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軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学会の疑問

(天然ガス由来のDMEは、Well-to-Wheelのエネルギー効率が軽油よりも30%も劣る欠陥燃料である。)

最終更新日:2012年5月24日



1.大型トラックの脱石油には、軽油と同等のエネルギー効率(Well-to-Wheel)の燃料が必須

  図1は、世界の油田発見と石油生産の実績と将来の予想をに示したものである。この図1では、世界の石油生産の
ピークは、2008年頃の予想となっている。実際、図2に示した通り、2008年の世界の石油(=原油)生産はピークを迎え
ている。



図1は、世界の油田発見と石油生産の実績と将来の予想
(出典:http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/hajimeni.html



図2は、世界の石油生産の実績
(出典:http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/hajimeni.html

 何はともあれ、図1に示したように、現在の油田からの生産量の減少と新しい油田が発見・開発される数の先細りが
予想されるため、今後の世界の石油生産が減少の一途をたどることは間違いないと考えられる。このように、石油(=
原油)生産のピークの時代を迎えてしまった、今後の世界の石油生産量は確実に減少し続けると予想される。そのた
めため、近い将来には、石油不足の時代の到来が間違いなく到来するものと予想される。そのため、現在の世界の殆
ど全ての大型トラックには、燃料に軽油が使用されている状況である。そのため、世界中の組織・団体・研究機関等で
は、大型トラックの脱石油を可能にする技術の研究が盛んに実施されているようだ。

 一方 図3に示したように、現在では世界の人口は、70億人に近くまで増加してきており、今後、更に増加することが
予想されている。その一方、図4に示した資料によると、世界のエネルギーの全生産量は、2020年頃にピークになって
しまうようだ。そして、その後には人類が確保できるエネルギーの総量は、減少していくものと推測されている。したがっ
て、今後は更なる人口増加によるエネルギー需要が増大するにもかかわらず、地球上の利用可能なエネルギー資源
の枯渇が進行する時代に突入しようとしているのである。このような状況から、近い将来、エネルギー不足が顕在化す
ると危惧されている。このような現状から、将来の大型トラックには、省エネルギー資源を浪費する燃料の使用を避け
ることは、誰が考えても当然のことである。



図3 世界人口の増加予想
(出典:http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/index.html



図4 全世界の総エネルギーの生産量 (これまでの実績と将来の予想)
(出典:http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/index.html



図5 全世界の各エネルギーの生産量 (これまでの実績と将来の予想)
(出典:http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/energy2050rev1.html

 この全世界の各エネルギーの生産量 (これまでの実績と将来の予想)の図5を見ると、石油以外の主要なエネルギ
ー資源である天然ガスや石炭の生産は、2008年の石油生産のピークから20年程度の遅れた2025年付近において、ピ
ークを迎えそうである。このように、石油、天然ガスおよび石炭の地球上の主要なエネルギー資源は、現在若しくは近
い将来に生産量のピークを迎えてしまう状況である。したがって、エネルギー資源の枯渇が危惧される現在において
は、将来的に大型トラックの燃料を石油以外の脱石油燃料に転換するにしても、大型トラックにおける脱石油燃料の
Well-to-Wheelのエネルギー効率が現在の軽油ディーゼルトラックのWell-to-Wheelのエネルギー効率に比較して同等
以上のエネルギー効率を確保すべきことは、誰の目にも疑いの無いことだ。

 このように、全世界を見ると、今後の更なる人口増加によるエネルギー需要が増大するにもかかわらず、地球上の
利用可能なエネルギー資源の枯渇が進行する時代に突入しようしているのである。特に、石油は2008年頃に生産のピ
ークを迎えたため、生産量が減少し続けている。そのため、燃料のほとんどを石油に依存している大型トラックにおい
ては早急に燃料の脱石油を図らなければ、円滑なトラックによる円滑な物流に大きな支障を来たすことになる恐れが
ある。このように、地球上の利用可能なエネルギー資源の枯渇が進行する時代において大型トラックの脱石油を図る
ためには、現行の軽油ディーゼルの大型トラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率を確保しながら脱石油を可
能にする大型トラックを実用化する必要がある。

2.DME(ジメチルエーテル)はエネルギー資源を浪費する欠陥のあるトラック用の燃料

 図6に示したように、DME(ジメチルエーテル)は、天然ガス、石炭や廃材などの木質系バイオマスを合成ガス(CO、H
2等)に変えた後に触媒反応を用いて液体炭化水素の合成燃料であるDME、GTL、CTLおよびBTLを作ることが可能で
ある。

 さて、平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研鰍フ「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送
用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告書】には、天然ガスやバイオマス(木
質系チップ)から製造したDMEのエネルギー効率の調査データが詳細に記載されている。それによると、表1に示した
ように、超低硫黄軽油(硫黄の含有率=0.0001wt%以下)のWell-to-Tankのエネルギー効率が 0.883 であり、LNG(液
化天然ガス)のWell-to-Tankのエネルギー効率が 0.858  であるのに対し、天然ガスから製造したDMEのWell-to-Tank
のエネルギー効率は 0.671 の低い値(=低効率の値)であり、木質系チップから製造したDMEのWell-to-Tankのエネル
ギー効率は 0.536 の低い値(=低効率の値)であるとのことだ。そのため、将来のエネルギー資源の枯渇が危惧され
ている現在においては、エネルギー資源の浪費することは、社会から厳しく指弾されるべき行為であることは誰もが認
めることである。そのため、軽油・天然ガス(=LNG、CNG)よりもWell-to-Tankのエネルギー効率が大幅に劣る天然ガ
ス由来とバイオマス由来の何れのDMEも大型トラックの燃料としては、明らかに欠陥燃料と考えられる。(表2参照方)

