2016年4月現在、マツダでは、以下の2機種のディーゼルエンジンを生産しているそうである。
● SKYACTIV-D 1.5 : 1.5リットル・直列4気筒DOHC16バルブ直噴エンジン VGターボ
● SKYACTIV-D 2.2 : 2.2リットル・直列4気筒DOHC16バルブ直噴エンジン 2ステージターボ
そのような状況の下で、マツダの人見光夫氏の講演(2015年12月14日)では、以下のように、ディーゼルエンジンのも
燃費向上でも「気筒休止」の採用が有効とする趣旨の発表を行っているようだ。
さてさて、以上の記事から類推すると、近い将来、マツダのディーゼルエンジンには気筒休止が採用される可
能性が極めて高いと考えられる。その場合の気筒休止システムは、気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の特許技術を採用することが最も適切ではないかと考えられる。その理由は、気筒休止エンジン(特 許公開2005-54771)の特許には以下に示した二つの優れた機能・性能を備えた技術であるためだ。
● 通常、自動車は、自動車用エンジンの急激な出力増減の的確な負荷制御によって、正常な走行が可能で
ある。そのため、気筒休止を採用した過給ディーゼルエンジンを搭載した自動車が急激な負荷低下を必要と する走行状態においては、エンジンは全気筒稼働から気筒休止に突入することになる。その際、気筒休止エ ンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用した過給ディーゼルエンジンでは、ターボ過給機に発生す るターボサージンングの不具合を完全に回避することができる唯一の技術である
● 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用した自動車用ターボ過給ディーゼルエンジ
ンは、気筒休止運転時においては、休止気筒の吸・排気弁の作動を停止させる機構(=気筒を密閉状態に維 持する装置)を新たに追加する必要が無いことも大きな特長である。
(因みに、現行の市販中の気筒休止ガソリンエンジンの全機種には、休止気筒の吸・排気弁の作動を停止させる機
構[=気筒を密閉状態に維持する装置]が装着されている。)
ところで、最近の外国航路の大型貨物船では、エンジンの気筒休止は、減速運航時の更なる燃費向上が可能に詳
述しているように、船舶の運航時の燃料費の削減を図るため、船舶の大幅な減速運航が実施されている。つまり、通 常の船舶は、減速運航のためにエンジンを部分負荷で運転する頻度が著しく増加しているとのことである。この減速 運航の手段の一つとして、従来の大型の豪華客船に採用されている複数台のディーゼル発電装置(=下図を参照 方)を用いた船舶の電気推進装置を貨物船(=コンテナ船、タンカー、バラ積み貨物船等)に採用することが提案され ている。
この複数台のディーゼル発電装置(=下図を参照方)を用いた船舶の電気推進システムにおいて一部のエンジン
を停止して運転した場合は、エンジンの部分負荷運転において一部のエンジンを気筒休止した場合と同等の機能・ 効果があると考えられる。例えば、多気筒ディーゼルエンジンを第1気筒群と第2気筒群の二つの気筒群に分けた気 筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の気筒休止エンジンにおいて1/2以下のトルクでは気筒休止によって総排 気量の1/2の排気量で運転することが可能であり、そして、上記の船舶の電気推進システムの1/2以下のトルク では2台のエンジンの中の片方のエンジンでだけで運転することができるのである。そのような運転状態では、気筒 休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したエンジンと上記の船舶の電気推進システムのエンジン は、1/2以下のトルクでは両方のエンジンが排気量を半分にした[ダウンサイジングエンジン」の状態でのエンジン 運転と考えることができるのである。
6−5 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)と吸・排気弁停止式との相違
6気筒の過給ディーゼルの気筒休止エンジンにおいて、日野自動車の「全気筒連結の過給機を備えた吸・排気弁
停止式の気筒休止システム」では、3気筒を休止するエンジン運転の領域は殆ど存在しない。しかし、筆者提案の2タ ーボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))では、エンジンの1/2負荷以下におい て、3気筒の気筒群だけを稼動する気筒休止運転が可能である。
そして、大型トラックの実際の走行においては、エンジン運転の1/2負荷以下の軽負荷が多用されるため、
軽負荷において3気筒を休止するエンジン運転が可能な筆者提案の2ターボ方式の気筒休止システム(=気 筒休止エンジン(特許公開2005-54771))は、大型トラックの十分な走行燃費の向上が可能である。
日野提案と筆者提案の気筒休止システムの過給6気筒エンジンにおける稼動気筒数のマップと燃費の比較
以上のことから、将来的に大型トラックの燃費向上を図る技術としては、著者が提案している気筒休止エンジ
ン(特許公開2005-54771)が我が国で広く実用化される可能性は、ほぼ間違いないと考えられる。なお、日野 自動車提案の「全気筒連結の過給機を備えた吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の技術に比較した場合、筆者 提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラックの燃費を格段に改善できる機能・効能を持つ特許 技術である。このことについては、日野自動車が論文発表した燃費改善機能の劣る気筒休止システムのページに詳 述しているので、興味のある方はご覧いただきたい。
7.気筒休止運転時の振動を防止する方法について
ホンダはインスパイアとエリシオンのV型6気筒エンジンにi-VTECと称するシリンダーを切り換える可変シリンダーシ
ステムを採用している。これは自動車の走行状況に応じて6気筒運転、4気筒運転および3気筒運転に切り換えるこ とで燃費の向上および排出ガスレベルの低減を行っている。なお気筒休止時に発生する特有のエンジン振動につい ては、アクティブコントロールエンジンマウント(ACM)によって低減しているとのこと。その、機能と構造は以下の通り である。(出典 http://www.honda.co.jp/factbook/auto/INSPIRE/200712/11.html参照)
以上のように、エンジンの前後を支持するアクティブコントロールエンジンマウントは、液封マウントの下部に内蔵し
たアクチュエーターを、エンジン振動に対し同位相・同周期で伸縮させることで振動を吸収し、V型6気筒エンジンの気 筒休止運転時に発生する振動を気筒休止運転状態であることを感じさせない高い防振性能を実現しているのであ る。ホンダの電子制御のアクティブコントロールエンジンマウントは、簡単に言えば、自分で伸び縮みするエンジンマ ウントなのだ。
気筒休止によってアンバランスになって増大する振動をエンジンマウントが先読み(同位相)で伸び縮みすることによ
って吸収してしまうのである。ホンダの気筒休止エンジン搭載のインスパイア・エリシオン・アコードには東海ゴム工業 製の電気式アクティブ制御エンジンマウント(図8参照)が採用されているとのことである。 このように、ホンダではエ ンジンの前後支持にエンジン振動に対し同位相・同周期で伸縮させる液封のアクティブコントロールエンジンマウント を採用することによって気筒休止運転時の振動が車体に伝播することを防止し、乗用車や小型トラック(北米向け)と しての商品性を確保できているのである。 ![]()
元来、V型6気筒エンジンは直列6気筒エンジンよりも回転バランスの劣るエンジンである。しかし、ホンダは東海ゴ
ム工業の電子制御のアクティブコントロールエンジンマウントの技術によって振動面で問題の多いV型6気筒エンジン の気筒休止運転の振動を押さえ込むことに成功しているのである。この東海ゴム工業の技術を大型トラックディーゼ ルエンジンに応用すれば、大型トラックに2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用し た場合に危惧される気筒休止運転時の振動については、これを完全に押さえ込むことが容易にできると考えられる。 したがって、大型トラックの直列6気筒エンジンを気筒休止化することについては、振動に関する障害は何も無いと考 えて良いのではないだろうか。
このような技術を応用すれば、過給ディーゼルエンジンの気筒休止運転時に生じると予想されるすエンジン振動を
防止することが容易なことは明らかだ。特に、大型トラックのキャブでは『ラバー(ゴム)スプリング』『コイルスプリング』 『エアスプリング』等を用いたキャブサスペンションで支持されている。そのため、大型トラックの場合には、気筒休止 のエンジン振動が運転手に伝播し難い構造となっており、気筒休止運転における振動問題については、乗用車より も容易に解決できると推測される。
8.2ターボ過給機方式の気筒休止エンジンにおけるコストアップの検討
ところで、MPI(マルチポイントインジェクション)のガソリンエンジンを気筒休止する場合には、可変バルブ機構によ
ってロッカーアームを休止させるか、または直押し式の油圧切り替えバルブリフターを利用し、吸気バルブを全閉密 着するようにし、少なくとも吸気を停止させて燃料供給を停止させることが必要となる。そのため、ホンダの気筒休止 ガソリンエンジンでは、可変バルブタイミング機構が採用して休止する気筒の吸気バルブと排気バルブを全閉密着す るようにしており、従来の気筒休止しないエンジンに比べてコスト高であると考えられる。
大型トラック用ターボ過給ディーゼルエンジンに可変バルブタイミング機構を搭載して気筒休止エンジン化すること
は、一応、可能である。それは、従来の大型トラック用ターボ過給ディーゼルエンジンにホンダのガソリンエンジンと 同様の吸排気系のメカニズムを採用して気筒休止エンジン化すれば良いのである。この大型トラック用の可変バル ブタイミング方式の気筒休止エンジンでは、稼動気筒の排気ガスエネルギーを有効に利用してターボ過給機を作動さ せるため、大型ターボ過給ディーゼルエンジンに可変バルブタイミングシステムを採用して休止する気筒の吸気弁を 全閉密着させることが必須となる。
そのため大型トラック用ターボ過給ディーゼルエンジン用の可変バルブタイミングシステムとして、船舶用の大型デ
ィーゼルエンジンで実用化されている吸気弁及び排気弁を油圧または電磁力で作動させるカムレスシステムやガソリ ンエンジンで実用化されている可変バルブタイミング機構を新たに開発することが必要となる。仮に大型ターボ過給 ディーゼルエンジン用の可変バルブタイミング機構を開発して大型ターボ過給ディーゼルエンジンの気筒休止運転が 実現できたとしても、高価な可変バルブタイミング機構を採用しているために大型トラック用の気筒休止エンジンは大 幅なコスト増加を招き、商品として市場に受け入れられるかどうかは大いに疑問である。これに対し、筆者が提案す る2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術では、可変バルブタイミング機構が不要な 低コストの大型トラック用の気筒休止エンジンが実用化できるのである。
さて、現行の大型トラックに用いられている6気筒のターボ過給ディーゼルエンジンには1台の過給機が装着されて
おり、このエンジンを単純に気筒休止するようにしたエンジンが、シングルターボ方式の気筒休止エンジンである。こ のシングルターボ方式の気筒休止エンジンでは、サイクル効率を考慮すれば、当然、可変バルブタイミング方式を採 用する必要がある。しかし、この可変バルブタイミングを採用したシングルターボ方式の気筒休止エンジンの場合に は、1台のエンジンに1台の大型ターボ過給機が搭載した構造であるため、この気筒休止エンジンの部分負荷時に おいては常に大型のターボ過給機を作動させることになるためにターボ過給機の作動時の効率が低くなり、本来の 気筒休止エンジの特徴である部分負荷時の燃費が十分に改善できない欠点がある。これに対し、筆者が提案する2 ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では気筒群毎に小型のターボ過給機を搭載している ことから、エンジンの部分負荷運転時には小型のターボ過給機が高い効率で運転できる構造となっているためにポ ンピング損失の削減(正のポンピング仕事の獲得)ができ、大幅な燃費改善が得られることも大きな特徴である。
したがって、筆者が提案する2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)技術は、ホンダのガ
ソリン乗用車に採用されているような可変バルブタイミング方式の気筒休止エンジン技術に比べてターボ過給ディー ゼルエンジンでの部分負荷時の燃費改善の機能が格段に優れているため、大型トラック用のターボ過給ディーゼル エンジンにおける気筒休止のエンジン技術には、重量車モード燃費値や実走行燃費値の大幅な改善に有効な2ター ボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用すべきであると考えている。
9.ディーゼルエンジンの燃焼改善による燃費削減が困難な現状について
前述の通り、これまで世の中に広く普及している石油由来の軽油を燃料とするディーゼルエンジンでは燃費削減
の割合はCO2削減の割合と等しくなるため、このディーゼルエンジンの「燃費改善」は「CO2削減」と同じ意味(同義 語に近い意味)を持つことになる。このディーゼルエンジンについては、前述のように、自動車技術会発行の「自動車 技術」誌Vol.64、No1、2010(2010年1月1日発行)の飯田訓正 慶応大教授 他3名著「ディーゼルエンジンこの10年」 にはディーゼルエンジンのCO2削減が「大きな挑戦課題」と断定し、この「課題達成」には「従来のディーゼルエンジン の要素システムに加え、燃料、燃焼、触媒の研究、システム制御の統合化技術が求められている」と記載されてお り、ディーゼルエンジンの性能・排出ガスにかかわるほとんど全ての要素・項目の改良とそれらの連携した最適制御 が必要とする旨が記載されているのだ。これを逆の言い方で端的に著わすと、現時点ではディーゼルエンジンの燃 費削減(=CO2削減)は、「技術的に八方塞がりの状況」にあるとの意味に理解できるのである。そして驚くこと に、この飯田訓正 慶応大教授 他3名著「ディーゼルエンジンこの10年」にはCO2削減(=燃費削減)の必要性を 訴えているが、CO2削減(=燃費削減)の具体的な技術的戦略の示唆が何も記載されていないのである。
そもそも、京都議定書が1997年12月11日に議決されてCO2削減の必要性が広く認識され始めて10年レベル
の長い年月が経過しているのである。それにもかかわらず、2010年1月1日発行の「自動車技術」誌の飯田訓正 慶応大教授 他3名著「ディーゼルエンジンこの10年」では、未だに燃費改善(=CO2削減)が「技術的に八方塞が りの状況」にある旨がの記事(論文)が記載されているのだ。そして、この自動車技術会誌が約4万4千人の会員に 配布されているのだ。そのため、自動車用ディーゼルエンジン関係の学者・専門家の共通認識は、「ディーゼルエン ジンの燃費を十分に削減できる技術は未だに見い出されていない」との見方で一致している考えて間違いないので はないだろうか。
このことは、大型トラックのCO2削減(=燃費削減)の技術開発が、この10年間、何の成果も得られなかったことの
証拠と考えられる。日本のトラックメーカ4社(日野、いすゞ、UD、三菱ふそう)や多数の大学・研究所では現在も数多 くの技術者・専門家・学者がディーゼルエンジンの燃費削減の技術開発に日夜、必死の努力をされていることと思う が、5%前後の燃費改善が可能な12段機械式自動トランスミッションに匹敵するような燃費削減を実現できるディー ゼルエンジンの燃費改善技術が未だに開発できていないようだ。今後の原油価格の上昇が避けられない社会情勢 の中で更なるCO2削減(=燃費削減)の社会ニーズの高まりを考えると、注目に値するようなディーゼルエンジンの 燃費改善技術が何れのトラックメーカ・大学・研究所からも発表されていないことは、憂うべきことではないだろうか。
以上のような状況に鑑み、ディーゼルエンジンの燃費改善技術として筆者が提案している技術が、各気筒の負荷を
最適にマネジメントして運転する2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)である。今後、大型 のトラック・トラクタはポスト新長期(2009年規制)とそれに続くNOx規制強化がに適合させる必要があるが、そのよう な場合においてもこの気筒休止ディーゼルエンジン技術を採用することによって、7段マニュアルトランミッショ ンを搭載した車両を含めた全車種のトラック・バスにおいて、重量車モード燃費を2015年度(平成27年度)達 成目標の重量車燃費基準に容易に適合させることができるのである。勿論、12段機械式自動トランスミッション のトラック・トラクタでは更なる燃費改善が実現できるのだ。
現在、何れのトラックメーカでも燃焼改善による燃費向上が技術的に八方塞がりであることを考えれば、各トラック
メーカは共に2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジンを開発を躊躇なく開始するのが当然の成り行きと考 えられる。しかし、現状ではトラックメーカではこのような常識が通用しないようだ。各トラックメーカの大型トラック用デ ィーゼルエンジンの燃費改善技術を担当する技術者は、これまでディーゼルエンジンの燃焼改善の専門家が主体で ある。彼らは燃焼改善によって燃費向上や排出ガス低減する業務に長らく従事していたこともあり、、燃焼改善の魔 力に取り憑かれて「燃焼改善は万能」とする過去の呪縛にとらわれており、燃焼改善以外に興味が無いのである。そ のため、筆者が提案する「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジンによる燃費改善の技術」を各トラックメ ーカの専門家が揃って黙殺しているのではないだろうか。
ところで、少し別の話題に逸れることになるが、インターネットのブログ「株式日記と経済展望」(出典:http://blog.
goo.ne.jp/2005tora/)では、下記の図10に示したように近年のデジタル電子機器商品の世界における企業の興亡に ついて、判り易く解説している。
以上のように、RCAやモトローラやコダックのアメリカの電子機器企業は液晶技術やデジタルカメラや携帯電話を
世界で最初に開発しているのである。このようにアメリカの電子機器企業は折角、新技術を駆使した先進商品を開発 しているにもかかわらず、これらの商品が大量に普及する時代の現在では、日本などのアメリカ国外の企業が主体 となっているのである。この経緯の詳細は明確ではないが、RCAやモトローラやコダックのアメリカの電子機器企業 では旧来商品の担当者の自己保身による先進技術商品の開発を妨害する工作等によって商品開発や生産設備に 十分な投資ができなかったために、これらの新開発商品が消費者のニーズに応えることができなかったためではな いだろうか。アメリカ企業と云えども各企業での旧来の商品の担当者による自己保身のために、その企業の先進技 術満載の画期的な新商品の開発推進を妨害する輩が居るようだ。このように、商品を製造する企業が将来的に重要 な技術の開発に少しでも遅れを取った場合には、世界規模の企業であっても簡単に廃れてしまうのである。これらア メリカの電子機器企業の興亡を見ると、日本の企業も明日はわが身と考えるべきではないだろうか。
さて、ここで大型トラックの燃費向上の話に戻るが、「自動車技術」誌Vol.64、No.1、2010に掲載の論文「ディーゼル
エンジンこの10年」(著者:飯田訓正 慶大教授と他3名)に記述されているように、現在のところ大型ディーゼルトラッ クにおける燃焼改善は、「技術的に八方塞がり」のようである。この状況を打開する方策として、筆者は大型ディーゼ ルトラックの燃費削減が容易に実現できる新技術として「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジン(特許公 開2005-54771)」の技術を提案しているのである。この気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)の開発 に着手しない大型トラックメーカは、前述のRCAやモトローラやコダックのアメリカの電子機器企業のように、今後、 衰退の道をたどる恐れがあるのではないだろうか。したがって、これからも順調に自社の業績を伸ばしたい大型トラ ックメーカは、早急に「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジン」の開発に着手し、速やかに大型ディーゼ ルトラックの燃費削減を実現し、2015年度重量車燃費基準に適合した「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエ ンジン」の13リットルの標準エンジン搭載の7段マニュアルトランミッションの大型トラック・トラクタを早期に市場に投 入することである。これによって、初めて大型トラックメーカはユーザのニーズに的確に応えることができるのである。 何度も言うが、トラックメーカの中で自社の衰退を回避したいのであれば、前述のアメリカの電子機器業界における 顕著な企業衰退の失敗を反面教師とすべきだ。
大型トラックの「燃費削減」や「CO2削減」が求められている時代に、大型トラックの燃費削減に絶大の効力を発
揮する気筒休止エンジンの技術の重要性を理解できない大型トラックメーカは、前述のアメリカの電子機器メ ーカにおける企業衰退の轍を踏む可能性が極めて高いと考えられる。
また、大型ディーゼルトラックに2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用する
際のコストアップは、気筒休止エンジン化にはVGターボ過給機、DPF装置、EGR装置の各部品がそれぞれ2台づつ 必要となるため、これらの部品数の増加がコスト上昇の原因である。しかし、この部品数が2倍となるが各部品の能 力・容量が1/2となるために1台当たりのコストが半減できる。そのため、気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術を採用する際のコスト増加は高々、20%程度と推測される。ディーゼルエンジンの一部の部品のコス トアップが20%程度となるだけで大型トラックの重量車モード燃費が5〜10%も向上できる技術は、気筒休止エンジ ン(特許公開2005-54771)の技術だけである。
このように多少のコストアップがあったとしても、気筒止エンジンを搭載した大型トラックを実用化した場合には、従
来の全気筒を均等出力で稼動するエンジンに比較して、エンジン本体で5〜10%程度の燃費改善が得られ、その 上、ポスト噴射若しくは排気管内噴射によるフィルタ再生の頻度を激減させてポスト噴射による燃料浪費の防止によ る燃費改善も付加できるメリットも得られることになる。このことから、2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許 公開2005-54771)採用の気筒休止エンジンを搭載した大型トラックを早急に実用化することは、現時点で遅々として 進まない大型トラックの分野での5〜10%程度の燃費削減およびCO2削減が実現できるのである。これによって、ト ラックメーカにとっては重要な省エネルギーとCO2削減の社会的責務を果たし、トラックユーザにとっては運行経費の 削減メリットを享受できるようになる。したがって、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用した大型ト ラックの実用は、大型トラックのメーカとユーザの両方にとって極めて喜ばしいことだ。
10.トラック・バスに対する 2015年度重量車燃費基準による燃費規制
2006年4月1日から施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(通称:改正省エネ法)の改正により、以
下に示す表6の重量車(車両総重量2.5t超)の自動車に対する2015年度(平成27年度)重量車燃費基準が規定され た。 ![]()
この重量車燃費基準は、2015年度(平成27年度)を基準達成の目標年度としているため、トラックメーカは2015年
度までに車両総重量ごとに定められた重量車燃費値の基準値に適合させる必要がある。また、2006年4月以降に販 売する新型車について、商品カタログへ燃費値を表示しなければならないことになった。このため、トラックメーカでは 急遽、トラックの走行燃費を改善する必要に迫られることになったのである。
この重量車燃費規制では、トラックメーカーが2015年度に出荷するトラックで規制の数値を達成する必要がある。そ
して、達成できなければ経産省などが是正の勧告をするそうだ。それでも改善されないとメーカー名や車種名を公表 し、罰金も科すとのことである。そして、2015年度重量車燃費基準に不適合の種車は、生産の打ち切りが迫られるの である。
一方、米国でもオバマ米大統領は2010年5月21日に中型と大型のトラックを対象とした初の燃費基準制定を命
じる書簡を運輸省、エネルギー省などに送ったのである。それによると米国では2011年7月末までに中型と大型の トラックを対象とした初の燃費基準制定し、14年モデルから適用対象とするとのことである。このように米国でもトラッ クの燃費基準の制定がスタートし、トラックの燃費改善の取り組みがスタートしたのである。このことを考えると、トラッ クの燃費削減は世界のすう勢と見て良いのではないだろうか。
一般にトラックの走行燃費を改善するためには、常識的にはエンジンの燃費削減も有効な手段である。しかしなが
らエンジンの燃費改善は、これまで長年に渡って研究されて来た事もあり、今後、短期間に十分な成果を上げること が難しいことである。これに対しトランスミッションの多段化はコスト上昇の犠牲はあるが、確実にトラックの走行燃費 を改善できることから、トラックメーカは揃ってトランスミッションの多段化に乗り出したと考えられる。米国のような大 陸横断時のようにトランスミッションの頻繁なギアチェンジが不要な場合には多段トランスミッションであってもトラック 運転手の負担は多くないが、日本のような狭い国では多段トランスミッションの採用は頻繁なギアチェンジが必要とな るためにトラック運転手化に過度の負担を強いることになる。そこでトラックメーカは日本でも使用可能な多段トランス ミッションとしてするため、12段の機械式自動トランスミッションの開発を行った。
図9は大型トラックにおける12段機械式自動トランスミッションの「市街地・平坦路・半積載時のシフトパターン」と
「山間路・積載時のシフトパターン」を示したものである。このように12段機械式自動トランスミッションによって、走行 中の無駄なエンジン回転数の上昇を抑えて燃費改善に抜群の効果を発揮するのである。なお、この12段の機械式 自動トランスミッションの欠点は高価であることだ。 ![]()
全トラックメーカの13リットルの標準エンジンを搭載した新長期排出ガス規制(2005年規制)の7段マニュアルトラン
スミッション付の大型トラックは、大部分の車種が2015年度(平成27年度)重量車燃費基準に不適合である。各トラッ クメーカは、新しく開発した燃費の良い12段機械式自動トランスミッションを採用することによって、新長期排出ガス規 制(2005年規制)の大型トラック・トラクタの走行燃費が削減できるようにして、2015年度(平成27年度)重量車燃費基 準への適合を図っている。表7には日野自動車の大型トラック・トラクタの重量車モード燃費値を示した。20tを超える 大型トラック「プロフィア」では7段マニュアルトランスミッションの重量車モード燃費値が3.80〜3.95km/Lであるのに対 し、12段機械式自動トランスミッションの重量車モード燃費値は4.05 km/Lである。日野の大型トラック「プロフィア」で は7段マニュアルトランスミッションを採用した場合に比べて12段機械式自動トランスミッションを採用した場合には重 量車モード燃費値は2.5〜6.5%の燃費改善が可能なようだ。
この表7に示されているように、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に最初に適合した13リットルの標準エン
ジン搭載の日野の20tを超える大型トラック「プロフィア」は12段機械式自動トランスミッションの採用によって重量車 燃費基準より僅かに超えることによって量車モード燃費値を達成し、辛うじて2015年度重量車燃費基準に適合してい るのである。したがって、12段機械式自動トランスミッションよりも燃費の劣る7段マニュアルトランスミッションを採用 している20tを超える大型トラック「プロフィア」の多くの車種は2015年度重量車燃費基準に不適合となっている。これ と同様に、20t以下の大型トラクタ「プロフィア」 の場合も2015年度重量車燃費基準が達成できているは、12段機械式 自動トランスミッションを採用した車種が主体である。そして、7段マニュアルトランスミッションで2015年度重量車燃費 基準に適合している20tを超える大型トラック「プロフィア」は10リットル以下の小型軽量エンジンを搭載した車両に限 られているのである。このように2015年度重量車燃費基準に適合している20tを超える大型トラック「プロフィア」は12 段機械式自動トランスミッション又は10リットル以下の小型軽量エンジンの搭載による燃費改善に依存しているので ある。したがって、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に最初に適合した大型トラックでは、安価で動力性能に 優れた13リットルの標準エンジン搭載の7段マニュアルトランスミッションの20tを超える大型トラック「プロフィア」は 2015年度重量車燃費基準に適合できていなかった。しかし、その後の改良により、最近の7段マニュアルトランスミッ ションの20tを超える大型トラック「プロフィア」では、7段マニュアルトランスミッションの車両でも、2015年度重量車燃 費基準に適合した車種が販売されるようになったようだ。
ところで、12段機械式自動トランスミッションの燃費削減に関する調査研究が国土交通省系の独立行政法人、交通
安全環境研究所で実施されたようだ。この調査では、エンジン排気量9.8L〜13Lまでの7速マニュアルトランスミッショ 車3台、排気量13Lの12段機械式自動トランスミッション車2台の計5台を対象にした研究が実施されたそうだ。それぞ れの車両は、エンジン特性や車両重量などが異なっており、各車両のエンジン効率をD13モードにより測定するととも に、JE05モード、時速80キロ定速走行、その組み合わせによる燃費を測定、エンジン効率に対し燃費を悪化させる 要因を分析されたとのことである。そして、これをもとにシミュレーションにより、エンジンとミッションの組み合わせの 最適化を試みが行われたのである。その結果、市販されている大型トラックのエンジンとミッションとの組み合わせを 最適化するなどで平均2.21%の燃費向上を図ることが可能になるとの結果が交通安全環境研究所のフォーラムで報 告されたとのことだ。(出典:SPN インフォメーションhttp://www.spn-partner.com/info/2009/112001.htm)
以上のように、12段機械式自動トランスミッションによる燃費改善の割合は、低い数値としては交通安全環境研究
所の調査結果の平均2.21%が報告されており、高い数値としては前述の日野の大型トラック「プロフィア」の重量車モ ード燃費値から算出した平均4%程度の数値がある。これにはデフ比等を含めた車種の相違があることを考慮する と、大型のトラック・トラクタでは、12段機械式自動トランスミッションの採用は7段マニュアルトランスミッション に比べて平均5%前後の燃費削減ができる考えるのが適切ではないだろうか。
ところで、いすゞは7段マニュアルトランスミッションに比べて12段機械式自動トランスミッションでは平均11%の燃費
改善が可能と公式に発表している。(出典:いすゞプレスリリースhttp://www.isuzu.co.jp/press/2003/6_2gig_1.html) この12段機械式自動トランスミッションでは平均11%の燃費が削減できると明記したいすゞの発表では、「社内試験 値」と注記されていることから、12段機械式自動トランスミッションの宣伝のために単にいすゞ社内の特殊な試験デー タを発表している可能性も多分にあると考えられる。そのため、12段機械式自動トランスミッションでは平均11%の燃 費改善とするいすゞの発表は、12段機械式自動トランスミッションによる燃費削減の程度を過大に評価しているように 思われる。したがって、7段マニュアルトランスミッションに比べた場合の12段機械式自動トランスミッションの実質的 な燃費削減は、前述のように5%程度と考えるのが妥当ではなかと思っている。なお、最近(=2014年6月現在)で は、日野自動車は16段機械式自動トランスミッション(=http://www.hino.co.jp/profia/economy/index.html)の大型ト ラクタを市販しているとのことである。
11.ポスト新長期規制に適合の大型トラックにおける 2015年度重量車燃費基準への適合
11−1 日野自動車のポスト新長期排出ガス適合の大型トラックにおける燃費性能
日野自動車は、2009年排出ガス規制(ポスト新長期)に適合させた「E13C」エンジン搭載の大型トラック「日野プ
ロフィア」を改良し、2010年7月1日より発売(2010年04月20日プレスリリース、出典:http://www.hino.co.jp/j/ corporate/newsrelease/pressrelease/detail.php?id=279)した。この日野自動車のプレスリリースには「燃費性能の向 上により平成27年度燃費基準達成車の設定を大幅に拡大しました」と記載されている。そして、日野のホームページ の「エアループ」と称したページ(出典:http://www.hino.co.jp/j/airloop/index.html)では、図11に示したように「日野は 空気に本気」と題し、新しいポスト新長期排出ガス適合のトラックは従来の新長期適合のトラックに比べて5%の燃費 改善が実現されていると記載されている。 ![]()
そして、日野自動車は「E13C」エンジン搭載の大型トラック「日野プロフィア」を2010年7月1日に発売したのに続
き、排気量8.9Lの「A09C」型エンジンを搭載した大型トラック「日野プロフィア」を2010年9月1日に発売した。しか し、これらの日野自動車の大型トラック・トラクタは2005年排出ガス規制(新長期)の時と同様に、ポスト新長期規制 適合の「E13C」および「A09C」のエンジンを搭載した7段マニュアルトランスミッションのGVW25トンの大部分の車種 では2015年度重量車燃費基準に不適合であった。その例として大型トラック「日野プロフィア」のFS(6×4)カーゴの 全車種における2015年度重量車燃費基準への適合状況を以下の表9に示す。 ![]()
前述のように、12段機械式自動トランスミッションを採用した「日野プロフィア」の大型カーゴトラックの場合には7段
マニュアルトランスミッションを採用した場合に比べて重量車モード燃費値は5%前後(2.5〜6.5%)の燃費改善が可 能である。しかし、2010年7月1日に発売された「E13C」エンジンと2010年9月1日に発売された「A09C」エンジン の新しいポスト新長期排出ガス適合の大型カーゴトラックでは、本当に従来の新長期適合の大型トラック用エンジン に比べて本当に5%の燃費が改善できたのであろうか。仮に、ポスト新長期排出ガス適合の大型カーゴトラックが実 際に5%の燃費が改善できていたのであれば、2010年7月1日に発売された「E13C」エンジンと2010年9月1日 に発売された「A09C」エンジンが搭載された新しいポスト新長期排出ガス適合の日野自動車が発売した大型トラッ ク・トラクタの全ての車種が余裕を持って2015年度重量車燃費基準には適合できている筈である。
しかし、表9に示したように、日野の新発売の 2009年排出ガス規制(ポスト新長期)適合の2010年7月1日に発
売された「E13C」エンジン搭載の「日野プロフィア」の大型カーゴトラック(GVW25トン)は、以前の新長期規制(200 5年規制)の時代と同様に、7段マニュアルトランスミッションのGVW25トンの大型トラックが2015年度重量車燃費基 準に適合できていなかったのである。
このように、日野自動車では、ポスト新長期排出ガス規制適合の13リットルの標準エンジン「E13C」を搭載した大
型トラックを発売した2010年年7月1日には、7段マニュアルトランスミッションのGVW25トンの主力車種である大型 カーゴトラック等が2015年度重量車燃費基準に未適合であった。そのため、日野自動車は、「E13C」を搭載した大 型トラック・トラクタの53%の車種が2015年度重量車燃費基準に不適合であった。この状況を改善するため、日野 自動車では、E13C型エンジン(排気量12.9L)搭載の7段マニュアルトランスミッショを装着した大型トラック「日野プロ フィア」を改良し、この車種の重量車モード燃費値を向上した。その方法は、エンジンの最大トルクを2.5%程度を増加 させると共にエンジン低回転時のトルクを増加し、駆動系のギア比を最適化して重量車モード燃費測定時のエンジン の低回転化を図って重量車モード燃費の改善を図ったものと推定される。これによって、E13C型エンジン(排気量 12.9L)搭載の7段マニュアルトランスミッショを装着した大型トラック「日野プロフィア」の多くの車種を2015年度燃費 基準に適合させることに成功した。その結果、2011年2月1日に発売されたE13C型エンジン(排気量12.9L)を搭載 した大型トラック「日野プロフィア」の2015年度重量車燃費基準に不適合の車種は、17%まで少なくすることができ たのである。
一方、日野自動車は、2009年排出ガス規制(ポスト新長期)に適合した排気量8.9Lの「A09C」型エンジンを搭載し
た大型トラック「日野プロフィア」では、7段マニュアルトランスミッションを中心に48%の車種が2015年度燃費基準 に不適合の状態である。しかし、「A09C」型エンジンを搭載した大型トラック「日野プロフィア」の重量車モード燃費値 を向上し、この車種を2015年度燃費基準に適合させることは極めて難しいのではないかと考えられる。その理由 は、「A09C」型エンジンの低速トルクを現状以上に増大することが容易では無く、そのため、この「A09C」型エンジン を搭載した大型トラックの駆動系のギア比を最適化して重量車モード燃費測定時のエンジンの低回転化を図って重 量車モード燃費の改善を図ることが極めて困難なように考えられるからだ。当然、これからも「A09C」型エンジンを搭 載した大型トラック「日野プロフィア」の多くの車種を2015年度燃費基準に適合させるように、日野自動車では努力 が行われるとは思うが、彼らの求める結果が出せるかどうかは大いに疑問だ。
また、日野自動車は、現時点では「E13C」エンジン(排気量12.9L)搭載車型の6段マニュアルトランスミッショを装
着した大型トラック「日野プロフィア」を2015年度燃費基準にさせることができていないようだ。そのため、日野自動 車は、E13C型エンジン(排気量12.9L)搭載車型の6段マニュアルトランスミッショを装着した大型トラック「日野プロフ ィア」の車種等は、2011年2月1日に2015年度燃費基準に不適合の仕様で発売しているのである。このように、「E 13C」または「A09C」の何れかのエンジンを搭載したポスト新長期排出ガス適合の大型トラック・トラクタ「日野プロフ ィア」の多くの車種は、未だに2015年度燃費基準に不適合の状態であることも事実のようだ。詳細はhttp://www. mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpikouhyou/track.htmを参照していただきたい。
一方、三菱ふそうは、13リットルの標準エンジンを搭載した7段マニュアルトランスミッションの大型ダンプトラックは
未だに2015年度重量車燃費基準には不適合である。したがって、日野自動車や三菱ふそうにおいても、大型トラッ ク用ディーゼルエンジンの13リットルの標準エンジンの重量車モード燃費値を5パーセント程度の改善を図る研究開 発が喫緊の最重要課題であることには変わりは無いものと推測される。
11−2 UDトラックスのポスト新長期排出ガス適合の大型トラックにおける燃費性能
UDトラックスは、ポスト新長期排出ガス適合のために、ボルボグループと共同で大型トラック用にGH11エンジン(総
排気量11リットル)エンジンを開発したとのことである。このGH11エンジンは、その排気量が11リットルとし、従来型に 比べ2リットルの小排気量化が行われているのである。このGH11エンジンはエンジンダウンサイジングによって大型 トラックの燃費を改善を図られれている。しかし、ポスト新長期排出ガス規制適合の大型トラック279車型の中で、2 015年度重量車燃費基準達成車は123車型に過ぎないようだ。つまり、UDトラックスのポスト新長期排出ガス規制 に適合した大型トラックでは、搭載エンジンを従来の13リットルからGH11エンジン(11リットル)に2リットルのエンジ ンダウンサイジング(小排気量化)が行われているにもかかわらず、56%の大型トラックが2015年度重量車燃費基 準に不適合となってしまっているのである。このことは、市場での大型トラックの販売競争において、UDトラックスが 少し不利な立場に立たされている可能性も否定できないように考えられる。
一方、日野自動車や三菱ふそうは、13リットルの標準エンジンを搭載した7段マニュアルトランスミッションのGVW2
5トンの主力車種である大型カーゴトラックでも2015年度重量車燃費基準に既に適合できているのである。したがっ て、UDトラックスは、主力車種である11リットルの標準エンジンを搭載した大型カーゴトラックの燃費向上の競争に おいて、日野自動車や三菱ふそうに大きく後れを取ってしまっているように見える。この燃費性能の劣勢を挽回する ために、UDトラックスは日野自動車や三菱ふそうと同様に、喫緊の最重要の課題として大型トラック用ディーゼルエ ンジンの重量車モード燃費値を5パーセント程度の削減を図る研究開発に総力を挙げて取り組む必要が生じている ものと考えられる。
因みに、UDトラックスは、走行性能の悪化やエンジン耐久性の低下のリスクを負って大型トラックのエンジンを従来
に13リットルから11リットルに2リットル程度の総排気量を減らしてエンジンダウンサイジングしたにもかかわらず、 大型トラックの56%が2015年度重量車燃費基準に不適合となってしまっているのである。そのため、現在のUDト ラックでは、エンジン燃費を改善する技術開発が最も重要な課題となっているのではないかと考えられる。
11−3 三菱ふそうのポスト新長期適合の大型トラックにおける燃費性能
三菱ふそうは、新しい増圧コモンレールシステムの燃料噴射装置「X-Pulse」を開発し、これをポスト新長期排出ガ
ス規制(2009年規制)に適合した大型トラック「スーパーグレート」のエンジンに採用したとのこと。三菱ふそうは「X- Pulse」について、『「X-Pulse」(増圧コモンレールシステム)が、燃料噴射の高圧化と、燃料噴射率の可変コントロール を実現。刻々と変化するエンジン運転条件の中でも、常に最適な燃焼をかなえ、排出ガスの低減と燃費向上に貢献 します。』(出典:http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/lineup/truck/super_great/10/point/fuel_01.html)とし説明してお り、燃費改善に有効な優れた性能の燃料噴射装置とのことだ。
三菱ふそうは「X-Pulse」(増圧コモンレールシステム)の採用によって僅かに燃費改善に成功し、これまでの新長期
排出ガス規制(2005年規制)適合時には2015年度重量車燃費基準に未達成であった7段マニュアルトランスミッシ ョン車をポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)では2015年度重量車燃費基準に辛うじて達成させているようだ。 しかし、ポスト新長期排出ガス規制に適合した三菱ふそうの大型トラック・トラクタ「スーパーグレート」の12段機械式 自動トランスミッションを採用した車種の重量車モード燃費値は、2015年度重量車燃費基準を僅かに超えたギリギ リの燃費値で適合できている状態に過ぎないようである。
日野・三菱が大型トラックに13リットル級のエンジンを採用しているのに対し、いすゞ自動車は同じ大型トラックに10
リットルクラス(9.839リットル)の小排気量のエンジンを採用している。所謂、大型トラックにおいてエンジンダウンサイ ジングを行っているのである。このエンジンをダウンサイジングした10リットルクラス(9.839リットル)の小排気量エンジ ンを搭載しのた大型トラックは、若干の走行性能が劣るが、13リットル級のエンジンを搭載した大型トラックに比べて 重量車モード燃費を大幅に改善できるメリットがある。その結果、いすゞ自動車は、ポスト新長期排出ガス規制(200 9年規制)に適合した大型トラック「ギガ」の99%の車種が2015年度重量車燃費基準に適合させているようだ。
このように、ポスト新長期排出ガス規制に適合した日野・三菱・UDが大型トラックの一部車種が2015年度重量車
燃費基準に未適合である現状と異なり、いすゞ自動車の大型トラックの殆どの車種では2015年度重量車燃費基準 に適合できているのである。しかし、この燃費性能が優れたいすゞ自動車の大型トラックに対し、いすゞ自動車の大型 トラックのユーザは、必ずしも満足していないようだ。エンジンダウンサイジングによって燃費改善を図っているいすゞ 自動車の大型トラックに対し、インターネットの掲示板では、運転手と思われる人から、小排気量のダウンサイジング のエンジンを搭載したいすゞの大型トラック対し、表10に示したような不満の書き込みあった。
このように、ポスト新長期排出ガス規制に適合したいすゞ自動車の大型トラックについて、燃費改善が実現されてい
ることは喜ばしいが、エンジンの小排気量化によるダウンサイジングによって大型トラックの走行性能が低下してしま うことについて、運転手は不満を持ち始めているようだ。また、大型トラックのエンジンをダウンサイジングした場合 は、排気ブレーキの性能が低下し、大型トラックの降坂走行時に危険を伴うことになる。このエンジンダウンサイジン グによって低下した排気ブレーキ力の不足を補完するため、新たに電気式や油圧式のリターダを新たに追加または リターダの大型化が必要となる。このリターダの追加や大型化は、コストアップや車両重量の増加要因となり、大型ト ラックにとって好ましいことではない。そのため、大型トラックにおける大幅なエンジンダウンサイジングは、デメリット も存在するのである。
11−5 トラックメーカ4社の大型トラックのエンジン排気量の比較
表11にポスト新長期排出ガス規制に適合したトラックメーカ4社の大型トラックのエンジンを整理した。
ポスト新長期排出ガス規制に適合した大型トラック(含むダンプ)には、三菱では13リットル級のエンジンが採用さ
れ、日野では13リットル級と9リットル級の2機種のエンジンが搭載されている。そして、UDトラックスでは11リットル 級のエンジンが採用されており、いすゞ自動車は排気量をダウンサイジングした10リットル級のエンジンのみが用い られている。このように、日野、いすゞが大型トラックに9〜10リットル級のダウンサイジングしたエンジンを採用して いる最大の目的は、大型トラックが2015年度重量車燃費基準に適合、大型トラックメーカ間の熾烈な燃費競争に打 ち勝つことである。
しかしながら、現状では、図12に示したように、日野、いすゞが大型トラックに9〜10リットル級のダウンサイジング
したエンジンを採用している大型カーゴトラック(GVW25トン)の重量車モード燃費は、13リットル級のエンジンが採用 されている大型カーゴトラック(GVW25トン)の重量車モード燃費に比較して、僅少の改善に止まっているようである。 このことは、大型カーゴトラック(GVW25トン)においては、現在のトラックメーカの技術ではエンジンダウンサイジング による重量車モード燃費(=走行燃費)の向上が困難なことを物語っている重要な証拠と云えるのではないだろうか。
また、大型トラック(含、大型ダンプ)にダウンサイジングしたエンジン搭載した場合、2015年度重量車燃費基準に
適合し易くできるメリットを享受することができるが、その一方ではダウンサイジングしたエンジンを大型トラック(含、 大型ダンプ)に搭載した場合には、以下の表13に示したデメリットがあることも十分に認識すべきである。
以上のように、大型トラックのダウンサイジングしたエンジンを採用した場合には、重量車モード燃費の改善が僅少
であるにもかかわらず、大型トラックの排気ブレーキ力の低下や発進性能の低下を含む大型トラックの動力性能が 著しく悪化する不具合を生じてしまうことになる。その上、エンジンのダウンサイジングは、熱負荷の増大によるエンジ ン耐久性の低下を引き起こすデメリットの存在することも十分に認識すべきである。
このような状況から、ポスト新長期排出ガス規制の現在では、走行性能の低下を気に止めないで僅かな燃費向上
を重要視するトラックユーザはいすゞや日野のAC09 (9リットル)エンジン搭載の大型トラックを購入し、走行性能を 重視するトラックユーザは三菱ふそうや日野のE13C (13リットル)搭載の大型トラックを購入しているのではないだ ろうか。そして、両者の中間のユーザは、UDの大型トラックを購入し、多少の走行性能の犠牲を覚悟して僅かな燃費 改善を求めているのではないだろうか。このように、市販されている大型トラックの市場では、燃費重視や走行性能 重視等の多彩な商品構成となっているようだ。このことは、大型トラックを購入する各運送業者にとっては、各ユーザ の運行状況に適したメーカのトラックを選択することができるため、トラックユーザには好ましいことと考えられる。
11−6 大型トラック・トラクタの燃費削減は、全トラックメーカの最も重要な開発課題
我が国で大型トラック・トラクタを販売している日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそう、UDトラックスおよびボルボ
の各メーカにおいて、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合した大型トラック・トラクタの中で、2015年 度重量車燃費基準に不適合となっている車種の割合を表14に示した。
表13を見ると、いすゞ自動車の大型トラック・トラクタの殆どの車種が2015年度重量車燃費基準に適合している
が、これはエンジンの小排気量化によるダウンサイジングの結果と考えられる。大型トラック・トラクタのエンジンをダ ウンサイジングした場合には、大型トラック・トラクタの低燃費化が可能になるが、車両の走行性能が劣るようになる ため、全てのユーザに歓迎される大型トラックでは無いと考えられる。また、日野自動車、UDトラックスおよび三菱ふ そうの大型トラック・トラクタにおいては、ポス新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合した多くの車種の大型トラッ ク・トラクタが2015年度重量車燃費基準に不適合となっているのが現状である。
このことから、大型トラックメーカにおいては、大型トラック用ディーゼルエンジンの重量車モード燃費値を5パーセン
ト程度の改善を可能にする技術を早急に開発し、各社の大型トラック・トラクタの全車種を2015年度重量車燃費基 準に適合できるようにすることが喫緊の課題であることは明らかである。そして、いすゞ自動車においても、走行性能 の高い13リットル級のエンジンを搭載したマニュアルミッション搭載の大型トラック・トラクタが2015年度重量車燃費 基準に適合できる技術が開発できれば、いすゞ自動車も走行性能の高い大排気量エンジンを搭載した大型トラック・ トラクタを商品に加えることが可能となるのである。
現在のポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合した大型トラック・トラクタ(大型ダンプも含む)において、1
0リットルエンジンを搭載したいすゞや9リットルエンジンを搭載した日野の大型トラック・トラクタは、燃費性能に優れ ているが発進性等の動力性能に問題があると考えられる。そして、13リットルエンジンを搭載した日野と三菱の大型 トラック・トラクタは、2015年度重量車燃費基準に全車種を適合できるようにする技術の開発が急務であることは明 らかだ。したがって、現状では日野、いすゞ、UDおよび三菱の各トラックメーカの開発部門においては、早急に大型ト ラック・トラクタの重量車モード燃費値を5パーセント程度の改善を可能にする技術の早期実現を厳しく要求されてい ることは間違いないと考えられる。
11−7.違法行為のシステム制御で燃費向上を図っていたトラックメーカの燃費改善の困窮
いすゞ自動車は、ポスト新長期排出ガス規制(2009年&2010年規制)のNOx規制に適合させる技術として、大型トラ
ック「ギガ」には尿素SCR触媒を採用し、中型トラック「フォワード」および小型トラック「エルフ」には大量EGRと噴射時 期の遅延を採用した。大量EGRと噴射時期の遅延を採用した「フォワード」と「エルフ」は、尿素SCR触媒を採用した三 菱ふそうの中型トラック「フォイタ―」に比べ、必然的に燃費が劣ることになる。特に、燃料を多量に消費する高速道 路走行の場合には、いすゞ自動車の中型トラック「フォワード」および小型トラック「エルフ」は、燃費の良い尿素SCR 触媒を採用している三菱ふそうの中型トラック「フォイタ―」および小型トラック「キャンター」に比較して多量の燃料を 消費することになる。そのため、いすゞ自動車の「フォワード」および「エルフ」の燃費が劣ることを運転手に簡単に気 付かれてしまうことになる。その場合には、「フォワード」および「エルフ」の燃費不良の評判が広まることを防止するた め、いすゞ自動車は燃料を多量に消費する高速道路での「フォワード」および「エルフ」の連続走行での三菱ふそうの 「フォイタ―」や「キャンター」と同等の燃費を確保しておくことが必要である。これを可能にする簡単な方法は、JE05 排出ガス試験モードを分析し、JE05モードで運転されるエンジン負荷やエンジン回転速度とそれらの継続運転持続時 間等を明確にし、JE05モードで運転されないエンジン運転の条件が満たされた場合にはEGRの作動や噴射時期の遅 延を中止し、ターボ過給を高い効率の運転に切り替えてエンジンの燃費を向上するエンジン制御に切り替える制御シ ステムを「フォワード」および「エルフ」に搭載することである。
このように、エンジン運転状態がJE05モード等の排出ガス試験モードのエンジン運転条件から外れた際には、エン
ジンを排出ガス低減機能を全て停止して低燃費状態で運転できるように制御する「無効化機能」は、20年以上も遠い 昔に或るトラックメーカが大型トラックの電子タイマーでこの違法な制御を行い、当時の運輸省から違法制御として大 目玉食らったことがある。その頃から、NOx増加を無視して簡単にトラックの走行燃費を向上させる違法なエンジン制 御は、エンジン関係者の誰もが違法と認識していることだ。
しかし、最近のMSN 産経ニュース(2011年6月3日 20時56分)によると、いすゞ自動車のディーゼル4トントラック「フ
ォワード」が、平成22年の排出ガス規制(ポスト新長期規制)の適合車と認定されているにもかかわらず、シャーシダ イナもでの実走行状態ではNOx(窒素酸化物)が基準の3倍以上排出されていたことが2011年6月3日、東京都環境 科学研究所の調査で分かったようだ。これに関し、いすゞ自動車は同日、国土交通省にフォワード計886台のリコー ルを届け出たとのこと。今回のいすゞ自動の中型トラック”フォワードにおけるエンジン制御は、この古典的とも言える 違法なエンジン制御に似ているように思うか、如何なものであろうか。
これについて、東京都は「排出ガス低減性能を無効化させる機能を搭載していた」と判断したようだ。都環境局によ
ると、トラックは時速60q/hrの車速で200秒程度を走行した後には、車載コンピューターが自動的に作動し、基準を 約3倍上回る360ppmの濃度のNOxを排出するという。これを「無効化機能」と指摘したとのこと。図12は、東京都環 境科学研究所が計測したいすゞ自動車の中型トラック”フォワードの一部グレードの排出ガス試験結果である。これ によると、試験開始後の30秒時点から60km/hの定速走行を開始した時には規制値内に収まっていたモード計測の NOx値が試験開始後の230秒時点を経過すると突然、3〜4倍に増加したとのことだ。そして、NOxの増加と同時に、 CO2が220ppmから140ppmまで大幅に低減していることから、燃料消費は向上しているものと推察される。筆者の推 測では、いすゞ自動車の中型トラック”フォワードにおける規制排出ガス低減性能の「無効化機能」のエンジン制御プ ログラムは、JE05モードで運転されないエンジン運転状態となったことが検知された時点で「大量EGRを中止」し、「燃 料噴射時期を進角」させ、更に「ターボ過給機を高い効率の運転」に切り替えることによってエンジン燃費を向上させ ると云う、違法なエンジンのシステム制御を行っていたものと考えられる。
今回のいすゞ自動の中型トラック”フォワードにおける違法なエンジン制御は、この古典的とも言える違法制御に似
ているように思うか、如何なものであろうか。しかし、MSN 産経ニュースによると、いすゞ自動車は「エンジン制御プロ グラムの影響で、低速状態での継続走行や急激な加速の際に、NOxの排出値が悪化する恐れがある」とし、「検査 逃れなど、意図的なものではない。」と説明しているようである。しかし、東京都環境科学研究所が公表した図12によ れば、フォワードが時速60q/hrの比較的、高い速度で200秒程度を走行した後に「NOxの激増」と「CO2の激減」して おり、いすゞ自動車の「低速状態での継続走行でNOxの排出値が悪化する」との東京都の「無効化機能」の図星の 指摘に対して、いすゞ自動車は完全に意味不明な弁解を発表しているのだ。このことからも、いすゞ自動車はポスト新 長期規制適合のフォワードの燃費悪化を少しでも改善するために、やむにやまれず、違法なエンジン制御を採用して いたものと推測される。また、東京都環境科学研究所が発表した違法なエンジン制御の車種は、「車両型式:SKG- FRR90S2」(4HK1-TCSエンジン搭載)である。東京都による今回に違法行為の摘発は、「車両型式:SKG-FRR90S2」 (4HK1-TCSエンジン搭載)の車種だけであるが、いすゞ自動車では他の車種においても、このような違法なエンジン 制御を搭載して燃費向上を図っている可能性は、全く無いのであろうか。部外者ながら、興味のあるところである。
図12 中型トラック”フォワードの60km/h定速走行における250秒の経過後の「NOx激増」と「CO2激減」のデータ
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東京都環境科学研究所は、筆者の記憶では20年以上も以前に、大型トラックので走行時の排出ガス計測が可能な
シャーシダイナ排出ガス試験設備を導入しているのだ。したがって、このシャーシダイナの排出ガス試験設備を用い れば、走行時の一定時間の経過後にNOx増加を無視して燃費を向上させるようにエンジン制御を変更する違法なシ ステムを搭載したトラックの排出ガス試験を実施した場合には、エンジン制御の違法性が否応無く露見してしまうので ある。このことは、いすゞ自動車も当然、昔から熟知している筈であるが、何故、簡単に違法性が露見するようなエン ジン制御のトラックを販売したのであろうか。
いすゞ自動車ではトラックの燃費向上が解決すべき喫緊の課題であるが、この課題を解決できる技術が未だに見
出せていないため、フォーワードに違法なエンジン制御を採用した根本的な原因ではないかと推測される。現時点で は、いすゞ自動車においては燃費向上に有効な技術が何も開発できていないことから、エンジン開発の担当者が苦し 紛れに違法なエンジン制御に手を出し、それが露見してしまったものと推測される。「貧すれば鈍す」とは正にこのよ うなことを指しているのではないだろうか。このように、いすゞ自動車が違法と見られる行為に走ったことは、多くの社 員にとっては恥ずかしいことだろう。何はともあれ、現時点でいすゞ自動車は、燃費向上のために東京都から違法性 を厳しく指摘される禁じ手までも使ってしまったところを見ると、トラックの燃費向上のために「なりふりを構っていられ ない」ような状況に陥っているのではないだろうか。そして、不幸にも、いすゞ自動車は、フォーワードにおける燃費向 上のための違法なエンジン制御を行っていたことが東京都に発見されてしまったのである。当然のことではあるが、 東京都は平成23年5月に、国土交通省に対して、道路運送車両法違反で通報したとのことだ。
なお、東京都環境科学研究所が発表した違法なエンジン制御を搭載した「いすゞ自動車」の中型トラック:フォーワ
ードの車両型式は、「SKG-FRR90S2」であるが、この車種には4HK1-TCSエンジンが搭載されている。しかし、この4 HK1-TCSエンジンは、驚くことに「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼルエンジンの開発」として自動車 技術会の第61回 自動車技術会賞の技術開発賞(受賞者:高橋 英樹氏、高嶋 輝之氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸 氏、泉 和彦氏)を受賞していたことだ。つまり、4HK1-TCSエンジンはスーパークリーンディーゼルエンジンとして自動 車技術会から表彰されていたのである。ところが、この4HK1-TCSエンジンは、NOxの排出値の悪化をさせることに よって走行燃費の向上を図るエンジン制御プログラムで制御していたことを東京都環境科学研究所が国土交通省に 道路運送車両法違反で通報した中型トラック:フォーワードに搭載されていたのである。
仮に、東京都環境科学研究所が2011年6月頃に4HK1-TCSエンジンを搭載したいすゞ自動の中型トラック ”フォワ
ード”「車両型式:SKG-FRR90S2」の不正なエンジン制御を発見していなければ、このフォワード「車両型式:SKG- FRR90S2」は、現在も多くのNOxを垂れ流し続けていた可能性も否定できない。このような「スーパーダーティーエンジ ン?」とも考えられる4HK1-TCSエンジンは、2011年5月開催の自動車技術会春季大会において、「次世代型中型商 用車用スーパークリーンディーゼルエンジンの開発」の成果として、第61回 自動車技術会賞の技術開発賞を受賞し ていたとは、噴飯ものである。果たして、いすゞ自動車は、この第61回 自動車技術会賞の技術開発賞を返上するの であろうか。それとも、いすゞ自動車は、将来にわたって「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼルエンジ ンの開発」として自動車技術会の第61回 自動車技術会賞の技術開発賞の受賞を企業の栄誉として誇り続けていく つもりであろうか。そして、受賞者の高橋 英樹氏、高嶋 輝之氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏は、今後の 経歴・履歴書等には「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞の受賞」と記載されるのであろうか。そして、立派な倫 理規定を定めている自動車技術会は、「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼルエンジンの開発」として 自動車技術会の第61回 自動車技術会賞の技術開発賞に対象となった「4HK1-TCSエンジン」を搭載した中型トラッ ク:フォーワード(車両型式SKG-FRR90S2)が国土交通省に道路運送車両法違反で通報されている事実を無視し続 けるのであろうか。 開発」と題して自動車技術会賞の技術開発賞を受賞したが、その一ヵ月後の2011年6月に東京都環境科学研究所が フォーワードの4HK1-TCSエンジンにおける燃費向上のための違法なエンジン制御を発見しているのである。それに もかかわらず、自動車技術会は、4HK1-TCSエンジンでの違法なエンジン制御このことには何も言及せず、2012年1 月1日に発行の「オートテクノロジー2012」の「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞 開発者インタビュー集」の Chapter 6 では、「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼルエンジンの開発」について、受賞者の高橋 英 樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏 (写真1参照)のインタビュー記事を掲載しているのである。
そのインタビュー記事の中では、4HK1-TCSエンジンを開発した高橋 英樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和
彦氏は、「NOx除去触媒無しでポスト新長期規制を達成した、画期的な中型トラック用のダウンサイジングエンジンは 完成した」と誇らしげに述べている。そして、、4HK1-TCSエンジンでは、積層式のEGRクーラの採用と2段過給の最 適な制御によって、エンジン運転領域の全域にわたってEGR率を従来に比べて5〜10%増加させることによって実 現できたことを笑顔で語っている。このように、開発者の高橋 英樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏がエン ジン性能の高さを自信満々に豪語した4HK1-TCSエンジンは、中型トラックに搭載され、ポスト新長期排出ガス規制 に適合したいすゞ自動車の中型トラックとして2010年5月17日に発売されたのである。
しかし、この4HK1-TCSエンジンを搭載した中型トラックは、一定の車速の走行が250秒程度を経過した後には、違
法なエンジン制御を行ってNOxを垂れ流して走行燃費の改善を図っていた不正な制御のトラックであることを東京都 が暴き、平成23年5月に国土交通省に道路運送車両法違反として通報したのである。このように、いすゞ自動車のポ スト新長期排出ガス規制に適合した4HK1-TCSエンジンを搭載した中型トラックは、2010年5月17日の発売から約1 年を経過した2011年6月に4HK1-TCSエンジンが走行燃費の改善を図るために不正なエンジン制御を行っていたこ とが、不幸にも世間に露見してしまうことになった。
このように、4HK1-TCSエンジンを搭載した中型トラックは、2010年5月17日の発売から約1年程度しか経過していな
い2011年6月の時点で、発売後の早い時期に4HK1-TCSエンジンが走行燃費の改善を図るために不正なエンジン制 御を行っていたことが東京都によって摘発されているのだ。そのため、いすゞ自動車は、2010年5月17日の発売当初 から、不正なエンジン制御の4HK1-TCSエンジンを搭載した中型トラックを販売していたものと推測される。それにも かかわらず、2012年1月1日に発行の「オートテクノロジー2012」の「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞 開発者イ ンタビュー集」の記事では、2011年6月に露見した4HK1-TCSエンジンの不法なエンジン制御について、いすゞ自動車 の4HK1-TCSエンジンの開発者の高橋 英樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏は、この「インタビュー」では 4HK1-TCSエンジンでの不正なエンジン制御による走行燃費の改善を図っていた事実について、何も言及していない ようだ。それどころか、このインタビュー集の記事によると、「NOx除去触媒無しでポスト新長期規制を達成した、画期 的な中型トラック用のダウンサイジングエンジンを完成した」と誇らしげに発言しているのである。厚顔無恥とはこのよ うなことを指すと思うが、如何なものであろうか。
仮に、百歩譲って4HK1-TCSエンジンが「NOx除去触媒無しでポスト新長期規制を達成した、画期的な中型トラック
用のダウンサイジングエンジン」であり、優れた燃費性能を発揮するエンジンであれば、いすゞ自動車のエンジン技術 者は排出ガス低減性能の「無効化機能」を持つ違法なエンジン制御プログラムを4HK1-TCSエンジンに採用する必 要は全くなかった筈と思うが、如何なものであろうか。このように、違法なエンジン制御プログラムを採用せざるを得 なかった4HK1-TCSエンジンが「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞」を受賞したことについては、筆者には疑問 に思えて仕方が無いのである。 勿論、いすゞ自動車は、4HK1-TCSエンジンが搭載された中型トラックでは、一定の車速の走行が250秒程度を経 過した後には、違法なエンジン制御を行ってNOxを垂れ流して走行燃費の改善を図っていた不正な行為の実行者と その不正な仕様の承認者の氏名を公表はしていない。したがって、4HK1-TCSエンジンにおける違法なエンジン制御 の採用によるNOxを垂れ流の正確な当事者は不明である。しかし、常識的に考えれば、高橋 英樹氏、大石 和貴 氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏が開発した「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼルエンジン」の4HK1- TCSエンジンを開発して発売した僅か1年後に違法なエンジン制御の不法なエンジンとして東京都に摘発されたこと は、「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞 」を受賞した高橋 英樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏の諸 氏が違法なエンジン制御を行ってNOxを垂れ流した張本人の技術者と考えて大きな間違いがないのではないかと推 察される。 ところで、2段過給と云えども、給気ポートの圧力よりも排気ポートの圧力を高圧にしないとEGR率の増加は不可能 である。一方、過給ディーゼルエンジンでは、高いターボ効率の作動によってポンピング損失の低減し、燃費向上を 図るためには、排気ポート(タービン入口)の圧力よりも給気ポート(ターボコンプレッサ出口=ブースト)の圧力が高 圧となる運転領域を増加させることである。このように、ターボ過給においては、NOx削減と燃費向上が相反する制 御が必要となる。したがって、4HK1-TCSエンジンでは、エンジン運転領域にわたってEGR量を5〜10%増加 させNOx除去触媒無しでポスト新長期規制を達成したことは、低い効率でターボ過給機を作動させる制御を 行うことになるために「エンジンのポンピング損失が増加してエンジン燃費の悪化」を招くと共に、「5〜10% のEGR量の増加によるパティキュレート排出量の増加に伴うDPF装置の強制再生頻度の増大に起因した燃 料浪費(=燃費悪化)」を生じさせてしまったため、4HK1-TCSエンジンが致命的な欠陥を抱えたエンジンに 仕上がってしまったのではないかと推測される。 このように、4HK1-TCSエンジンでは、新しい2段過給の技術が採用されているとは云え、ターボの過給圧の制御に よるEGR量を無理に増加させてポスト新長期規制(=2009年規制)を達成できるようにした結果、必然的に「ポンピン グ損失の増加」と「DPF装置の強制再生頻度の増大による燃料浪費」によってエンジンの燃費が悪化したことにより、 中型トラック:フォーワードでは実走行燃費が劣ってしまったものと推察される。因みに、重量車モード燃費の試験法 では、パティキュレート排出量の増加に伴うDPF装置の強制再生頻度の増大による燃料浪費(=燃費悪化)は、燃費 計測では無視されているため、中型トラック:フォーワードの重量車モード燃費の計測には何の悪影響も及ぼさない のである。そのため、4HK1-TCSエンジンを搭載したポスト新長期規制適合の中型トラック:フォーワードは、2015年 度重量車燃費基準に適合した重量車モード燃費のトラックとして、国土交通省の型式認定を受けることができたよう だ。このことも、いすゞ自動車は、EGR量を5〜10%増加させNOx除去触媒無しで中型トラック:フォーワードの4HK1 -TCSエンジンをポスト新長期規制に適合させる方法を採った要因に一つではないかと考えられる。 そうは言っても、中型トラック:フォーワードは、「5〜10%のEGR量の増加によるパティキュレート排出量の増加に 伴うDPF装置の強制再生頻度の増大に起因した燃料浪費(=燃費悪化)」の4HK1-TCSエンジンを搭載しているた め、パティキュレート排出量の増加に伴うDPF装置の強制再生頻度の増大による燃料浪費(=燃費悪化)の不利益 (=ハンディキャップ)から逃れることが不可能と考えられる。そこで、いすゞ自動車が本気で4HK1-TCSエンジンを搭 載した中型トラック:フォーワードの実走行燃費を改善したいのであれば、ポスト新長期のNOx規制への適合技術を 尿素SCR触媒装置に変更すべきと考える。そして、4HK1-TCSエンジンを搭載した中型トラック:フォーワードは、5〜 10%のEGR量を増加させる手段・技術によってポスト新長期のNOx規制への適合を図っている現状を改めない限 り、実走行燃費の悪化と云うハンディキャップから開放されないのではかと感じている。 ところで、4HK1-TCSエンジンに採用された2段過給は、表4の「燃費削減のための技術開発」に記載したように、低 速トルクの向上には有効であるが、燃費改善の機能が少ない技術である。このように、元来、燃費改善の機能の少 ない2段過給を4HK1-TCSエンジンに採用しているにもかかわらず、いすゞ自動車は、この2段過給の本来のターボ 制御から逸脱した無理な大量EGRを実施したようだ。そのため、4HK1-TCSエンジンでは、NOx除去触媒無しでポス ト新長期規制を達成できてはいるが、しかし、ポスト新長期規制に適合できるエンジン制御をそのまま実施した場合 には、実際の市場ではエンジンが燃費の劣る状態で使用されるようになることは明らかだ。そのため、4HK1-TCSエ ンジンを搭載したポスト新長期規制適合の中型トラック ”フォワード”「車両型式:SKG-FRR90S2」を市販した場合に は、トラックユーザから燃費悪化のクレームが殺到することは、誰でも容易に予想できることである。 そこで、いすゞ自動車は、中型トラック”フォワード「車両型式:SKG-FRR90S2」は、発売の当初から「排出ガス低減 機能を無効化して多量のNOxを排出するエンジン制御プログラム」を採用し、JE05モードで運転されないエンジン運 転状態となったことが検知された時点で「ターボ過給機を高い効率の運転」に切り替えることによってタービン入口圧 よりもブースト圧を上昇させてポンピング損失の低減(=ターボ過給機による正の仕事させて燃費改善)させるエンジ ン制御に切り替えたようだ。前述のエンジン制御が切り替わった際の排出ガスデータの図12を見ると、CO2濃度が 1100ppmから700ppmに大幅に減少している。このCO2排出濃度の減少は、いすゞ自動車の規制排出ガス低減性能 の「無効化機能」の「違法なエンジン制御」によって燃費改善のためにタービン入口圧に対してブースト圧を高圧化す る制御を行っていることが最大の原因と推測される。この「違法のエンジン制御」により、ターボ過給機の作動効率の 向上とEGR率の大きな低下(=EGR率が零?)によって、給気量が大幅に増大して排気ガスが薄められ、CO2排出濃 度が大きく減少したものと考えられる。ポンピング損失の低減等による燃費改善を無視し、過給機効率の向上による 給気量の増加だけでCO2排出濃度が減少したと仮定した場合には、「違法のエンジン制御」によってエンジン給気量 は、57%も増加したことになる。この場合、「違法なエンジン制御」による57%の給気量が増大していることになるが、 この57%の給気量が増大して排気ガスが希釈されているにもかかわらず、NOx濃度が120ppmから400ppmに増加を 示しているのである。この57%の給気量の増大した仮定の条件においてNOx濃度が120ppmから400ppmに増加した 場合のNOx排出重量を単純に計算すると、NOx排出量(重量)は5.2倍に増加していることになる。 もっとも、4HK1-TCSエンジンの「違法なエンジン制御」によって燃費改善が図られているため、給気量の増大によ るCO2の希釈から単純に計算した「違法なエンジン制御」によるエンジン給気量の増加の割合は、57%よりも少ない と考えられる。そこで、4HK1-TCSエンジンの「違法なエンジン制御」による燃費の向上によるCO2削減を加味した場 合において、NOx濃度が120ppmから400ppmに増加した際のNOx排出の重量増加を単純に計算した。その結果、筆 者の計算では、4HK1-TCSエンジンでの「違法なエンジン制御」によって、5%の燃費改善の場合には排出ガス規制 に適合したエンジン制御の時よりも5倍のNOxを排出し、10%の燃費改善の場合には4.7倍の多量のNOxを垂れ流 していたことになるのである。以上のことから、いすゞ自動車のエンジン技術者は、4HK1-TCSエンジンにおいて「NOx 除去触媒無しでポスト新長期規制を達成した、画期的な中型トラック用のダウンサイジングエンジンは完成した」と豪 語しているが、実際にはこのエンジンを搭載した市販のフォワードでは、燃費改善を図るために「違法なエンジン制 御」によって排出ガス規制適合の他のトラックよりも4〜5倍程度の多量のNOxを排出していたことは確かなようだ。 そして、不思議なことに、そのような中型トラック用エンジン「4HK1-TCSエンジンの開発」に対して自動車技術会が 2011年5月に「第61回 自動車技術会賞の技術賞」を授与しているのだ。この技術賞の受賞の対象となった「4HK1- TCSエンジン」における「違法なエンジン制御」の反社会的な行為が2011年6月に明らかになったにもかかわらず、 2012年1月22日現在では、自動車技術会は、この受賞の授与の「取り消し」等の処置を実施していないようだ。その 上、自動車技術会は、2012年1月1日に発行の「オートテクノロジー2012」の「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞 開発者インタビュー集」において、「(4HK1-TCSエンジンを開発したことにより)ディーゼルエンジン開発技術という点 で欧米勢の一歩先を行けたと思います。」とのいすゞ自動車のエンジン技術者の発言が掲載されているのである。東 京都環境科学研究所が摘発した4HK1-TCSエンジンが「違法なエンジン制御」によって排出ガス規制適合のトラック よりも4〜5倍程度の多量のNOxを垂れ流していた事実から、いすゞ自動車はクリーンエンジンの開発では無く、ダー ティ(=汚染)エンジンの技術開発に欧米勢の一歩先を行っているように見えるのである。そして、いすゞ自動車のエン ジン技術者の凄いところは、「違法なエンジン制御」が東京都によって暴露されているにもかかわらず、良心の呵責を 感じるような素振りも無く、「ディーゼルエンジン開発技術という点で欧米勢の一歩先を行けたと思います。」と公言す る厚顔無恥の態度には、冗談とも思えるような驚き以外に何者でもない。そして、その発言が2012年1月1日に発行 の「オートテクノロジー2012」の「第61回 自動車技術会賞の技術開発賞 開発者インタビュー集」に堂々と掲載されて いるのである。今後とも、いすゞ自動車のエンジン技術者は、このような発言を繰り返し、そして、(公益社団法人)自 動車技術会は、「違法なエンジン制御」の販売実績を持つ4HK1-TCSエンジンが欧米勢の一歩先を行ったエンジンと して賞賛し続けるのであろうか。 既に、2011年6月3日に東京都によって「違法なエンジン制御」が暴露されてしまった中型トラック”フォワード”に搭載 の「4HK1-TCSエンジン」について、(公益社団法人)自動車技術会は「オートテクノロジー2012」(2012年1月1日発行) では、「NOx除去触媒無しでポスト新長期規制を達成したディーゼルエンジンは、驚きをもって迎えられたのである」と 記載されており、あたかも尿素SCR触媒を採用した他社の技術が劣っているかのような印象を読者に与える記述が 行われている。このようないすゞ自動車のディーゼルエンジンの高い技術力を誇示するような形容詞を駆使し、いすゞ 自動車の「提灯記事」または「太鼓持ち記事」とも思しき記事の「オートテクノロジー2012」を発行する自動車技術会に は、もはや常識が欠如した人達が編集に携わっているようにしか見えないのである。この様子を見ると、自動車技術 会では、「常に中立的、客観的な立場から誠意を持って研究内容や成果を社会に正しく説明するように努めます」と 宣言した倫理規定の存在が忘れ去られ、また、倫理委員会のような組織・体制も全く機能していないように思える が、如何なものであろうか。このようなことでは、これまで築かれてきた(公益社団法人)自動車技術会の権威・信頼 が損なわれるのではないだろうか。(公益社団法人)自動車技術会の末端の会員の一人にある筆者にとっては、寂し い限りだ。 以上のことは、(公益社団法人)自動車技術会の「オートテクノロジー2012」(2012年1月1日発行)の「第61回 自動 車技術会賞の技術開発賞 開発者インタビュー集」のChapter 6 「「次世代型中型商用車用スーパークリーンディーゼ ルエンジンの開発」において受賞者の高橋 英樹氏、大石 和貴氏、佐野 弘幸氏、泉 和彦氏のインタビュー記事を拝 見し、浅学菲才のポンコツ元技術屋の筆者が乏しい知識を駆使して推測したことである。この筆者の推測について、 誤りがあれば、是非とも末尾の筆者のEメールの宛先に、その内容をお送りいただきたい。この筆者の推測に誤りが あれば、即刻に訂正したいと考えている
ところで、2011年6月にフォーワードの4HK1-TCSエンジンにおける燃費向上のための違法なエンジン制御を東京
都環境科学研究所が発見する時点までは、この車種のフォーワードの発売後には、高速道路等に連続走行時には 燃費の悪化を引き起こさずに済んでいたため、ユーザの満足を得られていたものと考えられる。しかし、この車種の フォーワードのエンジン制御は、今後、違法プログラムがリコールと称して法令順守のプログラムに改修されるため、 こてからはフォワードの高速走行時の燃費はこれまでより悪化し、市場シェアの低下を招くことは間違いないだろう。 これを挽回するためには、いすゞ自動車は早急にフォワードの燃費改善を図る必要があることは明らかだ。この燃費 改善ため、今後、いすゞ自動車は、早い時期に三菱ふそうの中型トラックのようにフォワードに、尿素SCR触媒を採用 して燃費を改善する必要があると考えられる。しかし、いすゞ自動車にとってはフォワードの道路運送車両法違反で の通報は、予想もしていなかった突然の出来事のため、フォワードに尿素SCR触媒を採用する準備は全くできていな いものと推察される。東京都の「違法なエンジン制御」の摘発の後、仮にいすゞ自動車が尿素SCR触媒を採用したフ ォワードを幾ら急いで開発したとしても、三菱ふそうのファイター等の他社の中型トラックと同等の燃費のフォワードの 販売が開始できるのは、1年後の2011年6月以降ではないだろうか。
12.「気筒休止」の技術は、大型トラックの燃費を削減する最適手段
12−1.無過給ガソリンエンジンと過給ディーゼルエンジンで異なる気筒休止の機能・効果
多気筒エンジンの部分負荷時に気筒休止する場合、燃焼を休止する気筒の吸排気弁を閉じるホンダの無過給ガ
ソリンエンジンと、筆者が提案する2台の小型過給機を並列に配置する過給ディーゼルの気筒休止エンジン(特許公 開2005-54771)では、同じ「気筒休止」とは言っても両者の気筒休止による効果は、多少、異なった面を持っている。 その原因は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では過給機エンジンであることに加え、燃料噴射量の増減で エンジン出力を制御するディーゼルエンジンであるのに対し、ホンダの気筒休止エンジンでは無過給エンジンである ことに加え、理論空燃比近傍の燃料混合気び量の増減によってエンジン出力を制御するガソリンエンジンであるため だ。以下にホンダの無過給の気筒休止ガソリンエンジンと筆者提案の過給の気筒休止ディーゼルエンジン(特許公 開2005-54771)について、気筒休止の効果の理由とその根拠を簡単にまとめた。
(A) ホンダの無過給ガソリンエンジンにおいて気筒休止による燃費が削減できる理由
気筒休止する6気筒のホンダの無過給ガソリンエンジンの部分負荷時において、3気筒の吸排気弁を閉弁状態に
して当該の3気筒を休止させる気筒休止運転を行った場合には、大幅なエンジン燃費の改善が可能となる。この気 筒休止運転における燃費改善の理由を表15にまとめた。なお、ホンダは、数年前からこの気筒休止ガソリンエンジ ンを市販車に採用され、乗用車や小型トラックの燃費削減を図っているとのことである。
このガソリンエンジンの気筒休止は、表15に示したように、エンジンの部分負荷運転における燃費改善が
唯一の効果・メリットであるが、その燃費改善の効果が30%程度(後述の図13参照)にも達する場合がある ほど、自動車の走行燃費の向上に極めて有効な技術であることが特徴である。
(B) 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)によって過給ディーゼルの燃費とNOxが削減できる理由
筆者が提案している2台のターボ過給機を並列に装着する2ターボ方式の過給ディーゼルの気筒休止エンジン(特
許公開2005-54771)において、例えば6気筒のディーゼルエ ンジンの部分負荷時において、3気筒を休止気筒として 残りの3気筒を燃焼気筒として運転を行った場合には、大幅なエンジン燃費の改善とNOxの削減が可能となる。この 気筒群制御による気筒休止運転での燃費改善とNOx削減の理由を、表16にまとめた。
大型トラックの実際の走行燃費(=実走行燃費)の十分な向上を図りたいのであれば、エンジンの最大トルクのエン
ジン回転速度領域での部分負荷の運転領域における燃費を向上することが肝要である。仮に、このエンジン部分負 荷の運転領域の排気ガスの熱エネルギー・圧力エネルギーを高めることが技術てきに可能になれば、ディーゼルエ ンジンの排気ガスの熱エネルギー・圧力エネルギーを回転動力や電気エネルギーに回生する装置・技術(=「メカニ カルターボコンパウンド」、「エレクトリックターボコンパウンド」、「ランキンサイクル」、「熱電素子」および「スターリング エンジン」等)を大型トラック用エンジンに採用することによって、大型トラックの実際の走行燃費(=実走行燃費)の 十分な向上が初めて実現できるのである。
気筒休止システムは、ポンプ損失の大きいガソリンエンジンの部分負荷で大きな燃費改善が期待できる技術であ
るが、部分負荷でのポンプ損失が比較的少ないディーゼルエンジンにおいても相応の燃費改善を可能にする技術で ある。そして、気筒休止システムは、ガソリンエンジンでは燃費改善の効果しか発揮できないが、ディーゼルエンジン では、表16に示したように、「尿素SCR触媒の活性促進によるNOxの大幅な削減」や「DPFでのフィルタの自己再生 の促進」を可能にする技術である。特に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、「エンジン部分負荷 時の燃費向上」、「尿素SCR触媒の活性促進によるNOxの大幅な削減」、「DPFでのフィルタの自己再生の促進」およ び「ディーゼルエンジンの排気ガスエネルギーを回生する装置・技術の効率の向上」を可能にする機能がある。その ため、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、現在の大型ディーゼルトラックの「NOxの削減」と「走行 燃費向上」および「DPF再生における燃料浪費の削減」に貢献できる技術であることは、間違いないだろう。
このように、ガソリンエンジンにおける気筒休止は、単に大幅なエンジン燃費の改善できるだけの技術に過ぎない。
そして、このガソリンエンジンに採用されている「休止気筒時には吸気弁と排気弁の両方または吸気弁を弁閉の状態 に維持する方式の気筒休止の技術」は、過給エンジンの大型トラックにそのまま適用しても、大型トラックにおける十 分な燃費改善を実現できる機能が大きく劣ることに留意すべきである。したがって、気筒休止によって過給ディーゼ ルエンジンの大型トラックの燃費を十分に改善するためには、無過給ガソリンエンジンに採用されている休止気筒で の吸気弁と排気弁の両方または吸気弁だけを弁閉の状態に維持する方式を大型トラックの過給ディーゼルエンジン の気筒休止技術として用いることは遇の骨頂であることを肝に銘じるべきである。その理由は気筒休止は、ディーゼ ルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!および気筒休止は、ディーゼル排気ガスのエネルギー回生装置の 効率を向上のページに詳述しているので、ここでは説明を省略する。
何はともあれ、無過給ガソリンエンジンに採用されている休止する気筒の吸気弁または排気弁の方法、若し
くは吸気弁と排気弁の両方を弁閉に制御する気筒休止システムとは異なり、新たな2ターボ方式の気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の技術(図1および表16参照)を大型トラックの燃費向上の手段として筆者 は提案しているのである。この2台のターボ過給機を並列に装着する2ターボ方式の過給ディーゼルの気筒 休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラックの十分な「燃費改善」ばかりではなく、同時に「NOx削 減」と「DPFの再生促進」が実現できる優れた技術であることを強調しておきたい。
筆者は、このホームページを2006年4月に開設し、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を大型ディーゼル
トラックに採用することによってNOxと燃費を同時に削減できることを訴えている。それにもかかわらず、未だにトラッ クメーカの専門家は、頑なに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を無視しているのだ。そして、表14に 示したように、多くのトラックメーカでは、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合した大型トラック・トラクタ の中で2015年度重量車燃費基準に不適合の多数の車種を抱えているのである。多くのトラックメーカでは、ディー ゼルエンジンに関する燃費改善の技術力不足を露呈している不名誉な状態を、何時まで放置し続けるのであろう か。
現在、ガソリン乗用車の世界では、ホンダ、GMおよびクライスラーは気筒休止エンジンを採用した通常のガソリン
乗用車の車種を増加させ、燃費の向上を図っている時代である。一方、わが国の多くの大型トラックメーカでは、前 述の表14に示したように、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合の大型トラック・トラクタが2015年度 重量車燃費基準に未達成の多数の車種を抱えているのである。このことは、大型トラックメーカにおいて、未だに有 効な燃費削減の技術が開発できていないことを示す証拠ではないだろうか。それにもかかわらず、これらの大型トラ ックメーカは、燃費改善に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を黙殺しているのである。このよう に、2015年度重量車燃費基準に未達成の車種を数多く抱えているトラックメーカが、「燃費改善と同時にNOx削減 も可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術」を無視しているのである。大型トラックメーカの技術系の 幹部は、一体、何を考えているのであろうか。筆者には全く理解できないことである。
因みに、ディーゼルエンジンの気筒休止については、2007年に自動車技術会から出版された「自動車産業技術戦
略と技術発展・燃料シナリオ 2030年自動車はこうなる 第3部 日本における自動車燃料のシナリオ(定価:6300 円)」の「3 将来の自動車用動力システムの燃費向上技術」の項には、『・・・・・可変バルブタイミングにより、部分負荷 時に一部の気筒のバルブを閉弁することによる気筒休止も実施できる。気筒休止システムはディーゼルエンジンでも 有効であるが、部分負荷でポンプ損失の大きいガソリンエンジンの方が大きな(燃費の)改善効果が期待でき る。・・・・・』と記載されている。この記述内容は、気筒休止の燃費改善の一面だけを見れば、正論であり、間違ってい るものではない。しかし、言外にディーゼルエンジンでは気筒休止による燃費改善は僅かであるため、ディーゼルエ ンジンに気筒休止による燃費改善は、馬鹿なエンジン技術者のすることのような印象を読者に与える書き方である。 本当に、気筒休止によってディーゼルエンジンの燃費改善は、馬鹿な技術開発のようには、筆者にはとても思えない のである。
このエンジン部分負荷時にエンジンの一部の気筒を休止する気筒休止の原理・根拠は、アイドリングストップによる
燃費改善と全く同じである。何故ならば、アイドリングストップは、気筒休止での燃費改善と同様に、吸気スロットルバ ルブを持たないディーゼルエンジンでも燃費改善が可能である。しかし、ガソリンエンジンのアイドリング運転での吸 気スロットルバルブの小さな開度の際には、大きなポンプ損失による過大な燃費悪化を引き起こしているのである。 そのため、ガソリンエンジンでのアイドリングストップでは大きな燃費改善の効果が期待できることになる。しかしなが ら、ガソリンエンジンでのアイドリングストップによる燃費改善には遠く及ばないが、ディーゼルエンジンでのアイドリン グストップの場合でも、それ相応の燃費改善が可能である。そのため、わが国では、トラック・バスの燃費改善を図る ため、十年以上も昔からディーゼルトラックやディーゼルバスに盛んにアイドリングストップが採用されてきたことは事 実である。このようなアイドリングストップの現状を考えると、気筒休止システムは、部分負荷でポンプ損失の大きい ガソリンエンジンの方が大きな燃費改善に大きな効果を発揮するが、ガソリンエンジンほどではないものの、ディーゼ ルエンジンでも十分な燃費改善を図ることが可能と考えられる。
何故ならば、部分負荷における気筒休止によるエンジンの燃費改善は、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両
方において燃焼気筒の「ポンプ損失の削減」+「サイクル効率の向上」+「排気損失の削減」+「冷却損失の削減」に よって実現できるものである。したがって、ポンプ損失の少ないディーゼルエンジンでは、部分負荷における気筒休止 の燃費改善がガソリンエンジンより少なくなることは当然である。しかしながら、、部分負荷における気筒休止の燃費 改善は、「ポンプ損失の削減」以外にも多くの要因によって達成されている。そのため、ディーゼルエンジンの気筒休 止は、「ポンプ損失の削減」以外の「サイクル効率の向上」+「排気損失の削減」+「冷却損失の削減」によって十分 な燃費の改善ができるのである。特に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、「メカニカルターボコン パウンド」、「エレクトリックターボコンパウンド」、「ランキンサイクル」、「熱電素子」および「スターリングエンジン」等の ディーゼルエンジンの排気ガスのエネルギーを回生する装置・技術を採用・装着したディーゼルエンジンの部分負荷 の燃費を十分に向上できる機能を備えている。そのため、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、大 型ディーゼルトラックには最適な気筒休止の技術であることは間違いないと考えられる。
ところで、現在、ディーゼルエンジンについては、十分な燃費改善が可能な技術が開発できてないために、ディーゼ
ル燃費の向上は技術的に八方塞がりの状況である。この状況は、現在、トラックメーカでは、2006年4月1日から施行 された2015年度重量燃費規制に不適合の大型トラックを多く抱えていることからも明らかだ。このように、ディーゼル エンジンの燃費向上が技術的に八方塞がりの状況を打破するためにも、気筒休止のディーゼルエンジンの技術開発 に心血を注ぐことが必要と考えるが、如何なものであろうか。特に、気筒休止の技術は、ガソリンエンジンでは燃費改 善の機能しかないが、ディーゼルエンジンでは燃費改善の機能の外にも多くのディーゼルエンジン性能の向上に寄 与できる機能も合わせ持っていることである。
特に著者が強調しておきたいことは、ガソリンエンジンの場合と異なり、ディーゼルエンジンにおける気筒休止エン
ジン(特許公開2005-54771)の技術が、燃費改善だけのためだけに存在している技術ではないことだ。それは、気筒 休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!や気筒休止はDPFの自己再生を促進 (強制再生 の削減で燃費悪化を防止)および米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢のページ に詳述しているように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、ディーゼルエンジンにおいては、「エンジ ン部分負荷時の燃費向上」、「尿素SCR触媒の活性促進によるNOxの大幅な削減」、「DPFでのフィルタの自己再生 の促進」および「ディーゼルエンジンの排気ガスエネルギーを回生する装置・技術の効率の向上」を可能にする優れ た機能を備えていることである。
この2007年6月頃発行の自動車技術会の出版物『自動車産業技術戦略と技術発展・燃料シナリオ 2030年自動車
はこうなる 第3部 日本における自動車燃料のシナリオ(定価:6300円)』における記述を見ると、2006年4月に開設 したホ−ムページで筆者が提案しているディーゼルエンジンの「燃費改善」、「尿素SCR触媒におけるNOx削減率の 向上」および「DPF装置の自己再生の促進による手動再生と自動再生における燃料浪費の削減」に有効な気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の技術の存在は、当時の自動車技術会の専門家の目には触れていなかったので あろうか。それともポンコツ元技術屋の筆者が提案する技術は、その中身を全く調査することもなく、実用化が不可 能な単なる妄想技術として無視されたのであろうか。
何れしても、自動車技術会が立派な表題を掲げながらも中身が陳腐な技術情報を集めた出版物が発行されたこと
によって迷惑を被るのは、自動車技術会を信じて出版物を購入したり、この出版物を図書館等でその内容に触れた 技術者であることは、間違いないだろう。この影響かどうかは定かではないが、「ディーゼルエンジンの部分負荷にお けるポンプ損失はガソリンエンジンに比べて少ないため、部分負荷でのポンプ損失の削減によって燃費改善を可能 にする気筒休止は、ディーゼルエンジンの燃費改善の技術としてはコスト面から考えると失格の可能性がある。した がって、ディーゼルエンジンに気筒休止の技術を採用することは、遇の骨頂だ。」と単純に信じ込んでしまっている哀 れなディーゼルエンジンの学者・専門家が多く生まれてしまった可能性も考えれれるのではないだろうか。しかしなが ら、物の道理をわきまえた学者・専門家ならば、ディーゼルエンジンの燃費向上に寄与できそうな技術が何も見い出 せていない現状の良く認識され、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術に興味をも持たれている人も少な からずいると思うが、これは筆者の単なる一人善がりであろうか。
12−2.気筒休止の過給ディーゼルエンジンは、既存技術の応用にて容易に実現が可能
気筒休止の無過給ガソリンエンジンを搭載した乗用車と小型トラックは、表17に示したように、国内外において既
に商品化されている自動車メーカもあれば、また、これから市場投入を予定している自動車メーカもあるようだ。した がって、現在ではガソリンエンジンにおける気筒休止による燃費改善の技術は、既に確立されている技術と考えて大 きな間違いは無いと考えて良いのではないだろうか。
以上の表17を見ると、欧米では近年、ガソリンエンジンを搭載した乗用車や小型トラックの分野では、気筒休止エ
ンジンを採用して燃費削減を図るメーカが次々と現れているようだ。その理由は、大排気量のガソリン自動車の都市 内等の高速で走行しない状態での気筒休止による燃費改善の効果が著しいためと考えられる。そうは言っても、ホン ダのハイブリッド乗用車に搭載の1.3リットルや1.5リットルのエンジンに気筒休止の技術が既に採用されており、フォ ルクスワーゲンの主力ダウンサイジングエンジンである1.4リットル直列4気筒ガソリンのスーパーチャージャ+ターボ 過給搭載のTSIエンジンに気筒休止システムを2012年から採用する予定である。このことから、気筒休止の技術が小 排気量のガソリン自動車でも燃費向上にも有効であることは、明らかだ。
ところが、以下の表18に示した資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会による日本自動車工業会のヒアリン
グでは、図13に示したように、日本自動車工業会は「ガソリンエンジンの部分負荷時において30%の燃費改善が可 能であるが、少数気筒数エンジンへの適用には振動抑制等の更なる技術開発が必要」と説明しているようだ。一方、 現在、多くの小型乗用車には小排気量で気筒数の少ない4気筒ガソリンが搭載されているにである。このような現状 を熟知した日本自動車工業会は、資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会によるヒアリングの説明資料におい て、小型乗用車に搭載されている小排気量の4気筒(=少数気筒数?)のガソリンエンジンでは、振動問題を解決す る技術が未開発のために気筒休止の技術を用いて小型乗用車の走行燃費を向上することが困難であるかのような 印象を与える記述が見られた。 ![]() ![]()
さて、現在の日本の小型乗用車には、気筒数が最も少ない4気筒エンジンが搭載されており、軽自動車のエンジン
では、4気筒と3気筒のエンジンが搭載されている。そのような状況において、この図13のヒアリング資料の中では、 日本自動車工業会は資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会に対し、「3リットルのガソリンエンジンにおい て、気筒休止運転時の1500rpm/2.94kWの部分負荷燃費は1.7リットルのガソリンエンジンの全気筒 運転での燃費に相当し、この気筒休止の運転によって部分負荷時の燃費を30%も改善することが可能であ る。しかし、この気筒休止の技術を少数気筒数エンジンへの適用できるようにするためは、振動抑制等の更 なる技術開発が必要である」と説明をしているのだ。このように、日本自動車工業会は、資源エネルギー庁、環境 庁、中央環境審議会に対し、「少数気筒のガソリンエンジンに気筒休止を採用した場合には振動問題が発生するた め、現在の技術レベルでは気筒休止の採用が困難」と説明している。つまり、日本自動車工業会は、多数気筒のガ ソリンエンジンに気筒休止を採用する場合には何の問題も生じないが、しかし、少数気筒のガソリンエンジンに気筒 休止を採用した場合には振動問題が発生するとの意見・主張のようだ。しかしながら、日本自動車工業会は、気筒 休止を採用した場合での振動問題が発生するエンジンの気筒数を明確に示していないのだ。そして、気筒休止が困 難なガソリンエンジンは、「少数気筒数のガソリンエンジン」と、判り難い曖昧な言葉を用いて説明していることから、ヒ アリングを実施した資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会の人達が気筒休止の問題点を正確に理解したよう にはとても思えないのである。
このように、日本自動車工業会のヒアリング資料の中の図13には、気筒休止の技術を実用化する際の障害となる
振動問題が発生するのは、「少数気筒数」のエンジンの場合と記載されているだけである。このヒアリング資料は、日 本自動車工業会の技術資料でありながら、気筒休止での振動問題が発生する「少数気筒数」の具体的な「気筒数」 が明示されていないのだ。このヒアリング資料は、日本自動車工業会が作成した正式な技術資料であるにもかかわ らず、「少数気筒数のエンジンでは気筒休止の技術を実用化する際の障害となる振動問題が発生する」との判り難 い曖昧な内容が記載されており、技術資料として失格であるように思えるのだ。困ったものである。したがって、日本 自動車工業会のヒアリング資料では、現在の技術レベルで振動問題のために気筒休止の採用が困難なガソリンエ ンジンは、「4気筒以下」と「3気筒以下」の何れのエンジンであるかは、現在のところ不明である。一方、ヒアリングを された人達からも、気筒休止の採用が困難なエンジンが4気筒以下と3気筒以下の何れであるかについての質問は 行われていないようだ。一体全体、資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会の人達は、気筒休止が困難なガソ リンエンジンの気筒数は、「4気筒以下」と「3気筒以下」の何れの気筒数と理解されているのであろうか。
そこで、日本自動車工業会が主張する「振動問題のために気筒休止の採用が困難なエンジンの気筒数」を予想す
ることにした。先ず、気筒休止エンジンについての現時点の市販車情報としては、日本自動車工業会の会員である ホンダは、気筒休止の1.3リットル4気筒ガソリンエンジンを搭載したフィットハイブリッドが挙げられる。これは、ホン ダが気筒休止を採用した4気筒ガソリンエンジンの乗用車が気筒休止運転時の不快な振動を電子油圧制御によっ て有効に抑える技術を実用化し、消費者に満足して貰える4気筒の気筒休止ガソリンエンジンの自動車を市販してい るのである。
一方、日本の気筒数が少ない小型乗用車の場合、これまでは4気筒エンジンが多かったが、最近では4気筒エンジ
ンが増加しているようだ。そして、軽自動車のエンジンでは4気筒と3気筒が存在しているようである。このような現状 を考えると、ホンダがエンジンマウントの電子油圧制御による4気筒ガソリンエンジンの気筒休止の制振技術 や防音技術を完成し、実用化していることから、日本自動車工業会が2012年3月1日の政府(=資源エネルギ ー庁、環境庁、中央環境審議会)のヒアリングで主張した「振動問題のために気筒休止の採用が困難な少数 気筒数のエンジン」は、3気筒ガソリンエンジンと考えて間違いがないと推察される。このように、4気筒ガソリン エンジンの気筒休止システムを搭載した自動車が市販されている現状を鑑みれれば、日本自動車工業会が資源エ ネルギー庁、環境庁、中央環境審議会に対し、気筒休止の採用が困難なエンジンの気筒数を正直に説明するので あれば、ヒアリング資料には「3気筒のガソリンエンジンを搭載した軽自動車に気筒休止を採用した場合には振動問 題が発生するため、現在の技術レベルでは実用化が困難」と記載すべきであったと考えられる。しかし、実際のヒア リングで説明された資料には、日本自動車工業会は内容を変更し、「少数気筒のガソリンエンジンに気筒休止を採用 した場合には振動問題が発生するため、現在の技術レベルでは実用化が困難」と曖昧な説明文を記載いているの だ。この記載内容に誤りは認められない。しかし、気筒休止の技術を採用して自動車の走行燃費を積極的に向上さ せることに対し、日本自動車工業会は極めて消極的な意見・見解・考えを持つ団体のように思えるのである。
因みに、日本の自動車メーカの中で実際に気筒休止の技術を用いて燃費改善を図っているのはホンダだけである
が、現時点で気筒休止エンジンの自動車を既に市販済み、または近い将来の市販予定を発表している欧米の自動 車メーカは、GM、クライスラー、メルセデスAMG、フォルクスワーゲン、アウディおよびベントレーである。このように、 最近、燃費向上を目的として気筒休止エンジン搭載の自動車を市販する自動車メーカの増加が著しい。このように、 世界的に気筒休止による燃費向上の有効性が認められつつある状況であるにもかかわらず、気筒休止の技術が未 採用の他の日本自動車工業会の会員の会社にとっては、資源エネルギー庁、環境庁、中央環境審議会に気筒休止 の燃費向上の有効性を認識して貰いたくないような意図があるように筆者には見受けられるのである。
以上のことから、日本自動車工業会の会員である各自動車メーカは、気筒休止の技術については、現状では「3気
筒以下の少数気筒数のガソリンエンジンでは、現在の技術レベルで振動問題のために気筒休止が困難」であり、且 つ、「4気筒のガソリンエンジンでは、現在の技術レベルでも振動の問題が無いために気筒休止エンジンを採用する ことによって多くの小型ガソリン自動車の走行燃費の向上が可能」との認識を持っているものと推測される。したがっ て、ヒアリング資料には明記されていないが、日本自動車工業会の会員である各自動車メーカは、現在の日本の小 型乗用車のエンジンには4気筒以上の気筒数のエンジンが採用されているため、日本の軽自動車以外の全てのガ ソリン自動車は、気筒休止の技術を採用することによって大幅な費向上を図ることが可能であることを十分に認識・ 理解しているものと推察される。
何はともあれ、気筒休止を用いればガソリン自動車の走行燃費を容易に改善することが可能であるため、気筒休
止の技術を採用する自動車メーカや車種が、今後、ますます増加していくことは間違いないと考えられる。そして、 日、米、欧の自動車メーカではガソリンエンジンでの気筒休止による燃費向上の技術が広く一般化しつつあることは 確かなようだ。そして、現在、日、米、欧の何れの市場においても各メーカーから気筒休止の技術によって燃費向上 を図った乗用車や小型トラックが続々と発売され、年々、その車種も増加する傾向にある。その例として、米国にお ける2005年〜2007年での気筒休止エンジン搭載自動車の販売台数等を表19および図14に示す。 ![]() ![]() められ、気筒休止エンジンを搭載したガソリン自動車の販売の比率が増加している傾向のようだ。
現状では、乗用車や小型トラックでは無過給ガソリンエンジンが多く採用されており、無過給ガソリンエンジンでは
休止運転時に気筒の吸・排気弁を常時密閉することによって簡単に十分な燃費向上が可能な気筒休止エンジンが 実用化できるためと考えられる。ところが、無過給ガソリンに適した吸・排気弁を常時密閉する気筒休止の技術は、 ターボ過給のTSIエンジンでは、気筒休止で運転できるエンジンの運転範囲が狭くなる。しかし、TSIエンジンではスー パーチャージャ(機械駆動式過給機)を装着しているため、このスーパーチャージャを駆使すれば、気筒休止運転時 に稼働気筒群を高圧に過給して比較的、高負荷でもで気筒休止の運転することが可能となる。その結果、このTSIエ ンジンは、欧州のドライビングサイクルのおよそ70%の走行距離が気筒休止の運転によって走行できるとのことだ。 ところで、スーパーチャージャを搭載したターボ過給のTSIエンジンを気筒休止する場合には、無過給ガソリンの場 合と同様に、吸・排気弁常時密閉の装置が必須である。しかし、現在の大型トラックは、スーパーチャージャを搭載し たターボ過給のディーゼルエンジンが搭載されていいない。そのため、この吸・排気弁常時密閉方式の気筒休止技 術は、以下の理由により、ターボ過給ディーゼルエンジンの大型トラックに装着する必要が無い。その代わりに、ター ボ過給ディーゼルエンジンの大型トラックのターボ過給機は、筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771) のように、大型のシングルターボ過給から2台の小型ターボを並列配置した2ターボ過給方式に変更する必要があ る。 @ 吸・排気弁常時密閉の装置は、大幅なコスト増加を伴うこと A 部分負荷時のポンピング損失が少ないディーゼルエンジンでは、部分負荷時のポンピング損失が少ないガソリン エンジンに比較し、吸・排気弁常時密閉の装置を装着しても気筒休止運転時の燃費改善が少ないこと、 B スーパーチャージャが搭載されていない大型ディーゼルトラックでは、休止気筒の吸気と排気の動作をそのまま 作動させてもスーパーチャージャの給気を無駄に排出するエネルギー損失は生じないので、「吸・排気弁を常時密閉 する方式の気筒休止技術」を採用する必要が無いこと。 このように、筆者提案のディーゼルエンジン用の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、ガソリンエン ジンの気筒休止に必須の吸・排気弁常時密閉の装置が不要である。しかし、今のところ、販売車種の一部とは云え、 大型トラック・トラクタにおける2015年度重量車燃費基準に不適合の車種を抱えた日野自動車、いすゞ自動車、三菱 ふそうおよびUDトラックスのトラックメーカ4社は、この筆者提案の気筒休止技術を全く無視しているようだ。日本のト ラックメーカは、燃費向上に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を黙殺する一方で、これからも 2015年度重量車燃費基準に不適合の大型トラック・トラクタの車種を臆面もなく堂々と販売し続ける方針であろうか。
因みに、筆者は2006年4月に開設したホームページにおいて大型トラックの過給ディーゼルエンジンを気筒休止で
きる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を発表して以来、既に5年以上を経過しているのである。しかし、今の ところ、日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうおよびUDトラックスのトラックメーカ4社は、この技術を頑なに無視し ているようだ。 このように、トラックメーカ4社は、十分な燃費向上を可能にする気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術を無視する一方で、これからも論文発表等のあらゆる機会を捉えて大型トラックでの燃費改善が技術 的に困難であることを政府や世間に盛んにアピールして行くことにより、これからも必死で重量車燃費基準の強化の 先送りを訴え続けるのであろうか。これが事実であれば、厚顔無恥も甚だしいと声を大にして叫びたいところだ。
ところで、最近では、オイルピークの時代を迎えていることや、中国・インドのような多くの人口を抱えた国でも自動
車の普及が進んでいくことが予想されることもあって、将来的には原油価格が上昇していくことは間違い無い。そし て、円高が進行している日本以外の国では、自動車用のガソリンと軽油の価格は現在でもかなりのレベルまで高くな っているようだ。そのため、燃費の良い自動車しか売れなくなっており、世界の自動車メーカでは自動車の燃費削減 の削減競争がますます激しくなっていくものと予想される。
また、最近の自動車における燃費削減(=CO2削減)の社会的なニーズから、2015年度重量車燃費基準を実施し
ている日本と同様に、米国でもトラックなどの商用車に対し、2014〜18年の5年間に、商用車メーカー各社に、最大 20%の燃費向上を求めるという厳しい内容の燃費規制の暫定案がNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)とEPA(環 境保護局)から公表された。この暫定案では、最もハードルが高いのは大型トレーラーなどに対するもので、20%の 燃費改善目標を課しているようだ。
以上のことから、従来、トラックメーカでは単なる商品力の一つに過ぎなかった大型トラック・トラクタでの燃費改善
は、これからは燃費規制への適合の可否に関わると云う、重大な課題を背負わされるようになってきたのである。し たがって、今後、各トラックメーカは、これまで以上に大型トラック・トラクタの燃費改善の開発を推進する必要が生じ てきたと言えるだろう。
12−3.叶Vエィシーイーが気筒休止の試験結果の発表を中止している理由は、何か?