表1 各燃料のトラックにおけるWell-to-TankおよびWell-to-Wheelのエネルギー効率の優劣評価
脱石油の
エネルギーの
資源
脱石油の
トラック
トラックを
駆動する燃料の
Well-to-Tankの
エネルギー効率
(注1参照)
トラックを
駆動する燃料の
Tank-to-Wheelの
エネルギー効率
軽油ディーゼル基準の
Well-to-Wheelの
燃費の優劣
(=エネルギー効率の優劣)
脱石油
大型トラックの
優劣評価
天然ガス
天然ガス
専焼トラック
 LNG=0.858
(都市ガス由来)CNG=0.848
軽油ディーゼルに比べ
30 %の悪化
(注2参照)
軽油ディーゼルに比べ
30 %の悪化
×
DDF トラック
LNG=0.858
(都市ガス由来)CNG=0.848
超低硫黄軽油= 0.883
軽油ディーゼルと 同等
(優劣は無し)
(注3参照)
軽油ディーゼルと 同等
(1〜2 %程度の悪化)
DME トラック
天然ガス由来の
DME= 0.671
(ジメチルエーテル)
軽油ディーゼルと同等
軽油ディーゼルに比べ
32 % の悪化
×
木質系
バイオマス
DME トラック
木質系バイオマス由来の
DME= 0.536
(ジメチルエーテル)
軽油ディーゼルと同等
軽油ディーゼルに比べ
65 % の悪化
×

注1:出典は、「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する
研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研

注2:出典は、天然ガス専焼のCNG大型トラックは、重量車燃費基準に不適合の欠陥トラックのページ

注3:出典は、ディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジンDDF運転とディーゼル運転の選択が可能なDDF大型トラック  および、
自動車技術会学術講演会前刷集No.71-00(2000年5月) 「323 中型トラック用ECOS-DDF 天然ガスエンジンの開発 」(20005001) (主著者:
石田)

以上の表2に示した「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とし
た温室効果ガス排出量に関する研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研鰍フデータを見ると、
大型トラックの燃料に天然ガス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を用いる場合に比べ、エネルギー資
源を32%以上も浪費し、同様に木質系チップ系バイオマス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を用いる
場合に比べ、エネルギー資源を65%以上も浪費しすることが信頼のある組織・団体の平成16年(=2003年)の報告書
に公表されている。したがって、省資源・省エネルギーを求められている現在社会では、常識のある学者・専門家は、
平成16年の時点で大型ディーゼルトラックの燃料としてDMEが失格であることを理解している筈である。

 このように、大型トラックの燃料に天然ガス由来とバイオマス由来の何れのDMEを用いた場合でも、大型トラックに軽
油を用いる場合に比べ、エネルギー資源を多量に浪費していまう欠陥がある。一方、上記の表2に示したように、大型
トラックのエンジンにDDFエンジン(軽油着火型天然ガスエンジン)を採用した場合には、軽油を燃料に用いた場合の大
型トラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率で大型トラックを運行できるのである。このことは、筆者の論文【自
動車技術会学術講演会前刷集No.71-00(2000年5月) 「323 中型トラック用ECOS-DDF 天然ガスエンジンの開発 」
(20005001) (主著者:石田)】において平成13年(2000年)に既に発表していることだ。そのため、現在では、天然ガス
由来とバイオマス由来の何れのDMEも大型トラックの燃料としては失格であることが既に判明している一方、DDF大型
トラックは従来の軽油ディーゼル大型トラックに比べて「脱石油」と「低炭素(=CO2の削減)」を実現できることが既に確
認できているのである。このように、平成16年(=2003年)の時点において、大型トラックの「脱石油」および「低炭素
(=CO2の削減)」の手段としては、DMEが失格であり、DDFエンジン(=DDFトラック)の技術以外に無いことが既に明ら
かとなっている。それにもかかわらず、平成16年(=2003年)以降も、トラックの将来燃料にDMEを推奨する論文の発
表が盛んに行われているようだ。このことは、筆者には不思議の思えて仕方の無いことである。

3.日本機械学会誌2010年5月号の「DMEトラックの最新開発状況」の論文における疑問点

 日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載されている「DMEトラックの最新開発状況」(http://www.
jsme.or.jp/publish/kaisi/kai1005.htm参照)の論文では、天然ガス由来のDMEのWell-to-Wheelのエネルギー効率が軽
油よりも30%も劣るDMEが将来の有望な燃料と結論づけされている。そこで、この結論の根拠と論理展開に大きな疑
問があるため、日本機械学会にその疑問点を質した。しかし、日本機械学会から受け取った回答に更なる疑問が生じ
たので、再質問をしたところ、回答を拒まれた。日本機械学会は退職した元エンジン技術屋の筆者のような読者に対し
ては知識が古いとの理由から、日本機械学会誌に掲載されている「DMEトラックの最新開発状況」の最新の技術情報
が理解できないと決め付け、筆者の再質問を拒否したのであろうか。それとも、日本機械学会誌2010年5月号(Vol.
113、N0.1098)に掲載されている「DMEトラックの最新開発状況」についての筆者の再質問に対しての答えに窮し、日本
機械学会が回答を拒否しているのであろうか。今のところ、筆者の再質問に対し、日本機械学会が回答を拒否してい
る理由は、不明である。

 そもそも、日本機械学会誌は、専門分野が異なる全会員に最新の機械技術の情報を提供するために配布されてい
るのである。この配布の趣旨を考えると、エンジンが専門でない会員にも理解できるように書かれている筈である。筆
者は過去に30年近く、トラック用ディーゼルエンジンの開発に関わった経験のある元エンジン技術屋の端くれである
が、この「DMEトラックの最新開発状況」の論文の内容が全く理解できないのである。表2には筆者が理解に苦しむ記
載内容について整理しているので、この論文に関して機械工学の面から考えて合理性があるとの解釈ができるであれ
ば、是非ともその内容をお教え頂きたいと思っていいる。

 なお、DMEの燃料は、天然ガス、石炭およびバイオマス等の各種の原材料から製造することが可能である。因みに
バイオマスについては、食料自給率が40%(カロリーベース)の日本において、トラック貨物輸送分野に必要な量のバ
イオマス燃料を自給することが不可能なことは明らかである。そして世界に目を向けても、人口増加や水資源の不足な
どで食料危機の到来が議論されている現在では、日本国内の自動車用燃料に必要な量のバイオマス燃料を輸入する
ことが困難なことは明白である。そのため、日本の主な自動車用燃料としてのバイオマス由来のDMEは検討対象から
外して良いのではないだろうか。また、石炭由来のDMEについては、石炭が大量に産出する中国のような国以外に
は、石炭由来のDMEも検討の対象外として良いと考えられるが、日本では石炭由来のDMEを大量に入手することも困
難と考えられる。

 なお、近い将来、実際に日本の自動車用燃料として大量のDMEが入手できるとすれば、現時点で既に大規模に商業
化されている天然ガス由来のDMEの他にはないと考えられる。また日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)
に掲載されている「DMEトラックの最新開発状況」の論文においては、バイオマス由来のDMEに限定している旨の記述
がされていないため、この論文がバイオマス由来のDMEに限定した記述でないことは明らかである。したがって、常識
的に考えれば、本論文は、現時点で商業化されている天然ガス由来のDMEについての自動車用燃料としての適否を
論じているものと考えられる。したがって、本論文が自動車用燃料として天然ガス由来のDMEを用いることの優劣を論
じていると理解し、本論文の疑問点について検討することにした。

表2 日本機械学会誌2010年5月号の掲載論文「DMEトラックの最新開発状況」の疑問点

誌 名

日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)
小特集 次世代燃料の製造・利用技術
(http://www.jsme.or.jp/publish/kaisi/kai1005.htm参照)
編集&査読?

2010年5月号「次世代燃料の製造・利用技術」企画小委員会

主査 山根浩二(滋賀県立大学)
幹事 河崎 澄(滋賀県立大学)
委員 小熊光晴(産業技術総合研究所)
委員 林田和宏(北見工業大学)
表 題


(http://www.jsme.or.jp/publish/kaisi/kai1005.htm参照)
著 者


梶@いすゞ中央研究所 島崎 直基 氏 


梶@いすゞ中央研究所 西村 輝一 氏

http://www.jsme.or.jp/publish/kaisi/kai1005.htm参照)
「図5」

について


















(1) 図5には、極めて重要な「Tank-to-Wheelの試験データである」との説明が
欠落している。

 筆者が日本機械学会に問い合わせた結果、その回答書に「拙著では主にTank to 
Wheel で論じております.」と記載されていたことから、図5がTank-to-Wheelの試験デー
タであることが判明した。なお、図4としては「図4 Well-to-Wheels解析結果(EUCAR)」
が掲載されている。このWell-to-WheelとTank-to-Wheelの図が混在しているにもかかわ
らず、本論文の図5がTank-to-Wheelの試験データであることを読者が自ら正確に予想
して読み進めることは、読者がDMEに関する十分な専門知識を持っていない場合には
不可能に近いのではないだろうか。

 そもそも、各種の自動車用燃料のエネルギー効率(熱効率)の優劣を比較する場合に
おいて正確な技術情報を伝達するためには、下記の@、AまたはBの3種類の中の何
れの条件であるかを明記をしたエネルギー効率(熱効率)のデータが用いられるべきで
あると考えられる。

@ Well-to-Tank
  ([一次エネルギーの採掘]と[燃料タンクへの充填]との間のエネルギー効率)
A Tank-to-Wheel
  ([燃料タンク]と[自動車の車輪での出力]との間のエネルギー効率)
B Well-to-Wheel
  ([一次エネルギーの採掘]と[自動車の車輪での出力]との間のエネルギー効率)