叶Vエィシーイーは、自動車メーカーと部品会社が出資し、トラックメーカ4社(日野、いすゞ、UD、三菱ふそう)から
研究者が派遣されているディーゼルエンジンの研究所である。下記のように、その叶Vエィシーイーから、2009年末 頃、「叶Vエィシーイーは2004年に実施したディーゼルエンジンの気筒休止の試験において、燃費改善の効果を確 認していた」 との情報を叶Vエィシーイーから受信したEメールによって筆者は入手している。当時、このEメールの 内容が叶Vエィシーイーの内部で公認されてたことは、このEメールのCcが当時の叶Vエィシーイーの青柳友三社 長に送付されていることからも明らかである。
ところが、このEメールが発信された009年12月26日の時点では、この気筒休止の試験が終了してから既に5年以
上も経過したているにもかかわらず、未だに叶Vエィシーイーはディーゼルエンジンの気筒休止の試験結果を発表し ていないようだ。通常、一般の研究所では、試験実施の翌年にはその試験結果がまとめられて発表されるものだ。し かし、叶Vエィシーイーでは、実用化が容易で燃費改善に効果がある気筒休止の試験が2004年に実施されたにも かかわらず、その試験結果の発表を5年以上も遅らせ続けているのである。この状況は、一般的な研究機関の行 動・活動としては何とも奇妙なことである。
その一方で、この研究所では、ディーゼル燃費の向上を図る目的のために、るエンジン回転数が1000rpmにおい
て過剰に高い給気ブースト圧(=500kPa)まで過給して筒内圧をPmax=24MPaとする実用化が極めて困難な先 進技術の試験研究を実施したが、この研究ではディーゼルの燃費向上に失敗したとの試験結果を積極的に発表 (例:http://www.nace.jp/J-Research_Outline2.htm)しているのだ。このように、叶Vエィシーイーは、実用化が容易で 燃費改善に効果がある 「気筒休止」 のような試験結果を発表せず、実用化の極めて困難な燃費改善技術の試験結 果だけを選択して発表しているようである。このことは、叶Vエィシーイーは、ディーゼルエンジンの燃費改善が極め て困難であることを世間の人達に印象付けるための世論誘導の活動を主体に行っているように筆者には思えるので ある。
そもそも、叶Vエィシーイーが5年以上も昔に 『ディーゼルエンジンの「気筒休止によって燃費改善が可能」であるこ
とを実験的に確認』 していたのであれば、その試験が終了後に如何なる理由でこの試験結果の発表を長年にわたっ て中止し続けているのであろうか。これについて穿った見方をすると、国土交通省が「気筒休止の技術を用いれば、 ディーゼルトラックの大幅な燃費改善が可能である」との事実を知ることになれば、国土交通省は2015年度重量車 燃費基準に続く新たな燃費基準を急いで設定してしまう恐れが無いとは言えない。そのような事態になることを事前 に回避するため、自動車メーカの関係者を中心に組織された叶Vエィシーイーは「気筒休止における燃費改善の効 果」の研究発表を中止することを決めた可能性も否定できない。
このように、叶Vエィシーイーが長い年月にわたって気筒休止の試験結果の発表を意図的に中止していることが事
実であれば、新エィシーイーがディーゼルエンジンの「燃費改善」、「省エネルギ‐」および「CO2削減」の関する技術に ついて、「ディーゼルエンジンの燃費改善が容易に実用化できる技術は不明である」とに間違った情報を発信し、意 図的な情報の操作・工作を行っていることになると言えるのではないだろうか。このような行為が新エィシーイーの本 来業務であるとするならば、叶Vエィシーイーが中立的な研究機関であると考えるのは根本的に誤りであり、この研 究所の発表にはある種の疑問符を付けて見る必要があるのではないだろうか。
叶Vエィシーイーが長い年月にわたって気筒休止の試験結果の発表を意図的に中止していることは、新エィシーイ
ーの勝手であり、法律に違反しているわけでもないので、部外者から批判を受ける理由は何も無いとの新エィシーイ ーの関係者からの反論が聞こえてきそうだ。確かに、この反論は法律的には正しいが、道義的には甚だ疑問であ る。このような「法律に違反をしなければ何を行っても良い」との不道徳な考え方は、一般の社会では周囲の信頼を 失ってしまうのが常である。したがって、新エィシーイーの技術者・専門家・研究者は、良心・常識を備え持った人達で あるならば、何はともあれ、わが国におけるトラック分野における「CO2削減」や「石油エネルギー消費の削減」を推 進することが当然の責務であるとの意識を持つべきである。そのため、如何なる理由があろうとも、叶Vエィシーイー は、2004年に取得した「気筒休止において燃費削減の効果を確認した試験結果のデータ」を速やかに公表すべき と思うのである。
なお、叶Vエィシーイーのホームページを見ると、この研究所の沿革には、「叶Vエィシーイーは、前身の叶V燃焼
システム研究所('87年2月設立)の基礎研究成果を受け継ぎ、さらに低公害・高効率ディーゼル燃焼システムの実用 化研究を進めるために設立された」と明記されており、自動車メーカと部品メーカが協力して自動車用ディーゼルエン ジンにおける環境への負荷を少しでも軽減していく技術を開発し、我が国の省エネルギーや大気環境の改善に貢献 していくことを目的としているように記載されている。ところが、叶Vエィシーイーは、2004年に取得した「気筒休止に おいて燃費削減の効果を確認した試験結果のデータ」の公表を先送りにしている状況を見ると、この研究所の本来 の目的が政府による排出ガス規制や燃費規制の強化を少しでも遅らせることではないかと疑念を抱いてしまうので ある。
もっとも、筆者はそれなりに確かと思える経緯で「叶Vエィシーイーが気筒休止の燃費改善の効果を2004年の試
験で確認済み」との情報を得たことから、この情報は、「事実」であることに間違いないと思っている。しかしながら、こ の項の記載内容には推測が多く含まれているため、一部には筆者の事実誤認があるかも知れない。そこで、叶Vエ ィシーイーの関係者がこの項を閲覧された際、明らかに誤りと気付かれた記載については、末尾の筆者のEメール宛 てに事実についての連絡をいただければ、誤った記載内容は即刻に訂正する所存である。
12−4.気筒休止エンジンは大型トラックにおける燃費削減の課題解決に有効
前述の通り、筆者が提案する「2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)」の技術は大型
トラック・トラクタの全車種を2015年度重量車燃費基準に容易に適合させることは勿論、大型トラックの燃費を更に 改善できる最も有効な手段である。
ところで、現在のように石油ピークを迎えて原油価格が高騰する時代になったことも気付かず、過去の成功経験を
引きずった引退間際の技術系幹部が君臨するようなトラックメーカでは、従来の延長線上の「低コスト」と「燃焼改善」 が主体のエンジン燃費の改善研究が継続されるものと考えられる。しかし、これらの技術開発に多大の資金と工数 を投入したとしても、これまでのディーゼルエンジンの研究開発の長い歴史を振り返って見ると、今後、短期間に5% 程度の燃費改善を実現することは極めて難しいのではないだろうか。したがって、このようなトラックメーカでは、今後 の研究開発の方針転換が行われる時点まで、大型トラック・トラクタの燃費を更に向上していくことは、容易ではない と考えられる。
そして、前述のように、自動車技術会発行の「自動車技術」誌Vol.64、No.1、2010(2010年1月1日発行)の飯田訓
正 慶応大教授 他3名著の「ディーゼルエンジンこの10年」にはディーゼルエンジンのCO2削減(=燃費改善)が 「大きな挑戦課題」と断定し、この「課題達成」には「従来のディーゼルエンジンの要素システムに加え、燃料、燃焼、 触媒の研究、システム制御の統合化技術が求められている」と技術的な焦点の不明な内容が記載されている。これ を端的に著わすと、ディーゼルエンジンの燃費改善(=CO2削減)は、「技術的に八方塞がりの状況」と云えるだろ う。このことは、この10年間にディーゼルエンジンの燃焼改善による燃費削減(=CO2削減)に有効な技術開発に大 きな進展が見られなかったことを述べているものと考えられる。
また、2011年9月発行の「自動車技術」誌(Vol.65,No.9,2011)の「自動車用エンジン技術開発の現状と将来」(表5参
照)と題した論文の「3.2. 重量車の燃費改善」の項において、著者の早稲田大学の大聖教授は、大型トディーゼルト ラック・バス(=重量車)における実走行や重量車モード燃費を向上する手段として、大型トラックの実走行燃費や重 量車モード燃費を十分に改善できる機能を有する技術として「ターボ過給の多段化」、「ターボコンパウンド」、「ランキ ンサイクル」および「熱電素子」の技術を推挙されていることについて、筆者には疑問に思えて仕方がない。その理由 は、気筒休止は、ディーゼル排気ガスのエネルギー回生装置の効率を向上のページに詳述しているように、「ターボ コンパウンド」、「ランキンサイクル」および「熱電素子」等の排気ガスエネルギーを回生する技術を用いて大型トラック の実走行燃費や重量車モード燃費を十分に向上するためには、大型トラックの実際の走行時におけるエンジン運転 の負荷頻度が高いエンジン部分負荷の排気ガス温度を高温化する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技 術を組合わせることが必要・不可欠であると考えているためである。
ところで、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)のは、ディーゼルエンジン部分負荷でSCR触媒入口温度を上
昇させて尿素SCR触媒のNOx削減率が大幅に向上するために、エンジン部分負荷の運転頻度の高いJE05モード排 出ガス試験での大幅なNOx削減と、5〜10%のモード燃費値が削減できる優れた燃費改善と排出ガス削減の機能 を有した特許技術である。そこで、このページを読まれた方々にお教えいただきたいことは、最近の自動車技術会や 日本機会学会等の講演会において、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)に勝るような、重量車モード燃費の 改善とJE05モードのNOx削減を可能にする技術が発表されたとの情報があれば、是非とも、お教えいただきたいと 思っている。
ところで、燃焼改善によるエンジン燃費の向上の技術開発が大きな壁に突き当たっている現状に眼を瞑り、トラック
メーカの技術系幹部の人達は、未だに大型トラック用ディーゼルエンジンでは燃焼改善によって5%程度の燃費が改 善できると信じ込んでいるのではないだろうか。そして、未だに従来と同じように「低コスト」と「燃焼改善」に固執した 研究開発を部下に指示しているのであろうか。自らの古い経験や知識の殻に閉じ籠っていては、技術の進歩・発展 には、技術的に対応していけないものと思われる。このようなことでは、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃費改 善の成果は上げられず、これからもこの燃費改善の問題を更に先送りすることになってしまうのではないだろうか。
さてさて、現在の大型トラック用ディーゼルエンジンでは「燃焼改善」による燃費向上が「技術的に八方塞がり」であ
るにもかかわらず、トラックメーカのエンジン技術者達が頑なに「2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン技術」を黙 殺していることについて、筆者が推測した理由を以下の表20にまとめた。
さてさて、日野、いすゞ、UD、三菱ふそうの各トラックメーカのエンジン技術者は、コスト増加の少ない燃焼改善で
5%程度の燃費向上が実現できると、未だに信じているようだ。そのため、トラックメーカのエンジン技術者は、コスト 増大を伴う「2ターボ過給機方式の大型トラック用気筒休止ディーゼルエンジンの技術」を頑なに無視し続けていると 推測される。コスト増加の如何にかかわらず、更なる燃費改善の効果が困難な燃焼改善が今後のディーゼルエンジ ンにとっての技術的な価値の殆んど無いことに気付いていないようだ。特に、トラックメーカの技術系幹部には、新興 宗教の信者の如く「燃焼改善による燃費向上が可能」と今日でも信じて疑わない古典的なディーゼルエンジン技術者 が未だに主流を占めているのではないかと考えられる。これは、筆者の偏った見方であろうか。
したがって、今後、トラック業界での「燃焼改善による燃費向上が可能」と考える新興宗教のような「燃焼改善教」の
信者のマインドコントロールが覚めるまで、5%前後の燃費改善は実現できないと予想される。これまでの燃焼改善 を主体とした技術進歩の長い歴史を考えると、ディーゼル燃焼の改善によって更なる燃費向上が極めて容易ではな いと考えるのが妥当ではないだろうか。そのため、燃焼改善だけに拘っていれば、世界中をアッと言わせるような新 技術の開発に成功しない限り、5%前後の燃費改善は実現できないと考えられる。そのような革新的なディーゼル燃 焼の改善技術は、余程の天才で無い限り不可能ではないだろうか。したがって、トラックメーカの「燃焼改善による燃 費向上」を信奉している多くのエンジン技術者・専門家に、近い将に大型トラックの燃費向上を実現することを期待す ることは、無駄と云うものだろう。
ところで、各トラックメーカのエンジン技術者が上司から期限を設定されて「大型トラックにおいて5%程度の燃費改
善」の至上命令を受けた場合には、彼らは「溺れる者は藁をも掴む」思いで、筆者提案の「2ターボ過給機方式の気 筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)」の技術の効果を確認するための作業に着手するものと予想して いる。そして、この「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)」の開発を実行したト ラックメーカでは、このシステム自体がそれほど複雑ではないために5〜10%程度の燃費を改善した大型トラック用 エンジンを他社に先駆けて実現できる幸運に恵まれることは間違いないないだろう。
以上のことから、「2ターボ過給機方式の気筒休止ディーゼルエンジンを実用に成功したトラックメーカは、5
〜10%程度の重量車モード燃費値の改善ができるため、自社の大型トラックの商品力を一挙に高めること ができる」 ことが、このページの重要な筆者の主張の一つである。僭越ながら、今後、この2ターボ過給機方式の 気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)を商品化したトラックメーカは、他社よりも燃費の優れ た大型トラック・トラクタを売り出すことができるため、その後の販売シェアを倍増して勝ち組になることは間違 いないと信じている。
12−5.気筒休止エンジンの研究開発を実施しない大型トラックメーカの不思議
2010年9月現在、多くのトラックメーカでは、ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)に適合した一部の大型トラ
ックでは2015年度重量車燃費基準に適合できていないのである。このように、2010年9月現在、ポスト新長期排 出ガス規制(2009年規制)に適合した大型トラックにおいて、車種の多少の相違があるものの、多くの大型トラックメ ーカにおいて2015年度重量車燃費基準に適合できていない車種を抱えているのである。そのため、多くの大型トラ ックメーカにおいて、各社が販売する全ての大型トラックを2015年度重量車燃費基準に適合させるためには、大型 トラック用ディーゼルエンジンの重量車モード燃費値を5パーセント程度の改善ができる新たな技術を開発する必要 となっているのが現状だ。
ところで、大型トラックの燃費規制である2015年度重量車燃費基準が2006年4月1日に施行された。そのため、大型
トラックメーカは4年以上も前から2015年度重量車燃費基準に大型トラックを適合させるために、,必死で燃費削減技 術の開発に取り組んできた筈である。しかしながら、多くの大型トラックメーカは、これまでに各社が販売する大型トラ ックの全ての車種を2015年度重量車燃費基準に適合させる大型トラック用ディーゼルエンジンの技術が開発できな かったようだ。その大きな原因は、各トラックメーカの幹部がコストアップを招かない大型トラックの燃費改善の技術に 限定した開発を指示していたためではないかと思っている。このことは、各トラックメーカの幹部が燃費改善の難しさ 十分に理解していないためと推測される。当然のことながら、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃費改善は、そん なに甘くはないのである。 ラックの多数の車種を抱えたままである。これについて、多くの大型トラックメーカは、自社の大型トラック・トラクタの 多数の車種が2015年度重量車燃費基準に不適合となっていることを他人事のように無視し、自社の大型トラック・ トラクタが「低燃費」や「エコロジー」であると声高に宣伝しているのである。これについて、トラックメーカの専門家は、 責任のある社会人として恥ずかしくないのであろううか。このようなトラックメーカの行為は、見方によっては詐欺的と 言われても仕方がないのではないだろうか。
一方、大型トラックの2015年度重量車燃費基準が施行された同じ頃の2006年4月7日に、筆者がホームページを開
設し、大型トラック用ディーゼルエンジンの5〜10%パーセント程度の重量車モード燃費値の改善が可能な技術であ る気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を提案したのである。しかし、筆者が提案する気筒休止エンジン(特許 公開2005-54771)の技術は、大型エンジン用過給機の半分の容量の過給機を2台に増やす必要があるために多少 のコストアップを伴うことから、コストアップを嫌うトラックメーカから無視されたのではないだろうか。その結果、多くの 大型トラックメーカは、表14に示したような大型トラックの多くの車種において、2015年度重量車燃費基準に適合でき ていない車種を販売せざるを得ないと云う、大型トラックメーカとしては不様な商品構成の様相を呈してしまったので ある。
幾度もの繰り返しとはなるが、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラック用ディーゼルエンジンの
燃費を5%程度が改善できる技術である。一方、最近の自動車技術会や日本機械学会で発表され技術を見ると、筆 者の見落としがあるかも知れないが、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)と同等レベルの燃費改善を可能に する技術の発表・報告や提案が無いように見えるのである。現時点では、大型トラック関連の燃費削減の技術開発 が遅々として進んでいないのではないだろうか。筆者のような業界の情報に疎い者から見る限り、大型トラックメーカ は、2015年度までに全ての大型トラック・トラクタの全車種を2015年度重量車燃費基準に適合させる技術が準備でき ているようには思えないのである。そのような状況にあるにもかかわらず、トラックメーカの専門家は、5〜10%程度 の重量車モード燃費値の改善が可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を、頑なに無視し続けてい るのだ。筆者には、実に不思議なことに思えて仕方がない。
13.今後のNOx規制の強化内容
13−1 中央環境審議会の第十次答申に示された大型トラック・バスのNOx規制の強化
今後の排出ガス規制の強化について、2010年に7月28日に中央環境審議会から環境省に第十次答申が行われ
た。この第十次答申によると、GVW7.5トン超えの大型トラック・バスのNOx規制の強化は、表21に示した通り、次期 のNOx規制値 = 0.4 g/kWh であり、2016年に実施が予定されているとのことである。
この次期のNOx規制値(ポスト・ポスト新長期)の排出ガス試験では、以下に示した試験法の変更が行われるとの
ことである。
@ 技術開発コストの軽減等に資するため、現行の排出ガス試験サイクル(JE05 モード)を、我が国も参画のもと国
連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29」という。)において策定された世界統一試 験サイクルであるWHTC(World Harmonized Transient Cycle)に変更する。
A 排出ガス後処理装置の浄化率が低いエンジン冷間時の排出ガスの低減を図るため、従来のエンジン暖機時(ホ
ットスタート)排出ガス試験に加え、エンジン冷間時(コールドスタート)排出ガス試験を導入し、コールドスタート排出ガ ス試験による測定値を14%の比率で、また、ホットスタート排出ガス試験による測定値を86%の比率で、それぞれ重 み付けして合計した値を排出ガス測定値とする。
特に、コールドスタート排出ガス試験については、これまでの排出ガス規制の強化により、ホットスタート時の排出ガ
ス量は、非常に低いレベルとなりつつあり、今後、コールドスタート時の排出ガス量が相対的に大きくなると考えられ とのこと。したがって、ホットスタート時の排出ガス測定値のみによる規制では、排出ガスを有効に低減できないと考 えられるため、次期排出ガス規制においては、コールドスタート時の排出ガス試験を導入することが適当との理由で ある。
さて、上記の表21の次期のNOx規制値は、2005年の第八次答申にNOxの挑戦目標として示されていた 0.7 g/
kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWh)から0.4 g/kWhまでに不当に緩和された経緯について、これまでの中央環境審議 会の答申や(独)交通安全環境研究所の論文の概要を、以下の表Aに解り易くまとめた。
前述の通り、NOx規制については、環境省の中央環境審議会は、2005年4月の第八次答申には、ディーゼル重量車
について、0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWh)のNOxの挑戦目標が示されている。したがって、ポスト排出ガス 規制に続く2009年にNOx規制強化は、当然、このNOxの挑戦目標である 0.23 g/kWhになると多くの人が予想して いた。しかし、中央環境審議会の第十次答申(2010年7月28日に環境省に答申)では、2016年にディーゼル重量車 (7.5トン超えの新型車)の「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh」(=ホットスタート+コールドスタ ーのWHTCモード試験)の実施が答申された。しかしながら、ディーゼル重量車2016年NOx規制の0.4g/kWhは、不当 な緩和の欠陥規制に詳述しているように、日本のディーゼル重量車のNOx規制は、近い将来には、第八次答申の NOx挑戦目標と同等のNOx=0.23 g/kWh(=WHTCモード)のレベルに強化すべきことは明らかである。
13−2 次期のNOx規制の強化時における排出ガス試験法とNOx削減の難易について
下記の図15の日本の排出ガス試験法(JE05)、欧州の試験法(ETC)および米国の試験法(FTP)のそれぞれの試
験中のエンジン負荷と回転速度の分布を見ると、が欧州の試験法(ETC)や米国の試験法(FTP)に比べ、日本の試 験法(JE05)でのエンジン負荷はかなり低いことが理解できるできる。このことは、欧米のトラックは、国内のトラック に比べてエンジンの高負荷が多用される走行であると考えて間違いないと推測される。 ![]()
そのため、日本の排出ガス試験法(JE05)の尿素SCR触媒入口の排気ガス温度は、欧州の試験法(ETC)および
米国の試験法(FTP)のそれぞれの試験中の尿素SCR触媒入口の排気ガス温度よりも低い傾向にあることが容易に 予想できることである。実際、現行の排出ガス試験法であるJE05 モード試験では、以下の図16に示したように、尿 素SCR触媒等の排出ガス後処理装置の入り口における排出ガスの平均温度は、197℃であり、JE05モード排出ガ ス試験の約半分の時間が200℃以下の温度温度である。 しかも、尿素SCR触媒入口の排気ガス温度が200℃以 下の場合には、尿素SCR触媒におけるNOx削減率が急激に低下する特性を持っているのである。そのため、欧州の 試験法(ETC)および米国の試験法(FTP)に比較し、日本の排出ガス試験法(JE05)ではSCR触媒入口付近の排気 ガス温度が低くなり、尿素SCR触媒によるNOx削減率が低下してしまう問題を抱えているたのである。 ![]()
このように、現行のディーゼルエンジンのJE05モード排出ガス試験においては、尿素SCR触媒の入り口における排
気ガスの温度が排出ガス試験の約半分の時間が200℃以下の温度に低下してしまうために尿素SCR触媒でのNOx 削減率が著しく低下し、尿素SCR触媒による十分なNOxの削減が困難な状況に陥っていたのが、これまでの我が国 の現状であった。
ところが、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次答申)では、次期のNOx規制の排出ガス試験
法(2016年末までに実施予定)は、「現行の排出ガス試験サイクル(JE05 モード)を、我が国も参画のもと国連欧州経 済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29」という。)において策定された世界統一試験サイク ルであるWHTC(World Harmonized Transient Cycle)に変更する」とのことである。
この「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次報告)」の中でWHTC試験法については、『運転領
域について、WHTCは、JE05モードと比較して高回転高負荷まで広がっているが、JE05モードの高回転中低負荷領域 のうち一部カバーできていない部分がある。これは、試験サイクル後半の高速走行部分の負荷の違いによるもので あるが、それぞれの運転領域は、大きく相違するものではない。』と記載されている。
しかし、図17のWHTC試験法における2種類のエンジン(12.91リットル、4.01リットル)の回転数・負荷頻度分布図に
示したように、WHTC試験法は従来の排出ガス試験サイクル(JE05 モード)よりも高負荷の運転領域が広くなっている ことは明らかである。そのため、WHTC試験法の排出ガス試験中の尿素SCR触媒の入口の排気ガス温度がJE05 モ ードよりも高温になる頻度が増加することが確実である。 ![]()
このように、WHTC試験法での排気ガス温度は従来のJE05 モード試験の排気ガス温度より高温となる運転領域が
広いため、WHTC試験法での排出ガス試験では、現行の排出ガス試験サイクル(JE05 モード)の排出ガス試験の場 合よりも尿素SCR触媒を高いNOx削減率に維持できるのである。つまり、現行の排出ガス試験サイクル(JE05 モー ド)の排出ガス試験に比べて、WHTC試験法での排出ガス試験は、尿素SCR触媒によって多くのNOxを削減できると 考えられるのである。その結果、WHTCで測定されたNOx排出値は、従来のJE05 モードで排出ガス試験で得られた NOx排出値よりも大幅に低い値までに簡単に削減できるようになるものと予想される。
ところが、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次答申)では、2016年の排出ガス試験法では
NOxが増加するコールドスタート排出ガス試験が追加されるために第八次答申に提示されていたディーゼル重量車 のNOx排出量を09年規制(0.7g/kWh)の1/3程度とする挑戦目標値を、次期のNOx規制値 = 0.4 g/kWh 緩和した とのことである。しかし、2016年の排出ガス試験法に採用される予定のWHTC試験法での排出ガス試験では、現行の 排出ガス試験サイクル(JE05 モード)の排出ガス試験の場合よりも尿素SCR触媒によって容易に多くのNOxの削減 ができる可能性も否定できない。したがって、2016年の排出ガス試験法では、NOxが増加するコールドスタート排出 ガス試験が追加されるものの、その一方では尿素SCR触媒によって多くのNOxの削減ができるWHTC試験法が採用 されるため、2016年の排出ガス試験法に採用されるWHTC試験法においては、NOxが単純に増加するとは筆者には 考えられないのである。
以上のように、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次報告書)に記載されている「新たなコー
ルドスタート排出ガス試験によるNOxの増加は、新たなWHTC排出ガス試験における尿素SCR触媒によるNOxの削減 によって帳消しにできる可能性も否定できないと考えている。したがって、次期のNOx規制値は、005年の第八次答 申にNOxの挑戦目標として示されていた 0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWh)から実質的に大幅な緩和が行わ れたのでは無いかと思っている。このことについては、何の試験データも有していない筆者の単なる想像でしかない が、これについて専門家の意見を伺ってみたいものだ。
14.ディーゼル燃焼の改善では、大幅な燃費向上が困難な状況
14−1 NEDOの「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」では、燃費悪化の大失敗
ディーゼルエンジンの燃費とNOxの削減については、多方面で研究が実施されているが、最近の有名な研究プロジ
ェクトは、図18に示した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の革新的次世代低公害車総合技術開発(ク リーンディーゼルプロジェクト、2004〜2009年)だ。この燃費改善とNOx削減の研究は、8億6千5百万円の予算で実施 された「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の大型プロジェクトである。この研究開発では、3段過給システ ムと300MPaの超高圧燃料噴射による高平均有効圧化、およびカムレスシステムを組み込んで「PCI(Premixed. Compression Ignition combustion)燃焼」【HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignitionnen)燃焼とも云う】の領 域を拡大し、これによって、NOxをポスト新長期の1/3低減しつつ、燃費を現状から10%改善する目標を実現しようと するものであった。勿論、このようなエンジン仕様は、エンジンのコスト増加や重量増加を全く考慮しないで将来の実 用化を無視した上での純粋に技術の可能性を追及する研究開発であったためと考えられる。そして、この研究開発 には当初より8億円以上の膨大な予算が検討されていていたことから、この研究開発が開始された2004年当時、 「PCI燃焼」の多くに信者は、ディーゼルのNOx削減と燃費改善の課題が一挙に解決できると期待していたものと考え られる。 ![]()
この8億円以上の膨大な予算を注ぎ込んで鳴り物入りで実施された「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開
発」の研究開発に採用された燃費と排出ガスを改善技術は、以下の通りである。
@ 新燃焼技術(PCI燃焼):安定したPCI燃焼、PCI燃焼領域拡大
A 超高圧噴射システム:300MPa (高圧噴射ほど噴霧内の当量比分布が均一化)
B カムレスシステム:吸・排気弁の開口面積の最適化(可変バルブ機構)
C 過給システム:3段過給
D エンジン/後処理のシュミレーションによる最適化と統合的制御
E 燃料:セタン価・蒸発性
F 触媒反応熱を利用した触媒装置:DPF+DeNOx
G 排出ガス成分(CO等)を利用したDeNOx触媒:
ところが、この「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」は、肝心の燃費改善については惨憺たる結果で終わ
ってしまったようだ。その証拠としては、これまでの多くのNEDOの研究開発の例と異なり、この研究開発では当初の 目標と最終結果との燃費改善が余りにも乖離し過ぎているからである。このプロジェクトでは2015年度重量車燃費基 準よりも10%の大幅な燃費改善を目標に掲げながら、最終結果では、2015年度重量車燃費基準よりも2%も燃費 が悪化してしまったのである。
このように、この研究開発の実際の最終結果は、図19に示したように、NOxは目標を達成したが、現在の省エネル
ギー・省資源・低CO2の時代に求められている肝心要の燃費改善は目標の10%削減には全く及ばず、2015年度重 量車燃費基準に対して2%の悪化となってしまったのである。現行の大型トラックが2015年度重量車燃費基準に適合 していることから、「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」における2015年度重量車燃費基準に対して2%の 燃費悪化は、この研究開発が見事なまでの大失敗に終わったと云えるのではないだろうか。 ![]()
この「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の研究開発では、10リットルのエンジンで従来の13リットルの
エンジンの標準レベルの出力を得るために必要となる吸入空気量を確保することは勿論であるが、更に高い空気過 剰率での運転を可能にしてPMの削減とNOx削減の切り札であるPCI燃焼」の運転領域を拡大するために3段過給シ ステムが採用されたようだ。この3段過給システムでは、給気量は増加できるが、総合効率の実力が50〜60%程度 と見られるターボ過給機を3台も連結して過給する場合には、ポンピング損失を増加させるは明らかである。この3段 過給システムでは、従来の単段の過給ディーゼルエンジンよりも燃費が悪化してしまう原因になることは、容易に予 想できることである。
また、この研究開発では、少しでもPM削減を図るためと燃焼改善を期待して、300MPaの超高圧燃料噴射が採用さ
れたと考えられる。しかし、燃料の高圧噴射では、噴射系の駆動損失による燃費悪化よりも燃焼改善による燃費向 上が少ない場合は、エンジン燃費の悪化の要因となることは、ディーゼルエンジンの開発経験者であれば誰でも熟知 していることである。このように、「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の研究開発は、計画段階において NOxの削減とPMの削減が実現することに期待することには何の異論も見当たらない。しかし、この研究開発の燃費 については、燃費改善が不確定要因の燃焼改善に期待するだけであり、その他の総合効率の実力が70%以下と見 られるターボ過給機を3台も連結した場合のポンピング損失の増加や、300MPaの超高圧燃料噴射の駆動損失の増 加によって燃費が著しくの悪化する可能性は、この研究開発の計画の初期から少しは予想する人も居たのではない だろうか。
したがって、「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の研究開発の当初目標の一つが現状から燃費を10%
の改善を目標にしたことは、単なる予算を獲得するための方便を使ったように思えるのだ。そして、この研究開発の 実際の結果は、図19に示したように、NOxとPMは削減できたが、燃費は2015年度重量車燃費基準2%の悪化となっ てしまったとのことである。このような、「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」におけるPCI燃焼を含めた燃焼 改善での燃費向上が不成功に終わった例を見ると、他のディーゼル燃焼の改善によって燃費向上を実現すること は、極めて困難であると、誰でも簡単に予想できるのではないだろうか。何度も引用するが、自動車技術会発行の 「自動車技術」誌Vol.64、No.1、2010(2010年1月1日発行)の飯田訓正 慶応の大教授 他3名著の「ディーゼルエン ジンこの10年」にはディーゼルエンジンのCO2削減(=燃費削減)が「大きな挑戦課題」と断定し、燃焼改善によるデ ィーゼルエンジンの燃費削減が「技術的に八方塞がりの状況」との趣旨が記載されているのは、このNEDOの「超高 度燃焼制御エンジシステムの研究開発」(2004〜2009年)での燃費悪化の研究結果を踏まえての記述とも考えられ る。
このように、燃焼改善による燃費削減が大きな壁に突き当たっている現状に鑑み、燃焼改善以外の方法によるディ
ーゼルエンジンの燃費向上を可能にするために、筆者は気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を大型ト ラックに採用することを提案している。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は燃費改善と共にNOx 削減も可能であるため、NOxはポスト新長期の1/3低減(= 0.23 g/kWh)を達成しつつ、燃費は2015年度重量車燃 費基準から5%改善が実現できる「願ったり、叶ったり」の技術である。そして、筆者は2006年4月7日に本ホームペー ジを開設して以来、継続して気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術内容の周知に努め、この技術による 燃費改善とNOx削減に有効であることを細々と訴えているのである。当然のことながら、一般個人の筆者が提案する 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は無視される一方、世の中では、前述のように、8億円以上もの予 算を注ぎ込んで実施されたNEDOの「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」(2004〜2009年)では、燃費改善 に何の成果も上げられずに失敗している。しかも、現時点で多くのトラックメーカでは、ディーゼルエンジンの燃費改 善技術が開発できていないことから、7段マニュアルトランスミッの13リットル標準エンジン搭載大型トラック・トラクタ の多くの車種が2015年度重量車燃費基準に不適合と云うような、不様な状況に陥っているのではないだろうか。
14−2 PCI(=HCCI)燃焼の唯一の特長・効果は、JE05モードでの1%程度の燃費改善
近年、ディーゼルエンジンの分野で新しく登場した「PCI 燃焼(Premixed. Compression Ignition combustion燃焼:予
混合圧縮着火燃焼)は、「HCCI 燃焼(Homogeneous-Charge Compression Ignitionnen燃焼:予混合圧縮着火燃焼)」 とも称せられ、革新的な燃焼としてこれまで注目を集めてきた技術である。PCI (=HCCI) 燃焼は、20年以上も前から 自動車メーカ・研究機関・大学等で盛んに研究開発が実施されてきた技術だ。数年前に酒席で現役のディーゼルエ ンジン技術者から「現在のディーゼル燃焼研究はPCI (=HCCI) 燃焼が主流であり、大昔にディーゼルエンジンの研 究開発を退いた筆者にはPCI (=HCCI) 燃焼の開発経験が無いためにエンジン技術屋の骨董品(=過去の人)」と言 われ、時代の流れを感じたものだ。そのPCI (=HCCI) 燃焼に関する興味深い研究論文が、(社)自動車技術会の「自 動車技術 Vol. 65、No. 3、2011」に掲載の「ディーゼルエンジンにおけるPCI燃焼適用時のエンジン制御技術」(2011 年3月1日発行、著者:中山真治、田邊圭樹 [三菱ふそうトラック・バス馨)だ。
この「自動車技術」誌の三菱ふそうの論文には、図20に示した「燃料噴射時期とEGR率の調整する通常燃焼のJE
05モードの燃費」と「通常燃焼とPCI 燃焼を組合せたJE05モードの燃費」の比較図がされていた。この図17による と、NOx値(JE05モード)= 2.0 g/kWh では、通常燃焼とPCI 燃焼の燃費は同等であるが、NOx値(JE05モード)= 1.0 g/kWh では、PCI 燃焼の燃費は通常燃焼よりも1%の削減ができるとのことだ。これについて、本論文では「PCI 燃焼を適用した結果、NOxレベルが 1.5 g/kWh 以下の低NOx側では、1%低燃費が得られた」とし、「PCI 燃焼の適 用は、NOxレベルが低い場合には燃費改善の可能性がある」と誇らしげに記載されている。 ![]()
このように、本論文では、「1.0 g/kWh =NOx値(JE05モード)において、通常燃焼に比較してPCI 燃焼(=HCCI 燃
焼)の燃費が1%の削減」との試験データを根拠に、「PCI 燃焼は、NOxレベルが低い場合には燃費改善の可能性が ある」と結論づけられている。この結論について筆者は、少々、疑問に感じられるのである。元エンジン技術屋の筆者 は、昔の経験から、試験時の燃料性状や気象条件等の変動によってエンジン燃費の測定値が1%程度の測定誤差 を生じるものと認識している。したがって、1%程度のエンジンの燃費改善は、測定誤差の範囲内のように思えるの だ。そのため、この論文では、「NOxレベル=1.0 g/kWh (JE05モード)の低い場合でもPCI 燃焼によるJE05モード の燃費改善は余り期待できない」と記載するのが適切なように考えている。なお、このPCI (=HCCI) 燃焼は、前述の 低燃費と低NOxのディーゼルエンジンの目的としたNEDOのクリーンディーゼルプロジェクト[2004〜2009年]にも組み 込まれた研究開発を実施され、その結果報告では図19に示したように2015年度重量車モード燃費基準に比べて 2%の燃費が悪化したと記載(出典:http://app3.infoc.nedo.go.jp/gyouji/events/FK/rd/2008/nedoevent.2009-02- 16.5786478868/shiryo.pdf)されている。したがって、この報告からも、PCI (=HCCI) 燃焼は、ディーゼルエンジンの燃 費向上に寄与できない技術であることが容易に推測される。
もっとも、最近の三菱ふそうでは、気象条件や燃料性状が変動した場合でも1%の燃費測定の有意差を正確に計
測できる高精度のエンジン燃費測定の技術や試験設備を完備されているのだろう。そして、エンジン燃費を高精度に 測定できる技術的なバックグランドがあることからこそ、三菱ふそうは、NOx値= 1.0 g/kWh においてPCI 燃焼の燃 費が通常燃焼よりも1%の削減をできる試験データを発表しているものと考えられる。しかし、この試験データの見方 を変えて客観的に評価すると、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の技術では、NOx値= 1.0 g/kWh においてPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の燃費(JE05モード)は通常燃焼に比べて僅かに1%程度しか向上できていないと言えるのである。このこと から、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)では、測定誤差と思しき燃費向上の特長・効果しかないと断定することができるのだ。
このように、「自動車技術 Vol. 65、No. 3、2011」に掲載されている三菱ふそうトラック・バス鰍フPCI 燃焼(=HCCI 燃
焼)に関する論文を見ると、PCI 燃焼では、僅か1%程度のエンジン燃費改善(JE05モード)に過ぎず、この1%程度 のエンジン燃費改善(JE05モード)がPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の唯一の効果・特長のようだ。この論文を一読された エンジン技術者・学者であれば、ディーゼルエンジンの燃費向上技術の一つにPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)を加えること については、恥ずかしくて躊躇されるのではないだろうか。そして、これまで「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)こそがディーゼ ルの究極の燃焼」と絶賛されていた多くのディーゼル関係の学者や技術者の御意見を伺ってみたいものだ。
少し以前のことではあるが、酒席の場で現役ディーゼル技術者から「遠い昔に退職した筆者のようなディーゼル屋
は、PCI (=HCCI) 燃焼の開発経験が無いために、既に骨董品(=過去の人)だ」との指摘を受けたことがある。そし て、常に不安定な着火問題が伴うPCI (=HCCI) 燃焼がディーゼルの飛躍的な発展に寄与する最先端技術と心酔し ている現役ディーゼル技術者について、筆者は「このディーゼルエンジン技術者の幼稚さ」を感じたものだ。
さて、本論文では、NOx値= 1.0 g/kWh におけるPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の僅か1%程度の燃費削減を根拠にし、
「5.まとめ」では、「使用環境や仕向地の燃料性状の変化に応じられるようにエンジン制御が最適化できれば、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の実用化も間近である」と記載されている。これらのことから、三菱ふそうは、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)が実用化できると本気で考え、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)を将来のディーゼルエンジンの燃費削減の重要な技術 と位置づけているように感じるのは、筆者だけであろうか。
ところで、詳細は省くが、PCI 燃焼は、制御されたノッキングと言える燃焼であるため、軽油のセタン価のよう
な燃料性状や大気の温度条件に大きく影響される特性がある。そのため、この技術を大型トラック・トラクタに採 用した場合には、厳密に言えば市場での実用走行においては問題が発生するのではないかと云われている。仮に、 三菱ふそうが僅か1%程度の燃費削減にために大型トラック・トラクタに燃焼の不安定なPCI (=HCCI) 燃焼の技術を 採用した場合には、多くの大型トラック・トラクタは故障を起こすリスクを冒すことになると予想される。三菱ふそうが故 障リスクを冒してでもPCI (=HCCI) 燃焼の技術を大型トラック・トラクタに採用する理由を挙げれば、JE05モードの燃 費を僅か1%程度しか向上できないPCI (=HCCI) 燃焼以外に、三菱ふそうがディーゼルエンジンの燃費削減に有効 な技術を何も見出していないためとも考えられる。
因みにPCI (=HCCI) 燃焼は主に「燃料噴射時期を通常燃焼の場合よりも大幅に進角させる」だけで可能であるた
め、PCI (=HCCI) 燃焼に不適な燃料性状や大気条件の際には、緊急避難と称し、PCI (=HCCI) 燃焼のエンジン運 転領域であっても、即座に通常燃焼の燃料噴射時期を遅角させてPCI (=HCCI) 燃焼の不具合を解消することが可 能である。このように、本来のPCI (=HCCI) 燃焼のエンジン運転領域を通常燃焼の制御に切り替えた場合には、「若 干のNOx増加」と「1%程度の重量車モード燃費の増加」を招くが、PCI (=HCCI) 燃焼に不適な燃料性状や大気条件 の状況でも大型トラック・トラクタを通常燃焼で円滑に走行させることができるのだ。
このように、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)のディーゼルエンジンでは、PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)に不適な燃料性状や大気
条件ではPCI (=HCCI) 燃焼のエンジン運転領域を通常燃焼の制御で運転する緊急避難の制御をプログラムに組み 込み、必要に応じて自由自在に通常燃焼の制御でエンジンを運転することが可能だ。したがって、PCI (=HCCI) 燃焼 エンジンとして国土交通省のエンジン審査を受けて、「ポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)の適合」と「1%程度 の重量車モード燃費の向上」の仕様書の大型トラック・トラクタとして国土交通省の認可を得た後、大型トラック・トラク タの市場での多くの実走行時には通常燃焼で円滑に走行させるようにするようにエンジンを制御することも可能と考 えられる。仮に、トラックメーカがPCI (=HCCI) 燃焼の技術を大型トラック・トラックに採用する際に、このような姑息な エンジン制御を採用した場合には、一般の市民から厳しく指弾されることは明らかだ。したがって、トラックメーカが大 型トラック・トラクタにPCI (=HCCI) 燃焼の技術を採用する場合には、緊急避難の名目で本来のPCI (=HCCI) 燃焼の エンジン運転領域を通常燃焼の制御に頻繁に切り替える制御が稼動してしまう可能性がある。このようなことになれ ば、名目上ではPCI (=HCCI) 燃焼の技術が実用化されたとしても、実用面では無きに等しい技術と云えるのではな いだろうか。
なお、このPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の技術は、燃料噴射時期を過早に制御することが主体であるため、コストアップ
が少ないことが利点であるが、燃費改善も測定誤差範囲内の極めて少ないものである。所謂、「安かろう・悪かろう」 の典型的な燃費向上技術だ。これに対し、筆者が提案する気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)は、 重量車モード燃費値や実走行燃費が5〜10%も改善できる機能の他に、JE05モード排出ガス試験でのエンジン運 転頻度の高い部分負荷時のSCR触媒入り口温度を高温化できるために尿素SCR触媒でのNOx削減率を大幅に 向上できる優れた機能をも備えているが、若干のコスト高を伴うのが「玉に傷」である。
現在、2015年度重量車燃費基準の強化に適合させる技術を開発する必要性に迫られておる各トラックメーカの
技術者は、少しのコスト高を伴うために、5〜10%の燃費を向上してNOxも十分に改善できる気筒休止ディーゼルエ ンジン(特許公開2005-54771)を頑なに無視している。その一方で、1%程度の燃費しか改善できないPCI 燃焼(= HCCI 燃焼)の技術を実用化することに執着しているようだ。このようなPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)の技術を崇拝する各 トラックメーカの技術者の様子を見ていると、「戦争中の精神論で敵を倒す思想」である竹槍(=PCI 燃焼=HCCI 燃 焼)を使って敵の戦車(=2015年度重量車燃費基準の強化)を撃退(=燃費基準の強化に適合)する考え方に似て いる。このような精神論では敵の戦車(=2015年度重量車燃費基準の強化)を撃退(=燃費基準の強化に適合)す ることが困難なことは明らかだ。そこで、対戦車ロケット(気筒休止ディーゼルエンジン[特許公開2005-54771]の技 術)を発射(=大型トラック・トラクタに採用)して敵の戦車(=2015年度重量車燃費基準の強化)を撃退(=燃費基 準の強化に適合)が実現できるのである。このようなことは戦争(=大型トラックの燃費向上)では常識ではないだろう か。低コストの竹槍(=PCI 燃焼=HCCI 燃焼)で敵の戦車(=2015年度重量車燃費基準の強化)を撃退(=燃費 基準の強化に適合)することができると考えるのは、全く馬鹿としか言いようがない。
したがって、2015年度重量車燃費基準の強化に適合させるためには、若干のコストアップを伴うが、重量車モード
燃費値を5〜10%も改善できる気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用することが最適 であることは、常識的に考えれば明らかなことだ。しかし、各トラックメーカの技術者は、低コストであるが故にPCI 燃 焼(=HCCI 燃焼)の技術で大型トラック・トラクタの2015年度重量車燃費基準の強化に不適合の車種を無くしたいよ うであるが、所詮、無理ではないだろうか。誠に滑稽な話ではあるが、各トラックメーカの技術者は、新興宗教の信者 のように「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の経典・聖書を盲信しているのであろう。何はともあれ、各トラックメーカの多くの 技術者が不安定な着火を伴うPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)を「革新的な未来の燃焼技術」と信じて疑わないところは、 「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の新興宗教にマインドコントロールされてしまっているようであり、救い難いことであると考 えられる。
因みに、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の新興宗教では、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」が燃料噴射時期の早期化
だけでコスト増加が殆んど皆無でありながら、燃費向上とNOx削減の成果が得られる夢のような燃焼であると
経典・聖書に謳ってあると見なせば、辻褄が合いそうだ。そして、この「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の新興宗教は、
日本のエンジン関係の学者・専門家・技術者の人達の中で、1995年頃から急激に増え始めたようだ。
そして、この「PCI 燃焼(=HCCI燃焼)」の素晴らしさについて、これまで約20年間にわたって信者同士が延々と飽き
もしないで楽しく議論・討論を行ってきたようである。しかし、現時点では、燃費向上とNOx削減に関し、目立った
成果は得られていないようである。しかし、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」教の信者にとっては、「PCI 燃焼(=HCCI
燃焼)」における実用上の有効性が何も確認できていなくても、新興宗教の信者であることに特別の満足感を
味わっているように思えるのである。
仮に、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の技術がディーゼル円の燃費改善やNOx削減に有効な技術であれば、最近
のPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の特許出願や論文発表が益々、増加している筈である。ところが、特許庁の
「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要)自動車エンジン技術」平成27年3月(https://www.jpo.go.jp/
shiryou/pdf/gidou-houkoku/26_9.pdf)を見ると、下図のように、2012年ではPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の特許出願や
論文発表が明らかに激減しているのである。
この平成27年3月の特許庁の「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要)自動車エンジン技術」に
示された結果から、現時点(=2016年2月現在)においては、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」がディーゼルエンジンの
燃費改善やNOx削減に無効な技術であることを示す証拠の一つではないかと。
このディーゼルエンジンの「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の技術は、約20年程以前にディーゼル燃焼の先進技術
として「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」が提案されたことを受けて、この先進技術の開発に多くの学者が意気揚々と我先
に着手したようである。世界中で膨大な研究費と人員が投入された研究開発が実施された。しかし、多くの学者・
専門家の多大な努力により、最近ではディーゼルエンジンの「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」は、自動車用ディーゼル
エンジンで実用化が不可能であることが明らかになってきたようである。まさに、「大山鳴動して鼠一匹度」の諺の
通りの顛末と言えるのではないだろうか。その原因は、現行の自動車用ディーゼルエンジンでは大気温度が大きく
変化する状況においても常に安定した自己着火を可能とする燃焼システムであることが必須であるが、世界の
各地域や季節変動によって生じる大気温度が大きく変動する現状では「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の超希薄混合気
は安定した着火が困難(=失火現象の頻発)なために円滑にエンジンを運転できない根本的な技術上の欠陥の
ためと推測される。
そのため、これまでの「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」を先進に燃焼技術として声高に推奨してきた多くの学者は、
「我、昔からPCI 燃焼(=HCCI 燃焼)を関知せず」との態度を取り始めたようである。これを見ると、日本の多くの
ディーゼルエンジンに関係する学者・専門家が一斉に「手のひら返し」をする行動は、見るに絶えない無責任の
極みのように思うが、如何なものであろうか。本来ならば、「PCI 燃焼(=HCCI 燃焼)」の技術について、自動車用
ディーゼルエンジンでの実用不能な欠陥の詳細な説明・解析の発表が行われて然るべきと考えられるが・・・・・・・。
自動車技術会の「2010年人とくるまのテクノロジー展」(2010年5月19〜21)で世界的な研究機関であるAVL(オー
ストリア)のヘルムート・リスト会長が講演し、ディーゼルエンジンの燃費向上には、「コンピュータ設計技術をうまく使 う」との説明を追加して「フリクションロス(摩擦損失)の低減」と「シリンダー内の燃焼改善」のエンジン工学の教科書 に記載されている二つの技術項目によって25%の効率向上が可能と発表しているが、具体的な技術内容は何も示し ていないようだ。これは、世界的な研究機関のAVLが具体的な技術内容を何も示さずに、ディーゼルエンジンの効率 向上の単なる希望を述べているに過ぎないのだ。AVLは全く寂しい内容の講演を行ったものだ。
また、AVLは、具体的なディーゼルの効率向上の方法として「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーターを付
けることで、6 - 7%ほど効率を上乗せできる」と発表しているが、これはディーゼルエンジンの排気ガスの熱エネルギ ーをランキンサイクル、排気ガスタービンまたはスターリングエンジン等で動力に変換し、この動力で発電機を駆動し て電気エネルギーを回収する装置を付加したものと考えられる。この「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバータ ー」は、火力発電所や大型船舶ではディーゼルエンジンが定格出力で運転されるために常に高温の排気ガスを排出 するために高い効率で稼働できるため、既に火力発電所や大型船舶において広く普及している装置である。しかし、 大型ディーゼルトラックは常にエンジン出力が変動する上に部分負荷の運転で低い排気ガス温度となることが多いた め、大型トラックに「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」を搭載した場合には効率が著しく劣ってしまうこ とになる。そのため、大型トラックにこのコンバーターを搭載しても十分な燃費の向上は難しい。したがって、AVLがこ のコンバーターの搭載によって大型トラック用ディーゼルエンジンの効率を6 - 7%ほど改善できるとの講演での発表 は、大きな誤りではないだろうか。
このAVLが推奨する「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」は、大型ラックの走行で多用されるディーゼ
ルディーゼルエンジンの部分負荷運転時には排気ガス温度が低く、排気ガスの熱を電気エネルギーに変える際の効 率が劣る欠点がある。この欠点(=欠陥)を改善するためには、ディーゼルエンジンの部分負荷運転時の排気ガス温 度を高温化する新たな技術を追加することが必要である。したがって、AVLの提案のように、「排気熱を電気エネル ギーに変えるコンバーター」を単に大型トラックに搭載しただけでは、大型トラックの十分な燃費向上は望めないので ある。仮にAVLが大型トラックの燃費向上のために「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」を大型トラック に搭載することを提案したいのであれば、大型ラックの走行で多用されるディーゼルディーゼルエンジンの部分負荷 運転時に排気ガス温度を高温化する技術を最初に提案すべきではないかと考えられる。ディーゼルエンジンの部分 負荷運転時に排気ガス温度を高温化できる技術を何も提示しないで「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバータ ー」を大型トラックに搭載するとのAVLの講演での提案は、筆者には愚の骨頂と思えるのだ。AVLがこのような講演 発表をしているところを見ると、ディーゼルエンジンの燃費向上についてはAVLも技術アイデアが枯渇し、大きな壁に 突き当たっているように考えられる。そして、そのようなAVLに多くのトラックメーカが大型トラック用ディーゼルエンジ ンの燃費向上のコンサルティングを飽きもせずに受けている現状を考えると、今後の大型トラックには燃費向上に大 きな期待ができないと考えるのが妥当ではないだろうか。
このAVL推奨の「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」が大型トラック用として実用に耐えうる高い効率
で稼働できるようにするためには、大型ラックの走行で多用されるディーゼルディーゼルエンジンの部分負荷運転時 での排気ガス温度の高温化を図ることが必要である。その方法として、このコンバータを採用する場合には、筆者提 案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を用いるこが必須と考えている。逆な言い方をすれば、 AVL推奨の排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーターのシステムに筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)の特許技術を用いない場合には、効率の向上が望めないのである。そのため、AVLが提案する「排気 熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」のシステムでは、重量車モード燃費の向上が十分でなく、実用性に欠け た技術と考えられる。ディーゼルエンジンの熱効率の向上を図る技術として、AVLがこの「コンバーターのシステムを 提案したいのであれば、ディーゼルエンジンの部分負荷運転時の排気ガス温度を高温化する技術である筆者提案 の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の採用も同時に提案すべきである。
因みに、AVLは「排気熱を電気エネルギーに変えるコンバーター」ではディーゼルエンジンの排気ガスからエネルギ
ーを回収して6 - 7%(重量車モード燃費?)の効率を上乗せするとの発表を行っているが、このAVL提案のコンバー ターが稼働した際の効率は極めて低いと予想されるため、このコンバーターを大型トラックに搭載した場合には、実 際に大型トラックの重量車モード燃費で6 - 7%ほどの燃費を上乗せすることは極めて難しいものと考えられる。これ については、AVLは無責任な効率向上の数値を発表をしているのではないかと感じている。
また、AVLがこの講演で提案しているもう一つの効率向上の技術がエンジンダウンサイジングである。このエンジン
ダウンサイジングは、古くから良く知られた燃費向上の技術であり、大型ディーゼルトラックのメーカがこれまで競って 開発を実施してきた技術であるため、技術的には何の目新しさも無い燃費向上の手法である。
以上のように、世界的な研究機関であるAVLの2010年5月の講演での提案は、ディーゼルエンジンの効率向上に
ついては古典的な既知の技術に限られており、技術的な目新しさは無い。そして、大型トラックの燃費向上に実際に 役立ちそうな新しい技術が何一つ見当たらないのである。それにもかかわらず、現在、日本の多くのトラックメーカが 有償でAVLからディーゼルエンジン等の技術コンサルティングを受けているようであるが、AVLのコンサルティングの コストパーフォーマンスは如何なものであろうか。
14−4.交通研のスーパークリーンディーゼルエンジン研究の燃費向上は、失敗の予感
独立行政法人 交通安全環境研究所では、表22にしたように、2010年11月24(水)・25日(木)に「交通安全環境研 究所フォーラム2010」と称する技術発表の講演会が開催されたようだ。この講演会には、我が国を代表する多数の 交通関係の学者・専門家が出席され、今後の普及が期待される次世代自動車についての技術発表とそれらに関す る議論が行われたとのことである。
この(独)通安全環境研究所の講演発表会では、「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンにおける新展開」と
題した大型トラック用ディーゼルエンジンの燃費向上を狙った研究開発の論文が報告されている。この論文を拝読さ せていただいたところ、記述の内容に多くの疑問点が目に付いたので、表23にまとめた。
る新展開」では、「2段シーケンシャル過給機」&「排熱回収システム(ターボコンパウンド)」&「超高圧コモンレール」 の技術を用いて2015年度重量車燃費基準を10%も燃費向上した 4.5 km/リットルの重量車モード燃費の大型トラ ック(GVW25トン)を平成23年度に実現する予定と宣言されている。しかし、「2段シーケンシャル過給機」&「排熱回 収システム(ターボコンパウンド)」&「超高圧コモンレール」の各技術は、何れもディーゼルの燃費改善の効果が殆ん ど期待できないシステムである。したがって、平成23年度に重量車モード燃費が 4.5 km/リットルの大型トラック (GVW25トン)を実現する目標達成は失敗に終わるものと予想される。
この交通安全環境研究所のSCDエンジン論文の著者の一人は、新エィシーイーの青柳 友三氏である。因みに、新
エィシーイーは、自動車メーカーと部品会社が出資し、トラックメーカ4社(日野、いすゞ、UD、三菱ふそう)から研究者 が派遣されている研究所である。そして、新エィシーイーの常務取締役である青柳 友三氏は、新エィシーイーの常勤 幹部のトップであり、日常の新エィシーイーの研究活動を指揮されているものと推察される。この新エィシーエーでは、 本ページの 【12−3.叶Vエィシーイーが気筒休止の試験結果の発表を中止している理由は、何か?】の項に詳述 しているように、叶Vエィシーイーは、2004年にディーゼルエンジンの気筒休止の試験を実施し、この気筒休止にお ける燃費改善の効果を確認した試験データを取得しているようである。しかし、叶Vエィシーイーは、気筒休止の試験 が終了してから既に8年以上も経過しているにもかかわらず、気筒休止の燃費改善を確認できた試験結果を未だに 発表していないのだ。このように、叶Vエィシーイーの日常の研究活動のトップとして指揮されている青柳 友三氏は、 ディーゼルエンジンでの気筒休止が燃費改善に大きな効果を発揮できることを試験によって自身で確認されているに もかかわらず、その試験データを後生大事に机の引き出しに保管されているものと推察される。この状況を見ると、 叶Vエィシーイーの青柳 友三氏は、日本の大型トラックの燃費を少しでも向上させようとする学者・専門家としての本 来の使命・意識に欠けているいるように思えるが、如何なものであろうか。勿論、これについては、青柳 友三氏の勝 手といえば、それまでであるが・・・・・・・。
その一方において、新エィシーイーの青柳 友三氏は、ディーゼル燃費の大きな改善が期待できない「2段シーケン
シャル過給機」&「排熱回収システム(ターボコンパウンド)」&「超高圧コモンレール」の技術を組合せることにより、 2015年度重量車燃費基準を10%も燃費向上した 4.5 km/リットルの重量車モード燃費の大型トラック(GVW25ト ン)を平成23年度に実現すると宣言した交通安全環境研究所の「SCDエンジンの研究開発」のプロジェクトに参画さ れ、論文の著者に一人として名を連ねられているのである。しかし、交通安全環境研究所のSCDエンジンの研究開 発プロジェクトでは、燃費改善の効果が殆んど期待できない「2段シーケンシャル過給機」&「排熱回収システム(ター ボコンパウンド)」&「超高圧コモンレール」の技術が組み込まれ、燃費改善に大きな効果を発揮する「気筒休止」の 技術が組み込まれていないのである。この状況を見ると、新エィシーイーの青柳 友三氏は、この論文の共著者であ る交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏に対し、「気筒休止によってディーゼルエンジンの燃 費改善の効果を確認した試験データ」を何も開示されていない可能性があると考えられる。
仮に、2004年に新エィシーイーが取得した気筒休止の技術によってディーゼルエンジンの燃費を改善できた試験
データを新エィシーイーの青柳 友三氏が交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏に開示してい なかったことが事実であれば、新エィシーイーの青柳 友三氏は交通安全環境研究所が主体の「スーパークリーンディ ーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンを低燃費化するプロジェクト」の挫折・失敗を最初から 画策されていた可能性があると考えられる。つまり、新エィシーイーの青柳 友三氏は、交通安全環境研究所の専門 家に対し、大型トラックの実走行燃費や重量車モード燃費の改善に大きな効果が期待できない「2段シーケンシャル 過給機」&「超高圧コモンレール」や、気筒休止は、ディーゼル排気ガスのエネルギー回生装置の効率を向上のペー ジに詳述しているように、気筒休止の技術を組み合わせない場合には大型トラックの実走行燃費や重量車モード燃 費の改善に大きな効果が期待できない「ターボコンパウンド」の技術を低燃費技術として交通安全環境研究所の専 門家に推奨していた可能性も考えられる。その一方で、新エィシーイーの青柳 友三氏は、叶Vエィシーイーが2004 年にディーゼルエンジンの気筒休止の試験を実施して重量車モード燃費の改善効果を確認した試験データを交通安 全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏に開示していない可能性も考えられる。
以上のようなことが仮に事実であれば、交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏は、交通安全
環境研究所のSCDエンジンの研究開発プロジェクトに失敗に導くための(株)新エィシーイーの青柳 友三氏の謀略に 引っかかった馬鹿なピエロを演じていることになると考えられる。その場合には、交通安全環境研究所の専門家に対 しては、哀れと云う言葉しか当てはまらないのではないだろうか。そうは言っても、このような詐欺的なことが本当であ った場合、騙した側の新エィシーイーの青柳 友三氏が批判されることは勿論であるが、騙された側の交通安全環境 研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏の方々もディーゼルエンジンの燃費改善技術についての知識・情報 収集の不足を恥じ入るべきであり、反省すべきことではないだろうか。
さて、実際のところは、新エィシーイーの青柳 友三氏は、交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル
(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンの低燃費プロジェクト」の初期の段階で、交通安全環境研究 所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏に対し、「2004年に新エィシーイーが取得した気筒休止の技術がディーゼ ルエンジンの燃費改善を確認した試験データ」を開示していたのであろうか。この気筒休止の試験データ開示の有無 について、筆者は交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏に是非とも確認してみたいものだ。
ところで、交通安全環境研究所の役割(=業務)は、図21の「交通安全環境研究所の役割」に示しているように、
「自動車の環境技術基準(強制基準=規制値)案の策定(=ルールメーカ=基準の作成者)」や「国の政策に対する 行政への技術支援」とのことである。 ![]()
以上の図21の記載によると、交通安全環境研究所は自動車の環境技術基準案の策定に重要な職責を負ってい
るとのことである。したがって、交通安全環境研究所の専門家が大型トラック用ディーゼルエンジンの低燃費化が困 難であることを本心から悟った場合には、国土交通省は2015年度重量車燃費基準の強化を大幅に遅延する可能性 あると考えられる。
現在実施中の交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼ
ルエンジンを低燃費化するプロジェクト」において、研究開発の目標である2015年度重量車燃費基準より10%を向上 した重量車モード燃費 4.5 km/リットルの 大型トラック(GVW25トン)が実現できずにプロジェクトが失敗に終わった 場合には、交通安全環境研究所の専門家(鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏)は、大型トラックの燃費改善が技 術的に困難であることを身をもって納得するこは間違いない。その場合には、国土交通省は2015年度重量車燃費基 準の強化は、交通安全環境研究所の専門家の意見が自動車の環境技術基準の策定に反映されるとの図18の内 容から推測すると、大幅に遅延される可能性がある。
以上のような交通安全環境研究所の役割を熟知した上で、新エィシーイーの青柳 友三氏は、交通安全環境研究
所の専門家(鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏)に大型トラック用ディーゼルエンジンの低燃費化が困難であるこ とを悟らせて「国土交通省の2015年度重量車燃費基準の強化を大幅に遅延」させることを目的に、「交通安全環境 研究所のSCDエンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンの低燃費プロジェクト」に参加されたと推測することも 可能である。仮に、このことが事実であれば、新エィシーイーの青柳 友三氏の努力によって、交通安全環境研究所 の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンを低燃費化するプロジェクト」 を失敗に導ける可能性が無きにしも非ずだ。このように、「国土交通省の2015年度重量車燃費基準の強化」を大幅 に遅延させるために、新エィシーイーの青柳 友三氏は、自身の恥をさらすことを覚悟した上で、交通安全環境研究所 の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンを低燃費化するプロジェクト」 を失敗に終わらせる目的のためにこのプロジェクトに参加しているように見えるのである。この様子について筆者の 勝手な見方を開示させて貰うと、自爆テロと思しき行為に似ているように思えるのだ。果たして、新エィシーイーの青 柳 友三氏が交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクト」に参加されている 本当の目的は、何なのであろうか。気になるところである。
さて、大型トラックの2015年度重量車燃費基準の強化をする際の基準案の策定(=ルールメーカ)の職責を負う交
通安全環境研究所が実施する「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジン を低燃費化するプロジェクト」には、「国土交通省の重量車燃費基準の強化の大幅な遅延」を渇望・熱望していると考 えられるトラックメーカ出資の新エィシーイーが協力しているのである。このように、交通安全環境研究所の「スーパー クリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクト」は、大型トラックにおいての燃費を規制する側の交通安全環境研 究所(=国土交通省)と、燃費を規制される側の新エィシーイー(=トラックメーカの出資会社)との共同研究である。 仮に、国土交通省が国民の利益よりもトラックメーカの利益や意向を優先する意向を持っている場合には、交通安全 環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンによる大型トラック用ディーゼルエンジンを低燃費化する プロジェクト」は、研究開発の目標である2015年度重量車燃費基準より10%を向上させた重量車モード燃費 4.5 km /リットルの 大型トラック(GVW25トン)が実現できずにプロジェクトを失敗に終わらせることが本来の目的のように 考えられる。この「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクト」を失敗させることによって、交通安全環 境研究所と新エィシーイーは、2015年度重量車燃費基準の強化を先送りするために尤もらしく説明できる理由・根拠 のデータを完璧に揃えることができるのである。そして、このプロジェクトの失敗のよって得られた試験データを駆使 すれば、国土交通省は2015年度重量車燃費基準の強化に対応できる技術が未だに開発できていないと云うことを 尤もらしく説明できるのだ。これによって、政府(=国土交通省)は、近い将来、誰からも批判を受けること無く、大型ト ラックの2015年度重量車燃費基準の強化を堂々と遅延させることが可能となる。
そもそも、新エィシーイーの協力で実施されている交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エン
ジンのプロジェクト」は、我々の身近な市民生活での防犯の場合に例えれば、防犯関連の法律(刑法)を作成する警 察庁(国家公安委員会)が刑法で罰せられる泥棒と共同して市民の安全を推進するために刑法の罰則強化や新た な刑法を作成するための調査・研究を実施しているような構図にも見えるのである。このような刑法の罰則強化や刑 法作成の過程において、警察庁と泥棒との共同研究があった場合に、警察庁は「泥棒の手の内を知る」ために泥棒 の協力が不可欠との弁明を行ったとしても、筆者には不適切・不謹慎なように思えるのである。更に、この警察庁と 泥棒との調査・研究プロジェクトが泥棒の強い要求を受け入れて警察庁が刑法の罰則強化や新たな刑法作成の遅 延を目的としたものであれば、全く許されない行為であることは明らかだ。この比喩は飛躍し過ぎかもしれない。しか し、交通安全環境研究所と新エィシーイーが協力して実施されている「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンの プロジェクト」は、警察庁と泥棒との調査・研究プロジェクトに似たような、「規制する側と規制される側との共同研究」 の構図であり、筆者には「いかがわしい」との思いが拭い去れないのである。したがって、現在、国土交通省内で検討 中と推測される大型トラックに関する2015年度重量車燃費基準の強化については、「泥棒に縄をなわせる」ような胡 散臭い気配を感じてしまうが、それは筆者だけでは無いと思っている。
ところで、前述の【14−1 NEDOの超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発】では、燃費悪化の大失敗】に記載
した通り、NEDOの革新的次世代低公害車総合技術開発(クリーンディーゼルプロジェクト、2004〜2009年)の「超高 度燃焼制御エンジシステムの研究開発(予算:8億円以上)」の大型プロジェクトである。このNEDOの「超高度燃焼制 御エンジ」では、「3段過給システム」、「300MPaの超高圧燃料噴射」、「カムレスシステム」、「PCI(Premixed. Compression Ignition combustion)燃焼」の技術が組み込み、2015年度重量車燃費基準よりも10%の大幅な燃費削 減の目標を掲げて研究開発が実施された。しかし、その結果は、2015年度重量車燃費基準よりも2%の燃費悪化と なってしまったのである。このように、NEDOの「3段過給システム」、「300MPaの超高圧燃料噴射」、「カムレスシステ ム」、「PCI燃焼」を技術を採用した大型トラック用ディーゼルエンジンの研究では、NOxは目標を達成したものの、燃 費改善は皆無の悲惨な結果となってしまっているのだ。
一方、交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」には、「2段シーケンシャル過給機」&
「排熱回収システム(ターボコンパウンド)」&「超高圧コモンレール」の技術だけが組み込むまれているが、交通安全 環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」はNEDOの「超高度燃焼制御エンジ」に新たに「排熱回 収システム(ターボコンパウンド)」が組み込まれているだけである。因みに、ターボコンパウンドは、ターボコンパウン ドは、大型トラックの走行燃費の改善が困難な技術だ!に詳述しているように、気筒内の最高圧力を高めることなく、 エンジンの高出力化が可能な技術であり、燃費向上の機能は少なく、重量車モード燃費を1%未満しか改善できない ような燃費改善に不適な技術である。したがって、交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD) エンジン」は、2015年度重量車燃費基準よりも2%の燃費悪化が実証されたNEDOの「超高度燃焼制御エン ジ」に十分な燃費改善の機能を持たない「排熱回収システム(ターボコンパウンド)」を新たに追加したシステ ムと見ることが可能だ。そのため、2015年度重量車燃費基準よりも2%の燃費悪化が実証されたNEDOの「超高度燃 焼制御エンジ」の研究開発に組み込まれた技術に、重量車モード燃費を1%未満しか改善できないターボコンパウン ドを組み合わせても燃費改善が困難なことは、試験結果を見るまでも無く明らかなことだ。したがって、交通安全環境 研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の研究開発は、2015年度重量車燃費基準よりも10%もの 大幅な燃費を削減する目標の達成は、完全に不可能であることが誰でも容易に予想できることである。
このような状況において、この交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の研究開発に
おいて、2015年度重量車燃費基準に比して10%の燃費改善の目標が達成できる唯一の方法は、現在の「スーパー クリーンディーゼル(SCD)エンジン」に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を新たに採用することであ ると筆者は考えている。そうするためには、通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔、および氏新エィ シーイーの青柳 友三氏の諸氏が適切な方針変更の勇断を下す必要がある。これによって、交通安全環境研究所の 「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」は、以下の表24に示した気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の メリットにより、2015年度重量車燃費基準に比して10%の燃費改善を図る目標が容易に実現でき、それと同時にNO x削減も可能となるのである。
以上のように、交通安全環境研究所の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」に気筒休止エンジン(特許公
開2005-54771)の技術を追加すれば、上記の表22に示したような、大幅な燃費改善とNOx削減が可能だ。特に、こ の中の燃費改善の効果によって、交通安全環境研究所の「スーパークリーンによるディーゼル(SCD)エンジン」は、 目標に掲げられている2015年度重量車燃費基準の10%の向上した4.5 km/リットルの重量車モード燃費の 大型ト ラック(GVW25トン)が確実に実現できるのである。
これについては、交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏、および新エィシーイーの青柳 友三
氏が、このページや気筒休止は、燃費削減と尿素SCRのNOx削減率の向上に有効だ!を熟読していただければ、気 筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術が「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の燃費向上に大きく 寄与できることを十分に理解できる筈だ。そして、交通安全環境研究所のSCDエンジンのプロジェクトに気筒休止エ ンジン(特許公開2005-54771)の技術を新たに加えた場合、このプロジェクトの目標が容易に達成できる可能性が極 めて高くなるのである。そこで、この交通安全環境研究所のSCDエンジンのプロジェクトについて、本ホームページの 閲覧者に今後のプロジェクトの推進方法を予想して貰う質問を、テレビのクイズ番組風にまとめ、表25に示した。
さて さて、交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏、および新エィシーイーの青柳 友三氏の諸
氏は、交通安全環境研究所のスーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクトの推進において、気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の技術を新たに追加して2015年度重量車燃費基準を最大の場合には、10%の燃 費向上した4.5 km/リットルの重量車モード燃費の 大型トラック(GVW25トン)を実現できる可能性がある。しかし、 彼らには、4.5 km/リットルの重量車モード燃費の大型トラック(GVW25トン)を何が何でも実現し、国民の省エネル ギーやCO2削減の要望に応える意思が本当にあるのであろうか。それとも、スーパークリーンディーゼル(SCD)エン ジンのプロジェクトに気筒休止の技術を追加しないで従来通りの燃費改善の困難な技術だけを採用した研究開発を 継続し、研究目標とする2015年度重量車燃費基準10%の燃費向上の目標達成にに失敗した試験データを駆使し、 2015年度重量車燃費基準の強化を遅延させて燃費改善の研究開発費の削減を図り、トラックメーカの利益増加に協 力・貢献する意図を持っているのであろうか。
平成23年度の試験結果の発表を見ることによって、交通安全環境研究所のスーパークリーンディーゼル(SCD)エ
ンジンのプロジェクトは、交通安全環境研究所(=国土交通省)が国民とトラックメーカの何れの利益を考えて実施さ れているかが明確になるだろう。何はともあれ、このプロジェクトの結果発表が楽しみだ。
なお、この項の記載内容には推測が多く含まれているため、一部には筆者の事実誤認があるかも知れない。そこ
で、(独)交通安全環境研究所および叶Vエィシーイーの関係者がこの項を閲覧された際、明らかに誤りと気付かれ た記載については、末尾の筆者のEメール宛てに事実についての御連絡をいただければ、誤った記載内容は即刻に 訂正したいと考えている。
【 2014年1月に追記のコメント 】
以上の交通安全環境研究所のスーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクトに関する平成23年度の
試験結果は、平成26年1月現在でも未発表のようである。このSCDエンジンのプロジェクトの結果が未公表とされた 原因・動機は、交通安全環境研究所のスーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクトは、10%の燃費向 上した4.5 km/リットルの重量車モード燃費の 大型トラック(GVW25トン)を実現する目標達成に失敗したためと推 測され、その証拠隠滅のために試験結果が闇に葬り去られたものと考えられる。このように、政府予算によって実施 されたSCDエンジンの試験研究プロジェクトが失敗し、その試験結果が非公表とされた場合には、試験研究を実施し た交通安全環境研究所の鈴木央一氏、石井素氏、川野大輔氏、および新エィシーイーの青柳 友三氏の諸氏が公的 財産である試験結果を私物化したことに相当すると考えられる。そして、このような試験結果の私物化は、立派な公 的な財産を横領した行為に相当するのではないだろうか。何故ならば、政府予算が投入された試験研究プロジェクト でありながら、その試験結果を一般国民が全く利用・活用できないためである。そもそも、失敗した試験研究プロジェ クトとは云え、その試験結果は、他の多くの研究開発者(国民)にとっては、「将来、実施してはいけない試験研究の 重要な証拠」として、将来の試験研究テーマの選定・決定に際しての参考テータとして利用できるのである。したがっ て、失敗したプロジェクトの結果も、試験研究から得られた重要な成果・賜物であることが明らである。したがって、今 後、このSCDエンジンのプロジェクトに投入された政府予算を「無駄遣い」・「浪費」としないためには、交通安全環境 研究所のスーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンのプロジェクトに関する平成23年度の試験結果は、速やかに公 表すべきと考えるが、如何なものであろうか。なお、このような件については、会計検査院の監査は、行われないので あろうか。
15.気筒休止ディーゼル(特許公開2005-54771)による更なるNOx削減と燃費向上
前述の通り、気筒休止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)は、重量車モード燃費値や実走行燃費が
5〜10%も改善できる機能の他に、JE05モード排出ガス試験法やWHTC排出ガス試験法でのエンジン運転 頻度の高い部分負荷時のSCR触媒入り口温度を高温化できるために尿素SCR触媒でのNOx削減率を大 幅に向上できる機能がある。更に、気筒休止でDPFの自己再生を促進する新技術に詳述しているように、気筒休 止ディーゼルエンジン(特許公開2005-54771)では、走行中にDPF装置のフィルタが自然再生できることになるため、 ポスト噴射や排気管噴射によるフィルタ再生時の燃料の浪費を防止できる効果もある。
このように気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、5〜10%のモード燃費値の改善と大幅なNOx削
減の両方を可能にする一挙両得の優れた技術である。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)において大 幅な燃費改善とNOx削減を可能する構造的・機能的な根拠については、気筒休止は、燃費削減と尿素SCRのNOx 削減率の向上に有効だ!に詳述しているので、興味のある方は是非ともご覧いただきたい。
ところで、2010年7月28日発表の中央環境審議会・大気環境部会の「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方に
ついて(第十次答申)」では、表26に示したように、「今後、以下のような技術の進展を見込むことにより、燃費の伸 びしろを確保しつつ、エンジン出口の(NOxの)排出量を1.5g/kWh程度まで低減することは可能であると考えられ る。」と記載されている。
そして、この中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申では、「NOx削減」と「燃費の伸びしろを確保」できるた
めに「見込んだ技術」として、以下の技術が列挙されている。(表24参照)
・ 2段過給、2段過給導入によるエンジンダウンサイジング
・ EGR率の向上、EGR制御の高度化、一部車種へのLP-EGRの採用
・ 燃料噴射圧力の向上、PCI燃焼での範囲拡大等の燃料噴射制御の高度化
・ 一部車種へのターボコンパウンドシステムの採用
しかしながら、これらの技術によってNOxの削減は可能と思うが、燃費を十分に向上する技術としては疑問に思え
る技術のようだ。
しかし、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申には、これら上記の技術を用いて「燃費の伸びしろを確保」
と明記されている。この内容を常識的に判断すると、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委 員会の学者・専門家は、これら上記の技術によって「少なくとも5パーセント程度の十分な燃費向上」が期待で きると主張されているものと推測される。しかし、以下に示したように、筆者は上記の何れの技術もディーゼルエンジ ンの燃費を十分に向上できる機能を有しておらず、多少の燃費改善に有効であるとしても、その燃費改善の割合い は極めて少ないと思えるのである。その理由について、以下の表27にまとめたので御覧いただきたい。
以上のように、2010年7月28日発表の中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申(表25参照)には、中央環境
審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が大型トラックメーカ 4社を含む自動車メーカに対して行ったヒ アリングを通じて得られた燃費改善の技術が「2段過給」、「EGR率の向上(一部にはLP-EGR採用)」、「燃料噴射圧 力の向上とPCI燃焼」、「ターボコンパウンド」の技術である。しかし、これらの技術は、何れも大型トラックの重量車モ ード燃費または実走行燃費を1%未満の僅かな燃費改善しか期待できないような、燃費改善の面では「ガラクタ技 術」または「ポンコツ技術」と言っても過言では無いような技術である。
このように、第十次答申に列挙された技術は、何れの技術もディーゼルエンジンでの目立った燃費向上ができる機
能を有していないため、これらの技術を大型トラック用ディーゼルエンジンに採用しても、将来の大型トラックおける十 分な燃費向上は殆んど期待できないことが明らかだ。日本を代表するエンジン関係の学者・専門家で構成された自 動車排出ガス専門委員会が大型トラックメーカ 4社を含む自動車メーカに対して行ったヒアリングを通じて得られた 燃費改善の技術情報を基に作成した中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申でありながら、残念なことに、第 十次答申に列挙された技術によって大型トラックの「燃費の伸びしろ確保(=燃費向上)」と謳っていることから素直に 判断すると、この列挙された技術を実用化したとしても、大型トラックでの微々たる燃費改善しか得られないことにな ると理解できる内容である。
このことは、この第十次答申が発表された2010年7月28日の時点では、わが国の大型トラックメーカ 4社を含む自
動車メーカや日本を代表するエンジン関係の学者・専門家が、大型トラックの重量モード燃費や実走行燃費を数パー セント程度の向上が期待できる技術を何も見出していなかった証拠ではないだろうか。その後の自動車メーカの報道 発表や自動車技術会および日本機械学会学の講演内容を見ても、現在のところ、大型トラックの重量モード燃費や 実走行燃費を数パーセント程度の向上が実現できたとする技術についての発表が皆無である。このような状況から 判断すると、信じられない事ではあるが、トラックメーカは、大型トラックの燃費改善を目的とする技術開発として、現 時点では、重量モード燃費や実走行燃費の改善が1%未満に過ぎない技術の開発を懸命に実施しているのであろう か。仮に、これが事実であれば、何とも哀れなことである。
もっとも、この答申の作成に携った中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会のメンバーは、日本を代表する
ようなエンジン関係を専門とする学者・専門家であることから、この答申に列挙された何れの技術を用いても大型トラ ックの重量者モード燃費や実走行の燃費が十分に向上できないことを理解・認識されている様子が伺える。その証 拠としては、この答申に列挙された技術については、堂々と「燃費向上の技術」とは記載せずに「燃費の伸びしろを確 保」できる技術との驚くほどの控えめな表現が使われているのである。このことは、この答申に列挙された技術を実 用化したとしても、極めて僅少な燃費向上に留まることを暗に認めているよに思えるのである。
以上のことから、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申の燃費改善についての控えめな表現は、この答申
作成を担当された自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が十次答申に列挙された技術が大型トラックの微々 たる燃費改善であること考えて間違いが無いようだ。つまり、十次答申の「燃費の伸びしろを確保」の記述は、十次答 申の「2段過給」、「EGR率の向上(一部にはLP-EGR採用)」、「燃料噴射圧力の向上とPCI燃焼」、「ターボコンパウン ド」のそれぞれの技術の燃費改善効果は1%未満であるため、これらの中の何れかの技術の試験研究結果が近い 将来に発表され、大型トラックの十分な燃費向上が困難であることが実証・証明された場合にも、自動車排出ガス専 門委員会の学者・専門家が作成した十次答申の内容に大きな誤りが無かったとの言い逃れを主張するための事前 の単なるアリバイ工作(=責任逃れ)の記述のようにも思えるのである。
このように、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申にはNOx削減と燃費削減の技術として数多くの新技術
が列挙されているが、それらの新技術は、何れの技術も燃費改善の面に関しては大型トラックの重量車モード燃費 または実走行燃費が1%未満の僅かな燃費改善しか期待できないのである。そのため、この第十次答申に挙げられ れている新技術を用いても大型トラックの十分な重量車モード燃費または実走行燃費の向上が困難なことは明らか だ。そのため、将来、この第十次答申に記載された新技術を用いても大型トラックの十分な重量車モード燃費または 実走行燃費の向上が困難なことが露見した際の言い訳のように、この第十次答申には「大型トラックの十分な重量 車モード燃費または実走行燃費の向上」とは記述せず、燃費については極めて控えめな「燃費の伸びしろ確保」と記 述しているのではないだろうか。
このことは、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が第十次答申に列挙された数多くの新技術を用いても大型
トラックの燃費向上ができないことを予め予測・想定しているようにも思えるのである。したがって、大型トラックの十 分な重量車モード燃費または実走行燃費の向上については、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス に関する第十次答申には、現在の燃費に関する技術情報を正確に記載するとすれば、「現時点では大型トラ ックの重量車モード燃費や実走行燃費を十分に向上できる主たる技術が不明」と記述すべきと考えるが、如何 なものであろうか。それにしても、この第十次答申では、燃費改善に関しての技術情報の内容が意識的に把握し辛 い記述・文章となっているように思うが、そのような文面にした意図・目的は、一体、何なのであろうか。
以上のような中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申の燃費関連の記述に関する筆者の批判に対し、この
答申の作成した自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家からは、この第十次答申は表題に示されている通り、 「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次答申)」の排出ガス関係の答申であり、燃費関係の答申 ではないとの反論されそうである。そうであるならば、この第十次答申は表題に無関係な燃費改善に関する内容の記 載が不要であることになる。ところが、これまでの長期にわたるディーゼルエンジンのNOx削減の技術開発の歴史に おいて、給気インタークラ等の給気制御装置や尿素SCR触媒等の排気ガス後処理装置以外の燃料噴射時期制御等 のエンジン本体でNOxを削減する技術の場合には、殆ど例外なくNOxの低減量に比例して燃費の悪化を招く「NOxと 燃費のトレードオフ(=二律背反)の関係」があることが確認されている。
このように、燃費とNOx排出とがトレードオフ(=二律背反)の関係があるため、重量車(=トラック等)の中央環境
審議会・大気環境部会の「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次答申)」の最重要の内容が NOx削減の目標レベルを環境省に答申することであるが、第十次答申では燃費改善に関する技術や効果についても 言及されているものと考えられる。しかしながら、この第十次答申では、「燃費の伸びしろを確保」する程度の燃費改 善しか期待できないような哀れな見劣りのする技術しか列挙されていないことは、残念なことである。しかも、中央環 境審議会・大気環境部会の第十次答申(2010年7月)では、何故か最も重要視すべき過去の第八次答申(=2005年 4月)のNOx挑戦目標=0.23 g/kWh (=ポスト新長期規制値 0.7 g/kWh [重量車2009・2010年規制] の3分の1)を無 視し、NOx=0.4 g/kWhの大幅に緩和したNOx排出値を環境省に答申しているのである。
しかも、この第十次答申において、第八次答申のNOx挑戦目標を黙殺している明確な根拠が示されていないこと
も、筆者には異様なことのように思えるが、如何なものであろうか。このように、第十次答申では、重量車(=トラック 等)の緩いNOx排出値を答申し、なお且つ、NOx排出とトレードオフ(=二律背反)の関係がある燃費について、燃費 改善の効果が少ない技術を適当に数多く列挙しているだけのようである。したがって、この第十次答申は、何ともお 粗末な中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス低減に関する答申と言われても仕方が無いのではないだ ろうか。そのため、この答申の作成した中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門 家の人達には真面目に任務を果たそうとする意思・意欲が希薄なように思えるが、実際のところは如何のものであろ うか。当然のことではあるが、このような無責任とも思える第十次答申を作成した自動車排出ガス専門委員会の学 者・専門家には、自動車排出ガス専門委員会の委員任用の業務に係わる相応の報酬が国民の納めた税金から支 払われている筈だ。これについても、納税者の一人としては、何某かの納得のできない思いが沸き起こるのは、筆者 だけであろうか。
ところで、現在の国土交通省では、近い将来に2015年度重量車燃費基準を更に強化する基準案が検討されている
ようだ。それにもかかわらず、この第十次答申に列挙されたNOx削減技術は、「燃費の伸びしろ確保」と記載された 何れも大型トラックの重量車モード燃費または実走行燃費を1%未満の僅かな燃費改善しか期待できないような、燃 費改善の面では「ガラクタ技術?」または「ポンコツ技術?」しか挙げられていないようだ。このことは、この第十次答 申に列挙されたNOx削減技術の開発に成功したとしても、将来のNOx規制と燃費規制の両方に適合できる大型トラッ クが実用化できない可能性が多分にあると推察される。そのように考えると、過去の第八次答申のNOx挑戦目標を 黙殺してNOx削減を大幅に緩めた第十次答申であるにもかかわらず、その第十次答申に列挙されたNOx削減の技 術は、「落書き」のような「ガラクタ技術?」または「ポンコツ技術?」しか挙げられていないのは、寂しい限りである。
さて、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申に「燃費の伸びしろを確保」と明記されている技術と、前述の
「14−1」項に示した「NEDOの超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」に盛り込まれた技術の比較を以下の表 28に示した。
表28 「NEDOの超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」と「央環境審議会の第十次答申」との技術の比較
この表28から明らかなように、央環境審議会の第十次答申に列挙された技術は、前述の「14−1」項に示した
2015年度重量車燃費基準よりも重量車モード燃費が2%も悪化した「NEDOの超高度燃焼制御エンジシステムの研 究開発」の技術に、重量車モード燃費の改善効果の少ない「Low Pressure Loop (LPL)の水冷式EGRクーラ」と「ター ボコンパウンド」が追加されているだけだ。したがって、央環境審議会の第十次答申に列挙された技術では、ポスト新 長期排出ガス規制適合の多くの大型トラックが達成している2015年度重量車燃費基準より十分に燃費を向上できな いものと予想される。それにもかかわらず、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、央環 境審議会の第十次答申に列挙された技術によって、少なくとも5パーセント程度の燃費改善を国民に期待させるよう な「燃費の伸びしろを確保」と明記されているにである。このように、央環境審議会の第十次答申には、2015年度重 量車燃費基準より十分に燃費を向上できない技術を列挙しているのである。それにもかかわらず、この第十次答申 には、これらの列挙されている技術によって「燃費の伸び代確保」できると記載されていることは、筆者には到底、理 解のできないことだ。
また、この中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申に記載された技術とほぼ同じ技術を組み込んだ試験エン
ジンが、「交通安全環境研究所フォーラム2010」で発表の論文「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジンにおけ る新展開」の論文で発表されているSCDエンジンである。この交通安全環境研究所のSCDエンジンには、「2段シー ケンシャル過給機」+「排熱回収システム」+「超高圧コモンレール」の技術が採用されており、このSCDエンジンによ って2015年度重量車燃費基準を10%も燃費向上して 4.5 km/リットルの重量車モード燃費の大型トラック(GVW2 5トン)が平成23年度に実現できると交通安全環境研究所は宣言している。少し以前のテレビコマーシャルで有名に なった「反省だけなら猿でもできる」との流行語の「反省猿」と同様に、「2015年度重量車燃費基準からの10%の燃 費向上の目標を掲げるのは猿でもできる」ことであり、「目標主張だけの無責任な猿」とも形容したくなる行為である。 仮に、人が目標を掲げた場合は、その目標を達成することが立派な人間の証だ。単なる目標だけを掲げて「試験研 究費の獲得」や「世間の注目」だけを集め、その後に「黙り(ダンマリ)を決め込む」のは、詐欺師と何ら変わらない卑 しい人間のすることではないだろうか。
このように、交通安全環境研究所における平成23年度の「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の研究プロ
ジェクトでは、「SCDエンジンによって2015年度重量車燃費基準を10%も燃費向上して 4.5 km/リットルの重量車モ ード燃費の大型トラック(GVW25トン)に実現」するとの勇ましい目標を掲げているが、この目標を達成することは絶 対に無理であると筆者には思えるのである。これについての詳細は、前述の「14−4.交通研のスーパークリーンディーゼ ルエンジン研究の燃費向上は、失敗の予感」の項に詳述しているので、御覧いただきたい。
そうは言っても、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申に列挙された技術の中には燃費改善の可能性の
ある技術が全く無いわけではない。辛うじて燃費向上の可能性があると筆者が思う技術は、エンジンダウンサイジン グとターボコンパウンドシステムではないだろうか。しかし、これらの技術についても、十分な燃費改善が可能と言え る技術ではないと考えられる。先ず、エンジンダウンサイジングは、11−4項で説明したように、排気ブレーキの制動 力の不足や走行性能の低下を招くため、大型トラック用ディーゼルエンジンでは大幅な排気量を減少が困難である。 したがって、大型トラックとしての十分な走行性能を備えながらエンジンダウンサイジングによって十分に燃費を向上 とトラックの高い走行性能を確保することは、極めて難しい。そして、次に、ターボコンパウンドシステムでは、前述の 表4に示したようにエンジンの高負荷時に 0〜1.5%程度の燃費が改善されるだけである。そのため、ターボコンパウ ンドシステムでの重量車モード燃費値の改善は、高負荷領域における燃費改善の半分以下、即ち0〜0.7%以下の 程度が妥当と考えられる。そのため、ターボコンパウンドによる重量車モード燃費の改善は、ターボコンパウンドによ る大型トラックの十分な燃費改善は困難だ!に詳述しているように、大きく見積もって1%未満の僅かな改善に留ま るものと推測される。
しかしながら、このターボコンパウンドを大型トラック用エンジンに採用した場合に、ターボコンパウンドでの排気ガ
スエネルギーの回収効率を向上し、ターボコンパウンドによって大型トラックの燃費を十分に改善できる注目すべき 方法が存在する。その方法は、気筒休止は、ディーゼル排気ガスのエネルギー回生装置の効率を向上に詳述してい るように、大型ラックの走行で多用されるディーゼルディーゼルエンジンの部分負荷運転時の排気ガス温度の高温化 を図ることが必要である。このエンジン部分負荷時の排気ガス温度の高温化を図る方法として、筆者提案の2ターボ 過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を用いることが有効である。それは気筒休止エ ンジン(特許公開2005-54771)の2台のターボ過給機のそれぞれの排気タービンの排気ガス出口の各々に回収ター ビンを装着するシステム、即ち、[2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)]と[2ターボコンパ ウンド]を組み合わせた特別なターボコンパウンドシステムである。この特別なターボコンパウンドシステムを用いるこ とによって初めてターボコンパウンドによる大型トラックの十分な走行燃費(=JE05モード燃費、重量車モード燃費 等)が改善できると考えられる。