 本論文のような各種の自動車用燃料のCO2排出量の優劣を比較する場合には、上
記の@、AまたはBの3種類の中の何れの条件であるかを明記をしたエネルギー効率
やCO2排出量のデータを用いることは、現在の機械工学では当然のことである。このこ
とは、著者や編集をされている企画小委員会の専門家は十分に承知されている筈であ
る。しかし、本論文の根幹を成す最も重要な図5がTank-to-Wheelの試験データであるこ
との説明や注記が全く無い。そして、図5がTank-to-Wheelの試験データであること確認
する唯一の方法が、機械学会に問い合わせることである。このような論文は欠陥と考え
るが、如何なものであろうか。この筆者の指摘に対し、日本機械学会は回答を拒否され
ているのである。

(2) DME、軽油およびCNG(LNG)燃料の優劣は、Well-to-Wheelのライフサイク
ルアセスメント(LCA)の評価によって論じる必要があることは、近年の学術論文と
しては常識である。しかし、本論文は、DME、軽油およびCNG(LNG)燃料の優劣
の議論の根拠として不適切なTank-to-Wheelのエネルギー効率(熱効率)とCO2
排出量を比較した図5を基礎としてDMEの優劣を論じているため、学術的な論文と
しては失格であり、単なる恣意的な宣伝用の文章である。技術的な論拠が曖昧な
宣伝文章を機械学会誌に掲載することについては、機械工学の情報誌としては失
格と考えられる。

 近年の経済活動では、全ての分野において原料の採掘から製品化、輸送、販売、使
用の各環境負荷を明らかにしてライフサイクルアセスメント(LCA:環境影響評価)の評
価を行い、環境負荷の少ない商品・製品の開発が重要課題として認識されるようになっ
てきた。当然、自動車用燃料の評価についても、Well-to-Wheelのライフサイクルアセス
メントの評価によって、燃料の優劣が決定されるのが当然の時代になったのである。こ
のことは、本論文の著者やその編集をされている企画小委員会の専門家は、十分に承
知されている筈である。したがって、軽油とDMEのような種類の異なる燃料の優劣を議
論する場合には、当然、Well-to-Wheelのエネルギー効率を用いたライフサイクルアセス
メントの評価によって燃料の優劣を議論すべきことは、専門家であれば誰もが認めると
ころである。

 したがって、Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)の評価によってDME、
軽油およびCNG(LNG)燃料の優劣を論じる根拠の試験データとして、これら燃料のTank
-to-Wheelのエネルギー効率(熱効率)とCO2排出量を比較した図5を用いることは、明
らかに誤りと考えられる。このように、DME、軽油およびCNG(LNG)燃料の優劣を議論す
る場合に不適切な試験データであるTank-to-Wheelのエネルギー効率(熱効率)とCO2
排出量を比較した図5を根拠とした本論文は、機械学会誌に掲載する価値が無く、筆者
には単なるDMEの宣伝用の文章にしか見えないのである。
「3.DME自動
車の開発状況」

の項について








 当該論文の「3.DME自動車の開発状況」の「3.1日本国内の動向」には、以下のよう
に記述されている。



 上記の赤線の部分に注目すると判るように、本論文では図5の試験データを根拠とし
て導き出された以下の結論が主張されているものと理解される。

(1) 図5のTank-to-Wheelの試験データを根拠にしているため、赤線の部分は、
「DMEエンジンはTank-to-Wheelの熱効率が軽油と同等」の意味と理解される。

(2) 図5のTank-to-Wheelの試験データを根拠にしているため、赤線の部分は、
「DMEエンジンのTank-to-WheelのCO2排出率は、軽油ディーゼルエンジンよりも
1割程度良好」」の意味と理解される。










(1) 「3.DME自動車の開発状況」の「3.1日本国内の動向」に記述されている
Tank-to-Wheelの試験データである図5を根拠にして導き出されている「DMEエン
ジンはTank-to-Wheelの熱効率が軽油と同等である」との結論は、燃料の優劣の
議論に必須のWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)での評価が行
われていないため、自動車用燃料としての優劣を示す証拠とはならないのである。
この「DMEのTank-to-Wheelの熱効率が軽油と同等」の結論は、燃料の優劣の議
論に必須のWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)で評価し直すと、
「DMEエンジンのWell-to-Wheelの熱効率は軽油ディーゼルよりも約30%も劣る」
との結論になるので、本論文の記述は、訂正し、変更されるべきと考えられる。

 そもそも、DME、軽油およびCNG(LNG)における燃料のWell-to-Tank(一次エネルギー
の採掘から燃料タンクに充填されるまで)のエネルギー効率は、軽油(=0.924)、DME
(=0.704)およびLNG(=0.900)である。このように、軽油、DME、LNG(CNG)は、燃料の
Well-to-Tankのエネルギー効率が大きく異なっているのだ。そのため、現在の機械工学
の常識では、DME、軽油およびCNG(LNG)の3種類の燃料の優劣を比較する場合に
は、Well-to-Wheelのをライフサイクルアセスメント(LCA)の評価によって議論することが
当然のことと考えられている。したがって、本論文のようにWell-to-Wheelのをライフサイ
クルアセスメント(LCA)の評価を無視した図5のTank-to-Wheelの試験データに基づい
た燃料の優劣の評価を行っている場合には、近年の機械工学から見ると何の意味もな
い落書きと同等の内容しか記述されていないことになると考えられる。

 したがって、自動車燃料としての軽油とDMEの優劣を正しく評価する場合には、@
Tank-to-Wheelの試験データである図5を根拠にした「DMEエンジンはTank-to-Wheelの
熱効率が軽油と同等」との結論をライフサイクルアセスメント(LCA)の評価に換算して再
評価する必要がある。そこで、Well-to-Tankのエネルギー効率が軽油=0.924、DME=0.
704である数値を用いて換算すると、、本論文に記述されている「DMEエンジンはTank-
to-Wheelの熱効率が軽油と同等」との結論は、ライフサイクルアセスメント(LCA)で評価
し直すと「DMEエンジンはWell-to-Wheelの熱効率が軽油よりも31.2%も劣る」との結
論となると考えられる。

 以上のことから、「3.DME自動車の開発状況」の「3.1日本国内の動向」に記述され
ているTank-to-Wheelの試験データである図5を根拠にして導き出されている「DMEエン
ジンはTank-to-Wheelの熱効率が軽油と同等である」との結論は、燃料の優劣の議論に
必須のWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)での評価が行われていないた
め、自動車用燃料としての優劣を示す証拠とはならないのである。

この「DMEのTank-to-Wheelの熱効率が軽油と同等」の結論は、燃料の優劣の議論に
必須のWell-to-Wheelのをライフサイクルアセスメント(LCA)で評価し直すと、「DMEエン
ジンのWell-to-Tankの熱効率は軽油ディーゼルよりも約30%も劣る」とのとの内容の記
述に、本論文は訂正すべきと考えられる。

(2) 「3.DME自動車の開発状況」の「3.1日本国内の動向」に記述されている
Tank-to-Wheelの試験データである図5を根拠にして導き出されている「DMEエン
ジンのTank-to-WheelのCO2排出率は軽油ディーゼルエンジンよりも1割程度良
好である」との結論は、燃料の優劣の議論に必須のWell-to-Wheelのライフサイク
ルアセスメント(LCA)での評価が行われていないため、自動車用燃料としての優
劣を示す証拠とはならないのである。
この「DMEエンジンのTank-to-WheelのCO2排出率は軽油ディーゼルエンジンよ
りも1割程度良好」との結論は、燃料の優劣の議論に必須のWell-to-Wheelのライ
フサイクルアセスメント(LCA)で評価し直すと、「DMEエンジンのWell-to-Tankの
CO2排出率は軽油ディーゼルよりも約18%も劣る」との結論になるので、本論文
はそのような結論に訂正すべきであると考えられる。

 前述の通り、現在の機械工学の常識では、DME、軽油およびCNG(LNG)の3種類の
燃料の優劣を比較する場合には、Well-to-Wheelのをライフサイクルアセスメント(LCA)
の評価によって議論することが当然のことと考えられている。したがって、自動車燃料と
しての軽油とDMEの優劣を正しく評価する場合には、AのTank-to-Wheelの試験データ
である図5を根拠にした「DMEエンジンのTank-to-WheelのCO2排出率は軽油ディーゼ
ルエンジンよりも1割程度良好」との結論をライフサイクルアセスメント(LCA)の評価に
換算して再評価する必要がある。そこで、Well-to-Tankのエネルギー効率が軽油=0.
924、DME=0.704である数値を用いて換算すると、、本論文に記述されている「DMEエン
ジンのTank-to-WheelのCO2排出率は軽油ディーゼルエンジンよりも1割程度良好」と
の結論は、ライフサイクルアセスメント(LCA)で評価し直すと「DMEエンジンのWell-to-
TankのCO2排出率は軽油ディーゼルよりも約18%も劣る」とのとの結論になると考えら
れる。

 以上のことから、「3.DME自動車の開発状況」の「3.1日本国内の動向」に記述され
ているTank-to-Wheelの試験データである図5を根拠にして導き出されている「DMEエン
ジンのCO2排出率は軽油ディーゼルエンジンよりも1割程度良好である」との結論は、
燃料の優劣の議論に必須のWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)での評
価が行われていないため、自動車用燃料としての優劣を示す証拠とはならないのであ
る。
この「DMEエンジンのTank-to-WheelのCO2排出率は軽油ディーゼルエンジンよりも1割
程度良好」との結論は、燃料の優劣の議論に必須のWell-to-Wheelのライフサイクルア
セスメント(LCA)で評価し直すと、「DMEエンジンのWell-to-TankのCO2排出率は軽油デ
ィーゼルよりも約18%も劣る」とのとの内容の記述に、本論文は訂正すべきであると考
えられる。
「5.おわりに」

の項について









 
 当該論文の「5.おわりに」には、以下のように記述されている。




 本論文では「図5の試験データを根拠として導き出されたTank-to-Wheelの試験データ
である図5を根拠にして導き出された[DMEエンジンはTank-to-Wheelの熱効率が軽油と
同等]との結論から、以下に示した本論文のまとめが主張されているものと理解される。
(上記の赤線の部分に注目すると、解り易い。)