ところで、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申に示されている技術の中には燃料噴射の高圧化に伴う駆
動損失の増加によって燃費を悪化させる技術も含まれている。したがって、中央環境審議会・大気環境部会の第十 次答申に示されている技術によって仮に僅かな燃費改善が実現できたとしても、エンジン燃費の測定の誤差範囲で ある1%にも満たない微々たる燃費改善ではないかと考えている。したがって、これらの技術によって「燃費の伸びし ろを確保」することができるとの第十次答申の記載は、筆者には明らかに「書き過ぎ!」のように思えるのである。そ して、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申に「燃費の伸びしろを確保」すると記述したいのであれば、この 技術だけの単独の採用した場合でも5〜10%の重量車モード燃費の改善が見込める気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)を加えることが不可欠ではないだろうか。しかも、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術 と並列に配置した複数のターボコンパウンドシステムの技術を組合せた場合には、更にエンジンの部分負荷運転時 に排気ガスのエネルギーをターボコンパウンドで回収する際の回収タービンの熱効率が向上できるため、ターボコン パウンドによる大型トラックの燃費を十分に改善できる効果もあるのだ。「至れり尽くせり」とは、正にこのようなことを 指すのではないだろうか。
ところが、2010年7月28日に発表された中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申では、ディーゼルエンジンの
燃費を十分に向上できる機能がない技術だけを列挙しているため、将来のディーゼルエンジンの燃費改善は殆んど 期待できない。それにもかかわらず、「燃費の伸びしろを確保」と堂々と記述されていることは、単に読者を惑わすだ けではないかと思えるのである。中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、中央環境 審議会・大気環境部会の第十次答申に記載されている「2段過給」、「EGR率の向上(一部にはLP-EGR採 用)」、「燃料噴射圧力の向上とPCI燃焼」、「ターボコンパウンド」の技術を実用化するだけで、将来の大型デ ィーゼルトラックでは最低でも2015年度重量車燃費基準に対して+5%程度の燃費向上が実現できると本心 から信じられているのであろうか。そのようには思えないのは、悲しいかな、筆者が浅学非才の所以であろうか。
また、中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申では、エンジン出口のNOx排出量(WHTC排出ガス試験法)を
1.5g/kWh程度まで低減した上で尿素SCR触媒等のNOx後処理技術によって、「後処理装置への過度な依存を避け、 その浄化率をホットスタート時、コールドスタート時の平均(コールドスタート比率14%)で75%程度とすることは可能で あると考えられる。」と記載されている。つまり、2016年に実施が予定されている次期のNOx低減目標値は次の(1) 式で算出されたとのことである。
(エンジン出口の排出量を1.5g/kWh程度)×(尿素SCR触媒等で75%の削減)=0.375g/kWh ・・・・・(1)
この結果を基に、2010年7月28日発表の中央環境審議会・大気環境部会の「今後の自動車排出ガス低減対
策のあり方について(第十次答申)」では、上記の(1)式で算出された0.375g/kWhの数値を基に、2016年に 実施が予定されている次期のNOx低減目標値は「0.4g/kWh」(WHTC排出ガス試験法)に決定されたとのこと である。
このように、2010年7月の中央環境審議会の第十次答申において、わが国の大型トラックに対して2016年にNOx
= 0.4 g/kWhの規制強化されることが発表されている。しかし、図22−1および図22−20に示した日本、米国、欧 州の商用車(車両総重量3.5t超)のNOxとPMの規制強化の変遷を見ると明らかなように、米国では、既に2010年にNO x = 0.27 g/kWhに規制強化が実施されているのだ。しかし、日本では、2016年にやっとNOx= 0.4 g/kWhにNOx規制 が強化されるに過ぎないことが、中央環境審議会の第十次答申で発表されたのである。したがって、2016年にNOx = 0.4 g/kWhの規制強化が実施された時点でも、日本では現在の米国のNOx = 0.27 g/kWhの規制よりも相当に緩 いNOx規制が実施され続けられるようだ。 ![]() ![]()
因みに、この中央環境審議会が2010年7月の第十次答申で発表した2016年に実施予定のNOx = 0.4 g/kWhの規
制強化は、2005年に発表された第八次答申に記載されている将来のNOx削減の目安としてのNOx削減の挑戦目標 である0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWhレベル)を完全に無視しているである。そして、第十次答申には、第八 次答申に明記された将来のNOx削減の目安としてNOx削減の挑戦目標(NOx=0.23g/kWh)を反故にした屁理屈とも 思える理由が堂々と羅列されているのである。このように、第八次答申に明記された将来のNOx削減の挑戦目標 (NOx=0.23g/kWh)から大幅に緩和されているのである。この大きく緩和された次期のNOx規制値が如何なる根拠で 中央環境審議会の第十次答申で答申されたのかについて、本当の理由を知りたいところである。
米国よりも大幅に緩いNOx規制が日本で継続して実施されることにより、日本のトラックメーカは米国のトラックメー
カよりもNOx削減の技術開発費を節約できることは明らかだ。このNOx削減の研究投資の削減によって捻出された 資金は全て利益として計上できるため、日本のトラックメーカは米国のトラックメーカよりも利益率を容易に向上させ ることが可能な経営環境を手に入れたことになる。そのため、2010年7月に中央環境審議会が発表した第十次答申 のNOx = 0.4 g/kWhの規制強化(2016年実施予定)を知った日本のトラックメーカの経営幹部は、政府や中央環境 審議会からNOx削減の技術開発費の節約による利益増大の贈り物を貰ったとして、狂喜乱舞して喜んだのではない だろうか。しかし、一般の国民は、米国よりもNOx規制が緩いためにNOx濃度の高い大気環境に曝され続ける迷惑を 被ることになるのだ。
このように、2016年の日本の次期規制においても大型トラックのNOx規制が米国よりも大幅に緩和されているところ
を見ると、政府(=環境省・国土交通省)の官僚や中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の 人達は、トラックメーカに対しては優しく、国民に対しては厳しい施策を行っているように思えるが、これは筆者の単な る偏見であろうか。
ところで、筆者は、5年以上も以前となる2006年4月7日に、初めてホームページを開設した。そこでは、NOx削減と
同時に重量車モード燃費も向上が可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を公開している。そして、 この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を大型トラック用ディーゼルエンジンに採用した場合には、アク セペダルの踏込み量50%以下の低負荷時において尿素SCR触媒の入口の排気ガス温度を2倍近くに高温化できる ため、「尿素SCR触媒の浄化率をホットスタート時、コールドスタート時の平均(コールドスタート比率14%)で85%程 度とする」ことが可能である技術を公表した。この気筒休止の技術を用いれば、次期のNOx低減の目標値は、次の (2)式で算出される値まで低減することが可能となる。
(エンジン出口の排出量を1.5g/kWh程度)×(尿素SCR触媒等で85%の削減)=0.225g/kWh ・・・・・(2)
このように、今後、大型トラックに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用した場合には、上記の(2)式で
算出された0.225g/kWhから、将来の大型トラックのNOx排出値は「0.23g/kWh」(WHTC排出ガス試験法)まで容易に削 減することが可能であり、重量車モード燃費を5〜10%も向上できるのだ。このように、2010年7月28日発表の中 央環境審議会・大気環境部会の「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十次答申)」に記載 されている各種技術に、新たに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を追加することによって、将 来の大型トラックにおいては「NOx排出値=0.23g/kWhまでの削減」と「重量車モード燃費の5〜10%の向 上」が可能となる。
したがって、将来、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術が実用化できる目処が立った時点で、中央環
境審議会は、第十次答申での2016年の次期NOx規制(NOx=0.4g/kWh)(WHTC排出ガス試験法)に続いて、早い時 期に大型トラックNOx規制の強化(NOx = 0.23 g/kWh )(WHTC排出ガス試験法)の答申を出すことが可能となる。こ れによって、大型トラック分野における「低NOx」と「低燃費(=低CO2)」を進展させ、我が国における大気環境の改 善を飛躍的に増進させることができると考えられる。これを実現する唯一の方法は、気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)の技術を搭載した大型トラックがトラックメーカから早期に市販化されることが必要だ。そのためには、 環境省や国土交通省を主体とした政府が強力なリーダーシップを発揮して気筒休止エンジン(特許公開2005-54771) の研究開発を促進し、この技術を早期に実用化することである。このように、気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術を大型トラックに採用することによって米国よりも厳しい日本のNOx規制をNOx規制に強化(NOx = 0. 23 g/kWh )(WHTC排出ガス試験法)を容易に実現することが可能であるが、そのことについては、米国よりも緩い大 型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢のページにも詳述しているので、御覧いただきたい。
16.新たな「低NOx・低燃費車基準」の導入によるトラックの低公害化・省燃費化を促進
大型トラックにおいては、2010年7月28日に中央環境審議会から環境省に第十次答申が提出され、GVW7.5トン超
えの大型トラック・バスのNOxと燃費の更なる規制の強化は、2016年に施行するNOx=0.4 g/kWhの規制実 施が発表された。しかし、中央環境審議会・大気環境部会の第八次答申(2005年)では、将来のNOx削減の 目安としてNOx削減の挑戦目標と称して0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWhレベル)のNOx規制の強化 レベルが明示されていたのである。しかし、中央環境審議会・大気環境部会ではこの第八次答申(2005年)の 方針(記述)を反故にして、2010年7月28日の第十次答申の2016年に施行される次期のNOx規制値はNOx =0.4 g/kWhに大幅に緩和してしまったのである。
中央環境審議会が2016年に施行の次期NOx規制値をNOx=0.4 g/kWhに大幅に緩和した理由として、中
央環境審議会・大気環境部会の第十次答申では、新たにコールドスタートを含んだ新たな世界統一試験サイ クルであるWHTCの排出ガス試験法への変更が行われることが主な理由として挙げられている。しかし、一般 国民の立場から言わせて貰えば、排出ガス試験法に多少の変更があったとしても、日本における大気環境を 更に改善していくためには、2010年7月28日の第十次答申における2016年に施行するNOx規制値としては、 第八次答申(2005年)に記載されているNOx削減の挑戦目標としての0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWh レベル)のNOx規制値が答申されて然るべきではないだろうか。
また、燃費規制の強化については、筆者の個人的な予想であるが、2015年度重量車燃費基準に続いて次
期の燃費基準では+10%程度?が実施されると推測している。これら大型トラックにおける将来のNOxと燃 費の規制強化に容易に適合できるようにする技術としては、NOx削減と燃費改善の両方を実現できる2ター ボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)が最も有力な技術であると筆者は信じている。因み に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、アクセル踏込み量が50%以下での気筒休止の運転領域では、モ ータリング損失(フリクション損失)は変わらないものの、排気損失と冷却損失の削減に加えてサイクル効率の向上が できると云う、最近の流行の言葉で言えば「アクセル踏込み量が50%以下でのエンジンダウンサイジングの運転」に よって大幅な燃費が削減ができるのである。
しかし、困ったことに、筆者が提案する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、トラックメーカを筆頭に
日本の学者・研究者・専門家を始めとして、国内の「燃費削減」、「CO2削減」および「NOx削減」の総元締めである国 土交通省や環境省からも黙殺されている様子が伺えることである。気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の 技術を実用化して大型トラックの大幅な燃費改善とNOx削減を可能にすれば、国土交通省や環境省は次期 のNOx規制強化と燃費規制強化が容易に実施できるようになり、大型トラックにおけるNOxとCO2の削減を 推進できることに加え、省エネルギーの政策も早期に実現できるのである。それにもかかわらず、国土交通省や 環境省が揃って気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を無視し続けることは、『行政がしなくてはいけない ことをしない不作為』に相当するものと考えられる。この国土交通省や環境省の不作為は、大型トラックの燃費改善 とNOx削減を大幅に遅らせてしまうことになるのだ。そのような事態に陥ることを避けるため、国土交通省と環境省に は本来の仕事を立派に果たす行動を起こして頂きたいものである。
ところで、現在、各トラックメーカは、ディーゼルエンジンの燃焼改善によって十分な燃費改善が実現できる技術の
開発が出来ていないようだ。しかし、トラックメーカ4社(日野、いすゞ、UD、三菱ふそう)から研究者が派遣されている 叶Vエィシーイーは、「叶Vエィシーイーは2004年に実施したディーゼルエンジンの気筒休止の試験において、燃 費削減の効果を確認」 していたようである。しかも、その叶Vエィシーイーは、ディーゼルエンジンの気筒休止の試験 において、燃費改善の効果を確認していた試験が終了してから既に5年以上も経過しているにもかかわらず、未だに 気筒休止の試験結果を発表していないことのこと。これに関し、トラックメーカ4社が叶Vエィシーイーにおける気筒休 止による燃費改善の効果の発表を阻止している可能性も否定できないだろう。
仮に、トラックメーカが「叶Vエィシーイーは2004年に実施したディーゼルエンジンの気筒休止の試験において、燃
費改善の効果を確認していた」 ことを知っていながら、各トラックメーカの総意としてトラックメーカ(自動車工業会)が 環境省や国土交通省に、2015年度重量車燃費基準の次の重量車燃費基準の強化を遅らせて欲しい旨を陰に陽 に訴えているとすれば、筆者にはトラックメーカ(自動車工業会)が国土交通省に対して背信的な行為を行っているよ うに見えるのである。
このように、5〜10%の重量車モード燃費が削減でき、エンジン部分負荷時の尿素SCR触媒の活性促進による大
幅にNOxが削減できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を各ラックメーカが無視する一方で、各トラッ クメーカの所属する日本自動車工業会が国土交通省に2015年度重量車燃費基準を強化する次の重量車燃費基 準の設定の遅延を仮に要望しているとすれば、日本自動車工業会は、品位に欠ける行為を行っていると言わざるを 得ないだろう。
また、仮にトラックメーカ(日本自動車工業会)の重量車燃費基準強化の遅延要望を国土交通省が受け入れ、201
5年度重量車燃費基準の次期の基準設定の時期を遅らせることが検討されているとすれば、各トラックメーカは「こ れ幸い」と喜んで気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)のような若干のコストアップを伴う燃費改善の技術開発を 先送りにすることになることは間違いないだろう。このことは、国土交通省が低燃費・低NOxの大型トラックの実用化 を阻止する行為の片棒を担いでいると言われても仕方がないのではないだろうか。
16−1 新たな大型トラックの低NOx・低燃費自動車の基準(案)
大型トラックの燃費削減とNOx削減が実現できる体制を早期に構築する最善の方法は、できるだけ早期に
オプションとして環境省と国土交通省がNOx削減と燃費向上を規定した「低NOx・低燃費トラック・バスの基準 (案)」を新たに設定することである。この「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」では、表29に示したように、2005年 の第八次答申にNOxの挑戦目標として示されていた 0.7 g/kWhの 1/3程度の 0.23 g/kWhのNOx 規制値と、2015年 度重量車燃費基準から +10% 程度の燃費を向上した基準値を設定することが適切ではないかと考えている。
そして、この新たに設定した表27の「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」に適合した大型トラックには、税金の優遇
を与えた優遇税制を適用とすることである。仮に「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」に適合した大型トラックに対し て税金の優遇を与える制度を発足させれば、大型トラックの税制優遇を受けたいがために、各トラックメーカは必死 で気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を実用化することになるのである。そして、各トラックメーカがこの 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を競って大型トラックに採用すれば、技術的には何の問題も無く 「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」に適合した低公害・省エネの多くの大型トラックが各トラックメーカから競って販 売されるものと予想される。なお、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術による燃費改善とNOx削減の詳 細については、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化、または気筒休止は、燃費削減と尿素SCRのNOx削 減率の向上に有効だ!を参照して頂きたい。
今後、早い時期に、環境省や国土交通省がNOx規制=0.23 g/kWh&2015年度重量車燃費基準の+10%程度を
向上を規定した表29の「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」を施行したとしても、各トラックメーカは大型トラックに気 筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用しさえすれば、簡単に大型トラックを「低NOx・低燃費自動車の 基準(案)」に適合させることが可能である。
そして、新たな「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」に適合した大型トラックに対し、従来のエコカー減税と同様に、
税金を優遇すれば、各トラックメーカは競って気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術開発に着手するもの と予想される。その結果、かなり早い時期にNOx を0.23 g/kWhまで削減し、2015年度重量車燃費基準から+10% 程度の燃費を向上した新たな低NOx・低燃費トラックの市場が出現することは間違いないと思っている。これによっ て、わが国における大型トラックの分野における「NOxの削減」、「省エネルギー」および「低CO2」が飛躍的に推進で きることは間違いないと考えられる。
16−2 日本の重量車NOx規制値についての自工会・学者による意味不明な説明内容
早稲田大学の草鹿教授が著された日本自動車工業会のホームページに掲載の「クリーン・ディーゼルエンジン技
術と将来」と題するページには、以下の表30に示したように、「先進国の重量車のNOx規制比較図」が示されてい る。この図によると、日本の重量車のポスト新長期NOx規制がNOx = 0.7 g/kWhであるにもかかわらず、重量車の ポスト新長期NOx規制値としてNOx = 0.23 g/kWhの規制値も追記されているのである。この重量車のポスト新長期 NOx規制値では、NOx = 0.23 g/kWhの無意味な規制値が併記されていることは、日本自動車工業会のホームペー ジの読者に誤った技術関係の情報を提供していることになると考えられる。
その上、日本の重量車のポスト新長期NOx規制がNOx = 0.7 g/kWhのポイントからNOx = 0.23 g/kWhのポイント
まで無意味な太線が記載されているが、このNOx = 0.7 〜0.23 g/kWhの太線には、一体、何の意味があるのであろ うか。この太線も、日本の重量車のポスト新長期NOx規制値には無関係な記載である。何故ならば、この第八次答 申(2005年答申)の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」は、中央環境審議会の第十次答申(2010年答申)では、完全に 削除されているためだ。ところが、草鹿教授は、日本の重量車についての中央環境審議会の第八次答申(2005年答 申)の中に記述されていた「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が現時点(2013年7月26日現在)でも中央環境審議会の 日本の重量車におけるNOxの削減目標として立派に生きているかの如く堂々と記載されているのである。
しかし、中央環境審議会の第十次答申(2010年答申)を素直に読んだ限りでは、現在でも日本の重量車における
「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が設定されているとは、筆者にはどうしても理解できないことである。果たして、中央 環境審議会は、日本の重量車に対し、本当に「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を設定していることになっているので あろうか。仮に、日本の重量車に対し、将来的な「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を設定していることなっているので あれば、如何なる理由で中央環境審議会の第十次答申(2010年答申)には、重量車(=トラック)の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が明記されていないのであろうか。この状況から、常識的に考えれば、現時点では日本の重量車に 対し、将来的な「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が設定されていないと考えるのが妥当のように思われる。それにも かかわらず、早稲田大学の草鹿教授が著された日本自動車工業会のホームページに掲載の「クリーン・ディーゼル エンジン技術と将来」と題するページには、日本の重量車に対して将来的な「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が設定さ れているように記載されていることは、摩訶不思議なことである。
そもそも、「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」は、中央環境審議会の第八次答申(2005年)の報告書には明記されて
いるが、その後の中央環境審議会の第十次答申(2010年)の報告書には記載されていないのである。そして、第八 次答申(2005年)に記載された日本での重量車の将来の排出ガス規制内容を全面的に見直し、修正されたのが第十 次答申(2010年)の報告書であるため、常識的には、現時点の日本での重量車の将来の排出ガス規制強化の内容 は、その後の第十次答申(2010年)の報告書に示されている筈である。したがって、現時点の日本での重量車の将 来の排出ガス規制強化の政府方針の中には、「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が存在しないと見るのが妥当なよう に思えるのである。
ところで、近年、日・米・欧において規制が強化されている排出ガスの成分は、PMとNOxである。その中でPM規制
については、日本のポスト新長期(2009年)規制、米国の2010に年規制および2013年からの欧州のEURO06規制の PM規制値が 0.1〜0.13 g/kWhであるため、日・米・欧のPM規制値が「ほぼ同等」と形容することは、適切と考えられ る。しかし、NOx規制値については、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢に詳述し ているように、現在の日本のポスト新長期(2009年)NOx規制値は、米国の2010年のNOx規制および2013年からの欧 州のEURO06のNOx規制値に比較して、大幅に緩い規制となっている。そのため、日・米・欧のNOx規制が「ほぼ同 等」と総括して説明することは、完全な誤りと考えられる。このように、日・米・欧において、PM規制とNOx規制に状況 が全く異なっている。それにもかかわらず、以下に示したように日本自動車工業会のホームページに掲載の「クリー ン・ディーゼルエンジン技術と将来」と題するページには、早稲田大学の草鹿教授は、以下にに示したように、日・米・ 欧の大型トラックの排出ガス規制に関し、日本のポスト新長期(2009年)排出ガス規制値は、米国の2010に年排出ガ ス規制値と、2013年からの欧州のEURO06排出ガス規制値とが「ほぼ同等」との誤った内容が記載されている。
因みに、現在の日・米・欧の大型トラックのNOx規制について整理すると、米国の2010年規制値 = 0.27 g/kWh、欧
州のEURO06(2006年)規制値 = 0.4 g/kWh、日本のポスト新長期(2009年)規制値 = 0.7 g/kWhである。このよう に、日本のポスト新長期(2009年)排出ガス規制値は、米・欧の大型トラックのNOx規制値と大きく異なっているのであ る。
したがって、早稲田大学の草鹿教授は、日本自動車工業会のホームページには、日・米・欧の大型トラックの排出
ガス規制に関し、日・米・欧のPM規制値を比較すると「ほぼ同等」であるが、日・米・欧のNOx規制値を比較すると「日 本が大幅に緩いNOx規制を実施中」と記載すべきであったと考えられる。しかし、草鹿教授は、日・米・欧の大型トラッ クの排出ガス規制値が「ほぼ同等」と、筆者には誤りと思えるの内容を記載されているのである。つまり、草鹿教授 は、米国や欧州に比べて日本が極めて緩いNOx規制を実施していることを意図的に隠蔽されているようにも見える のである。
それとも、草鹿教授は、小数点以下のNOx規制の強化が無意味であるため、NOx規制値0.27〜0.7 g/kWhのNOx
規制が「ほぼ同等」との一般人と異なる特異な判断基準を持たれた人物であろうか。草鹿教授が特異な判断基準の 人物であれば、、米国や欧州に比べて日本が極めて緩いNOx規制を実施していることを意図的に隠蔽する意思が無 く、胸を張って、日・米・欧の大型トラックの排出ガス規制値が「ほぼ同等」と記載されたのであろうか。しかしながら、 日・米・欧のNOx規制値が0.27〜0.7 g/kWhの相違があるにもかかわらず、日・米・欧の排出ガス規制値(= NOx規制を含む)が「ほぼ同等」とする草鹿教授の記述は、常識的に見れば明らかな誤りと考えられる。そし て、排出ガス規制についての専門家を数多く抱えた日本自動車工業会が日・米・欧の排出ガス規制値(=NO x規制を含む)の誤った記事を堂々とホームページに掲載していることも、筆者には不思議に思えて仕方の無 いことである。
一般的には、小数点以下の0.27〜0.7 g/kWhのNOx規制値を「ほぼ同等」と判断することに論理的な矛盾があると
考えられる。その証拠として挙げられることは、ポスト新長期(2009年)のNOx規制値 = 0.7 g/kWhから40%強の NOx規制を強化したNOx規制値案 = 0.4 g/kWh (2016年実施予定)とする中央環境審議会から第十次答申(2010 年)が環境省に提出されたことである。これは、ポスト新長期(2009年)のNOx規制値 = 0.7 g/kWhから40%強の NOx規制を強化することによって、日本の大気環境が改善されるとの考えに基づいて行われた行為であると考えられ るためである。
このように、中央環境審議会の第十次答申(2010年)では、ポスト新長期(2009年)のNOx規制を強化することが答
申されている事実等から判断すると、日本自動車工業会のホームページにおける草鹿教授が米国の2010年規制値 = 0.27 g/kWh、欧州のEURO06(2006年)規制値 = 0.4 g/kWh、日本のポスト新長期(2009年)規制値 = 0.7 g/k Whが規制値 = 0.7 g/kWhの三つのNOx規制レベルが「ほぼ同等」とする内容の記載は、論理的な矛盾があると見 て間違いないと考えられる。すなわち、日本自動車工業会のホームページの中に大型トラックのNO規制値について、 米国のNOx規制値=0.27 g/kWh、欧州のNOx規制値=0.4 g/kWh、日本のNOx規制値=0.7 g/kWhの三つのNOx規 制レベルが「ほぼ同等」と主張する日本自動車工業会のホームページ JAMAGAZINE 2012年3月号(http://www. jama.or.jp/lib/jamagazine/201203/03.html)に掲載された早稲田大学の草鹿教授の記述は、「出鱈目な誤った内容」 と見るのが妥当なように思えるのである。
このように、日本自動車工業会のホームページには、重要な自動車排出ガスの規制物質の一つであるNOxについ
ても、「米国の2010年NOx規制値 = 0.27 g/kWh」と「日本のポスト新長期(2009年)NOx規制値 = 0.7 g/k Wh」とが「ほぼ同等」とする破廉恥とも思える主張が行われているのである。この早稲田大学の草鹿教授の主 張には驚きであるが、それにも増して草鹿教授の誤った技術情報を日本自動車工業会がホームページに 堂々と掲載し続けていることは、驚愕至極である。このことは、結果的に「日本の著名な学者」と「日本の主要産業 である自動車メーカの団体」が結託し、日本における大型トラックのNOx規制についての「出鱈目な誤った技術情報」 を拡散しているように見えるが、これは筆者の単なる偏見であろうか。このような行為は、「コンプライアンス(=法令 順守)」の意思が欠落しているように見えるが、如何なものであろうか
なお、上記の表30の「先進国の重量車のNOx規制比較図」では、草鹿教授は以下の3箇所に意味不明な「NOx
= 0.23 g/kWh」との記載をしているのである。
@ 日本のポスト新長期規制値の箇所に規制値と無関係な「NOx = 0.23 g/kWh」を記載(表30参照)
A 日本のポスト新長期NOx規制値のポイントからNOx = 0.23 g/kWhのポイントの間に日本のNOx規制と無関係な
太線を記載(表30参照)
B 中央環境審議会の第十次答申(2010年答申)に明記されていない「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を無意味に記
載(表30参照)
確かに、中央環境審議会の第八次答申(2005年答申)には、以下の表31に示したように、「挑戦目標NOx
= 0.23 g/kWh(=ポスト新長期NOx = 0.7 g/kWhの1/3NOx程度)」と記載されていた。ところが、その後 の中央環境審議会の第十次答申(2010年)では、ポスト新長期規制(2009年規制)を強化した次期NOx規制 (2016年実施予定)では、NOx = 0.4 g/kWhと明記された。その結果、第八次答申(2005年答申)の「挑戦 目標NOx = 0.23 g/kWh」は、中央環境審議会によって2010年の時点で完全に反故にされたのである。
以上の表31に記載されているように、中央環境審議会の自動車排出ガスの第八次答申(2005年答申)に記載され
ている「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」は、自動車排出ガスの第十次答申(2010年答申)における日本の重量車の次 期排出ガス規制である2016年のNOx規制の強化目標として明確に記載されていたのである。しかしながら、中央環 境審議会は、2016年実施予定での「NOx = 0.23 g/kWh」の「挑戦目標」を次期排出ガス規制とした場合、日本の重 量車はその次期排出ガス規制(2016年実施予定)に適合させることが困難と判断したようだ。中央環境審議会は、自 動車排出ガスの第八次答申(2005年答申)に記載の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を廃止し、自動車排出ガスの第 十次答申(2010年答申)には次期排出ガス規制値(2016年実施予定)としては、「NOx = 0.4 g/kWh」のNOx規制値 を答申したのである。その結果、中央環境審議会の自動車排出ガスの第十次答申(2010年答申)には、次期排出ガ ス規制値(2016年実施予定)である「NOx = 0.4 g/kWh」が記載されているだけである。そして、第十次答申(2010 年答申)には、次期排出ガス規制値(2016年実施予定)である「NOx = 0.4 g/kWh」の他には、2016年実施 予定の次期排出ガス規制の次のNOx規制強化の「挑戦目標」は何も記載されていないのが事実である。した がって、現時点(=2013年8月時点)において、常識的に日本の重量車のNOx削減の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が存在しないと考えるのが妥当なようである。
このように、第十次答申(2010年答申)に日本の重量車における次期排出ガス規制である2016年のNOx規制として
は、中央環境審議会の第十次答申(2010年)ではNOx = 0.4 g/kWhだけが明記されているが、NOx削減の「挑戦目 標」は何も記載されていないのである。そして、この中央環境審議会の自動車排出ガスの第十次答申(2010年答申) から明らかなことは、日本の重量車のNOx = 0.4 g/kWhの次期NOx規制値は、現行の米国規制(2010年) NOx = 0. 27 g/kWh(重量車)より 約 33 %程度も緩いNOx規制値となってしまっており、それが歴然たる事実である。このよう に、日本のNOx規制値が現行の米国規制(2010年) NOx = 0.27 g/kWh(重量車)より 約 33 %程度も緩いNOx規制 が近い将来も引き続き実施されようとしていることも事実である。
そして、日本の重量車に関しては、大幅に緩近い将来においてもNOx規制値が米国に比較してい事実が広く一般
国民の知れ渡ることを抑える意図・目的のために、日本の重量車における次期排出ガス規制の設定に関与する政 府関係者・学識経験者に近い早稲田大学の草鹿教授は、表30に示した「先進国の重量車のNOx規制比較図」の中 に、現時点における重量車の将来的な排出ガス規制強化に関する日本政府方針と無関係な「挑戦目標NOx = 0. 23 g/kWh」の現時点で何の根拠も無い意味不明の@〜Bの数値を、無理に記載していると考えられる。更に言わせ て貰えば、そもそも「NOx = 0.23 g/kWh」の低いNOx値は、最初から「NOxの挑戦目標値」であってNOx規制値では 無いため、上記の表30の「先進国の重量車のNOx規制比較図」の中の日本のNOx規制の関連した数値として「NOx = 0.23 g/kWh」を記載すること自体が大きな誤解を招く要因になると考えられるが、如何なものであろうか。
自動車工業会のホームページに掲載の「クリーン・ディーゼルエンジン技術と将来」と題するページの「先進国の重
量車のNOx規制比較図」の中に、この現時点では重量車のNOx規制強化に関する中央環境審議会の自動車排出ガ ス規制と無関係な数値である「NOx = 0.23 g/kWh」の低いNOx値を記載することによって、自動車工業会のホーム ページを閲覧した読者の中には、日本の重量車のNOx規制値が現行の米国規制(2010年) NOx = 0.27 g/kWhと同 等であるとの勘違いをに起こしてしまっている人達が数多く存在する可能性がある。仮に、早稲田大学の草鹿教授が 意図的に日本自動車工業会のホームページに掲載の「クリーン・ディーゼルエンジン技術と将来」と題するページの 読者に日本の重量車のNOx規制値が現行の米国規制(2010年) NOx = 0.27 g/kWhと同等であるような印象操作を 積極的に行っていたとすれば、由々しきことではないだろうか。何れにしても、前述の表30の日本自動車工業会の ホームページに掲載の「クリーン・ディーゼルエンジン技術と将来」と題するページの「先進国の重量車のNOx規制比 較図」の中の@〜Bの3箇所に「NOx = 0.23 g/kWh」に関する記載が何を根拠にしたものであるかについて、早稲 田大学の草鹿教授の御意見を伺って見たいものである。なお、この自動車工業会の「誤り」・「間違い」のホームペー ジ(=http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/201203/03.html)は、2014年1月12日現在でも公開されており、「誤り」が 訂正されていないようだ。自動車工業会と早稲田大学の草鹿教授は、このホームページの間違った内容についての 「訂正」と「お詫び」をする意思があるのであろうか。
また、以下の表32の「平成25年度交通安全環境研究所講演会で早稲田大学の大聖教授が発表した最近の重量
車のNOx規制の比較図」に示したように、大聖教授もまた、日本の重量車のNOx規制として「NOx = 0.23 g/kWh」の 規制値が記載されている。
@ 日本のポスト新長期規制値の箇所に規制値と無関係な「NOx = 0.23 g/kWh」を記載(表32参照)
A 日本のポスト新長期NOx規制値のポイントからNOx = 0.23 g/kWhのポイントの間に日本のNOx規制と無関係な
太線を記載(表32参照)
このように、前述の早稲田大学の草鹿教授と同様に、早稲田大学の大聖教授も、平成25年度交通安全環境研究
所講演会で日本の重量車において、「NOx = 0.23 g/kWh」のNOx規制値が実存するかの如く講演の論文・資料の 中に記載されているのである。早稲田大学の大聖教授が日本の重量車のポスト新長期NOx規制においては現存し ない「NOx = 0.23 g/kWh」のNOx規制値を堂々と記載されているについてことについては、筆者には誤りのように思 えるのである。それとも、日本の重量車のポスト新長期NOx規制において、「NOx = 0.23 g/kWh」の規制値が本当に 存在しているのであろうか。
上記の表32に示したように、平成25年度交通安全環境研究所講演会で大聖教授が発表した「日本の重量車の
ポスト新長期規制(2009年-2010年規制)のNOx規制値がNOx : 0.7 - 0.23 g/kWh」と記載の資料を交通安全環境研 究所のホームページに堂々と掲載されている。これを見ると、「重量車のポスト新長期規制にはNOx = 0.23 g/kWh の規制が実際に存在するかの如く記載された資料の内容に交通安全環境研究所・環境研究領域長の後藤雄一氏 は同意されているようである。因みに、前述の図21に示したように、交通安全環境研究所の役割(=業務)は、「自 動車の環境技術基準(工業基準ではなく強制基準)案の策定するルールメーカ(=法令の作成者)」である自負され ている環境研究領域長の後藤雄一氏が断言しているようだ。そのため、後藤雄一氏は交通安全環境研究所に所属 されている職責面からも、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)のNOx規制値がNOx = 0.7 g/k Whの決定に深く関与されたものと考えられる。その上、交通安全環境研究所の後藤雄一氏と早稲田大学の大聖教 授は、共に中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会の委員であることから、ポスト新長期排出 ガス規制の規制値設定のベースとなる中央環境審議会の答申を作成された当事者であるようだ。そのため、後藤雄 一氏と大聖教授の両氏は、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)のNOx規制値がNOx = 0.7 g/ kWhであることを熟知されていた筈である。
したがって、大聖教授と後藤雄一氏は、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)におけるNOx規
制には、NOx = 0.23 g/kWhの規制値が存在していないことも十分に承知されている筈である。それにもかかわら ず、平成25年度交通安全環境研究所講演会で大聖教授が発表した上記の表32の講演資料には、日本の重量車 のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)のNOx規制値がNOx : 0.7 - 0.23 g/kWh」と記載された資料が 交通安全環境研究所のホームページに堂々と掲載されているのである。これを見ると、早稲田大学 大聖教授と 交通安全環境研究所のエンジン関係の責任者である後藤雄一氏は、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年- 2010年規制)にはNOx = 0.23 g/kWhの規制値が実際に存在するかのような錯誤の図表を用い、日本の自動車(重 量車)排出ガス規制についての誤った技術情報を意図的に喧伝する行為を行われているようにも見えるのである。
そして、いやしくも、環境省の中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会の委員である早稲田大
学の大聖教授と交通安全環境研究所の後藤雄一氏の両氏による「誤った重量車のポスト新長期規制のNOx規制値 を拡散する活動」を、環境省と国土交通省によって強制的に中止させるが取られていないのは、如何なる理由がある のであろうか。特に、交通安全環境研究所の自動車審査部は、排出ガス試験を実施し、日本の重量車がポスト新長 期排出ガス規制(2009年-2010年規制)の適否を審査する機関である。その国土交通省の御膝元である交通安全環 境研究所のホームページの掲載記事の中に、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)としてのNO x = 0.23 g/kWhの規制値が存在するか如く、誤ったNOx規制値が何ヶ月にもわたって堂々と記載されていることに 違和感を覚えるのは、筆者だけであろうか。
それとも、以上の表32に示した「平成25年度交通安全環境研究所講演会で大聖教授が発表した最近の重量車
のNOx規制の比較図」の中に示されているように、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)におい てはNOx = 0.23 g/kWhの規制値が実際に存在するため、環境省と国土交通省は、重量車のNOx = 0.23 g/kWh の規制値の表記が誤りとする筆者の主張が間違っているとの見解であろうか。仮に、この環境省と国土交通省の見 解の通りであれば、筆者の日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)において、「NOx = 0.23 g/kW hの規制値が存在しない」とする筆者の指摘は、完全に誤りとなる。その場合は、筆者の指摘が誤りであるとする理 由・根拠を教えていただければ幸いである。そして、筆者が納得できれば、このホームページに記載している「日本の ポスト新長期規制(2009年-2010年規制)には重量車においてNOx = 0.23 g/kWhの規制値が存在しない」との記述 は、即刻に修正・訂正したいと考えている。しかし、現時点では、上記の表32に示した「日本の重量車のポスト新長 期規制(2009年-2010年規制)において、重量車のNOx = 0.23 g/kWhの規制値の表記」が誤りであると、筆者は固く 信じている。
何はともあれ、大聖教授と後藤雄一氏は、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)にNOx = 0.
23 g/kWhの厳しい規制値が実際に存在するとの誤解を与えるような情報を拡散しているものと筆者は考えている。 また、日本の重量車のポスト新長期規制(2009年-2010年規制)についての誤った情報を積極的に喧伝する「早稲田 大学の大聖教授」と「交通安全環境研究所の後藤雄一氏」の目的は、筆者の邪推するところでは、日本の重量車の ポスト新長期規制(2009年-2010年規制)におけるNOx規制値が米国の2010年のNOx = 0.27 g/kWhと同等であると の誤った認識を日本国民に与える意図があるようにも思えるのである。仮に、これが事実であれば、早稲田大学の 大聖教授と交通安全環境研究所の後藤雄一氏の行為は、日本の自動車排出ガス規制の設定に関与されている学 者・専門家としては「不届き千万」と思うが、これは筆者の単なる「誤解」や「勘違い」であろうか。
ところで、世間では「誤り」・「間違い」について「御免なさい!」と謝罪して許されるのは小学生までの子供の場合と
考えている人達が数多くいるようだ。そして、そのような人達は、大人の世界では、「誤り」・「間違い」を認めて謝罪す ることは、それまでの信用・信頼を喪失するとの考えに基づいて常に行動するとのことである。つまり、自己保身のた めに「嘘は最後まで貫き通せ!」との信念を持った勇ましい人達である。そのような人達がインターネットのホームペ ージにおいて、「誤り」・「間違い」の技術情報を記載した場合、致命的な信用・信頼の喪失を招くとの考え方から、ホ ームページの「誤り」・「間違」の記載内容を「削除」や「訂正」せずに放置し続けるか、それとも密かに「削除」や「訂 正」を行うだけに止めて虚偽情報の拡散についての「お詫び」や「謝罪」を省略した処置にするかの何れかであると推 測される。仮に、自動車工業会に関係する人達、早稲田大学の草鹿教授や大聖教授、および(独)交通安全環境研 究所の後藤雄一氏が自己保身のために「嘘は最後まで貫き通せ!」との信念を持った人達であならば、前述の自動 車工業会と交通安全環境研究所の「誤り」・「間違い」が認められるインターネットのホームページの「訂正」が行われ ない恐れが多分にあると考えられる。なお、このように、虚偽情報の「訂正」が行われない場合には、インターネット上 に虚偽の技術情報が発信された事実が今後も決して消えないことは、当事者が肝に銘じておくべきではないだろう か。
散兎にも角にも、以上の自動車工業会と交通安全環境研究所の「誤り」・「間違い」の技術情報を掲載したホームペ
ージについて、自動車工業会の関係者、大聖教授・草鹿教授(早稲田大学)、および後藤雄一氏(交通安全環境研 究所)は、今後、ホームページの「誤り」・「間違」の記載内容を密かに削除」や「訂正」と「お詫び」や「謝罪」を行うので あろうか。それとも、「誤り」・「間違い」の発言・発表に頬被りして言いっ放しを決め込んでしまう心算であろうか。もっ とも、常識的に考えれば、虚偽情報を発信し続けることは、普通の人間には良心の呵責に耐えられないことだと思う が、如何なものであろうか。今後の成り行きが注目されるところである。なお、これら自動車工業会と交通安全環境 研究所の「誤り」・「間違い」の技術情報を掲載したホームージの処置・対処の方法によって、関係する諸氏の人間性 を垣間見ることができるかも知れない。筆者にとっては、興味津々なことである。
さてさて、日本と欧米の先進国の重量車の正確なNOx規制の比較図は、下記に示した図(前述の図22-2と同じ)
の通りである。この下図(=前述の図22-2と同じ)を見ると、現行の米国規制(2010年) NOx = 0.27 g/kWhに比較 し、2016年の時点でも日本の重量車NOx規制値が 約 33 %程度も劣っていることが一目瞭然である。このように、日 本の重量車のNOx規制は、米国のNOx規制に比べて明らかに甘くて緩い状況を是正するためには、中央環境審議 会の第八次答申(2005年答申)の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」のNOx排出値レベルを日本の重量車のNOx規制 値として早急に設定することである。このことについては、2009年10月8日に筆者がこのページを開設して以来、筆者 が一貫して主張してきたことである。そして、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ! にも詳述しているように、大型トラックに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用した場合には、この NOx = 0.23 g/kWhのNOxの排出レベルが容易に達成できるため、近い将来に日本の重量車のNOx規制値を世界 で最も厳しいレベルのNOx = 0.23 g/kWhに適合させることについては、技術的な障害や問題が何も無いと考えてい る。 ![]()
16−3 新たな「低NOx・低燃費自動車の基準」導入による低NOx・低燃費の促進
将来、車両重量3.5tを超えた大型トラックに対して「表29の低NOx・低燃費自動車の基準(案)」のような基準を設け
「環境性能に優れたバス・トラック」の認定車とすることによって、大型トラックの低NOx化と低燃費化を促進すること が可能である。その際、この低NOx・低燃費自動車の基準に適合した車両重量3.5tを超えた大型トラックに対しては、 現在の低公害乗用車に使用されている以下のようなステッカに類似した新たなステッカを設定し、それをを貼付する ことが良いのではないだろうか。
これらの施策を新たに実施することによって、日本の大型トラック分野において、大気環境の改善と省エネルギー
が大幅に進展させることができると考えられる。そのためには、環境省と国土交通省燃費は、早急に2016年に実 施が予定されている次期NOx規制値 = 0.4 g/kWh とは異なった新たに3.5t超えたバス・トラックに対する 「低NOx・低燃費自動車基準(案)」の「環境性能に優れたバス・トラック」の認定車の適合制度を発足させるこ とが適切と考えている。この「低NOx・低燃費自動車の基準(案)」の適合車には、新たな優遇税制の適用を 開始することである。
このように、環境省、国土交通省には、ディーゼル重量車についても表22の基準に適合した低NOx・低燃費自動
車に対しての優遇税制のを早期に導入して頂きたいものである。これによって大型トラックメーカが従来以上に低燃 費技術の開発に真剣に取り組むことは間違いないと考えられる。
また、環境省と国土交通省が新たな「低NOx・低燃費自動車基準」に適合した大型トラックに対し、従来のエコカー
減税と同様の税の優遇を行えば、結果的には環境省が2005年の第八次答申にNOxの挑戦目標として示されていた 0.7 g/kWhの 1/3程度(= 0.23 g/kWh)のNOx削減がそのまま実施できることになるのである。このことは、第八次 答申に記載されているNOxの挑戦目標を新たな基準(=規制)に反映できたことになるのだ。このような大型トラック の燃費削減とCO2削減の施策を省エネルギーと大気環境改善に積極的な行動の証として国民に示すことにより、国 土交通省は高く評価されるものと考えられる。
以上のような新たな制度の導入によって低燃費トラックの商品化が促進されることにより、大型トラックのユーザ
は、早期に2015年度重量車燃費基準から+10 % 程度を改善した低燃費の大型トラックを購入できるようになるた め、貨物輸送業務における燃料費の削減の恩恵を享受できるのである。ただし、トラックメーカにとっては、気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の技術を早期に実用化するための研究開発業務が繁忙となるが、近い将来、何れ 実施しなければならない研究開発である。そのため、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術の開発の実 施時期が多少、早まるだけのことであり、大きな犠牲や損失を伴うものでは無いと考えられる。
このように、環境省や国土交通省が新たな「低NOx・低燃費自動車の基準」の制度を導入した場合、各トラックメー
カは気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用したNOx化・低燃費化した大型トラックを競って発売する ことは明白である。因みに、環境省や国土交通省が「低NOx・低燃費自動車基準」の制度を導入することによって、 政府やトラックユーザおよび国民には多大の利益がもたらされ、また、トラックメーカにとっても大きな犠牲や損失が 伴うものでは無い。したがって、環境省や国土交通省がトラック・バス・トラックを対象とした「低NOx・低燃費車 基準」(表27を参照)の制度を新たに導入することは、わが国における大型トラックの更なる低NOx化と低燃 費化を促進するためには最善の策ではないだろうか。なお、大型トラックの新たな「低NOx・低燃費トラック・バス の基準」については、政府は大型トラックの新たな低燃費・低排出ガス基準を早期に設定せよ!にも詳述しているの で、御覧いただきたい。
17 気筒休止の大型トラックを最初に実用化して燃費競争に勝利するメーカは?