 その内容は、図5のTank-to-Wheelの試験データを根拠にし、「DMEはディーゼルエ
ンジンのTank-to-Wheelでの高効率性を持つ燃料」であることを結論づけられてい
る。そして、このTank-to-Wheelの結果を証拠としてDMEを「将来の有望な燃料」と大き
く飛躍して主張されている本論文の記述には、疑問があると考えられる。








 本論文「5.おのわりに」に記述されている「DMEはディーゼルエンジンの高効率
性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」は、「3.DME自動車の開発状況」の
「3.1日本国内の動向」に記述されているTank-to-Wheelの試験データである図
5を根拠にして導き出されている「DMEエンジンはTank-to-Wheelの熱効率が軽
油と同等」と「DMEエンジンのTank-to-WheelのCO2排出率が軽油ディーゼルエン
ジンよりも1割程度良好」との結論を根拠に記載されているものと推測されれ。こ
のように、本論文ではTank-to-Wheelの試験データの結果を根拠にして、「DMEは
ディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」と大きく飛
躍した主張が最後の「5.おわりに」の項に記述されているのである。

 一方、現在の機械工学では、軽油や天然ガスやDME等の異種の燃料の優劣を
議論する場合には、Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)での評価
が必須である。しかしながら、本論文では、Tank-to-Wheelの試験データの結果を
根拠にしているが、この根拠と関連性の無いWell-to-Wheelのライフサイクルアセ
スメント(LCA)による評価から導き出されることが必要な「DMEはディーゼルエン
ジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との結論が記載されてい
るのである。したがって、島崎直基氏と西村輝一氏の両氏は、本論文の中で何の
根拠も示さないで、が両氏の個人的な妄想を結論として記載されているだけであ
る。このように、Well-to-Wheelの試験データを示さないでTank-to-Wheelの試験
データを根拠に導かれた「DMEが将来の有望な燃料」とする本論文の結論は、現
在の機械工学上では嘘の部類に属することは明らかである。この本論文の欠陥に
ついて著者に指摘させて頂いたが、著者の島崎直基氏と西村輝一氏からは回答
を拒絶されてしまったのである。

 本論文の著者であるいすゞ中央研究所の島崎直基氏と西村輝一氏は、専門家
であることを考慮すると、異種の燃料の優劣を議論する場合には、Well-to-Wheel
のライフサイクルアセスメント(LCA)での評価が必須であることを承知の上で、ラ
イフサイクルアセスメント(LCA)の評価を無視し、本論文で異種の燃料である軽油
とDMEの優劣をTank-to-Wheelの比較だけで「DMEはディーゼルエンジンの高効
率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との誤った結論を意図的に主張され
ていると考えられる。
 このように、本論文に記載の「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料
であり、将来の有望な燃料」と主張する誤った技術情報が掲載された日本機会学
会誌を配布された会員は、多大な迷惑を被ってしまうのである。したがって、日本
機会学会が健全な組織であるならば、本論文のような欠陥論文が掲載された日本
機会学会誌が4万人の会員に配布されていることについて、日本機会学会が早急
にこの論文を「回収」若しくは「訂正」する処置を行うべきではないかと考えられる。
この処置が実施されない場合には、日本機会学会は一般の会員を「馬鹿・無知」
と見なしていることになると思うが、これは筆者だけの間違った見方であろうか。

 因みに、この「5.おわりに」の項の@「DMEはディーゼルエンジンのTank-to-
Wheelでの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」の結論は、軽油と
DMEの燃料についての優劣の議論に必須の「Well-to-Wheelのライフサイクルア
セスメント(LCA)による正しい評価」に訂正して書き直すと、「DMEは軽油ディーゼ
ルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来的にエネルギー浪費を招
く欠陥燃料」との記述となる。したがって、本論文は、外見上は一般の論文のよう
な様式となっているが、記述内容はDMEについての虚偽宣伝を行うための詐欺的
な感想文と云っても過言ではないと思えるのである。


2.日本機械学会誌の「DMEトラックの最新開発状況」の論文における疑問点のまとめ

日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載された鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と西村輝一氏の共
著による「DMEトラックの最新開発状況」の論文について、天然ガス由来のDMEに限定した疑問点について、以下の表
3にまとめた。

表3 日本機械学会誌2010年5月号の掲載論文「DMEトラックの最新開発状況」の疑問点のまとめ
論文「DMEトラックの最新開発状況」の記述内容
疑 問 点
 Tank-to-Wheelの試験条件に基づいた試験データの
図5が掲載されている。

図5:DME、軽油およびCNGの各燃料のCO2と熱
効率の比較図
図5にはTank-to-Wheelの試験条件の説明・注記が 欠落の欠陥がある。
 図5を根拠とし、DMEについてTank-to-Wheelの条件 に基づいた以下の結論が記述されている。