わが国では、1974年にディーゼル自動車のNOx(窒素酸化物)の排出ガス規制が開始制定されて以来、ディーゼル
エンジンでは「NOxと燃費がトレードオフ関係にある」ことから、ディーゼルエンジンでの燃費向上は難しいとの意見・ 主張を目にすることが多かった。それは、これまで多くの著名な学者・専門家は「NOxと燃費のトレードオフ関係」の特 性を挙げてディーゼルエンジンでの燃費改善の難しさを力説されていたためだ。しかし、この「NOxと燃費のトレードオ フ関係」は、ディーゼル燃焼に限定した一つの事象であり、ディーゼルエンジン全体の燃費を議論する場合には特段 に取り上げることではない。しかし、これは、多くの著名な学者・専門家はディーゼルエンジンの燃費改善の手段がデ ィーゼル燃焼の効率向上しか念頭になく、彼らの発想が乏しかったことが最大の原因であったためではないだろう か。このようなことから、これまで数十年間にわたり、ディーゼルエンジンでは「NOxと燃費のトレードオフ関係」の特性 によってディーゼルエンジンでのNOx削減と燃費向上とを同時に実現することは、極めて困難との常識が定着してい た。そのため、技術が進歩した現在でも、未だに「ディーゼルにおけるNOxと燃費のトレードオフの呪縛」から抜け切 れていない学者・専門家が多いように感じるのである。
このような状況を一変できる技術が、筆者の提案する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術である。こ
の技術は、「NOx削減と燃費向上の両方を可能にする画期的な技術」であることを多くの学者・専門家には解く理解し ていただきたいと考えている。そして、長年のディーゼルエンジンの「風評被害?」とも言えそうな「NOxと燃費のトレー ドオフ関係」の特性によって「ディーゼルエンジンの燃費向上が困難」とする常識をキッパリと捨て去って頂きたいと思 っている。なお、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術の特長をまとめると、以下の通りである。
・ 5〜10%の重量車モード燃費の削減
・ 排気ガス温度の高温化による尿素SCR触媒での十分なNOxの削減
・ 排気ガス温度の高温化によるDPFの自己再生の促進による燃料浪費を防止
(燃費悪化の原因であるDPF装置の手動または自動の再生頻度を削減)
(詳細は、気筒休止はDPFの自己再生を促進 (燃費悪化の防止に有効)を参照)
これまでの自動車技術会や日本機械学会の講演会の発表論文や論文集の掲載論文を見る限り、気筒休止エンジ
ン(特許公開2005-54771)に匹敵する「燃費とNOxの両方を削減できる技術」に遭遇したことがない。ディーゼルエン ジンの燃費向上とNOx削減に関し、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)と同等か、若しくはこの技術を凌駕す る技術を御存じの場合には、是非ともお教え頂きたいと思っている。特に、最近では、何れの大学・研究機関・トラッ クメーカからも十分な燃費向上を実現する技術が開発したとの発表を目にしたことが無い。
ところで、筆者は1972年に自動車メーカに就職し、長年、トラック用ディーゼルエンジンの研究開発に携わった経
験がある。そこで筆者が担当し、顕著な燃費改善に成功した技術が「直噴化」や「インタークーラ過給化」であった。当 時は無過給の副室式燃焼室のトラック用ディーゼルエンジンが一般的であった時代に、「過流室式や予燃焼室式の IDI燃焼から直噴式へのDI燃焼方式の変換」や「ディーゼルエンジンのインタークーラ過給化」の技術を新たに採用す ることによって、5〜15%程度のディーゼルエンジンの燃費が向上できたのである。
これら「直噴化」や「インタークーラ過給化」は、エンジンサイクル理論上において、既にディーゼルエンジンの熱効
率を増大できることが良く知られてた技術である。しかし、それまではターボ過給機や燃料噴射装置等の性能が劣っ ていたためにこれら技術の実用化が遅れていたものである。しかし、筆者がディーゼルエンジン開発を担当した当時 は、丁度、ターボ過給機や燃料噴射装置等の性能が飛躍的に向上した時代であったため、「直噴化」や「インターク ーラ過給化」の技術を適用したトラック用ディーゼルエンジンは、エンジンサイクルの理論通りに大幅な燃費が向上で きたのである。逆な言い方をすれば、ディーゼルエンジンの数パーセントの熱効率の向上を実現するためには、既に エンジンの考古学の分野になっているかもしれないが、エンジンサイクル理論から容易に証明できる技術によって初 めて実現できるものと思っている。
しかし、最近の学者や技術者は、「コモンレールによる高圧&多段噴射やその多段噴射の噴射量と噴射時期の制
御」、「VGターボによる過給量の制御」および「EGRの量と温度の制御」等をそのエンジン運転に最適な状態になるよ う精密に制御することによってディーゼルエンジンの「NOx削減」と共に「燃費向上」が実現できると主張されている人 が多いようだ。しかし、この「ディーゼルエンジン運転の精密制御」は、「NOx削減」には有効であるが、「燃費向上」に は余り大きな効果を発揮できないものと考えられる。因みに「燃費向上」は、「ディーゼルサイクルの熱効率の向上」、 「冷却損失の削減」、「摩擦損失の削減」および「ポンピング損失の削減」等の古典的なエンジンサイクル理論におい て、昔から大学のエンジン工学の授業で教えられているような技術によって初めて実現できるように思えるのである。 したがって、「エンジン運転の精密制御」によって燃費が向上するとの最近のエンジン関係の学者や技術者諸氏の意 見・主張は、ディーゼルエンジンにおける燃費向上の願望を述べているだけにように思えるのだ。筆者から見れば、 このようなことは、単に「ディーゼルエンジンの燃費向上」の奇跡の到来を、神や仏に願う呪文を唱えているだけのよ うに見えるのである。
一般的に、ディーゼルエンジンの燃費が向上できたことを対外的に説明する場合は、その成果としては少なくとも数
パーセント程度の改善を示すことが常識ではないだろうか。この数パーセントのレベルの燃費改善は、エンジンサイ クル理論での燃費向上(熱効率の増大)が説明できる技術によって初めて実現できるものと考えられる。これに対 し、ディーゼルエンジンのNOx濃度は元々がppmのレベルである。そのため、このNOxの削減については、燃焼室内 の一部の局所的な高温の火炎領域で発生するNOxをppmのレベルで削減することによって、NOx削減率としては数 十パーセントのレベルの改善ができたことになる。このように、NOxの削減は燃焼の微妙な制御によって燃焼室内の 一部の局所的な高温の火炎領域の縮小を図ることによって可能にできるものであり、エンジンサイクルの理論での 熱効率の向上によって実現できる燃費削減とは全く異なるものである。そのため、「燃費向上」と「NOx削減」は、全く 異質の開発と考えるべきではないだろうか。
したがって、現在、トラックメーカの技術者や大学・研究機関の学者・専門家がディーゼルエンジンのNOx削減と燃
費向上の両方に寄与できると期待されているPCI燃焼(=HCCI燃焼)に類する技術は、エンジンサイクルの理論での 熱効率の向上が説明できない技術だ。このような技術を用いてディーゼルエンジンの十分な燃費向上を図ることは、 決して実現されることがないと考えられる。今後、エンジンサイクルの理論から見た場合の熱効率の向上が説明でき ない技術の研究開発を幾ら継続しようとも、大型トラック・トラクタの十分な燃費は向上することは難しいだろう。この ことを理解できないトラックメーカは、大型トラック・トラクタの多くの車種を2015年度重量車燃費基準に不適合の状 態で放置してしまうことになるものと考えられる。
さて、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)がエンジンサイクル理論的にも熱効率を向上できることについて
は、気筒休止は、燃費削減と尿素SCRのNOx削減率の向上に有効だ!に詳述しているので御覧いただきたい。この 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、燃費とNOxの両方を削減できる極めて優れた技術である。したがっ て、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラック・トラクタの全車種を「2016年に実施が予定されている 次期NOx規制の強化」や、2013年6月現在において国土交通省が検討中の「2015年度燃費基準に続く次期燃費規制 の強化」に適合させるため、今後、トラックメーカが早急に開発しておくべき技術であることは間違いないだろう。
この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の最大の特徴は、標準サイズ(大排気量)のエンジンを搭載した大
型トラックや、ダウンサイジング(小排気量)のエンジンを搭載した大型トラックなど、何れの大型トラックにおいても5 〜10%の割合で重量車モード燃費を向上できることだ。このように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技 術は、エンジンサイズの大小(=排気量の大小)の如何にかかわらず、この技術を採用した何れの大型トラックでも、 重量車モード燃費を向上できるのである。
ところで、最近では、数十年も昔からFF乗用車に装着の 「電動冷却ファン」と数年前からハイブリッド乗用車に装
着の「電動ウォーターポンプ」の技術を新たに採用することにより、大型トラック・トラクタの重量車モード燃費を+ 5%が実現(=http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140624_654839.html)できたとのことである。この乗用車 関係における既存技術である「電動冷却ファン」と「電動ウォーターポンプ」の新たな装着により、大型トラック・トラクタ の全車種を2015年度重量車燃費基準にさせることが可能になったとのことである。しかし、近い将来に、2015年度重 量車燃費基準の+10%程度の基準強化が実施された場合は、その新たに強化された燃費基準に大型トラック・トラ クタを適合させることは、極めて困難と考えられる。この+10%程度の基準強化された次期の燃費基準に大型トラッ ク・トラクタを適合させることが可能な技術は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術である。したが って、市場での燃費競争で優位に立ちたいトラックメーカは、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術開発 に早急に着手することではないだろうか。
ところで、リカルドやAVLのような世界的に有名な研究機関が提唱する技術では無く、筆者のような一般人が提案
する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術の研究開発を実施した際には、多くのトラックメーカの社内で は、エンジン系技術者に対して「無能」と酷評される可能性が極めて高い。したがって、自己保身に汲々としたエンジ ン技術系幹部が強い影響力を持つトラックメーカでは、このような社内からの批判を恐れ、気筒休止エンジン(特許 公開2005-54771)の技術を無視し続けることになるのではないだろうか。その場合、そのトラックメーカは、今後の大 型トラック・トラクタの燃費削減の競争に後れを取ってしまうものと予想される。
何はともあれ、今後、各トラックメーカが気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術開発に着手するか否かに
より、各トラックメーカにおける今後の大型トラック・トラクタの燃費の優劣が決定されてしまうものと思っている。果た して、燃費競争の激しい大型トラック・トラクタの販売市場において、今後の各トラックメーカにおける商品力の優劣 は、如何なものになるのであろうか。結果が楽しみだ。
また、2006年4月1日に2015年度重量車燃費基準が施行されて既に5年程度の歳月が経過していることから、この
燃費規制を強化すべき時期が到来しているために、5%程度の燃費向上を要求する重量車燃費基準の強化が行わ れる可能性がある。また、最近では下記の理由によって世界の石油需要が逼迫する傾向をしており、近い将来、軽 油価格の高騰が予想されている。
・ 現在はオイルピークの時代を迎えており、世界の原油生産量は、今後、漸減の傾向
・ エジプトの民主化騒動に端を発した中東各国の政治不安により、中東での原油生産量は減少の恐れ
・ 中国、インド等の新興国は、経済発展や自動車販売の激増による石油消費量の増大で、需給の逼迫
・ 東日本大震災での悲惨な福島原発事故によって反原発の世論の高まりから火力発電が増加し、世界各国での
石油需要の増大
以上のような原油生産の減少と石油消費の増大に加え、近年での米国FRBのドルの大量発行に伴うドル価値の下
落により、近い将来、原油価格は200ドル/バレルまで上昇すると云われている。このような場合には、今後、我が 国が多少の円高になったとしても軽油の市販価格は現行の2倍近くの200円/リットルを超えるまで高騰してしまう 可能性も否定できない。そのような時代には、トラックユーザの燃費向上の要求・ニーズが高まることは必至だ。とこ ろが、最近の日本機械学会や自動車技術会の講演会では、ディーゼルエンジンでの十分な燃費改善が期待できると して多くの学者・専門家が注目するような新技術が見当たらないのが現状のようだ。
ところが、つい最近までは、エンジン関係の学者・専門家は、HCCI燃焼(=PCI燃焼)がディーゼルエンジンの「NOx
と燃費のトレードオフの経験則を覆す新技術」であり、この技術がディーゼルエンジンの「NOx削減」と「燃費向上」を 実現する究極のディーゼル燃焼技術として日本機械学会や自動車技術会の講演会等では大いに持て囃され、この 技術に関する多数の論文が発表されていた。そして、後輩の現役のディーゼルエンジン技術者からは、HCCI燃焼 (=PCI燃焼)の出現によりディーゼル燃焼の世界が飛躍的に進歩し、遠い昔に退職した筆者の持っているような古 い陳腐なディーゼル燃焼の技術が全く通用しない時代になったと宣言されてしまったのである。
しかし、その後の研究が進むにつれて、ディーゼルのHCCI燃焼(=PCI燃焼)の技術は、燃焼の不安定問題が解決
できない上に、ディーゼルエンジンの「NOx削減」と「燃費向上」の効果も極めて僅かであることが明らかとなったた め、現在ではこの技術を注目する学者・専門家の数が急速に少なくなったようである。この様子を見ていると、これま でのディーゼルのHCCI燃焼(=PCI燃焼)の技術のドンチャン騒ぎは、一体、何だったのであろうか。そして、ディーゼ ルのHCCI燃焼(=PCI燃焼)に有頂天になっていた学者・専門家は、現在、自らの馬鹿さ加減を少しは恥じているの であろうか。
そもそも、ディーゼルエンジンが生まれてこの方、「ディーゼル着火」は、これまで多くの人達が日夜、百年以上に及
ぶ改良研究を続けてきた課題である。そして、燃焼室内において多点の着火を確実に起こすことが必須となるHCCI 燃焼(=PCI燃焼)の実現が困難なことは、ディーゼルエンジンの歴史を見れば容易に判断できることだ。そのような ことに頭が働かないのは、最近の多くの学者・専門家は、手早く「功」を成すことだけに心が向いているためではない だろうか。馬鹿げたことである。
このHCCI燃焼(=PCI燃焼)によるディーゼルエンジンの「NOx削減」と「燃費向上」が無理であることが明らかとなっ
た現在では、大型トラックの「NOx削減」と「燃費向上」を図ることに行き詰まりの状況に陥っているものと考えられる。 その結果、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢に詳述しているように、日本では 「米国よりも緩い日本の大型トラックのNOx規制値」の排出ガス規制を施行し続ける破目に陥っていると考えられる。 そして、日本政府(=国土交通省)は2015年度重量車燃費基準を強化した大型トラックの新しい低燃費の基準を設 定できない状況になっていると考えられる。そして、政府は、今後も「そば屋の出前!」の諺のように、「米国よりも緩 い日本の大型トラックのNOx規制値の強化」と「2015年度重量車燃費基準を強化」を「必死で準備中!」との国民を馬 鹿にした発表を繰り返しているようである。この様子では、今後も大型トラックのNOxと燃費の規制強化を際限なく先 送りする魂胆であろうか。仮に、これが事実であれば、政府(=環境省・国土交通省)は、国民を蔑ろにする無能な人 間の集まりと言われても仕方がないのではないだろうか。
このように、日本のトラックメーカ・大学・研究機関のディーゼルエンジンに関係する学者・専門家には、「燃費とNOx
とのトレードオフを克服できる技術」の技術案やアイデアが不足・欠乏の状況に陥っているため、「燃費とNOxとのトレ ードオフを克服」し、ディーゼルエンジンの「燃費改善」と「NOx削減」を推進できる新しい技術が何も開発できていない のが現実のようである。現時点では、大型トラックの「燃費改善」と「NOx削減」を推進できる技術開発の見通しが全く 無いた状況であるため、近い将来、日本の大型トラックが「燃費改善」と「NOx削減」を実現できる可能性は皆無と考 えられる。そのため、日本政府は、大型トラックの「2015年度重量車燃費基準を強化した新たな低燃費の基準」が設 定できない上に、米国のNOx規制よりも緩い大型トラックのNOx規制を日本で施行し続けざるを得ないのが現状のよ うである。その結果、日本における「大気環境の改善」、「大型トラックのCO2削、現時点では、わが国における現行 の大型トラックでの不十分な「NOx規制」と「燃費規制」を近い将来に改訂して強化できる目処も全く無いように見える が、如何なものであろうか。
このような状況に鑑み、現在の日本での大型トラックのNOxと燃費の規制強化の不十分な状況を打破し、国民が望
むような大型トラックの「NOx規制」と「燃費規制」に強化できる技術として、筆者は、気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)を提案している。そして、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!に詳 述しているように、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、ディーゼルエンジンの長年の課題であったNOx 削減時には燃費を悪化させ、燃費の改善時にはNOxを悪化させる「燃費とNOxとのトレードオフ」を克服できることが 特徴である。
したがって、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、長年、ディーゼルエンジンの学者・専門家がこれま
で必死に探し求めていた「ディーゼルエンジンの燃費とNOxとの同時の削減を実現できる革新的な技術」と云えるの ではないだろうか。ところが、残念なことに、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術は、現在のところ、 日本の政府(=環境省・国土交通省)やディーゼルエンジンの学者・専門家等からは、何故か完全に無視・黙殺され ているのである。その一方で、日本の政府や大型トラック用ディーゼルエンジンの研究開発に関係している人達は、 日本機械学会・日本自動車技術会等の講演会・技術誌などにおいてディーゼルエンジンのNOx削減や燃費改善に関 する多数の論文が盛んに発表・公表されている。しかしながら、それらの論文の中身を見る限り、何れも日本の大型 トラックの「NOx削減」と「燃費改善」を早期に、しかも確実に実現できそうな技術は、残念ながら皆無のようだ。それに もかかわらず、日本の政府や大型トラック用ディーゼルエンジンの研究開発に関係している人達は、現在の大型トラ ックの最も重要なである「NOx削減」と「燃費改善」の課題を容易に解決できる気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)を完全に無視・黙殺しているのは、如何なる理由があるのであろうか。
このように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を無視・黙殺している日本機械学会・日本自動車技
術会等の講演会発表の論文調査やメーカからのヒアリングを行って不十分な技術情報だけを集め、その情報を基に 日本の政府(=環境省・国土交通省)が、日本の「NOxと燃費の規制強化」の可否・要否を判断している現状では、更 なる日本の「NOxと燃費の規制強化が困難」との結論となってしまうのは、当然のことではないだろうか。その結果、 日本では、大型トラックの2015年度重量車燃費基準の強化を先送りとし、現状での米国よりも緩い日本の大型トラッ クのNOx規制を施行し続けているのではないかと考えられる。
そのため、日本の政府(=環境省・国土交通省)は、現状の大型トラックにおけるNOxと燃費の緩い規制を、これか
らも「だらだら」と施行し続けて行く心算であろうか。因みに、日本の政府が現状の緩い大型トラックの規制を将来も 施行し続けることは、トラックメーカには大きな利益を生み続ける要因の一つであるために、これを大いに歓迎してい ることは間違いないだろう。しかし、日本の政府による大型トラックの緩いNOx規制によって迷惑を被るのは多くの日 本国民であり、そして、大型トラックの緩い燃費規制によって迷惑を被るのは多くの日本のトラックユーザであること は間違いないだろう。この状況を見ると、現在の日本の政府は、企業(=トラックメーカ)には優しく、国民には厳しい 施策を実行していることが、誰でも理解できるのではないだろうか。
ところで、これまで日本の多くのディーゼルエンジ学者・技術者・専門家は、「超高圧噴射」、「3段過給(=2段過
給)」、「HCCI燃焼(=PCI燃焼)」の先進技術を開発することによって大幅な「NOxの削減」と「燃費の向上」を実現した 大型トラック用の「クリーンディーゼルエンジン」を実用化できると声高に大合唱し、どんちゃん騒ぎを巻き起こして NEDO等を通じて数十億の政府の特別会計の予算を我が物顔で使いまくっていたようだ。その一つがNEDO 革新的 次世代低公害車総合技術開発の「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発(研究期間:2004年8月〜2009年3 月、予算:8億円以上)」http://app3.infoc.nedo.go.jp/gyouji/events/FK/rd/2008/nedoevent.2009-02-16.5786478868 /shiryo.pdfである。
このNEDO 革新的次世代低公害車総合技術開発の「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発(研究期間:
2004年8月〜2009年3月、予算:8億円以上)」は、大型トラックの2015年度重量車燃費基準よりも2%の燃費が悪 化してしまい、悲惨な試験結果で終止したのである。そして、このNEDOの研究開発の報告を読んだ日本の多くのデ ィーゼルエンジ学者・技術者・専門家は、これまでの大型トラックの燃費を向上する唯一の手法としての期待を裏切ら れたことになり、茫然として成す術を無くした状況に陥ってしまったようだ。このことから、これまで日本の多くのディー ゼルエンジ学者・技術者・専門家が吹聴・喧伝していた「超高圧噴射」、「3段過給(=2段過給)」、「HCCI燃焼(=PCI 燃焼)」の先進技術を開発することによって大幅な「NOxの削減」と「燃費の向上」を実現した大型トラック用の「クリー ンディーゼルエンジン」の実用化が可能とする自信満々な騒動は、一体、何だったのであろうか。
このように、NEDO 革新的次世代低公害車総合技術開発の「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」が惨め
な結果で終わったのであるが、そうは云っても、このNEDOの研究開発の失敗は、日本の多くのディーゼルエンジ学 者・技術者・専門家に、ディーゼルエンジンの「NOxの削減」と「燃費の向上」が極めて難しいことを思い知らしめたよう だ。これによって、日本の多くのディーゼルエンジ学者・技術者・専門家は、ディーゼルエンジンの「NOxの削減」と「燃 費の向上」を速やかに実現するためには、新しい技術に対して予断・雑念を持たずに真摯に研究開発に取り組むべ きことを誰もが痛感したように思えたのである。その理由は、このNEDO 革新的次世代低公害車総合技術開発の 「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の悲惨な結果の報告終了時に、会場の聴衆が一斉に天井を見上げ て落胆していた様子を見てしまったからである。
ところが、多くのトラックメーカは、NEDO 革新的次世代低公害車総合技術開発の「超高度燃焼制御エンジシステ
ムの研究開発」が惨めな結果で終わったことを知りながら、燃費改善が殆んど期待できない「超高圧噴射」、「2段ま たは3段の過給」、「HCCI燃焼(=PCI燃焼)」等の技術開発を、相変わらず懸命に実施し続けているようだ。そして、 筆者が提案している大型トラックの燃費改善に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を、未だに無 視・黙殺しているようである。このように日本のトラックメーカは、大型トラックの燃費改善に無効な技術開発を熱心に 研究開発を続ける一方、燃費改善に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を無視・黙殺している ようである。これについては、日本のトラックメーカの技術者・専門家は、会社に出勤して遊んでいる訳にもいかない 事から、ディーゼルエンジンの燃費改善を実現できる技術アイデアが枯渇しているために仕方なく、毎日、大型トラッ ク用ディーゼルエンジンの「燃費改善」と「NOx削減」が殆んど期待できない「超高圧噴射」、「2段または3段の過 給」、「HCCI燃焼(=PCI燃焼)」等の技術開発をだらだらと研究し続けているように思えるのである。
ところで、以下の表33には、平成25年5月31日に開催された「平成25年度交通安全環境研究所講演会」におい
て、早稲田大学 大聖教授の「ディーゼル自動車の排出ガス対策技術の最新動向」の講演資料の一部をに示した。 この大聖教授の「講演資料」の29ページには「自動車の燃費改善技術」がまとめられている。その中では、ディーゼ ルおよびガソリン自動車の燃費改善率が10%以上の技術として、◎可変気筒機構(=気筒休止)が堂々と挙げられ ている。ところが、この大聖教授の「講演資料」の30ページの「ディーゼル商用車の高効率化」の列挙技術の中に は、「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術が記載されていないのである。
この大聖教授の講演資料の30ページ「ディーゼル商用車の高効率化」のページに列挙された技術は、その大部分
の技術が大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費を十分に改善できない代物であるように、筆者には思えるの である。そこで、大聖教授が講演資料の30ページ「ディーゼル商用車の高効率化」のページに列挙された技術を大 型トラック(GVW25トン)に採用した場合、この大型トラック(GVW25トン)の実走行燃費や重量車モード燃費の改善が 僅少であると筆者が推測する理由を、表34にまとめた。 (「平成25年度交通安全環境研究所講演会」における大聖教授の講演資料の「ディーゼル商用車の高効率化」ページ参照)
以上のように、平成25年5月31日の「平成25年度交通安全環境研究所講演会」における大聖教授の「ディーゼル
自動車の排出ガス対策技術の最新動向」についての講演の中で30ページの「ディーゼル商用車の高効率化」すな わち「大型トラックの燃費向上」に有効と大聖教授が推奨された@〜Gの燃費向上技術は、何れも大型トラック (GVW25トン)の実走行燃費や重量車モード燃費の1%未満の改善に過ぎないため、何れも「使えない技術」若しくは 「ガラクタ技術」と形容が相応しいようだ。そこで、これら@〜Gの技術の問題点を把握し易くするために、以下のよう 分類してみたので、ご覧いただきたい。
● 意味不明な技術 (=具体的な技術内容を何も示さず、単なる願望・目的を「燃費改善技術」と記載)
@ エンジンシステムの高効率化:機能・作用・構造についての記載が全く無いため、単に「立派な技術」との説明に過ぎない。
厳密に言えば、高効率のエンジンシを実現したいとの願望だけが記載されていることになる。
● 勘違いの技術 (=現行のGVW25トンの大型トラックでは、「既に採用済み」、「燃費改善の機能が、若しくは採用不可少」の技術)
A高過給ダウンサイジング化:現時点で無過給エンジンが主流であり、しかも部分負荷時にポンピング損失の大きいガソリンエンジン
では、高過給ダウンサイジング化による部分負荷時のポンピング損失の削減による燃費改善が有効
である。一方、大型トラックのディーゼルエンジンでは、(a) 既に高過給エンジンが普及していること、
(b) ガソリンエンジンに比較してディーゼルエンジンの部分負荷時のポンピング損失が大幅に少ないこと
(c) 大型トラックの実走行時のエンジン負荷がガソリン乗用車に比較して大幅に高負荷であること、
以上の要因により、大型トラックでは高過給ダウンサイジング化による更なる十分な燃費向上は困難
である。したがって、大型トラックの燃費向上の技術として「高過給ダウンサイジング化」を挙げることは、
最近のガソリン乗用車の燃費向上技術の話題を、何も考えずにそのまま大型トラックの燃費向上の
技術として引用する勘違いと推測。
B ターボコンパウンド化:本来、ターボコンパウンドがトルクと出力の増大に有効な技術であることを忘れ、燃費低減の技術と勘違い
したもの。
E 軽量化:大型トラック(GVW25トン)では、貨物の積載量の増加が可能なため、トラックの商品力を向上する技術であり、重量車モード
燃費の改善技術では無い。
● 実用性が皆無の技術 (=現行のGVW25トンの大型トラックでは、ユーザが拒絶する技術)
C ハイブリッド化:バッテリー&モーター搭載による車両本体の重量増加によって積載量を招くため、都市間の貨物輸送分野で主力の
大型トラック(GVW25トン)ユーザが全面的に拒絶する技術
● アイデア不足の技術 (=実際のトラック用エンジンの運転状況を理解していないことに起因した「単なる話題提供」的な技術)
D 排気熱の利用:大型トラック(GVW25トン)の実走行時にはエンジン部分負荷が主体のために排気ガス温度が低いが、この低い
排気ガス温度の状態において低効率での作動しかできない状態において排気ガスのエネルギーを回生して燃費の
向上を図ろうとする「馬鹿丸出し」の技術。
高効率での作動する状態で排気ガスのエネルギーを回生して燃費の向上を図ろうとする場合には、例えば、
気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)のような技術を併用してエンジン部分負荷時に排気ガス温度を高温化
することが必須。
● 他力本願の技術 (=ディーゼルエンジンの専門家に無関係な技術)
F 空力特性の改善:ディーゼルエンジン関係以外の学者:専門家の努力に期待
G 低転がりタイヤの利用ディーゼルエンジン関係以外の学者:専門家の努力に期待
そもそも、平成25年5月31日の「平成25年度交通安全環境研究所講演会」において、大聖教授は、29ページの
「自動車の燃費改善技術」の中には「可変気筒機構(=気筒休止)」がディーゼル自動車およびガソリン自動車の燃 費改善率が10%以上の技術として挙げられているのである。それにもかかわらず、その次の30ページでの「ディー ゼル商用車の高効率化」の中では、何故か判らないが、大型トラックの燃費向上技術として、走行燃費や重量車モー ド燃費が1%未満の僅かな改善しか得られない技術や、車両の軽量化等の大型トラック(GVW25トン)の商品力を向 上する技術を列挙され、直前のページで「10%以上の燃費改善」と記載されている「可変気筒機構(=気筒休止)」 が無視・黙殺されている。
このように、「平成25年度交通安全環境研究所講演会」での大聖教授の講演資料を見ると、29ページにはディー
ゼル自動車の燃費改善率が10%以上の技術として「可変気筒機構(=気筒休止)」が記載されているが、30ページ の「ディーゼル商用車の高効率化」の技術の中には「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術が記載されておらず、自 己矛盾に陥った内容となっている。このように、大聖教授が論理的矛盾の講演を堂々と行われたことは、驚きの極み である。何しろ、大聖教授は、論理的矛盾をものともせずに、将来的なディーゼルトラックの燃費向上技術としての 「可変気筒機構(=気筒休止)」を否定(=無視・黙殺)する内容の講演が行われたようである。
このように、将来的なディーゼルトラックの燃費向上技術としての「可変気筒機構(=気筒休止)」を否定した内容の
講演を大聖教授が行われた理由を推測すると、次の二つの理由が考えられる。
● 第1の理由
「可変気筒機構(=気筒休止)」が今後の大型トラック(GVW25トン)の燃費改善の技術としては「失格」、若し
くは「欠陥技術」であり、実用不能な技術との意見・見解を大聖教授が持たれている可能性がある。このこと は、筆者には、とても信じられないことだ。このディーゼル商用車(=GVW25トンの大型トラック)に「可変気筒機構(= 気筒休止)」(=例えば、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))が将来とも実用化できないと大聖教授が確信さ れるている理由・根拠を知りたいものである。
● 第2の理由
「可変気筒機構(=気筒休止)」が今後の大型トラック(GVW25トン)の燃費改善の技術として有望として推挙すると、
大型トラック(GVW25トン)の燃費改善の技術として筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を間接的に 推奨することになってしまうことになる。このように、大型トラック(GVW25トン)の燃費改善の技術として、退職したポン コツ元技術屋の特許技術を推奨する「不名誉?」若しくは「自尊心の損傷」と大聖教授が考えられている可能性があ る。このポンコツ元技術屋の特許技術を推奨する「不名誉?」を避ける目的のために、大聖教授は、将来的なディー ゼルトラックの燃費向上技術としての「可変気筒機構(=気筒休止)」を否定する内容の講演が行われた可能性も考 えられる。もっとも、筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を間接的に推奨することを回 避する目的のために、講演内容の論理的矛盾をものともせずに、将来的なディーゼルトラックの燃費向上技術として の「可変気筒機構(=気筒休止)」を否定する内容の講演を大聖教授が行われたとは思えないが・・・・・・・・。
昔から世間では「一般的に嘘は良くない」といわれるが、一番苦しいのは他人に嘘をついていることではなく、自分
に嘘をついているときである。しかし、世の中には他人に嘘をついても平気でいられる人がいるじゃない?と思われる かもしれないが、他人に対してどんなに無感覚で無意識なように振舞っても、本人の潜在意識には刻み込まれてい る。そのため、「嘘をつく」ことは、本人が「良心の呵責」に耐えると云う心の重荷を引きずった憂鬱な人生を送らなけ ればならないことになる。そこまでして、大聖教授が講演内容の論理的矛盾をものともせずに、将来的なディーゼルト ラックの燃費向上技術としての「可変気筒機構(=気筒休止)」を無視・黙殺する内容の講演を敢て行われたとは思え ないのである。そのため、以上の第2の理由は、常識的に考えれば、現実的には有り得ないと考えられる。
したがって、この講演で大聖教授が「可変気筒機構(=気筒休止)」を否定する内容を発表されたのは、前述の第1
の理由としてして挙げたような、可変気筒機構(=気筒休止)」は今後の大型トラック(GVW25トン)の燃費改善の技術 としては「失格」、若しくは「欠陥技術」であり、実用不能な技術であると、大聖教授が確信されているのではないかと 推測される。仮に、この推測が的中している場合には、大聖教授は、「可変気筒機構(=気筒休止)」がディーゼルト ラックの燃費向上技術としては「失格」、若しくは「欠陥技術」であるとの確信されていることになる。そのため、大聖教 授は、今後のディーゼルトラックの燃費向上技術についての発表や講演の際にも、これまでと同様に、「可変気筒機 構(=気筒休止)」の技術を「否定」または「無視・黙殺」され続けれられるものと考えられる。
そうは云っても、筆者の個人的な興味から、大型トラック(GVW25トン)の重量車モード燃費を5%程度も簡単に改善
できる気筒休止(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の優れた技術を「否定」または「無視・黙殺」される大 聖教授の真意は、筆者には全く理解できないことだ。繰り返しになるが、何しろ、大聖教授は、直前のページで「可変 気筒機構(=気筒休止)」が「ディーゼル自動車における10%以上の燃費改善の可能な技術」と記載されているため である。何故ならば、将来とも気筒休止の技術が実用化が困難な「幻」の技術であるとの大聖教授の認識であるなら ば、前ページの29ページの「自動車の燃費改善技術」の中には、大聖教授は、「可変気筒機構(=気筒休止)」を記 載していないと考えられるためである。そのため、筆者には、29ページの「自動車の燃費改善技術」と30ページの 「ディーゼル商用車の高効率化」の記載内容には、明らかに論理的な矛盾があると思えるのである。
一方、現在、ホンダ、フォルクスワーゲン、アウディ、GM、クライスラー等が「可変気筒機構(=気筒休止)」が既に
市販のガソリン自動車の一部車種に搭載している現状を考えると、「可変気筒機構(=気筒休止)」が大型ディーゼ ルトラックの燃費改善の技術として「失格」、若しくは「欠陥技術」であるとは、とても筆者には思えない。このように、ガ ソリン自動車において「可変気筒機構(=気筒休止)」が実用化されている状況を考えると、平成25年5月31日の「平 成25年度交通安全環境研究所講演会」での大聖教授の講演内容(=OHP)において、29ページでは「可変気筒機 構(=気筒休止)」がディーゼル自動車の燃費改善率が10%以上の技術として挙げらおきながら、30ページでの「デ ィーゼル商用車の高効率化」を図る技術の中に「可変気筒機構(=気筒休止)」が記載されていないのは明らかに 「論理的矛盾」があると考えられ、また、「誤り」とも考えられる。このような著しく矛盾した内容の大聖教授の講演につ いて、この講演会に参加された学者・専門家・技術者の中には、何らかの疑問を覚えた人も多いと思うが、如何なも のであろうか。
さてさて、仮に、大聖教授が講演で主張されたようにな走行燃費や重量車モード燃費が1%未満の僅かな改善しか
得られない燃費向上の技術(表33の@〜G参照)を実用化して5%程度の大型トラックの重量車モード燃費を改善 を図ろうとした場合、1%未満の燃費改善技術を5種類以上も寄せ集めとなる。そのため、大聖教授が講演で列挙さ れた通りの技術を開発して5%程度の大型トラックの重量車モード燃費を改善を実現しようとすると、その技術開発 のために膨大な「設計と実験の人員」、「試験設備」が必要となるため、必然的に開発期間が長くなること推測され る。何故ならば、仮に「試験研究費」が潤沢であっても、この研究開発が終了した時点で開発要員と試験設備が不要 にと予想されるため、5%程度の大型トラックの重量車モード燃費を改善の研究開発に必要との理由を根拠にして、 各トラックメーカがこの研究開発に特化して大幅な「開発要員の増員」と「試験設備の増設」することが困難なためで ある。
そして、大聖教授が講演で列挙された1%未満の燃費改善しか期待できない技術を5種類以上も寄せ集めることに
より、最終的に5%程度の大型トラックの重量車モード燃費の改善が達成できたとしても、その大型トラックは、極め てコスト高の実用性の劣る大型トラックとなることが明らかである。これは、大型トラックは、経済活動の生産設備に 相当するものであり、趣味の贅沢品では無いためである。そして、このような5%程度の燃費を改善が実現されてい ても、極めて高価な大型トラックは、経済性の面からトラックユーザから拒絶されると予想されるため、広く普及する 可能性が皆無と推測される。したがって、大聖教授が講演で列挙された数多くの燃費改善の技術を採用して5%程 度の重量車モード燃費の向上を達成した大型トラックを実用化することは、常識的に考えれば不可能と考えるのが 妥当ではないだろうか。
これに対し、大聖教授が「平成25年度交通安全環境研究所講演会」の講演で無視・黙殺された「可変気筒機構
(=気筒休止)」の技術を実用化して大型トラックの燃費を改善する場合、「可変気筒機構(=気筒休止)」の1種類の 技術を採用するだけで簡単に大型トラックの重量車モード燃費を5%程度の向上が容易に実現できると考えられる。 そのため、近い将来に大型トラックの重量車モード燃費を5%程度の向上を実現しようとした場合、「平成25 年度交通安全環境研究所講演会」での大聖教授の講演で提示・列挙された大型トラックの燃費改善の技術 を研究・開発するのでは無く、大聖教授が講演で無視・黙殺された「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術を 実用化する研究・開発を早急に行うことが肝要と考えられる。そして、その場合に用いる大型トラック用の「可変 気筒機構(=気筒休止)」の技術は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を選択・採用すべきと考える。何故な らば、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、吸気弁・排気弁の停止機構が不要なために低コストであ り、しかも、インタークーラ過給ディーゼルエンジンであっても、ゼロ負荷〜1/2負荷の運転範囲内で完全に気筒休 止の運転が可能な優れた性能が発揮できる特徴を有しているためだ。
もっとも、この講演会を主催された交通安全環境研究所・環境研究領域の後藤 雄一 領域長は、大聖教授の講演
内容に何の矛盾も無いものと判断されと判断されているようだ。つまり、後藤 雄一 氏は、「可変気筒機構(=気筒休 止)が大型ディーゼルトラックの燃費改善の技術としては、失格・欠陥の技術である」との大聖教授の意見・見解に賛 同されていると考えられる。このことは、この講演会の終了後、この大聖教授の講演内容を交通安全環境研究所ホ ームページ上に公開し、この大聖教授の講演内容を世の中に広く拡散させることに後藤 雄一 氏が協力されているこ とからも明らかである。
それにしても、この大型トラックの燃費向上に有効な「可変気筒機構(=気筒休止)」を無視・黙殺する講演を実施さ
れた大聖教授や、「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術を無視・黙殺する大聖教授の講演内容の拡散に積極的に 行われている後藤 雄一 氏の行動は、穿った見方をすれば、日本の大型トラックの燃費向上の速やかな進展を阻 止・遅延させるための活動のように見えるのである。要するに、大聖教授と後藤 雄一 氏の両氏は、「可変気筒機構 (=気筒休止)」の技術を徹底的に無視・黙殺し続ける講演・発表を今後も繰り返すことにより、容易に大型トラックに おける5%程度の重量車モード燃費を燃費を容易に向上できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の実用化 を阻む活動を積極的に行っているように思えるのである。このことは、日本の大型トラックにおける燃費改善の進展 にとって、好ましことではないと考えられる。
なお、前述の「6−1.アイドルストップと異なるターボ過給ディーゼルエンジンの気筒休止システム」の項の「表3
各種の気筒休止エンジンのシステム」の中に示したように、スェーデンのトラックメーカであるVOLVOは、ディーゼ ルエンジンの燃費向上技術として、「気筒休止」を挙げている(下記の表35参照)。それにもかかわらず、前 述のように、大聖教授が大型ディーゼルトラックの燃費向上の技術として、敢て「気筒休止」を頑なに無視・黙 殺されているのである。これを見ると、「ディーゼル商用車の高効率化」を図る技術」としての「可変気筒機構(=気 筒休止)」の燃費向上の機能・効果について、大聖教授の見解は、トラックメーカであるVOLVOとも完全に異なってい ることが理解できるのではないだろうか。 ![]() pdf)
以上のように、早稲田大学の大聖教授は、「ディーゼル自動車の排出ガス対策技術の最新動向」の講演資
料の29ページ「自動車の燃費改善技術」の中ではをディーゼル自動車およびガソリン自動車の燃費改善率 が10%以上の技術として「可変気筒機構(=気筒休止)」を列挙されているいるにもかかわらず、理由が不明 ではあるが、30ページの「ディーゼル商用車の高効率化」の技術としては「可変気筒機構(=気筒休止)」を 省略し、それ以外の大型トラック(GVW25トン)の実走行燃費や重量車モード燃費の改善が1%未満の「冴え ない多数の技術」を推奨されているのである。何はともあれ、早稲田大学の大聖教授が「可変気筒機構(=気筒 休止)」(=例えば、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の技術を頑なに嫌悪されている理由を、是非とも知り たいものだ。
それにしても、日本のディーゼルエンジン関係の多くの専門家・技術者は、大聖教授が「平成25年度交通安全環
境研究所講演会」において推奨されている大型トラック(GVW25トン)の実走行燃費および重量車モード燃費の改善 技術の内容について納得し、誰も疑問に思っていないのであろうか。因みに、ガソリン乗用車やガソリン小型トラック においては、既にホンダやフォルクスワーゲン等の日・米・欧の多くの自動車メーカが「可変気筒機構(=気筒休止)」 を市販車に採用している状況を見ると、自動車用ガソリンエンジンの世界では、「可変気筒機構(=気筒休止)」は、 既に普及し始めた一般的な技術と考えられる。一方、2006年4月に開設した筆者のホームページにおいて、自動車 用ディーゼルエンジンの世界では、「可変気筒機構(=気筒休止)」は、未だ実用化された例が無いことを考えると、 低燃費・低NOxの新しい技術として早急に研究開発に着手すべきと考えられる。そして、このディーゼルエンジン用と して最も優れた「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術が筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)であ る。
18 日野自動車は、2020年にエンジン単体燃費で10%の改善を目指す方針を発表
ところで、表36に示したように、日野自動車鰍フ遠藤真専務取締役は9月25日に都内で開いた技術説明会で、
2020年をめどにディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善を目指す方針を明らかにしたとのことである。
以上の表36に示したように、日野自動車鰍ヘ、2013年9月25日に都内で技術説明会を開催し、「2020年をめどに
ディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善を目指す方針」を明らかにしたとのこと。このディーゼルエンジンの10% の燃費改善は、「2015年度重量車燃費基準が強化される時期を2022〜2025年」と予想し、この「2015年度重量車燃 費基準が強化」に対応するためと推測される。そのため、常識的には、この日野自動車鰍ェ発表した「ディーゼルエ ンジンの燃費の10%改善」は、正確に記載するとすれば「日野自動車鰍ヘ、2020年をめどにディーゼルエンジン単体 で重量車モード燃費またはトラック・バスの実走行燃費の10%の改善を目指す方針」となるものと推測される。そし て、「ディーゼルエンジンの燃費の10%改善」は、トラック・バスの実走行において極めて運転頻度の低いエンジンの 最大トルク点や最高出力点の燃費では無い筈である。何故ならば、エンジンの最大トルク点や最高出力点の燃費改 善は、トラック・バスの実走行の燃費改善に何も寄与しないからだ。したがって、日野自動車鰍フ「2020年頃にディー ゼルエンジン単体燃費で10%の改善」は、「重量車モード燃費またはトラック・バスの実走行燃費の10%の改善」と理 解すべきと考えられる。
この日野自動車鰍フ「2020年をめどにディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善(=重量車モード燃費またはトラ
ック・バスの実走行燃費の10%の改善)を図る手段・方法について、遠藤 真 専務取締役は、「次世代燃焼」、「廃熱 回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の技術開発を推進することによって「ディーゼルエンジンの燃費を10%の改 善」を実現すると説明されたようだ。しかし、この日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役が列挙された「次世代燃焼」、 「廃熱回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の4種類の技術では、「2020年をめどにディーゼルエンジン単体燃費で 10%の改善」を実現することは、ポンコツ元技術屋の筆者の勝手気ままな予測では、極めて困難なように感じるので ある。その理由は以下の表37の通りである。
以上の表37に示したように、日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役が列挙された「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダ
ウンサイジング」、「新触媒」の4種類の技術について、重量車モード燃費またはトラック・バスの実走行燃費を改善に ついて纏めると、「廃熱回収」が1%程度の改善であり、「ダウンサイジング」が微々たる改善に過ぎず、その他の「次 世代燃焼」と「新触媒」は、燃費の改善が限りなく皆無に近いと推測される。そのような重量車モード燃費またはトラ ック・バスの実走行燃費を改善する機能・効能が著しく劣る「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダウンサイジン グ」、「新触媒」の4種類の技術を研究開発を推進することによって、日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役 は、「2020年頃にディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善(=重量車モード燃費またはトラック・バスの実 走行燃費の10%の改善)を実現すると驚愕至極の大胆な宣言をしているのである。もっとも、ポンコツ元技術屋 の筆者から見れば、遠藤 真 専務取締役が列挙された「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」 の4種類の技術では、重量車モード燃費またはトラック・バスの実走行燃費については、1〜2%の燃費改善しか期 待できないように思えて仕方が無いのである。
一方、日野自動車鰍フ永吉 学氏、辻 幸治氏、内原 健太郎氏は、自動車技術会の2013年秋季大会において、過
給ディーゼルエンジンの気筒休止について講演を予定していたようだ。その証拠に、この秋季大会のプログラムに は、「過給ディーゼルエンジンの気筒休止についての一考察」(出典:http://tech.jsae.or.jp/2013aki/pc/speech.aspx? id=69)と題する論文の抄録が掲載されている。それによると、吸・排気弁休止方式と推定される気筒休止システムの 技術を用いた燃費改善の試験を実施し、既に大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向上が期待できると 述べられている。このことから、日野自動車鰍ヘ、2013年の春頃には、吸・排気弁休止方式と推定される気筒休止シ ステムの技術を用いた場合に大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向上が可能なことを実験的に確認し ていたもの考えられる。この技術情報は、日野自動車鰍フ経営幹部である遠藤 真 専務取締役は熟知している筈で ある。それにもかかわらず、遠藤 真 専務取締役は、この燃費改善に有効な気筒休止システムの技術を故意に除外 し、「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の4種類の燃費改善機能の劣る技術を組み合わせ るために重量車モード燃費や実走行燃費が最終的に1〜2%の燃費改善しか期待できない技術の開発を推進する との説明会を、如何なる動機・理由によって2013年9月25日に開催したのであろか。
ここで、気筒休止システムに関連した日野自動車鰍フ動向を時系列的に気筒休止に関する動向を整理すると、以
下のと通りである。
@ 日野自動車鰍ヘ、2013年6月下旬頃までに自動車技術会の2013年秋季大会における気筒休止システムに関す
る論文発表を申請されていると考えられるため、吸・排気弁休止方式と推定される気筒休止システムの技術を用 いた場合に大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向上が可能なことを実験的に確認していたと推 測される。
A ところが、2013年8月初旬には、自動車技術会の2013年秋季大会における「過給ディーゼルエンジンの気筒休止
についての一考察」と題する気筒休止システムの論文発表を取り下げる処置を行ったようである。しかし、自動車技 術会は、規定により、日野自動車鰍ェ発表する予定であった「気筒休止システムの技術を用いた場合には大型ト ラックの高速道路走行で4%程度の燃費向上が期待できる」と記載された内容の論文抄録が2013年8月中旬に 自動車技術会のインターネットで公開したのである。
B 以上のことから、日野自動車鰍ヘ、気筒休止システムによる大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向
上の機能・効果を試験的に既に確認済みと推測される。それにもかかわらず、その後の2013年9月25日に開催され た日野自動車鰍フディーゼルエンジンの燃費改善に関する技術開発の説明会において、遠藤 真 専務取締役は、 走行燃費改善の機能が劣る「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の4種類の技術を 組み合わせて「2020年をめどにディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善(=重量車モード燃費またはトラッ ク・バスの実走行燃費の10%の改善)を実現するとの摩訶不思議な発表を堂々と行ったのである。何故なら ば、これら実走行の燃費改善の機能が劣る4種類の技術を組み合わせだけでは、トラック・バスの重量車モード燃費 または実走行燃費は実質的に1〜2%の燃費改善しか得られないと推測されるためだ。そして、2013年9月25日以前 に日野自動車鰍ェ研究開発によって確認済みの「大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向上が可能」な ことを実験的に確認していた筈の気筒休止システムの技術は、遠藤 真 専務取締役が完全に無視・黙殺したようで ある。このように、高速道路走行で4%程度の燃費向上が期待できる「気筒休止システム」の技術を日野自動車鰍ェ 無視・黙殺せざるを得なかった理由は不明である。これについて、筆者が勝手気ままに思いついたのは、以下の二 つの理由である。
● 第一の推測理由
日野自動車鰍ェ自動車技術会の2013年秋季大会に「過給ディーゼルエンジンの気筒休止についての一考察」と題
する論文の発表を、何らかの手違いで誤って申し込んでしまった「事故」の可能性があると考えられる。その結果、こ れまでの日野自動車鰍フ社内の技術開発の成果である「気筒休止システムの技術を用いた場合には、大型トラック の高速道路走行での4%程度の燃費向上が可能」との極秘の技術情報が自動車技術会の2013年秋季大会プログ ラムの論文抄録(=2013年8月中旬頃に公表)に記載され、日野自動車鰍ノとっては不本意ながらも広く世間一般に 公表されてしまった可能性がある。ところが、この「ディーゼルエンジンの気筒休止システムによる燃費改善」につい て、仮に、トラックメーカ間の秘匿協定?に類する取り決めが存在すれば、その協定に違反することになる。仮に、そ のような秘匿協定?が締結されていたとすれば、自動車技術会の2013年秋季大会プログラムの論文抄録を見た他 のトラックメーカの関係者から、秘匿協定?に違反しているとの指摘を受け、日野自動車鰍ェ慌てて「発表論文の取 下げ」と、「気筒休止システムによる4%程度の燃費向上」の技術情報を否定するために藤 真 専務取締役が2013年 9月25日に日野自動車鰍ェ「気筒休止システム」を無視・黙殺した「10%の燃費改善の研究開発の方針」の報道発表 の記者会見を急遽、開催した可能性があると推測される。
● 第二の推測理由
従来から日野自動車鰍ェ社内で実施していた吸・排気弁休止方式の気筒休止システムの研究開発の結果を「過
給ディーゼルエンジンの気筒休止についての一考察」と題する発表論文にまとめ、2013年初旬に自動車技術会に投 稿したようだ。とろが、その後、日野自動車鰍ェ社内で実施していた「2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771))」の研究開発の試験結果が、「吸・排気弁休止方式の気筒休止システム」よりも「低 燃費化」と「NOx削減」の両面で格段に優れていることが判明した可能性がある。その場合、日野自動車鰍ヘ、吸・排 気弁休止方式の気筒休止システムの研究開発が技術的な価値の無いこと理解したと推測される。このような、技術 的に無価値な「吸・排気弁休止方式の気筒休止システム」の論文発表は、日野自動車鰍フ恥となるため、急遽、「過 給ディーゼルエンジンの気筒休止についての一考察」と題する「吸・排気弁休止方式の気筒休止システム」の論文発 表を「取下げ」にした可能性があると推測される。
そして、これまでの研究によって日野自動車鰍ェ開発した4%程度の燃費改善の効果・効能が得られる「気筒休止
システム」の技術を何故か突然に放棄・破棄し、「気筒休止システム」を無視・黙殺・抹消した「次世代燃焼」、「廃熱回 収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の4種類だけの技術を組み合わせて「2020年をめどにディーゼルエンジン単体 燃費で10%の改善(=重量車モード燃費またはトラック・バスの実走行燃費の10%の改善)を図る」と云う、ディーゼ ルエンジン関係の学者・専門家・技術が聞くと驚愕する「気筒休止を無視・黙殺した燃費改善の開発方針」を、日野自 動車鰍フ遠藤 真 専務取締役が示したことも事実である。
何はともあれ、遠藤 真 専務取締役が説明会を開催して「気筒休止システム」を無視・黙殺した「大型トラックの10%
の燃費改善を図る日野自動車鰍フ研究開発の方針」を発表し、気筒休止システムの技術を突然に封印しようとした 行為については、単なる日野自動車鰍フ自作自演による茶番劇と見ることも可能である。これについては、最初は、 ポンコツ元エンジン技術屋の筆者でも、思わず日野自動車鰍ェ気でも狂ったのかと不思議に思ってしまった。しか し、これが日野自動車鰍ノよる自作自演の茶番劇と見ると、妙に納得できることである。
ところで、遠藤 真 専務取締役は、ディーゼルエンジンの燃費改善の研究開発に関連した業務の経験が少ない人
物のように推測される。その理由は、上記の遠藤 真 専務取締役の発表資料においては、ダウンサイジングの燃費 改善の要素として機械工学の方面から見た「排気損失低減」、「冷却損失低減」、「摩擦損失低減」、「ポンピング損失 低減」、「アイドリング低減」が記載されているが、エンジン工学の方面から見た肝心要の「サイクル効率の向上」が抜 け落ちた記載となっているためである。
何故ならば、ダウンサイジングによるディーゼルエンジンの燃費改善の重要な要因の一つは、シリンダのPme (=正
味平均有効圧力)を高めることによってエンジンの高いサイクル効率が得られるためである。このように、前述の表3 8に示した遠藤 真 専務取締役の発表資料においては、ダウンサイジングの燃費改善の要素として機械工学の方面 から見た「排気損失低減」、「冷却損失低減」、「摩擦損失低減」、「ポンピング損失低減」、「アイドリング低減」が記載 されているが、エンジン工学の方面から見た肝心要の「サイクル効率の向上」が抜け落ちた記載となっている。このよ うに、ダウンサイジングの燃費改善の要素・要因として、「サイクル効率の向上」が記載されていないことから推測す ると、遠藤 真 専務取締役がダウンサイジングによる燃費改善のエンジンサイクルのメカニズムを全く理解していない と考えられる。そして、このような資料を対外的に発表したことは、日野自動車としては、恥ずかしいことではないか と思うが、如何なものであろうか。このことから、遠藤 真 専務取締役は、過去にディーゼルエンジンの燃費改善の研 究開発に関連した業務を担当された経験が無いため、「内燃機関」や「エンジン工学」の教科書に必ず記載されてい る「エンジンサイクル」の項を真面目に読まれたことが無い人物のように推測されるが、如何なものであろうか。そし て、僭越ながら、ひとこと言わせて貰えば、このような行為は、著名な技術者・専門家として恥ずかしくは無いのであろ うか。
したがって、「気筒休止システム」と「ダウンサイジング」の各々の技術について、ディーゼルエンジンの燃費改善の
要因について整理すると、「摩擦損失低減」を除いて、以下のように両者はほぼ同類の要因によってエンジン燃費を 改善していることが判る。
● 「ダウンサイジング」におけるエンジン燃費改善の要因
排気損失低減、冷却損失低減、摩擦損失低減、ポンピング損失低減、アイドリング燃費低減、サイクル効率向
上
● 「気筒休止システム」におけるエンジン燃費改善の要因
排気損失低減、冷却損失低減、ポンピング損失低減、アイドリング燃費低減、サイクル効率向上
また、「気筒休止システム」と「ダウンサイジング」は、ディーゼルエンジンの燃費改善に有効な同類の技術であると
共に、「ダウンサイジング」のディーゼルエンジンに「気筒休止システム」の技術を組み込んだ場合には、「ダウンサイ ジング」の燃費改善の効果に「気筒休止システム」の燃費改善の効果が上乗せできることになり、「気筒休止システ ム」と「ダウンサイジング」は誠に相性にの良い技術である。そして、ディーゼルエンジンの燃費改善に「気筒休止 システム」の技術を採用するならば、「気筒休止システム」として、日野自動車鰍ェ既に研究開発を実施したと 推定される「吸・排気弁休止方式と推定される気筒休止システム」よりも格段に大型トラックの燃費改善(=重 量車モード燃費または実走行燃費)に極めて有効な2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン (特許公開2005-54771))の研究開発を実施すべきと考えられる。
何故ならば、「ダウンサイジング」のエンジンに2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開
2005-54771))を組み合わせた場合には、「ダウンサイジング」のエンジンのエンジンの1/2負荷以下の気筒休止運 転では、「ダウンサイジング」のエンジンを更に1/2の総排気量に減少させたエンジンを運転できるため、「ダウンサ イジング」のエンジンの1/2負荷以下の運転では更なる燃費改善が可能となるのである。このように、2ターボ方式 の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))は、ベースとなるエンジンが「ダウンサイジング」 であるか否かにかかわらず、全てのエンジンの1/2負荷以下の運転領域において、大幅な燃費改善が可能となる 新技術である。しかし、遠藤 真 専務取締役は、2013年9月25日の説明会において、ディーゼルエンジンの燃費改善 の技術として有効な「気筒休止システム」を無視・黙殺していることから、「ダウンサイジング」の燃費改善の効果に 「気筒休止システム」の燃費改善の効果が上乗せできることを理解していないようにも思えるのである。このことから も、遠藤 真 専務取締役は、過去にディーゼルエンジンの燃費改善の研究開発に関連した業務の経験が少ない人物 のように推測されるが、如何なものであろうか。そのことを考慮すれば、日野自動車が論文発表した燃費改善機能の 劣る気筒休止システムに詳述しているようなターボ過給機のサージング発生の構造的な欠陥のために大型トラック の走行燃費を十分に改善することが困難な「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の研究開発を、日野自動車が 実施し、敢えて論文発表を行ったことも何となく頷けることである。
ところで、従来と同様に日野自動車鰍ェ吸・排気弁休止方式の気筒休止システムだけに集中して研究開発を実施
している場合には、今後も燃費改善が不十分なトラック・バスしか開発できないと推測される。そして、気筒休止エン ジン(特許公開2005-54771)の技術開発を真剣に実施するトラックメーカは、吸・排気弁休止方式の気筒休止システ ムに比較してディーゼルエンジンの低燃費化と低NOx化の機能・効果が高いため、近い将来、日野自動車鰍フトラッ ク・バスの商品力を簡単に凌駕するトラック・バスを市販することが可能になると考えられる。しかし、従来と同様に、 今後も引き続き、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の気筒休止の技術に無関心なトラックメーカが存在する とすれば、そのトラックメーカのエンジン関係の専門家・技術者は揃いも揃って「馬鹿」ばかりと考えて大きな間違いは 無いだろう。勿論、気筒休止によって大型トラックの燃費改善を図るための研究開発において、2ターボ方式の気筒 休止システムである気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を無視・黙殺し、高価な吸・排気弁休止機構が 必要な上に燃費改善の機能が劣る吸・排気弁休止方式の気筒休止システムに総力を集中して技術開発を行うトラッ クメーカも「馬鹿」なエンジン関係の専門家・技術者が幅を利かす会社と考えて間違いないと考えられる。
さてさて、前述の通り、この筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、2台のターボ過
給機を並列に装着する2ターボ方式の気筒休止システムである。そして、この2ターボ方式の気筒休止システムで は、2分した気筒群の各気筒群の運転負荷を独立して制御することにより、大型トラックの実走行燃費を大幅に改善 することが可能である。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術における実走行燃費を大幅に改 善する制御とは、以下の表38に示した「燃費低減型の気筒群制御法」である。
この「燃費低減型の気筒群制御法」は、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771))だけが可能な気筒群の出力制御方法であり、吸・排気弁休止方式の気筒休止システム(=日野自動車鰍ェ 自動車技術会の2013年秋季大会で論文発表を「取下げ」した気筒休止システム)では制御が不可能な気筒群の出 力制御方法である。したがって、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)) は、吸・排気弁休止方式の気筒休止システムに比較して大型トラックの重量車モード燃費や実走行燃費の大幅な改 善が可能となる。そのため、2ターボ方式の気筒休止システムである気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特 許技術を採用した過給ディーゼルエンジンを大型トラックに採用した場合には、都市間の貨物輸送において気筒休 止による燃費改善の効果が十分に発揮できることになる。
19 大型トラックの燃費改善に有効な気筒休止の技術を黙殺する行為・対外発表のまとめ
日本のディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者の多くの人達は、大型トラックの重量車モード燃費や実走
行燃費を大幅に改善できる気筒休止システムを極度の忌み嫌い、この技術の実用化を何としても避けたいと願って いるように見えるのである。そして、この状況を見ると、日本のディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者の殆 んどの人達は、中央環境審議会・大気環境部会の答申内容に賛同することが「一流の証」との奇妙な信念・固定観 念・先入観に捉われているために、盲信的に気筒休止システムの技術を無視・黙殺する行為を行っているようであ る。これが事実であれば、実に哀れなことではないだろうか。その状況が簡単に把握できるように、以上の各項にお いて詳述した大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な気筒休止の技術を無視・黙殺する 行為・対外発表について、以下にまとめた。
19−1 ディーゼルでの気筒休止の燃費改善の試験結果を封印した新エィシーイーの青柳 友三氏
前述の12−3項に詳述したように、叶Vエィシーイーは、自動車メーカーと部品会社が出資し、トラックメーカ4社
(日野、いすゞ、UD、三菱ふそう)から研究者が派遣されているディーゼルエンジンの研究所である。筆者が叶Vエィ シーイーから受信したEメールでは、叶Vエィシーイーが「2004年に実施したディーゼルエンジンの気筒休止の試験 において、燃費改善の効果を確認していた」 とのことが記載されていた。筆者の推測では、叶Vエィシーイーが試験 を実施した気筒休止システムは、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))よ りも燃費改善の機能・効果の劣る吸・排気弁休止方式と推定される。しかし、前取締役社長 青柳 友三氏は、この 気筒休止システムによってディーゼルエンジンの燃費改善が2004年に確認されたにもかかわらず、2013年6月に退 任するまでの在任中には、気筒休止による燃費改善の試験結果を発表していないようだ。
19−2 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺する中央環境審議会
前述の15項に詳述したように、2010年7月28日発表の中央環境審議会・大気環境部会の「今後の自動車排出ガ
ス低減対策のあり方について(第十次答申)」では、表26に示したように、「今後、以下のような技術の進展を見込む ことにより、燃費の伸びしろを確保しつつ、エンジン出口の(NOxの)排出量を1.5g/kWh程度まで低減することは可 能であると考えられる。」と記載されている。そして、この第十次答申では、「燃費の伸びしろを確保」するために「見 込んだ技術」として、中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会は、以下の技術が列挙した。
・ 2段過給、2段過給導入によるエンジンダウンサイジング
・ EGR率の向上、EGR制御の高度化、一部車種へのLP-EGRの採用
・ 燃料噴射圧力の向上、PCI燃焼での範囲拡大等の燃料噴射制御の高度化
・ 一部車種へのターボコンパウンドシステムの採用
何といっても、第十次答申に「燃費の伸びしろを確保」と記載された技術は、何れも大型トラックの重量車モード燃
費や実走行燃費を1%未満しか改善できない燃費改善の機能が劣る技術であり、燃費改善の面から見れば「ガラク タ技術」や「ポンコツ技術」に分類される技術であることは、間違い無いと考えられる。そして、2006年4月に開設した 筆者のホームページに記載した大型トラックの重量車モード燃費や実走行燃費を5%程度の改善が可能な気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、2010年7月28日発表の央環境審議会・大気環境部会の第十次答 申では完全に無視・黙殺されているのである。要するに、第十次答申の原案を作成した中央環境審議会大気環境部 会自動車排出ガス専門委員会のメンバーは、大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な気 筒休止の技術を無視・黙殺したのである。
19−3 論理的な矛盾を歯牙にもかけずに気筒休止の技術を無視・黙殺する大聖 早大教授の講演発表
前述の17項に詳述したように、平成25年5月31日に開催された「平成25年度交通安全環境研究所講演会」にお
いて、早稲田大学 大聖教授の「ディーゼル自動車の排出ガス対策技術の最新動向」の講演資料のの29ページに は「自動車の燃費改善技術」がまとめられている。その中では、ディーゼルおよびガソリン自動車の燃費改善率が1 0%以上の技術として、◎可変気筒機構(=気筒休止)が堂々と挙げられている。ところが、この大聖教授の「講演資 料」の30ページの「ディーゼル商用車の高効率化」の技術の中には「可変気筒機構(=気筒休止)」の技術が記載さ れておらず、自己矛盾に陥った内容となっている。このように、大聖教授は、論理的矛盾をものともせずに、将来的な ディーゼルトラックの燃費向上技術としての「可変気筒機構(=気筒休止)」を無視・黙殺(=否定)する内容の講演が 行われたようである。
19−4 気筒休止の技術を無視・黙殺する日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役の技術説明会
前述の18−2項に詳述したように、自動車技術会の2013年秋季大会における発表予定の日野自動車鰍フ論文抄
録に「気筒休止の技術を採用した大型トラックが高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待できる」と記載されて いることから、2013年春頃には、日野自動車鰍ヘ気筒休止の技術による大型トラックの燃費改善の機能・効果を確 認済みと推測される。しかし、日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役は、2013年9月25日に開催の技術説明会におい て、自社の研究開発によって大型トラックの走行燃費を4%も改善できることを確認した吸・排気弁休止方式と推測さ れる気筒休止の技術を捨て去り、敢て燃費改善の機能の劣る「次世代燃焼」、「廃熱回収」、「ダウンサイジング」、 「新触媒」の4種類の技術を組み合わせて「2020年頃にトラック・バスでの10%の燃費改善を実現」するとの発表を行 った。何しろ、これら4種類の各々の技術は、走行燃費や重量車モード燃費が0〜1%程度の改善しか見込めないよ うな燃費改善の機能・効果が著しく劣る技術である。このように、4%の走行燃費の改善が確認済みの気筒休止の 技術を潔く捨て去り、走行燃費や重量車モード燃費が0〜1%程度の改善しか見込めないの「次世代燃焼」、「廃熱 回収」、「ダウンサイジング」、「新触媒」の4種類の燃費改善機能が劣る技術だけを敢て選択して開発を実施し、 「2020年頃にトラック・バスでの10%の燃費改善を実現」とのトラック・バスの超低燃費化を図ると大胆な発表した日野 自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役の意図は、一体、何なのであろうか。もしかして、日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取 締役は、大型トラックの走行燃費を4%も改善できる吸・排気弁休止方式の気筒休止の技術を「お蔵入り」にさせたよ うに見せかけるために、わざわざ猿芝居を演じられたのであろうか。
以上の19-1項に記載したように、「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」は、2004年に実施した
ディーゼルエンジンの燃費改善の効果を確認した気筒休止の試験結果を2013年に退任する時点まで、未発 表の処置を行ったようである。そして、以上の19-2〜3項に記載したように、「中央環境審議会・大気環境部会・ 自動車排出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」 は、今後のディーゼルエンジンの燃費改善のために研究開発すべきとして推奨した技術項目から、トラック・ バスの走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な気筒休止システムの技術を完全に無視・黙殺・ 除外しているようである。このことからも、ディーゼルエンジンの「気筒休止システム」は、日本のディーゼルエンジン 関係の学者・専門家・技術者からは何故か忌み嫌われていることだけは、歴然たる事実のようだ。
19−5 トラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費の改善を先送りし、遅延させる反社会的な行為
このように、「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」は気筒休止による燃費改善の試験結果を未発表
として社外秘とし、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、お よび「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の日本を代表する学者・専門家・技術者である諸氏は、以下の表39に 示したトラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を0〜1%しか改善できない他の文献から剽窃した技術を列挙 し、今後のディーゼルエンジンの燃費改善のために研究開発すべきとして推奨している。そして、彼らは、単一の技 術によってトラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を5%程度の改善が期待できる研究開発を、何一つ提示・ 提唱できていないのである。したがって、日本を代表する学者・専門家の諸氏が提示・提唱する技術の研究開発を推 進しても、近い将来、実際にディーゼルトラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を5%程度の改善を実現できる 可能性は、皆無と予測される。要するに、他の文献からの「剽窃」や「コピー・ペースト」だけの得意な日本の学者・専 門家が推奨する技術の研究開発は、「骨折り損のくたびれ儲け」と云えるのではないだろうか。
ところが、日本のディーゼルエンジンを専門とする学者・専門家・技術者は、上記の表39に示した大型トラック用デ
ィーゼルエンジンの走行燃費や重量車モード燃費が0〜1%しか改善できない「ポンコツ技術」や「ガラクタ技術」を先 進技術と説明し、近い将来の2015年度重量車燃費基準の強化に備えるために、これら「ポンコツ技術」や「ガラクタ 技術」の研究開発を鋭意、推進中との無責任な講演・記事を、古い演歌のように飽きもせず堂々と発表し続けている ようだ。そして、この発表を目にしたディーゼルエンジンの技術内容に不案内な一般の人は、近い将来には、大型トラ ックの走行燃費や重量車モード燃費が大きく改善されるものと期待してしまうと考えられる。
そして、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野
自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の日本を代表する学者・専門家・技術者である諸氏は、大型トラック(=GVW25ト ン)の重量車モード燃費や実走行燃費を1%未満しか改善できない燃費改善の面から見れば「ガラクタ技術」や「ポン コツ技術」であることを知りながら、これらの技術として研究開発を推奨し、あたかも大型トラックの走行燃費や重量 車モード燃費が大きく改善されるとの期待を持たせるような詐欺的?な説明を精力的に行ってきたようである。そし て、この状況は、現在も続いているようだ。
その一方で、彼らは、大型トラック(=GVW25トン)の重量車モード燃費や実走行燃費を大幅に改善することが可
能な気筒休止システムの技術については、無視・黙殺し続けているのである。例えば、前述の12−3項の詳述して いるように、叶Vエィシーイーの前社長 青柳 友三氏は、2004年にディーゼルエンジンの気筒休止の試験を実施 し、この気筒休止における燃費改善の効果を確認した試験データを取得しているのである。しかし、青柳 友三氏は、 気筒休止による燃費改善の試験結果を未発表として社外秘とし、気筒休止の試験が終了してから既に8年以上も経 過しているにもかかわらず、ディーゼルエンジンの有効な燃費改善の技術を「社外発表しない自由?」を行使して、気 筒休止の燃費改善を確認できた試験結果の情報拡散を抑えてきたようである。
また、日野自動車鰍焉A自動車技術会の2013年秋季大会のプログラムには、吸・排気弁休止方式と推定される気
筒休止システムの技術を用いた燃費改善の試験を実施し、既に大型トラックの高速道路走行での4%程度の燃費向 上が期待できる記載した抄録が掲載されているが、日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役は、2013年9月25日に発表 した「2020年をめどにディーゼルエンジン単体燃費で10%の改善を目指す方針」で示した「ディーゼルエンジンの燃費 改善の技術開発」の中には、気筒休止システムの研究開発が無視・黙殺しているのである。また、筆者は、2006年4 月に開設した筆者のホームページにおいて、大型トラックの重量車モード燃費や実走行燃費を5%程度の改善が可 能な2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の特許技術について詳細に説 明しているため、多くの日本のディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者は、2ターボ方式の気筒休止システム の存在を認識していると推測される。
しかし、前述の表41に示した日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏が大型トラック用ディーゼルエンジンの
燃費改善のために提示・提唱する技術は、何れも走行燃費や重量車モード燃費が0〜1%しか改善できない技術の 研究開発を推進しても、を0〜1%しか改善できない「ガラクタ技術」や「ポンコツ技術」だけを羅列されており、大型ト ラックの走行燃費や重量車モード燃費が5%程度の改善が見込める「気筒休止システム」が無視・黙殺・除外されて いるのである。このように、青柳 友三氏、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会のメンバー、大聖教授、 遠藤 真 専務取締のようなディーゼルエンジン関係の日本を代表するような学者・専門家・技術者は、足並みを揃え てトラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な気筒休止システムの技術情報の拡散を阻止 する活動を行っていると見ることが可能である。そして、このような気筒休止システムの技術情報の拡散を阻止する 活動の結果、日本のトラック・バスにおける今後の走行燃費や重量車モード燃費の改善の進展は、間違いなく遅延す るものと推測される。
このように、「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガ
ス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の諸氏は、日本のトラッ ク・バスにおける走行燃費や重量車モード燃費の改善の進展を阻止する活動を積極的に行っていることは、学者・専 門家・技術者としての本来の責務・職務に反した行為であるため、普通の人間であれば、「自責の念」や「良心の呵 責」を感じると思うが、如何なものであろうか。それとも、気筒休止の技術を「無視・黙殺」するか、それとも推奨するか は学者・専門家・技術者の個人の自由であり、他人から「とやかく言われる筋合いではない」との思考の持ち主である ため、走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な気筒休止システムの技術情報の拡散を阻止する行為・ 活動については、「自責の念」や「良心の呵責」を感じない幸せな人達であろうか。
何はともあれ、「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排
出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の諸氏は、ディーゼ ルエンジンの分野において日本を代表する学者・専門家・技術者である。そのため、彼らの推奨するディーゼルエン ジン関係の将来技術は、仮にそれらが燃費改善の機能・効果の劣る技術であっても、トラックメーカや研究機関等に おいて活発に研究開発が実施される傾向がある。そのため、日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏が無視・ 黙殺している気筒休止の技術は、トラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費の改善に極めて有効な技術であって も、研究開発に着手される可能性が極めて低いと考えられる。
したがって、日本を代表する学者・専門家・技術者である「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」、「中
央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ 遠藤 真 専務取締役」の諸氏による「気筒休止による燃費改善の試験結果の未発表として隠蔽する行為」や「気筒休 止の技術を無視・黙殺する行為」は、結果的に気筒休止の研究開発の開始を遅らせることになり、今後の日本のトラ ック・バスにおける走行燃費や重量車モード燃費の改善の進展を間違いなく遅延させる要因になるものと推測され る。このことは、トラック・バスのユーザにとっては「迷惑この上ないもの」と考えるが、如何なものであろうか。また、日 本のトラック・バスにおける走行燃費や重量車モード燃費の改善の遅延は、トラック・バス分野のCO2削減を先送り にするため、CO2削減が叫ばれている現在では、反社会的な行為であることは、明白である。
それにしても不可解なことは、日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏がトラック・バスの走行燃費や重量車モ
ード燃費の1%程度しか改善できない燃費改善の「ポンコツ技術」や「ガラクタ技術」しか提示・提案できない現状にお いて、燃費改善の機能・効果の劣る吸・排気弁休止方式でも大型トラックの高速道路走行で4%の燃費低減が可能 な気筒休止システムを無視・黙殺しているのである。このように、トラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を改 善する極めて有効な気筒休止システムの技術を無視・黙殺することは、吸・排気弁休止方式と2ターボ方式の両方の 気筒休止システムを闇に葬ることになる。このように日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏は、将来のトラッ ク・バスにおける燃費改善と称して、「ポンコツ技術」や「ガラクタ技術」の技術開発を積極的に推奨する一方、走行燃 費や重量車モード燃費を改善する極めて有効な気筒休止システム(=現時点での特許出願は「吸・排気弁休止方 式」と「2ターボ方式」の2方式の模様)の技術を無視・黙殺しているようである。このような彼らの行動は、筆者には全 く理解できないことである。
因みに、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))は、前述のように吸・排
気弁休止方式の気筒休止システムよりも格段に優れた燃費改善の機能・効果を発揮する技術である。この2ターボ 方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を無視・黙殺することは、大型トラックの高 速道路走行で6〜7%の燃費低減(=トラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を5%の燃費低減)を実現する 技術を何の理由も無く、闇に葬ることになるのである。このことを考えると、日本を代表する学者・専門家・技術者で ある「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委 員会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の諸氏は、トラック・バスの燃費改 善を先送りするための活動を意欲的に行っているように思えるが、これは、筆者の偏見であろうか。
このように、日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏が一致協力して気筒休止の技術を無視・黙殺する動機
は、筆者には全く解らない。そして、日本を代表する学者・専門家・技術者の諸氏がディーゼルエンジン燃費改善に 有効な気筒休止の研究開発の開始を遅らせてトラック・バスの燃費改善の進展を阻止する行為の報酬として、彼ら には何らかの「見返り」があるのであろうか。それとも、彼らには何の「見返り」も無いが、ポンコツ元技術屋の提案す る気筒休止の技術(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))が気に食わないために、この気筒休止の技術の 実用化を絶対に阻止したいとの欲望を満たすための行動であろうか。そして、この様子を見ると、気筒休止の技術の 無視・黙殺の動機が「報償の見返り」であれ、「感情的な嫌がらせの欲望を満たすための行動」であれ、何れの場合 も「叶Vエィシーイーの前取締役社長 青柳 友三氏」、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員 会」、「早稲田大学 大聖教授」、および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」の諸氏が我欲を満たすことに執着し ているように思えるが、如何なものであろうか。
これまでも日本を代表するディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者は、論文発表や講演を含めた全ての機
会を捉えて、ディーゼルトラック・バスの低燃費化の新技術を必死に研究開発中であることを主張してきたことは、歴 然たる事実である。しかし、彼らの実際の行動を見ると、トラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を改善する極 めて有効な気筒休止システムの技術を頑なに無視・黙殺し続け、この気筒休止システムの燃費改善の優れた機能・ 効果が露見しないようにするための努力を払ってきたように思えるのである。このように、日本を代表するディーゼル エンジン関係の学者・専門家・技術者は、気筒休止システムを無視・黙殺することにより、ディーゼルトラック・バスに おける低燃費化の迅速な推進を切望する国民やトラック・バスのユーザの期待を確実に裏切り続けていると考えられ る。このことについて、日本を代表するディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者には、何の「罪悪感」や「後ろ めたさ」の感情に悩まされることが無いのであろうか。そして、彼ら自身は、人間として恥ずかしい行為を行っているこ とに全く気付いていないのであろうか。
因みに、筆者が2006年4月に開設したホームページにおいては、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エ
ンジン(特許公開2005-54771))がトラック・バスの走行燃費や重量車モード燃費を5%の燃費低減の実現が可能な 特許技術であることを必死で訴えてきた。しかしながら、これまで日本の学者・専門家・技術者は、この2ターボ方式 の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の特許技術を完全に無視・黙殺し続けてきた長 い年月を考えると、彼らには気筒休止システムの燃費改善の技術情を封印・隠蔽しておくことに何の「罪悪感」や「後 ろめたさ」の感情に悩まされることが無い人達のように思えるのである。そして、このような光景は、動物的な本能を 丸出しにした欲望のままの「やりたい放題」の卑しい人達が学者・専門家・技術者として大手を振って闊歩しているよ うに筆者には見えるのである。しかし、これは、筆者の単なる偏見かも知れない。ところが、これが事実であれば、日 本のディーゼルトラック・バスの低燃費化を願う国民やトラック・バスのユーザは、これからも期待を裏切られることに なる。
しかしながら、日本の国民やトラック・バスのユーザは、ディーゼルトラック・バスの低燃費化の希望を捨てる必要
は、全く無いと考えられる。その理由は、わが国における最近の自動車の燃費基準が設定されている以下の経緯・ 状況を見れば判るのではないだろうか。
● 最近の自動車における燃費基準の設定
2006年 3月: 重量車(トラック、バス等)のトップランナー基準の策定 (2015年度目標)
2007年 7月: 乗用車、小型バス、小型貨物車のトップランナー基準の策定 (2015年度目標)
2013年 3月: 乗用車、小型バスのトップランナー基準の策定(2020年度目標)
以上のように、「乗用車、小型バス、小型貨物車」と「重量車(トラック、バス等)」の燃費規制については、これまで、
共に「2015年度燃費基準」が設定されていた。しかし、「乗用車、小型バス」については、「2015年度燃費基準」を強化 した新たな「2020年度燃費基準」が2013年 3月に設定されたのである。そのため、「小型貨物車」と「重量車(トラッ ク、バス等)」についても、「2015年度燃費基準」を強化した新たな「燃費基準」が近い将来に設定されると考えられ る。この場合の「近い将来」とは、「2014年〜2015年」頃ではないかと推測される。その理由は、「乗用車、小型バス」 については、「2015年度燃費基準」を強化した新たな「2020年度燃費基準」が2013年 3月に既に設定されているため である。
20 国土交通省の平成26年度の予算概要では、大型トラックの燃費改善の研究費は皆無
国土交通省・自動車局は、大型車(=重量車)分野における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」を図ため
に、平成23年度〜平成26年度において、「次世代大型車開発・事業化促進事業」と称する研究開発プロジェクトを実 施しているようだ。そして、このプロジェクトでは、下記の表40に示した平成23年度の予算概要によると、以下の技術 の研究開発が実施されているようである。
@ 小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック
A 高効率ハイブリッドトラック
B 高性能電動路線バス
C 次世代バイオディーゼルエンジン
この国土交通省・自動車局の「次世代大型車開発・事業化促進事業」のプロジェクトでは、大型車(=重量車)の分
野における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」を図ることが目的として掲げられている。しかし、このプロジ ェクトにおいて実施されている小・中型トラックの「電気・プラグインハイブリッドトラック」、「高効率ハイブリッドトラッ ク」、「高性能電動路線バス」、および「次世代バイオディーゼルエンジン」の各技術は、将来、実用化に成功したとし ても、わが国の運輸部門のCO2削減を十分意削減できる程度の台数のトラックに採用されて広く普及させることが困 難と推測される。したがって、このプロジェクトは、将来的に、わが国の運輸部門のCO2排出の削減に殆ど貢献でき ない技術の研究開発と推測される。その理由は、以下の通りである。
(1) 電動路線バスによるCO2排出の削減が困難な理由
わが国の2010年末の普通トラックの保有台数は228万台であるのに対し、小型バスを含めた路線バスの全台数
は、約6万台(出典:http://www.mlit.go.jp/common/000017063.pdf)である。このように、普通トラックの保有台数の2. 6%の車両台数しか使用されていない。しかも、路線バスの1日の走行距離は、トラックの1日の走行距離の3分の1 程度である。このように、路線バスは、普通トラックの2.6%の保有台数にしか過ぎないことに加え、トラックの1日の走 行距離が普通トラックの3分の1程度であるこから、路線バスで消費されている燃料量(=軽油量)は、わが国の普通 トラックの分野で消費されている石油(=軽油)の総消費量の1%程度以下の極く僅かである。このことから、わが国 では、路線バスからのCO2排出ガス量は、普通トラックから排出されているCO2の総消費量の1%程度以下と推察さ れる。したがって、将来、仮に路線バスの全数を電動路線バスに転換できたとしても、普通トラックの分野から排出さ れるCO2の1%程度以下しか削減できないのである。要するに、電動路線バスは、普通トラックの分野からのCO2排 出量の測定誤差の程度しかCO2の削減ができないのだ。このようなCO2に無効であると予測されるにもかかわらず、 路線バスの電動化によってCO2排出の削減を図ろうとする意味不明な研究開発を平成26年度に国土交通省が実施 する予定とのことである。近い将来、仮に、この研究開発が成功し、全ての路線バスが電動路線バスに転換できたと しても、普通トラック全体からの総CO2排出量の1%程度以下の削減に過ぎない。したがって、路線バスの電動化は、 わが国の低炭素社会(=低CO2社会)の実現には殆ど貢献できないこと推測される。
(2) 「電気・プラグイン」または「高効率」の中小型ハイブリッドトラックによるCO2排出の削減が困難な理由
小型ハイブリッド トラックはハイブリッド乗用車のような燃費改善が困難にも詳述しているように、中・小型ハイブリッ
ドトラックは、従来の中・小型ディーゼルトラックに比較して10〜20%の「CO2削減」と「燃費改善」しか得られないので ある。しかも、この中・小型ハイブリッドトラックは、、何れも内燃機関の他に電動機と高価なバッテリーを搭載する必 要があるため、従来のディーゼル小・中型トラックに比較して1台当たりで百万円〜数百万円も高価な小・中型トラッ クになる。したがって、中・小型ハイブリッドトラックでは、ハイブリッド化による燃費改善が10〜20%程度ある上に、車 両寿命の間の総走行距離が短いことから、中・小型ハイブリッドトラックの車両価格の増加分を燃費改善による車両 寿命の間の燃料費削減によって補完することが困難となる。そのため、中・小型ハイブリッドトラックを導入したトラッ クユーザは、従来の中・小型ディーゼルトラックを使用した場合に比べ、運行コストの増加を負担する必要が生じるこ とになる。したがって、運輸分野のCO2削減に積極的な行動する奇特なトラックユーザ以外には、従来の中・小型ディ ーゼルトラックを中・小型ハイブリッドトラックに変更するトラックユーザは、将来とも極めて少ないと推測される。その ことは、わが国において積載量2トンクラスの小型ハイブリッドトラックは、約10年前から市販されているが、小型トラ ックの年間総販売台数に占める小型ハイブリッドトラックの割合は、数%程度に留まっている現状からも理解できる ことである。同様な理由から、近い将来、仮に、中・小型の「電気・プラグインハイブリッドトラック」が市販されたとして も、従来の中・小型ディーゼルトラックを中・小型の「電気・プラグインハイブリッドトラック」に変更するトラックユーザ も、極めて少ないと推測される。そのため、将来とも排出ガス基準と排出ガス規制に適合した小・中型ディーゼルトラ ックによって貨物輸送が可能な状況においては、多額の投資を必要とする「電気・プラグインハイブリッドトラック」と 「高効率ハイブリッドトラック」に敢て変更するトラックユーザは、極めて少ないと考えるのが妥当ではないだろうか。そ の理由は、将来、中・小型ディーゼルトラックから中・小型の「電気・プラグインハイブリッドトラック」と「高効率ハイブリ ッドトラック」に変更する場合には、車両寿命の期間の燃料費の削減よりも車両購入費の増加を補完できないために 「ユーザのデメリット・不利益」だけを被る恐れも十分に予想されるためである。したがって、将来的に小・中型トラッ クの「電気・プラグインハイブリッドトラック」と「高効率ハイブリッドトラック」が国内で広く普及して行くことは、 極めて困難と推測される。したがって、小・中型トラックの「電気・プラグインハイブリッドトラック」と「高効率ハ イブリッドトラック」が開発されたとしても、わが国の低炭素社会(=低CO2社会)の実現には殆ど貢献できな いと予測される。
また、国内では、公道を自由に走行できる単車の大型トラックとしては、GVW(車両総重量)が25トン以下とす
る規定が設けられている。そのため、GVWが25トンの大型トラックでは、ハイブリッド化による車両本体の重 量増加した場合には、車両本体の重量増加重量と等しい積載貨物の重量を減少せざるを得ないのである。と ころが、この都市間貨物輸送の主力である大型トラック(=VW25トン)においては、車両本体の重量増加によ る積載貨物量の減少は、その減少割合に比例して貨物輸送のコスト増加を引き起こしてしまうことになる。そ のため、高性能化による多少の燃費向上が得られる場合でも、従来よりも車両本体の重量が増加してしまった大型 トラック(GVW25トン)は、その大型トラックの納入・購入をトラック運送業者が拒絶しているのが現状である。したがっ て、ハイブリッドトラック化による車両本体の重量増加の不具合に起因して積載量を減少した欠陥を持つ大型 トラック(GVW25トン)をトラック運送業者が敢て購入し、貨物輸送の業務に使用される可能性については、将 来とも殆ど無いものと考えられる。
(3) 次世代バイオディーゼルエンジンによるCO2排出の削減が困難な理由
バイオディーゼル燃料は、植物油等を原料としてアルカリ触媒等を用いてアルコールと反応させ、メチルエステル化
することによって製造される燃料である。そのため、そもそも食料自給率が40%(カロリーベース)の日本において は、トラック貨物輸送分野に必要な量のバイオマス燃料の原料となる植物油等を自給することが不可能なことは明ら かだ。そして世界に目を向けても、地球上の世界全体での人口増加や水資源の不足などで食料危機の到来が議論 されている現在では、わが国の運輸分野での脱石油と低炭素社会(=低CO2社会)の実現に貢献できる程度の量の バイオマス燃料を輸入することが困難なことは明白である。また、世界に目を向けても、世界人口が70億人を突破し たにもかかわらず、各国の特殊事情や宗教上の理由から人口増加を抑えることが困難な発展途上国が数多く存在 する。そのため、国際連合が2050年には90億人(=中位出生率の場合)に達するという推計を出している。このよう な今後の世界人口の増加や発展途上国の生活レベルの向上による食料需要の増加が続けば、近い将来に間違い なく食料不足の問題が発生すると危惧されている。そのような状況において、日本の大型車(=重量車)分野にお ける「低炭素化(≒低燃費化)」を図るためとは云え、植物油等を原料としたバイオディーゼル燃料の必要量 を日本が確保するのは困難であることから、バイオディーゼル燃料を使用するバイオディーゼルエンジンの大 型車(=重量車)を日本で普及させることは、不可能であると推測される。したがって、バイオディーゼルエン ジンが開発されたとしても、わが国の低炭素社会(=低CO2社会)の実現には殆ど貢献できないと推測され る。なお、バイオマス由来のDMEも、ディーゼルエンジンの燃料として失格である。その理由については、バイオマス 由来のDMEによる自動車の低炭素・脱石油は、不可能だ!のページに詳述しているので、興味のある方は御覧いた だきたい。
以上のように、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の「次世代大型車開発・事業化促進事業(平成23
年度〜平成26年度)」では、大型車(=重量車)分野における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」を図ること を目的として、小・中型トラックの「電気・プラグインハイブリッドトラック」、「高効率ハイブリッドトラック」、高性能電動 路線バス、および次世代バイオディーゼルエンジンの研究開発が実施されている。しかし、この研究開発に成功した としても、今後、わが国における大型車(=重量車)分野における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」に寄 与する可能性は皆無と推測される。このように、日本の大型車(=重量車)分野における「低炭素化(≒低燃費化)」 と「排出ガス低減」に貢献しない「次世代大型車開発・事業化促進事業」と称する研究開発に対し、国土交通省・自動 車局(=交通安全環境研究所)は、平成24年度〜平成26年度において、以下に示したように、総額で約10億円の政 府予算が投入されているのである。
● 平成23年度の予算額と研究内容(=http://www.mlit.go.jp/common/000147904.pdf)
(1) 予算額
2億4千9百万円
(2) 研究内容
@ 小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック
A 高効率ハイブリッドトラック
B 高性能電動路線バス
C 次世代バイオディーゼルエンジン
● 平成24年度の予算額と研究内容(=http://www.mlit.go.jp/common/000188770.pdf)
(1) 予算額
2億4千9百万円
(2) 研究内容
@ 小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック
A 次世代バイオディーゼルエンジン
● 平成25年度の予算額と研究内容(=http://www.mlit.go.jp/common/000989100.pdf)
(1) 予算額
2億4千9百万円
(2) 研究内容
@ 小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック
A 小・中型トラックの高効率ハイブリッドトラック
B 高性能電動路線バス
● 平成26年度の予算額と研究内容(=http://www.mlit.go.jp/common/000989100.pdf)
(1) 予算額
2億4千8百万円
(2) 研究内容
@ 小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック
A 小・中型トラックの高効率ハイブリッドトラック
B 高性能電動路線バス
なお、筆者が平成24年1月24日に公開したホームページ:日本の低炭素と脱石油に無効な技術を研究する交通安全
環境研究所において、「次世代大型車開発・事業化促進事業」の「小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラ ック」と、「小・中型トラックの高効率ハイブリッドトラック」、「高性能電動路線バス」、および「バイオディーゼルエンジ ン」の技術開発が成功したとしても、日本の運輸部門の「CO2排出の削減」・「低炭素化(=低燃費化)」に無効である と訴えた。しかし、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)は、筆者の意見を無視し、わが国における大型 車(=重量車)分野における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」に寄与する可能性が皆無と推測される「次 世代大型車開発・事業化促進事業」の無駄と思える研究開発には、総額9億9千5百万円もの多額の政府予算を投 入して実施されているようである。
ところで、この「次世代大型車開発・事業化促進事業」の技術の中で、大型ディーゼルトラック・トラクタのCO2削減
のために採用可能な技術は、「バイオディーゼルエンジン」だけである。しかし、将来、仮に、補助金等の手段によっ てバイオディーゼルエンジン搭載の大型ディーゼルトラック・トラクタの市場での台数増加が可能であったとしても、運 輸分野のCO2削減が十分に評価できる十分な台数を国内に普及させて稼動できる量のバイオディーゼル燃料を日 本が確保できないことは、常識的に考えれば明らかである。それにもかかわらず、国土交通省・自動車局(=交通安 全環境研究所)の人達が、「バイオディーゼルエンジン」を採用した大型ディーゼルトラック・トラクタを広く普及させて 大型ディーゼルトラック・トラクタのCO2削減するとの目論見を本心から信奉しているとすれば、「愚の骨頂」との厳し い批判を受けても当然と考えられる。
もっとも、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の人達は、大型ディーゼルトラック(=GVW20〜25ト
ン)や大型ディーゼルトラクタの「CO2排出の削減」・「低炭素化(=低燃費化)」については、「為す術」が無い故に、大 型ディーゼルトラック・トラクタがトラック貨物輸送分野のCO2排出の大きな部分を占めていることに目をつぶり、大型 ディーゼルトラック・トラクタのCO2排出を現状のままに放置しても、わが国の運輸部門におけるCO2排出の削減が可 能とする珍奇な理屈を押し通そうとしているかも知れない。 このように、大型ディーゼルトラック・トラクタのCO2排 出削減のために研究開発すべき技術が不明であるとして、の専門家が毎日、出勤して何もせずに遊んで暮ら す訳にもいかない。そこで仕方なく、職場での時間潰しができるように、国土交通省・自動車局は、トラック・バ ス分野の「CO2排出の削減」・「低炭素化(=低燃費化)」に殆んど無効な研究開発であることを承知の上で、 「小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラックと高効率ハイブリッドトラック」、「高性能電動路線バ ス」、および「バイオディーゼルエンジン」の技術の研究開発を国土交通省・自動車局が交通安全環境研究所 に対して仕方なく実施させている可能性も考えられる。その場合、この状況は、親(= 国土交通省・自動車局)が 子供(=交通安全環境研究所)を機嫌よく遊ばせるために、高価(=約10億円)な玩具(=「次世代大型車開発・事業 化促進事業(平成23年度〜平成26年度)プロジェクト」を与えているような構図に見えてしまうが、これは筆者だけの 偏見であろうか。仮にも、このようなことが事実であれば、国民を馬鹿にした行為のように思うが、如何なものであろう か。
それとも、最近の国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の人達は、大型ディーゼルトラック・トラクタ・バ
ス(=重量車)のCO2排出削減について、最初から少しの関心・使命感も持っていないのであろうか。その場合には、 国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)人達は、大型ディーゼルトラック・トラクタのCO2排出削減に 殆んど無効であることを知りながら、業務関連であることを理由に最近の乗用車で話題の「ハイブリッド自動 車」、「電気・プラグインハイブリッド自動車」、「電気自動車」、「バイオ燃料」の技術をトラック・バスに応用す る「次世代大型車開発・事業化促進事業」のプロジェクトの研究開発を、野次馬的な興味から、嬉々として実 施している可能性がある。そして、そのようなプロジェクトに総額で約10億円もの多額の公金(=税金)を投入して いるのである。仮にも、このようなことが事実であれば、職権乱用の極みのように思うが、如何なものであろうか。
ところで、前述の14−4項「交通研のスーパークリーンディーゼルエンジン研究の燃費向上」に詳述しているように、平成22
年11月24(水)・25日(木)に開催の「交通安全環境研究所フォーラム2010」の「スーパークリーンディーゼル(SCD) エンジンにおける新展開」と題した講演では、「2段シーケンシャル過給機」、「高圧コモンレール(=260MPa)」、「LP- EGRの採用によるEGR制御の高度化」等の技術を用いても、大型トラック用ディーゼルエンジンのJE05モード燃費の 燃費は、0.5〜1.0%程度の僅かの改善しか期待できないとの発表であった。この「スーパークリーンディーゼル(SCD) エンジン」の研究開発は、交通安全環境研究所の関連する学者・専門家の全員が知恵を出し合い、大型トラック用デ ィーゼルエンジンのモード燃費の改善が実現できるとの目論見・構想を持って実施されたものと推測されるが、この 研究開発が見事に失敗してしまったことが平成22年11月の講演(=http://www.ntsel.go.jp/forum/2010files/10-06p. pdf)で発表されている。このように、「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の研究開発が失敗に終わったこと により、交通安全環境研究所の学者・専門家の人達は、彼らの技術力では大型トラック用ディーゼルエンジンの重量 車モード燃費改善が困難であることを、身をもって実感したのではないだろうか。
それでも、交通安全環境研究所の学者・専門家は、簡単には諦めず、この「スーパークリーンディーゼル(SCD)エ
ンジン」に更に「排熱回生システム(=ターボコンパウンド?)」等を追加することによって、大型トラック用ディーゼルエ ンジンにおいて2015年度重量車燃費基準の+10%の燃費向上を目標とする研究開発を平成23年度に実施するとの 強気の宣言が平成22年11月の講演で堂々と行われていたのである。しかし、ターボコンパウンドは、大型トラックの 走行燃費の改善が困難な技術だ!に詳述しているように、ターボコンパウンドは、元来、大型トラック用ディーゼルエ ンジンの最大トルクの増大には優れた効果を発揮するが、重量車モード燃費の1%程度しか改善できない燃費改善 機能の劣る技術である。ところが、当時の交通安全環境研究所の学者・専門家は、悲しいことに、ターボコンパウンド が重量車モード燃費を改善する機能の劣ることを理解していなかったようだ。そのため、交通安全環境研究所の学 者・専門家が平成22年11月の講演では、「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」に更に「排熱回生システム (=ターボコンパウンド?)」を追加して「2015年度重量車燃費基準の+10%の燃費向上を図る予定」と宣言してしま ったようである。
当時、「排熱回生システム(=ターボコンパウンド?)」における重量車モード燃費の改善の機能が劣ることを理解し
ていなかった交通安全環境研究所の学者・専門家は、知識不足のためとは云え、何とも恥ずかしいことを公言してし まっていたものだ。その後、交通安全環境研究所では、実際に「排熱回生システム(=ターボコンパウンド?)」を追 加しても「スーパークリーンディーゼル(SCD)エンジン」の研究開発は、試験で実際に十分な燃費改善ができなかった のか、若しくは、試験途中での不成功気付いたのかは不明であるが、重量車モード燃費の改善に失敗したものと推 察される。それは、平成26年3月現在でも、「排熱回生システム(=ターボコンパウンド?)」を追加した「スーパークリ ーンディーゼル(SCD)エンジン」によって、2015年度重量車燃費基準の+10%の燃費向上を達成したとの発表が行 われていないことからも明らかではないだろうか。つまり、交通安全環境研究所は、「排熱回生システム(=ターボコ ンパウンド?)」による大型トラック用ディーゼルエンジンの燃費を十分に改善することが困難であることを認識したも のと推測される。このことは、筆者にとっては当然の結果と考えられるが、交通安全環境研究所の学者・専門家にと っては相当な衝撃であったのでは無いだろうか。これによって、交通安全環境研究所の学者・専門家は、彼らの知り 得る限りの知識や技術力を総動員しても、大型トラック用ディーゼルエンジンの重量車モード燃費の十分な改善が困 難であることを痛切に思い知った可能性も考えられる。仮に、これが事実であれば、何とも哀れなことではないだろう か。
何はともあれ、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の学者・専門家の人達は、平成22年11月の少し
後には、彼ら自身が大型トラック用ディーゼルエンジンの重量車モード燃費の改善が技術的に完全に「手詰まり」の 状況に陥っていたようである。そのため、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)は、「スーパークリー ンディーゼル(SCD)エンジン」での重量車モード燃費の改善の不成功を講演で発表した平成22年11月の少し 後には、開発大型トラック用ディーゼルエンジン自体の改善による重量車モード燃費の向上に取り組むことを キッパリと諦めることにしたのではないかと推測される。そして、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究 所)は、平成23年度予算概要(=http://www.mlit.go.jp/common/000147904.pdf)から明らかなように、大 型トラック用ディーゼルエンジンの改良による重量車モード燃費の改善の研究開発を完全に放棄し、、平成23 年度〜平成26年度の4年間の計画で「小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラック」、「小・中型トラ ックの高効率ハイブリッドトラック」、「高性能電動路線バス」、および「バイオディーゼルエンジン」等の車両に 関係した技術や、バイオディーゼル燃料(=脱軽油)に関係した技術により、日本の運輸部門の「CO2排出の 削減」・「低炭素化(=低燃費化)」を図ることに方針の変更を行った可能性が考えられる。
このように、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の学者・専門家の人達は、平成23年度以降から現在
に至るまで、現行のトラック貨物輸送の主力動力源であるディーゼルエンジンの重量車モード燃費を改善する肝心要 の研究開発を完全に放棄してしまったようである。このように、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)は、 平成23年度から後にはディーゼルエンジンの重量車モード燃費を改善する研究開発を放棄してしまったことにより、ト ラック・バス用(=重量車用)のディーゼルエンジンにおける重量車モード燃費の改善に関する国土交通省・自動車局 の最近の自前の試験データ等が皆無になってしまっていることである。そのため、国土交通省・自動車局は、近い 将来の2015年度重量車燃費基準の強化を検討する際には、トラックメーカの試験データや意見をソックリそ のまま鵜呑みにし、トラックメーカの主張に沿った2015年度重量車燃費基準を強化する新しい重量車燃費基 準を設定せざるを得ない状況に陥ってしまう恐れが多分にあると考えられる。つまり、国土交通省・自動車局 は、近い将来に2015年度重量車燃費基準を適切なレベルに強化する手立てを失ってしまっているのではない かと危惧されるのである。仮に、これが事実であれば、国土交通省・自動車局が本来の職務を真っ当に遂行する 機能が喪失しているように思えるが、、如何なものであろうか。
なお、以上のような見方は、筆者だけの偏見かも知れない。しかしながら、現時点で国土交通省・自動車局(=
交通安全環境研究所)は、都市間貨物輸送の主力である大型ディーゼルトラック(=GVW20〜25トン)や大 型ディーゼルトラクタの「CO2排出の削減(=燃費改善)」の実用的な技術開発を殆んど何も実施せず、平成 23年度〜平成26年度の間に、「小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッドトラックと高効率ハイブリッドト ラック」、「高性能電動路線バス」、および「バイオディーゼルエンジン」のような、日本の近い将来におけるトラ ック・バス(=重量車)の「CO2排出の削減(=燃費改善)」や脱石油に殆んど貢献できない技術開発であるに もかかわらず、その研究開発に国土交通省・自動車局が気前良く約10億円もの多額の税金を無駄に投入し ているように思えて仕方が無いのである。そして、このような状況を呈しているのは、現在の国土交通省・自動車 局(=交通安全環境研究所)の研究開発が、日本の運輸部門の「CO2排出の削減」・「低炭素化(=低燃費化)」およ び「脱石油」を少しでも進展させようとする意思・意欲を持たない人達によって推進されていることが原因のように思え るが、それは筆者だけの偏った見方であろうか。