「DMEエンジンはの熱効率が軽油と同等」

「DMEエンジンのCO2排出率が軽油ディーゼルエ ンジンよりも1割程度良好」
図5を根拠に導き出された「DMEエンジンはの熱効率 が軽油と同等」と「DMEエンジンのCO2排出率が軽油 ディーゼルエンジンよりも1割程度良好」の結論につ いて、Tank-to-Wheelの試験条件の説明・注記が欠 している欠陥があると考えられる。

 因みに、図5を根拠に導き出される結論は以下の通り に訂正する必要があると考えられる。

「DMEエンジンのWell-to-Wheelの熱効率は軽油ディ ーゼルよりも約30%も劣る」との記述に訂正すべきで あると考えられる。

「DMEエンジンのWell-to-WheelのCO2排出率は軽 油ディーゼルよりも約18%も劣る」との記述に訂正す べきであると考えられる。
 日本機械学会誌に掲載する自動車用燃料としての 将来性を含めたDMEを総合的に評価する論文の「5. おわりに」では、Well-to-Wheelの評価結果を記述する ことが常識である。しかし、本論文では、Tank-to- Wheelでの評価の結果であることを隠蔽した上で、著 者の恣意的な主張が以下の記述にまとめられている ため、技術論文としては失格であると考えられる。

「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃 料であり、将来の有望な燃料」
 「5.おわりに」では、自動車用燃料としてのDMEについ ての評価を行う場合には、近年の機械工学では常識であ るWell-to-Wheelのをライフサイクルアセスメント(LCA)に 基づいた評価を記載すべきであると考えられる。

 このWell-to-Wheelのをライフサイクルアセスメント (LCA)に基づいた評価の場合には、「5.おわりに」に は、以下の記述に訂正する必要があると考えられる。

「DMEは、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to- Wheelの熱効率が劣り、将来的にエネルギー浪費を 招く欠陥燃料」との記述に訂正すべきであると考えられ る。

 以上のことから、日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載された「DMEトラックの最新開発状況」の論
文において、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と西村輝一氏の両氏は、Tank-to-Wheelの試験データを根拠と
しながら、その試験データがTank-to-Wheelの試験データである事を明示しないで「DMEエンジンの熱効率が
軽油と同等」および「DMEエンジンのCO2排出率が軽油ディーゼルエンジンよりも1割程度良好」との結論を導
き出し、最後の「5.おわりに」の項にて「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望
な燃料」と総括し、DMEが自動車用の将来燃料として有望であることを主張されているのである。本論文について
は、Tank-to-WheelとWell-to-Wheelの前提条件の相違の意味を十分に理解していない多くの読者は、Tank-to-Wheel
の試験データを根拠にして導き出された「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃
料」との島崎直基氏と西村輝一氏の両氏の誤った主張を単純に信じ込んでしまうことは間違いないと予想される。この
ことは、Tank-to-WheelとWell-to-Wheelの前提条件の相違の意味を理解していない読者に対し、日本機械学会がDME
についての誤った情報を提供していることになる。
 
 そもそも、現在の機械工学では、軽油とDMEのような異種の燃料の優劣を比較する場合には、Well-to-Wheelのラ
イフサイクルアセスメント(LCA)での評価が必須であることは、専門家であれば当然、熟知されている筈であ
る。それにも関らず、島崎直基氏と西村輝一氏の両氏は、Tank-to-Wheelの試験データを根拠にして導き出された結
論であることを隠蔽して「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」とのWell-to-
Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)を省いた評価結果を機械学会誌に堂々と掲載されているのである。そして、
2010年5月号「次世代燃料の製造・利用技術」企画小委員会のDMEの専門家の人達は、その論文を承認しているの
だ。したがって本論文の「DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との主張は、
Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)を省き、更にTank-to-Wheelの試験データを根拠にして導き出され
た結論であることを隠蔽して記述されていることを考えれば、日本機械学会が意図的に「DMEが将来の有望な燃料」と
の虚偽的な技術情報を意図的に流布する詐欺的な行為を行っているように思えるのである。その証拠の一つは、愚生
が日本機械学会に対し、「本論文は、Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)の評価を行なわず、
Tank-to-Wheelの試験データを根拠としてDMEがディーゼルエンジンの高効率性を持つ将来の有望な燃料と
の主張は誤り」と指摘をしたが、これについて日本機械学会(=著者)からは回答を拒否されているのである.。

 この日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載されているトラックメーカ技術者の論文「DMEトラックの
最新開発状況」では、社会全体で省エネルギーの推進が求められている時代にもかかわらず、この論文では「軽油よ
りもエネルギー効率が30%も劣るDMEをディーゼルエンジンの将来燃料として推奨」すると云う誤った結論が堂々と主
張されているのだ。そこで筆者が著者にこの論文の誤りを指摘したが、未だに訂正の処置が取られていない。このこと
から、この論文の著者は、意図してDMEの誤った情報を発信しているものと考えられる。この反社会的な行為とも思え
る技術情報を発信する著者の目的は、DME関連でこれまでの補助金の受領を正当化し、更なる補助金の獲得を目的
としたDMEの宣伝活動の一環ではないかと思えるのだ。このような良心を捨てたとも思える技術者の行為は、真実を追
求すべきと教えられてきた元技術屋の著者にとっては寂しい限りである。