もっとも、このような国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)の「次世代大型車開発・事業化促進事業」と
称するプロジェクトの遂行により、予算(=税金)の無駄遣いと思しき行為が平成27年3月末まで続くのである。これに ついて国民の立場から言わせて貰えば、国土交通省・自動車局(=交通安全環境研究所)が 出来るだけ早い時期 に「次世代大型車開発・事業化促進事業」と称するプロジェクトを中止し、税金の無駄遣い思しき行為を早急に止め て欲しいものである。何しろ、多くの国民は、苦労して税金を納めているのである。そのため、国土交通省・自動車局 (=交通安全環境研究所)の人達は、常に税金に有効活用に留意すべきと思うが、如何なものであろうか。
ところで、筆者のホームページのディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジン、DDF運転とディーゼ
ル運転の選択が可能なDDF大型トラック 、大型トラックの「CO2削減」と「脱石油」の技術は、未だに不明か?、気筒 休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!等のページでは、近い将来に日本の運輸部門の 「CO2排出の削減」・「低炭素化(=低燃費化)」を容易に実現できる手段・技術として、気筒休止エンジン(特許公開 2005-54771)のディーゼル気筒休止の技術や、直噴式DDFエンジン(特許公開2008-51121)のDDFエンジンの技術を 提案している。これらの技術を実用化することによって、大型ディーゼルトラックにおけるCO2の大幅な削減が容易に 実現できるのである。ところが、国土交通省(=交通安全環境研究所)の人達は、ディーゼルトラック・トラクタ・バスに おいて、CO2の大幅な削減が容易に実現できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)や、CO2の削減と脱石油 を同時に可能にする直噴式DDFエンジン(特許公開2008-51121)のDDFエンジンの技術を提案している。これらの技 術を実用化することによって、大型ディーゼルトラックにおけるCO2の大幅な削減が容易に実現できるのである。とこ ろが、国土交通省(=交通安全環境研究所)の人達は、ディーゼルトラック・トラクタ・バスにおいて、CO2の大 幅な削減が容易に実現できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)や、CO2の削減と脱石油を同時に 可能にする直噴式DDFエンジン(特許公開2008-51121)の特許技術を頑なに無視・黙殺しているようだ。 こ れは、筆者のような一般人の提案する技術を研究開発することは、専門家としての「誇り」や「自尊心」に傷がついた り、「恥」をかくとの思いから生じた行動のように思えるが、如何なものであろうか。
更に、筆者の「偏見?」・「妄想?」を率直に言わせて貰えば、大型ディーゼルトラック・トラクタ・バスにおける「CO2削
減(≒低燃費化)」と{NOx削減」に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)や、CO2削減と脱石油を同時に 可能にする直噴式DDFエンジン(特許公開2008-51121)の特許技術を頑なに無視・黙殺しながら、わが国の運輸部 門の「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」に殆んど寄与できない「次世代大型車開発・事業化促進事業(平 成23年度〜平成26年度)」のプロジェクトに約10億円もの多額の税金を投入する国土交通省・自動車局(=交通安 全環境研究所)の行動は、わが国の運輸部門における「低炭素化(≒低燃費化)」と「排出ガス低減」を近い将来に実 現できるとの期待を国民に持たせるための単なる詐欺的な行為のように思えるのである。その確実な証拠を提示す ることは、現時点では困難である。しかし、日本国内において、「小・中型トラックの電気・プラグインハイブリッド トラック」、「小・中型トラックの高効率ハイブリッドトラック」、「高性能電動路線バス」、および「バイオディーゼ ルエンジンのトラック・バス」の総台数は、トラック・バス全体の僅かな割合の台数しか占めていない事実が将 来的に現実化する時期が到来すると予測される。その時期が到来した時点で、国土交通省・自動車局(=交 通安全環境研究所)の「次世代大型車開発・事業化促進事業(平成23年度〜平成26年度)」の目論見が、見 事に破綻したことを誰もが確認できると考えられる。しかし、これでは、わが国の運輸分野における「低炭素化(≒ 低燃費化)」、「排出ガス低減」、「脱石油」は、「時すでに遅し!」となり、「後悔先立たず!」の残念な状況に陥ること になると考えられる。
このような状況に陥ることを出来るだけ早期に回避する最善の方法・方策は、出来るだけ早期に「気筒休止エンジ
ン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用した大型ディーゼルトラック」や、「直噴式DDFエンジン(特許公 開2008-51121)の特許技術を採用したDDF大型トラック」を早期に実用化することである。これらの新技術に より、日本の大型トラック・トラクタ・バスの分野における「CO2削減(=低炭素化・低燃費化)」や「脱石油(= 大型トラック用燃料に天然ガスの使用)」が容易に実現できるのである。そのため、国土交通省・自動車局 (=交通安全環境研究所)は、「気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術採用した大型ディーゼ ルトラック」や、「直噴式DDFエンジン(特許公開2008-51121)の特許技術を採用したDDF大型トラック」の研 究開発を早期に開始し、日本における大型トラックにおける「CO2削減(=低炭素化・低燃費化)」や「脱石油」 を促進して欲しいものである。
21 大型トラック(=重量車)の2015年度燃費基準の強化のレベル
現在、国土交通省で検討されている「重量車(=大型のトラック・バス等)」の「2015年度燃費基準」を強化した新た
な燃費基準のレベルは、筆者の個人的な予想では、5%程度の燃費改善が要求されるものと推測される。そうした 場合、表26に示した中央環境審議会の第十次答申に記載の大型トラック(=重量車)の燃費改善技術や、表41に 示した改善技術等、走行燃費や重量車モード燃費を改善できる機能・効能の劣る「ガラクタ技術」や「ポンコツ技術」 を数多く組み合わせることによっって辛うじて5%程度の燃費改善が実現できたとしても、その大型トラック(=重量 車)は、膨大なコストアップのために実用性の全く無いものになることが明らかだ。
これに対し、「2015年度燃費基準」を5〜10% 程度の燃費改善を求めたした新たな「重量車(トラック、バス等)の
燃費基準」に適合させる場合、膨大なコストアップを招くことなく容易に適合させることのできる技術は、現時点では2 ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の特許技術以外に無いと推測され る。したがって、国土交通省が近い将来(=2014年〜2015年頃)に「重量車(トラック、バス等)」についての「2015年重 量車度燃費基準」を強化した新たな「重量車燃費基準」を設定・発表した場合には、「叶Vエィシーイーの前取締役社 長 青柳 友三氏」、「中央環境審議会・大気環境部会・自動車排出ガス専門委員会」、「早稲田大学 大聖教授」、 および「日野自動車鰍フ遠藤 真 専務取締役」を含む日本を代表するディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術 者は、それまでの「気筒休止システム」を無視・黙殺する行為・活動を一斉に取り止め、瞬時に「君子豹変」し、2ター ボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を開発することを以前から積極的に推奨 していたかのような発言・発表に大転換するものと推測される。
そして、日本を代表するディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者の人達は、2ターボ方式の気筒休止システ
ム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))が大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費の改善に優れた機 能・効能を発揮する特許技術であることが遠の昔から解っていたと弁解し、この気筒休止システムの技術開発が当 時では時期尚早であったと弁明するのではないかと推測される。このように、国土交通省が近い将来(=2014年〜 2015年頃)に「2015年度燃費基準」から10% 程度の燃費改善を必要とする新たな「重量車(トラック、バス等)の燃費 基準」を設定・発表した場合には、日本を代表するディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者からは、自己保 身のための空虚な弁解・弁明が聞けそうである。それほど遠くない将来に、このようなドラマチックな展開を目にする ことは、退屈な日常生活を送っているポンコツ元技術屋の筆者にとっては楽しみなことだ。
以上のように、国土交通省が近い将来(=2014年〜2015年頃)に「2015年度燃費基準」を5%程度の燃費改善を求
めたした新たな「重量車(トラック、バス等)の燃費基準」を設定・発表した場合には、国土交通省が「2015年重量車度 燃費基準」を強化した新たな「重量車燃費基準」を設定・発表した場合には、日本を代表するディーゼルエンジン関係 の学者・専門家・技術者が、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の燃費 改善の優れた機能・効果を無視・黙殺ができなくなることが確実と予測されるのである。したがって、日本を代表する ディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者が燃費改善の優れた機能・効果を2ターボ方式の気筒休止システム (=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を無視・黙殺する期間は、残り1〜2年程度の残り僅かと推測され る。そうは云っても、彼らは、「2015年重量車度燃費基準」を強化した新たな「重量車燃費基準」が設定・発表される ギリギリの日時まで、2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))を無視・黙殺 する活動を続けることは、間違いないと推測されるが、如何なものであろうか。
22 大型トラックの燃費向上の過去・現在・未来
とろころで、多くのトラックメーカでは、一部の車種ではあるが、2015年度重量車燃費基準に不適合の大型トラック
を抱えているのが現状である。そして、最近では国土交通省や経済産業省において2015年度重量車燃費基準の強 化が検討され始めているとの噂がある。そのため、トラックメーカにとっては、ディーゼルエンジンの燃費向上を図る 技術の実現が喫緊の課題と考えられる。そのような状況において、日野自動車鰍ヘ、自動車技術会の2013年秋季 大会の論文抄録に「気筒休止の技術を採用した大型トラックが高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待でき る」と記載したのである。このように、日野自動車鰍ェ大型トラックの燃費改善の技術とその試験結果の開示を行っ た動機・理由は、一体、何なのであろうか。それについて、筆者が手前勝手な理由を挙げれば、それは、筆者のホー ムページにおいて「、日本のトラックメーカの専門家・技術者は、ディーゼルエンジンの燃費を十分の改善できる技術 が何一つ開発できていない惨めな状況に在る」と執拗に記載したことが影響していることも可能性も否定できないと 考えられる。つまり、筆者がトラックメーカに対する技術開発の能力不足を盛んに指摘したことに対し、トラックメーカ の専門家・技術者が、自尊心・プライドが傷ついたことから激怒して我を忘れ、「日野自動車鰍ノよる気筒休止の採 用による大型トラックの4%程度の燃費改善」の論文を自動車技術会の投稿しようとした可能性も考えられる。
このように、燃費改善の効果が十分に発揮できない燃費改善の機能の劣る吸・排気弁休止方式の気筒休止システ
ムを採用した大型トラックの場合であっても、気筒休止の効果により、日野自動車鰍フ講演論文の抄録には、大型ト ラックの高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待できるとのことである。一方、筆者が2006年4月に開設したホ ームページの当初よりに記載している2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771))は、「日野自動車鰍フ吸・排気弁休止方式の気筒休止システム」よりも格段に優れた燃費改善の機能・効能 のある特許技術である。このことから、筆者が2006年4月からホームページにおいて、大型トラックに2ターボ方式の 気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))の特許技術を採用した場合には、5〜10% 程度 の重量車モード燃費や実走行燃費が可能とする記載に大きな誤りの無いことが理解できるものと考えられる。そし て、2ターボ方式の気筒休止システムの場合には、大型トラックの高速道路走行では5〜10% の燃費改善が可能と 推測されることも妥当であることが判って頂けるのではないだろうか。
このように、日野自動車鰍ェ自動車技術会の2013年秋季大会の論文抄録に「気筒休止の技術を採用した大型トラ
ックが高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待できる」と記載したことにより、日本のディーゼルエンジン関係 の学者・専門家・技術者の中には、気筒休止が走行燃費の改善に極めて有効な技術であるこを、今後、遅まきなが らも認識する人が増えて来るものと考えられる。この状況を見ると、日本のディーゼルエンジン関係の学者・専門家・ 技術者は、目に触れる新しい技術情報の本質を理解し、その技術の機能や効果の予測・推測する能力の劣る人間 が多いように思えるのである。要するに、これは、日本のディーゼルエンジン関係の学者・専門家・技術者には、新技 術の開発に不向きな人間が多いと云うことではないだろうか。
なお、日野自動車鰍フ「気筒休止の技術を採用した大型トラックが高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待
できる」と論文抄録が明らかになったことにより、大型トラックに2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジ ン(特許公開2005-54771))の特許技術を採用した場合には、5〜10% 程度の重量車モード燃費や実走行燃費が 可能とする筆者の2006年4月からのホームページの記載内容が信頼できることを、日本の学者・専門家・技術者が深 く理解したものと考えられる。もっとも、偏った自尊心・プライドの凝り固まった一部の学者・専門家・技術者は、自身 には大型トラックの十分な燃費改善の実現に寄与できる技術情報の持ち合わせが皆無であることを棚に上げ、筆者 のホームページに記載した2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-54771))につい ては、これまで通り、否定的な見解を崩さず、また、無視・黙殺の方針を貫き通すと考えられるが・・・・・。そして、これ は、自尊心・プライドの権化と化した一部の偏執的な性格を持った学者・専門家・技術者であるが故の特異な行動で あるかも知れないが・・・・・。。
もっとも、現在は依然として、大型トラックの燃費が改善できる技術が何も見い出せていないトラックメーカの困窮し
た状況であるにもかかわらず、トラックメーカは燃費改善とNOx削減に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術の開発を実際には頑なに拒絶している状況である。そして、トラックメーカのディーゼルエンジン関係の 技術者・専門家は、周りからは大型トラックの燃費向上を可能にする新技術の開発を求められているため、眉にしわ を寄せて渋面を作り、「NOx排出と燃費性能のトレードオフ関係の克服が困難なため、ディーゼルエンジンの燃費改 善が難しい!」と技術開発に深刻に悩んでいるかのような演技を行っているのではないかと、筆者には思えるのであ る。その理由は、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!のページに詳述しているよ うに、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を用いれば、いとも簡単に「NOx排出と燃費性能のトレードオ フ関係の克服が可能」となり、ディーゼルエンジンの重量車モード燃費が改善できることをトラックメーカのディーゼル エンジン関係の技術者・専門家は、余程の馬鹿でない限り、本心では十分に理解していると推察されるためである。 特に、日野自動車鰍ェ自動車技術会の2013年秋季大会の論文抄録に「気筒休止の技術を採用した大型トラックが 高速道路走行では4%程度の燃費改善が期待できる」と記載したことにより、気筒休止の有効性に気付いた学者・専 門家・技術者が多いのではないだろうか。
そして、現在は、トラックメーカのディーゼルエンジン関係の技術者・専門家は、「NOx排出と燃費性能のトレードオフ
関係の克服が困難なため、ディーゼルエンジンの燃費改善が難しい!」との言い訳が通じなくなった時期が到来した と考えられるため、各トラックメーカは、堰を切ったかの如く、先を争って気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の 技術開発に着手するものと予想される。その時は、トラックメーカのディーゼルエンジン関係の技術者・専門家は、こ れまでの気筒休止を無視・黙殺してきた過去を他人事のように批判し、何食わぬ顔してサラリーマンとしての生計を 維持して行くために、必死になって気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術開発を推進するものと推察され る。
そして、筆者が考えるその時期は、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢に詳述
したように、日本政府が米国よりも厳しい大型トラックのNOx規制の施行を発表した時や、政府は大型トラックの新た な低燃費・低排出ガス基準を早期に設定せよ!に詳述したように、日本政府が大型トラックの新たな低燃費・低排出 ガス基準の施行を発表した時、若しくは、2015年度重量車燃費基準に対して5%程度の燃費基準の強化を発表した 時ではないかと考えられる。逆に言えば、日本のトラックメーカは、政府が2015年度重量車燃費基準の5%程度の基 準強化を発表しない限り、研究開発費を惜しんで気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の開発に着手しない可 能性が極めて高いと推察される。したがって、その時期が到来するまで、日本の大型トラック分野における目立った 燃費向上・石油エネルギー削減が実現できないものと考えられる。願わくば、政府が2015年度重量車燃費基準の 5%程度の基準強化を早期に決断し、発表して欲しいものである。勿論、このことについて、トラックユーザが諸手を 挙げて賛同の意を表明するだろうし、日本の軽油消費量がある程度の削減を実現できることになり、良いこと尽くめ である。ここは政府(=国土交通省・経済産業省)が国と国民の利益のために、一肌脱いで2015年度重量車燃費基 準の5%程度の基準強化を早急に発表・実施して欲しいものである。
ところで、ディーゼルエンジンにおいて、古くからNOx削減時には燃費が悪化し、燃費向上時にはNOxが悪化する
「NOxと燃費のトレードオフ(=二律背反)の関係が良く知られている。そして、大型トラックの動力源であるディーゼル エンジンに対しての最初の排出ガス規制(NOx規制)が昭和49年排出ガス規制(= 1974年施行)が実施されて以来、 NOx規制の強化によるNOx削減に伴う燃費悪化の防止や、当時の中東戦争に起因した第1次オイルショックの騒動 が発生し、軽油高騰の時代を迎えたために、トラックメーカ間では、激しい燃費向上の競争が始まった。その結果、 1970年代前半には、トラックメーカは一斉に大型トラックのエンジンを従来の「予燃焼室ディーゼル」から燃費の優れ た「直噴式ディーゼル」に進化させ、10〜15% 程度の走行燃費を向上させたのである。
その後も、トラックバスにおては、恒常的な燃費競争と度重なる排出ガス規制の強化により、トラックメーカでは大型
トラックの燃費改善の研究開発が盛んに実施されてきた。しかし、大型トラックの燃費改善は、エンジンの場合には 熱効率の向上が必要であり、車体の走行抵抗(=空気抵抗・転がり抵抗等)の削減やトラッスミッションの多段化等 によるトラック・バスのパワートレインの高級化によるエンジンの運転状態の最適化の制御が必要となり、技術的にも コスト的にも多くの困難が伴い、容易なことではない。一方、NOxの排出については、燃焼室内の燃焼温度や酸素濃 度に依存するppm オーダーでNOxが発生するためにNOxでの高い削減率の実現は、燃費の向上に比べれば、容易 と云えるのではないだろうか。その証拠として、大型トラックのポスト新長期規制のNOx規制値=0.7g/kWhは、最初 の昭和49年排出ガス規制のNOx規制値の5%まで削減されていることが挙げられる。
因みに、ポスト新長期規制の次期NOx規制値=0.4 g/kWh(=2016年実施予定)の場合には、最初の昭和49年排
出ガス規制のNOx規制値の約 3 %まで削減されることになる。つまり、大型トラックの排出ガス規制では、NOxが10 0%近い削減が実現されているのである。因みに、一般的に燃費改善と称する際には、100%の燃費向上と形容し た場合には、燃料のリッター当たりの走行距離が2倍になることにを意味し、エンジンの場合には2倍の熱効率となる ことに相当し、このような燃費改善が大型トラックにおいて実現することが常識的に「不可能」であることは間違いが 無いと考えられる。
このように、大型トラックにおいては、NOx削減に比較し、走行燃費や重量車モード燃費の改善は極めて困難であ
る。しかし、それでもトラックメーカは、1970年代前半の第1次オイルショック以来、激しい燃費競争に打ち勝つために 懸命に大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費の改善に努めてきたのである。その不断の努力の結果、現在の 大型ディーゼルトラックでの走行燃費が達成されている。そこで、以下の表41には、第1次オイルショックを契機とし て燃費改善の市場ニーズが高まった1970年頃以降について、大型トラックにおける5% 程度以上の走行燃費や重 量車モード燃費の改善が実際に実現されてきた技術を、年代順に整理した。また、この表41には、仮に近い将来に 国土交通省が2015年度重量車燃費基準から+10% 程度の燃費基準のを強化が実施された場合において、各トラ ックメーカが不本意にも採用せざるを得ない大型トラックの重量車モード燃費の改善技術についても付記したので、 ご覧いただきたい。
以上のように、1970年代前半の第1次オイルショック後の大型トラックにおいて、 走行燃費や重量車モード燃費を
5% 程度の改善を実現するために採用されてきた技術は、以下の5項目である。
@ 「直噴式ディーゼル」
A 「インタークラ過給ディーゼル」
B 「アイドルリングストップ」
C 「12段機械式自動トランスミッション」
D 「電子制御オートクールファンカップリング」と「電子制御可変流量ウォーターポンプ」の組合せ
以上の諸技術の中のDの 「電子制御オートクールファンカップリング」と「電子制御可変流量ウォーターポンプ」の
組合せは、最近(=2014年6月)、三菱ふそうの大型トラックに初めて採用された技術である。もっとも、「電子制御オ ートクールファンカップリング」は数十年も昔から普及したFF駆動乗用車(=フロントエンジン・フロントドライブの乗用 車)に採用されている「電動冷却ファン」と機能・効能が似た技術であり、「電子制御可変流量ウォーターポンプ」は最 近のハイブリッド乗用車に採用されている「電動ウォーターポンプ」と機能・効能が似た技術である。したがって、 「電 子制御オートクールファンカップリング」と「電子制御可変流量ウォーターポンプ」は、既に乗用車に採用済み の走行燃費改善の機能・効能を有した類似技術を大型ディーゼルトラックに流用したと見ることができる。
このように、 「電子制御オートクールファンカップリング」と「電子制御可変流量ウォーターポンプ」は、乗用車での燃
費改善の機能・効能を応用した技術であるため、大型トラックの分野で新たに独自に開発された新規の燃費改善技 術と呼ぶことには少し躊躇されると考えられる。しかしながら「電子制御オートクールファンカップリング」は水温に応じ て可変制御して効率的なエンジン冷却を実現するために必要に応じて冷却ファンを回すことで駆動損失を低減し、 「電子制御可変流量ウォーターポンプ」は、電動冷却ファンと同様にで必要に応じて冷却水量を循環させてエンジンを 効率的に冷却してウォーターポンプの余分な駆動損失を低減することにより、「大型トラックにおける+5% 程度 の重量車モード燃費の改善が可能」となる。これによって、2014年の時点において、大型トラックは、2015年度重量 車燃費基準の+5%の低燃費化が実現できたようである。
以上のように、長い年月にわたる技術者・専門家の地道な努力によって、大型トラックにおける+5%程度の走行
燃費の向上を可能にする各種のディーゼルエンジン技術が実用化されてきたのである。このようなディーゼルエンジ ンにおける燃費改善の技術開発の経緯・実績を見ると、大型トラックの走行燃費や重量車モード燃費の+5% 程度 を改善することが如何に難しいことが判る筈である。したがって、近い将来に大型トラックの実走行燃費や重量車モ ード燃費が+5%程度以上 の改善を実現できる新しい燃費向上の技術を実現することは、極めて難しいことである。 これについて、筆者が考えるところでは、現時点において大型トラックの実走行燃費や重量車モード燃費が+5%程 度以上 の改善を可能にする新しい技術は、今のところ、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の他には存在し ないと考えている。つまり、ポスト新長期排出ガス規制(=2009年規制)適合の仕様に「電子制御オートクール ファンカップリング」と「電子制御可変流量ウォーターポンプ」を採用した大型トラック(=2015年度重量車燃費 基準+5%の達成の大型トラック)に、新たに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を組合 せることにより、2015年度重量車燃費基準から+10%以上の燃費向上を達成した大型トラックが確実に実 現できると予想される。
23 国土交通省が大型トラックの燃費基準の強化を実施する時期(目標年度の策定)
わが国の自動車燃費基準を策定する国土交通省の自動車燃費基準小委員会は、以下の表42に示したように、
「自動車の燃費基準の目標年度は、将来的な技術進展を勘案した上で設定する方針」を今後も堅持するとのことで ある。このことは、重量車(=大型トラック)の燃費向上の将来的な技術進展の見通しが得られるまで、国土交通省 の自動車燃費基準小委員会は、現行の2015年度重量車燃費基準を強化する次期の重量車燃費基準の目標年度 の設定(=答申)を行わないと宣言しているようにも見えるのである。
現在、わが国では、以上のような自動車燃費基準の決定プロセスが採用されているため、今後、トラックメーカが
「大型トラックの走行燃費の大幅な改善が技術的に困難」との虚偽の技術内容の論文発表等を積極的に行い、その 虚偽の技術情報を国土交通省の自動車燃費基準小委員会が騙された場合には、自動車燃費基準小委員会は2015 年度重量車燃費基準を強化する次期の重量車燃費基準の目標年度を先送りし続けられることになると推測される。
このような自動車燃費基準の決定プロセスが採用されている日本において、日野自動車が論文発表した燃費改善
機能の劣る気筒休止システムに詳述しているように、自動車技術会2014年秋季大会において、日野自動車は、構造 的な欠陥を持つ「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の論文(自動車技術会文献番号20145364)を発表したので ある。そして、この日野自動車の論文では、「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」は、構造的な欠陥を持つため、 画期的な技術開発によって欠点・難点を克服できない限り、大型トラックの走行燃費の十分な改善が困難とする内容 が記載されている。この「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」が構造的な欠陥のために大型トラックの燃費向上 に無効とする日野自動車の論文は、一見したところ、極めて当然の結論を述べているに過ぎないように見える内容で ある。しかしながら、ここで筆者が奇異に思えることは、一流企業の日野自動車が最初から構造的な欠陥の明らかな 「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」を敢えて選択・提案し、この技術では大型トラックの走行燃費の十分な改善 が困難とする「判りきった結論」・「言わずもがなの結論」をまとめた論文を自動車技術会の2014年秋季大会で堂々と 発表していることである。
つまり、日野自動車は、普通のエンジン技術者・専門家であれば容易に理解できそうな構造的な欠陥を持つ「吸・
排気弁停止式の気筒休止システム」を敢えて提案し、この使い物にならない「気筒休止システム」の欠点・難点を克 服して大型トラックの走行燃費の十分な改善を実現できると空虚な内容の論文(文献番号20145364)を自動車技術 会2014年秋季大会で強引に発表したと見ることも可能である。その場合、この構造的な欠陥の「気筒休止システム」 の論文を発表する日野自動車の目的は、大型トラックの走行燃費の十分な改善が困難とする虚偽的なの技術情報 の浸透・拡散を図っていると見ることも可能である。そして、この日野自動車の「吸・排気弁停止式の気筒休止システ ム」の欠陥技術の論文発表は、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化や気筒休止は、ディーゼルのNOx 削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!に詳述している大型トラックの燃費向上とNOx削減の両方を同時に実現でき る気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を葬り去ることが最大の目的ではないかと、ポンコツ元技術 屋の筆者には思えるのである。
このような、「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の欠陥技術を敢えて論文発表する日野自動車の行為は、
『嘘?でも大声で堂々と主張し続ければ、世の中の「馬鹿?」は信じてしまうもの』とする古くから巷で囁かれている詐 欺師的な思考に基づいたもののように思えるのである。つまり、何が何でも、「嘘は最後まで吐き通せ!」との手法で ある。このような、詐欺的な技術論文の発表を日野自動車の幹部が承認した背景には、将来の何れかの時期に論 文の欠陥が露見したとしても、「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の欠陥論文によって「大型トラックの走行燃 費の大幅な改善が技術的に困難」との虚偽の技術情報が浸透・拡散できたことにより、2015年度重量車燃費基準を 強化する次期の重量車燃費基準の目標年度の先送りと云う目的が達成できているいるとの考えに基づくのではない かと推測される。何はともあれ、日野自動車の「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の論文の欠陥が露見した時 には、既に日野自動車と他のトラックメーカは、2015年度重量車燃費基準を強化する次期の重量車燃費基準の目標 年度の先送りと云う実利を得ていることになりそうだ。
そして、2015年度重量車燃費基準の強化の目標年度が2024年度までの先送りが実現できた場合、大型トラックの
燃費向上とNOx削減の両方を同時に実現できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術が権利消失 の時期を迎えるため、日野自動車と他のトラックメーカは、この特許技術を自由気ままに自社の大型トラックに採用 する利益を得ることができるのである。これに対し、仮に、今後、国土交通省の自動車燃費基準小委員会が「吸・排 気弁停止式の気筒休止システム」の欠陥論文(自動車技術会文献番号20145364)に惑わされて「大型トラックの走行 燃費の大幅な改善が技術的に困難」との認識を植えつけられることにより、大型トラック等の2015年度重量車燃費基 準を強化する次期の重量車燃費基準の目標年度を2024年度までの先送りすることになれば、大型トラックの燃費向 上とNOx削減の遅れによる迷惑を被るのは、多くの一般国民であることは間違いないだろう。何故ならば、政府は大 型トラックの新たな低燃費・低排出ガス基準を早期に設定せよ!に詳述しているように、気筒休止エンジン (特許公開2005-54771)の特許技術を大型トラックに採用した場合、「NOx排出値= 0.23 g/kWh(JE05モー ド or WHTCモード)までの削減」と「2015年度重量車モード燃費基準よりも+10%程度の燃費向上」を達成し た大型トラックが容易に実現できるのである。
以上のように、「気筒休止システム」と称する技術には、自動車技術会2014年秋季大会で日野自動車が論文(文献
番号20145364)にまとめて発表した走行燃費改善の機能・効能に構造的な欠陥を持つ「吸・排気弁停止式の気筒休 止システム」の他にも、大型トラックのNOx削減と走行燃費改善の機能に優れた気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術が2005年3月に特許公開されているのである。このように、大型トラックのNOx削減と走行燃費改善に 極めて有効であり、且つ、容易に実用化が可能なな気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の気筒休止の技術が 既に存在しているにもかかわらず、日野自動車は自動車技術会2014年秋季大会で構造的な欠陥を持つために実用 化の困難な特異な「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の論文(文献番号20145364)を発表したのである。
この日野自動車の講演論文(文献番号20145364)で発表した「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」は、構造的
な欠陥を持つために実用化の極めて困難な特異な技術である。この日野自動車の講演論文では、基本的な構造的 に欠陥のある気筒休止を選択し、この気筒休止の技術の不具合を詳細に解析して実用化が極めて困難なことを示 唆する内容の纏めた上で、大型トラックの燃費向上が技術的に容易でないと結論付けているようだ。つまり、自動車 技術会2014年秋季大会で日野自動車が発表した講演論文(文献番号20145364)は、大型トラックの燃費改善技術と して最初から欠陥が明らかな「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」を敢えて選択し、この「気筒休止」の技術の問 題点を詳細に解析して、実用性の無い技術であること詳細に説明しているのである。通常、一流の企業の論文で は、最初から欠陥が明らかな技術について、その技術の問題点を詳細に解析して、実用性の無い技術であること結 論付ける「自作自演」のような無駄な論文は発表しないものである。これは、その企業が「馬鹿丸出し」と見られる研 究開発を世間に晒すことになるためである。
ところが、日野自動車は、そのような「会社の恥」をものともせず、走行燃費改善の機能・効能に構造的な欠陥を持
つ「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の論文を自動車技術会2014年秋季大会で発表したのである。このような 厚顔無恥とも思えそうな論文を日野自動車が自動車技術会2014年秋季大会において敢えて発表したのは、「気筒休 止」と称する技術は、ディーゼルエンジン搭載の大型トラックにおける走行燃費(=重量車モード燃費)の改善が困難 であるとの風評を広めることが狙いの可能性が考えられる。そして、その真の目的は、大型トラックのNOx削減と走 行燃費改善の機能に優れた気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を葬り去るための大芝居のよう にも見えるのである。このことについては、大型トラックの走行燃費の改善技術の開発促進を指導する立場にある国 土交通省は、この日野自動車の行為を容認しているようであれば、国土交通省もまた走行燃費改善の機能に優れ た機能・効能を発揮する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺する日野自動車の方針 に賛同していることになる。しかし、このようなことは、国土交通省の施策としては、現実的に有り得ないと考えるのが 妥当と思われる。何故なら、日本のトラックメーカの技術者・専門家や国土交通省の官僚の全ての人達は、大型トラ ックにおける早期の大幅な走行燃費の向上を切望している筈と、常識的には推測されるためである。
ところで、わが国の燃費基準策定等について検討を行う国土交通省の自動車燃費基準小委員会は、下記の表43
に示したように、日本を代表するエンジン関係の学者・専門家によって構成されている。
このように、国土交通省の自動車燃費基準小委員会は、委員長および半数の委員が日本を代表するエンジン関
係の学者・専門家で構成されている。そのため、エンジン関係の学者・専門家が過半数を占める国土交通省の自動 車燃費基準小委員会は、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化や気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と 燃費向上の一挙両得の技術だ!に詳述しているように、2014年9月時点では当然のことながら、「NOx排出値= 0. 23 g/kWh(JE05モード or WHTCモード)までの削減」と「2015年度重量車モード燃費基準よりも+10%程度の燃費向 上」を達成した大型トラックを実現できる唯一の方法・手段が気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術 であることを十分に理解・認識しているものと推測される。何故ならば、この気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の特許技術は、2005年3月に特許公開され、2006年4月7日公開の筆者のインターネットのホームページで公 開している。
また、国土交通省の自動車燃費基準小委員会は、構成人物の過半数が日本を代表するエンジン関係の学者・専
門家であるため、自動車技術会2014年秋季大会において日野自動車が発表した(自動車技術会文献番号 20145364)の「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の実用化の困難な欠陥技術であることを性格に理解している ものと推測される。したがって、日野自動車が欠陥技術の「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の論文発表によ って「大型トラックの走行燃費の大幅な改善が技術的に困難」との虚偽的な技術情報を拡散して大型トラック等の 2015年度重量車燃費基準を強化した次期の重量車燃費基準の目標年度を大幅に先送り(=例えば、気筒休止エン ジン(特許公開2005-54771)の特許権が消滅する2024年度頃までの先送り)しようとしても、常識的に考えれば、完全 に無駄な徒労に終わるものと推察される。そのため、例え日野自動車が欠陥技術の論文発表を行って大型トラック 等の2015年度重量車燃費基準を強化する次期の重量車燃費基準の目標年度を大幅に先送りをしようとしても、現 在は気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用することによって「NOx排出値= 0.23 g/ kWh(JE05モード or WHTCモード)までの削減」と「2015年度重量車モード燃費基準よりも+10%程度の燃費 向上」を達成した大型トラックを実用化することが可能なため、国土交通省の自動車燃費基準小委員会が 2015年度重量車燃費基準を強化した次期の重量車燃費基準の目標年度を2020年度頃と設定(=答申)して も、大型トラックの生産や販売を継続実施することに関しては、わが国の大型トラックの燃費向上の技術面か ら見るても、何の不都合や混乱も生じない状況である。
ところが、予期しない何らかの政治的な影響力によって、仮に、国土交通省の自動車燃費基準小委員会の
日本を代表するエンジン関係の5人の学者・専門家は、この大型トラックのNOx削減と走行燃費改善の機能 に優れた気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を否定、若しくは無視・黙殺する一方、他方 では構造的な欠陥を持つ「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の日野自動車の論文(自動車技術会文献 番号20145364)における虚偽の技術情報を事実とする支離滅裂な判断を下して大型トラック用ディーゼルエ ンジンの燃費改善の技術を強引に「未開発」の状況にあると認定する可能性も考えられる。その際には、 「2015年度重量車モード燃費基準よりも+10%程度の燃費向上」のレベルの燃費基準の強化を気筒休止エ ンジン(特許公開2005-54771)の特許権の消滅する2024年度頃に設定(=答申)することを国土交通省の自 動車燃費基準小委員会が決定するものと推測される。その場合には、自動車燃費基準小委員会がトラックメーカ (=日本自動車工業会)の「強力な影響力?に支配されている」ことや、若しくは「特別な手厚い配慮?を受けている」 ような状況に置かれている可能性が極めて高いと推察される。
なお、仮に、トラックメーカ(=日本自動車工業会)が自動車燃費基準小委員会に強い影響力を及ぼすことによって
日本の「2015年度重量車モード燃費基準よりも+10%程度の燃費向上」のレベルの次期の燃費基準の強化を約1 0年先の2024年度頃の実施とすることに成功した場合には、トラックメーカは、2024年度に消滅する気筒休止エンジ ン(特許公開2005-54771)の特許技術をトラックメーカが晴れて自由勝手に大型トラックに採用できることになる。そし て、このことは、自動車燃費基準小委員会から次期の燃費基準に大型トラックを容易に適合させる恩恵が無償で与 えられることになり、且つ、筆者の特許権消滅の特許技術(=策を弄して横取りした特許技術?)を自社の考案した 技術のように偽装して宣伝する特典も与えられることになる。これは、トラックメーカにとっては「願ったり!叶った り!」であり、笑いの止まらないことになると考えられる。そのため、今後、国土交通省・自動車燃費基準小委員会 が「2015年度重量車モード燃費基準」の強化の目標年度を2024年度頃に設定(=答申)した場合には、トラッ クメーカ(=日本自動車工業会)と自動車燃費基準小委員会との不謹慎な癒着?が存在する可能性は、否定 できないことである。
このように、トラックメーカ(=日本自動車工業会)と自動車燃費基準小委員会との不謹慎な癒着?によって国土交
通省・自動車燃費基準小委員会が「2015年度重量車モード燃費基準」の強化の目標年度を2024年度頃に設定(=答 申)する成果が確実に得られるのであれば、トラックメーカ(=日本自動車工業会)は、極めて投資効果の大きいこと になるが、このようなテレビドラマのような活動を実際に実施しようとしているか否かは、筆者には不明である。しかし ながら、日野自動車が欠陥技術の「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の講演論文(文献番号20145364)を自 動車技術会2014年秋季大会で発表し、大型トラックの燃費向上が技術的に困難とする虚偽的な技術情報を拡散して 重量車の次期燃費基準の実施を先送り(=例えば、2024年度頃に実施)することを狙っていることは事実と考える が、如何なものであろうか。
以上のことを勘案すると、今後の「2015年度重量車モード燃費基準」の強化の設定に際しては、、国土交通省・自
動車燃費基準小委員会が決定する「2015年度重量車モード燃費基準」の強化を実施する目標年度の設定に際して は、国土交通省・自動車燃費基準小委員会が決定する目標年度の時期(=2020年頃、若しくは2024年頃)の何れか によって、自動車燃費基準小委員会のエンジン関係の5人の学者・専門家における日本の重要な規制関係の職務 遂行の姿勢や、自動車燃費基準小委員会の諸氏の人間性等を垣間見ることができると考えられる。
もっとも、国土交通省の自動車燃費基準小委員会は、委員長および半数の委員が日本を代表するエンジン関係の
著名な学者・専門家であり、なお且つ、本来は全員が高邁な志の委員で構成されていることを考慮すると、常識的に 考えれば、実際にトラックメーカ(=日本自動車工業会)と自動車燃費基準小委員会との癒着?の可能性は皆無と考 えられる。そうは云っても、今後、わが国の重量車の次期燃費基準の実施年度が実際に「2020年度頃」か、若しく は「2024年度頃」の何れの時期に設定されるのかは、大いに注目されるところである。
何はともあれ、我が国における大型トラックの飛躍的な実走行燃費(=重量車モード燃費)の改善を早期に実現す
るためには、先ず、日野自動車を含む日本のトラックメーカは、ターボ過給機のサージング発生の構造的な欠陥のた めに大型トラックの走行燃費を十分に改善することが困難な「吸・排気弁停止式の気筒休止システム」の研究開発を 早急に中止すべきと考えられる。そして、大型トラックの「実走行燃費」や「重量車モード燃費」を十分に向上でき る著者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の研究開発に、即刻、取り組むことが 必要・不可欠と考える。
因みに、最近の大型の外航船では、燃料費の削減を図る目的のために、船速を低く抑えた減速運航が日常的に
広く実施されているとのことである。特に、コンテナ船は、燃料費の削減を図る目的のために、定格出力の40%〜1 0%のエンジン出力で航行する大幅な減速運航が実施されているようである。その場合、エンジンの気筒休止は、減 速運航時の更なる燃費向上が可能に詳述しているように、筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の 特許技術は、船舶の大幅な減速運航の更なる燃費の向上を図ることが可能となる。そのため、近い将来、気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、大型トラックだけで無く、大型の船舶においても広く採用されるもの と推測される。
24 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、大型トラックの低NOxと低燃費を実現
中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会を含む日本の学者・専門家・技術者の多くの人達
は、大型トラックのNOx削減と燃費向上に有効な気筒休止を黙殺する学者諸氏に詳述しているように、従来と同様に 大型トラックの重量車モード燃費や実走行燃費を5〜10%程度も改善できる気筒休止エンジン(特許公開2005- 54771)の技術を現時点(=2014年10月時点)では完全に無視・黙殺しているようである。その一方で、中央環境審議 会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会を含む日本の学者・専門家・技術者の多くの人達は、1%未満の燃 費しか改善できない技術の寄せ集めによって将来的に大型トラックの十分な燃費改善が実現できると今後も主張し 続けるとすれば、彼らは日本の大型トラックにおける燃費向上の進展を阻害する行為・活動を行っているようにも見 えるのである。これは、立派な反社会的行為のように思われるが、如何なものであろうか。
さてさて、仮に、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会を含む日本の学者・専門家・技術
者が従来の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を含む気筒休止の技術を無視・黙殺してきた行為・活動の誤 りを反省し、以後、大型トラックの将来的な燃費改善のために気筒休止の技術を推奨する方針に大変更するように 舵を切るようであれば、日本の貨物輸送分野も省エネルギーの推進を図ることになる。そして、日本の大型トラックの ユーザは、燃費改善の恩恵に浴することになる。そして、これが中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス 専門委員会を含む日本の学者・専門家・技術者の本来の職業上の使命と考えるが、如何なものであろうか。願わく ば、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会を含む日本の学者・専門家・技術者は、これまで の気筒休止の技術を無視・黙殺してきた過去の行為・活動の誤りを反省し、全ての国民の期待に沿うように、今後の 大型トラックの将来的な燃費改善のために、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の実用化に向け た積極的な活動に気力・精力を傾注していただきたいものである。
何はともあれ、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!にも詳述しているように、筆
者提案の「ディーゼルエンジンの燃費とNOxとの同時の削減を実現できる革新的な技術」である気筒休止エンジン (特許公開2005-54771)の特許技術を実用化すれば、政府(=環境省・国土交通省)は、日本の「NOxと燃費の規制 強化」が容易に実現できると筆者は固く信じている。つまり、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける 日本政府の怠慢にも詳述しているように、大型トラックに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採 用することによって、現時点では、「日本の大型トラックにおいての米国よりも緩いNOx規制」を実施せざるを得ない 悲惨な状況が、即刻に解決・解消できるのである。その他にも、以下の表45に示したように、気筒休止エンジン(特 許公開2005-54771)の特許技術は、「DPF装置での自己再生の運転領域の拡大による燃費向上」、「ターボコンパウ ンド等の排熱エネルギーの回収効率を向上」、「エンジン部分負荷における尿素SCR触媒の触媒活性化によるNOx 削減」、「使用過程車における尿素SCR触媒のHC被毒の回復」、および「JE05モードでのコールドスタート試験にお けるNOx排出の削減」の優れた機能・効能が発揮できるため、現在の大型トラックが抱えている課題の殆んどを解決 できる新技術である。また、ディーゼルの気筒休止は、コールドスタートのNOx削減にも有効だ!に詳述しているよう に、2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、JE05モードのコールドスタート試験を におけるNOxの排出を削減することの可能である。
以上のように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を実用化し、この技術を大型トラックに新たに採用
することによって、現在の大型トラックの課題が殆んど解決できるのである。そのため、今後の大型トラックにおける 燃費向上の促進を図るためには、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会を含む政府・官僚(=環境省・国 土交通省等)の人達は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を早期に実用化するための行動を起こす べきと考えるが、如何なものであろうか。
ところで、余談であるが、英語の諺に「馬を水辺に導くことはできるが、(馬にその気がなければ)水を飲ませること
はできない」【A man may lead a horse to the water, but he cannot make him drink(unless he will)】と云うものがあ るそうだ。これは、2015年度重量車燃費基準に不適合の車種を抱えているトラックメーカや、米国よりも緩い日本の 大型トラックのNOx規制を施行し続けている日本政府(=環境省・国土交通省)が、気筒休止エンジン(特許公開2005 -54771)の技術を頑なに無視・黙殺している様子に当て嵌まりそうだ。
また、「水を飲む気の無い馬に水を飲ませるためには、喉が渇くまで馬を無駄に走らせろ!(=喉が渇くまで馬を放
って置け!)」との裏バージョンの諺もあるようだ。この裏バージョンの諺の意味の沿ってトラックメーカの行動を予測 すると、各トラックメーカが従来通りの燃費改善に無効な技術の開発に多くの開発の源資(=開発の人工、設備、資 金)を浪費してしまった後に、国土交通省・自動車局の平成26年度予算概要に示されている「2015年度重量車燃費 基準」の強化内容が発表(=2014年故ならば、日本政府(=環境省・国土交通省)が米国よりも緩い日本の大型トラ ックのNOx規制を施行し続ける状態をこのまま放置し続けた場合や、「2015年度重量車燃費基準」の強化内容が未 発表の場合には、日本のトラックメーカは真剣に大型トラックの「燃費改善」や「NOx削減」の研究開発に取り組まない と考えられるからである。しかし、今後、大型トラック・バスの分野において、日本政府(=環境省・国土交通省)が米 国と同等以上の厳しい「のNOx規制」や次期の「燃費基準の強化」を発表した場合には、日本のトラックメーカは嫌々 ながらも気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を実用化に着手すると考えられる。これによって、日本の 大型トラック・バスの分野では、米国と同等以上に厳しい大型トラックのNOx規制を施行できるようになると共に、更に は2015年度重量車燃費基準を5%程度強化した次期の重量車燃費基準を速やかに設定できることになると考えら れる。
その理由は、何度も述べるように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、「燃費向上」と「NOx
削減」の両方が実現できるためである。このように、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を実 用化した暁には、晴れて日本の大型ディーゼルトラック・バスは、米国と同等以上の厳しいNOx排出値を満足させた 上に、更に2015年度重量車燃費基準よりも+10%程度以上の重量車モード燃費の向上が実現できるのである。何 とも素晴らしい特許技術ではないだろうか。
ついでに申し上げると、2016年3月3日に国土交通省は、クリーンディーゼルエンジンが搭載と宣伝して市販され
ている現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、東京近郊の冬場の10℃近傍以下での路上走行で は保護制御ソフトによってNOx削減装置を停止させるためにNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxを垂 れ流す欠陥?のあることを発表した。しかし、驚くことに、国土交通省は、この冬場の路上走行でNOxを垂れ流すラ ンドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車がエコカー減税の政府の優遇策を受けて今後も市販することを承認し ているようである。
因みに、欧州のディーゼル自動車では、2017年9月には「路上走行のNOx排出値が台上試験のNOx基準値の2.
1倍以内」の路上走行のNOx排出値に規制する予定を既に発表している。しかし、朝日新聞デジタルの2016年3月 5日の報道j記事によると、日本の国土交通省は、これから5年後(=2021年2月頃?)に欧州と同様のディーゼル 自動車での路上走行のNOx排出値の規制実施を検討し始めたようである。これが事実であれば、東京近郊の冬場 の10℃近傍以下での路上走行でNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxの垂れ流しの欠陥を改善したラ ンドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、2021年2月頃になるまで、日本では市販されない可能性もあると 考えられる。これは、トヨタ自動車がランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車の路上走行での高濃度のNOx の垂れ流しの欠陥を改善できる技術が未開発と、国土交通省が認識しているためであろうか。
ところが、この現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車に気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
の特許技術を採用した場合には、冬場の路上走行で高濃度のNOxの垂れ流す欠陥を容易に改善することが可能で ある。つまり、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したランドクルーザー・プラド(トヨタ)のデ ィーゼル車は、冬場の路上走行においても、NOx規制値のクリーンなNOx排出状態でのの運航が可能になる。これ については、気筒休止は、プラド(トヨタ)ディーゼル車の冬場のNOx垂れ流しの欠陥を改善に詳述しているので、興味の ある方は、御覧いただきたい。
ところで、最近、「毎日、テレビのニュースを見ながら、常に【馬鹿は死ななきゃ治らない〜♪】と他人を馬鹿にする
言葉を頻繁に呟いている痴呆症の老人がいる」との話を耳にした。このような老人性の痴呆症では、周りの全ての人 間が馬鹿者に見えしまう症状の出る場合があるようだ。この話を聞き、改めて最近の我が身を振り返ったところ、トラ ックメーカのエンジン技術者が馬鹿に見えてしまう筆者は、既に自分自身が痴呆症の老人の仲間入りをしているので はないかと、少し不安に感じ始めているところである。近頃では医療の進歩により、老人の痴呆症は、早期発見によ って症状の進行を少し遅らせることができるとのことだ。さて、筆者は明日にでも病院で診てもらった方が良いのであ ろうか。
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な事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。 ![]()
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