 因みに、近年の自動車用燃料の優劣を評価する際の機械工学上の常識であるWell-to-Wheelのをライフサイクルア
セスメント(LCA)に基づいた評価を行なった場合には、自動車用燃料としてのDMEの優劣を論じた本論文の「5.おわ
りに」の項には、「天然ガス由来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将
来的にエネルギー浪費を招く欠陥燃料」との趣旨の内容が記述されるべきである。自動車用燃料にDMEが不適であ
る理由については、天然ガスから合成のDMEとGTLは、トラック用燃料に不適に詳述しており、また、DMEの原料であ
る天然ガスが自動車用燃料に適していることについてはディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジン
詳しく記載ししているので、興味のある方はご覧頂きたい。このようにDMEが自動車用燃料として適していないにもかか
わらず、本論文ではこれと真逆の結論である「(Tank-to-Wheelの試験データを根拠にしていることを隠蔽して)DMEは
ディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との嘘とも思える内容が本論文に記述されてい
るのである。

 このDMEについて、日本機会学会のホームページでは、2003年2月24日付けで「DME(ジメチルエーテル)燃料普及
のための提言」(出典のhttp://www.jsme.or.jp/teigen/teigb01.htm、または「日本機械学会のDME燃料普及のための
提言のコピー」を参照)と称し、日本機械学会は「DMEは将来有望な新エネルギー」と説明し、DMEの普及促進を呼び
かけているのだ。このように、日本機械学会のホームページでは、自らを「DMEの専門技術者集団」と宣言した上
で、ディーゼルエンジンの燃料として、軽油よりも約30%〜60%ものWell-to-Wheelのエネルギー効率が劣る
DMEを堂々と推奨する反社会的な提言を行っているのである。

 日本機械学会の「DMEの専門技術者集団」は、前述の表1に示したような、Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメ
ント(LCA)に基づいてDMEを評価した場合にはDMEのエネルギー効率が軽油より約30%〜60%も劣ることを十分に
認識している筈である。そのことを隠し、現在の省エネルギーや省資源の社会ニーズを完全に無視し、日本機械学会
は、「DME(ジメチルエーテル)燃料普及のための提言」が行われていることは、筆者には全く理解できないことだ。こ
の「DME(ジメチルエーテル)燃料普及のための提言」をしている「専門技術者集団」と自認している人達は、筆者には
「単なる詐欺的手段によってDME関係の試験研究費の獲得を図る集団」のようにしか見えないのだ。そして、そのよう
な集団の虚偽的な技術情報の拡散に日本機械学会が全面的の協力している様子を見ると、日本機械学会の「倫理規
定」が空虚に感じるのは、筆者だけであろうか。

3.「DMEトラックの最新開発状況」の論文は日本機械学会の倫理規定に抵触する疑念

 日本機械学会の倫理規定の「前文」には、「本会会員は,真理の探究と技術の革新に挑戦し,新しい価値を創造する
ことによって,文明と文化の発展および人類の安全,健康,福祉に貢献することを使命とする.また,科学技術が地球
環境と人類社会に重大な影響を与えることを認識し,技術専門職として職務を遂行するにあたって,自らの良心と良識
に従う自律ある行動が,科学技術の発展と人類の福祉にとって不可欠であることを自覚し,社会からの信頼と尊敬を
得るために,以下に定める倫理綱領を遵守することを誓う.」と記されている。そして「3.公正な活動」には「会員
は,立案,計画,申請,実施,報告などの過程において,真実に基づき,公正であることを重視し,誠実に行動
する.研究・調査データの記録保存や厳正な取扱いを徹底し,ねつ造、改ざん、盗用などの不正行為をなさず,
加担しない.また科学技術に関わる問題に対して,特定の権威・組織・利益によらない中立的・客観的な立場
から討議し,責任をもって結論を導き,実行する.」と日本機械学会は宣言しているのである。

 一方、日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載されている「DMEトラックの最新開発状況」の論文の
著者であるいすゞ中央研究所の島崎直基氏と西村輝一氏の両氏や、編集を担っている企画小委員会の各委員は、本
論文における自動車用燃料としてのDMEの優劣の評価において、DMEの専門家として、当然、自動車用燃料としての
DMEの優劣はWell-to-Wheelのをライフサイクルアセスメントで評価すべきことは熟知している筈である。そして、Well-
to-WheelのをライフサイクルアセスメントでDMEを評価した場合には、その評価結果が「天然ガス由来のDMEは、軽油
ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃料」とのことになることは理解しているもの
と考えられる。それにもかかわらず、島崎直基氏と西村輝一氏の両氏が本論文で「(Tank-to-Wheelの試験データを根
拠にしていることを隠蔽して)DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」と詐欺的な
主張を行なって読者に誤った技術情報を発信していることになると思うが、これについて、企画小委員会もそれを承認
しているのである。このことについて、日本機械学会誌の編集委員にその御意見を伺ってみたいものだ。

 何はともあれ、いすゞ中央研究所の島崎直基氏と西村輝一氏の両氏は、日本機械学会誌に「天然ガス由来のDME
は、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃料」である事実には全く触れず、
「(Tank-to-Wheelの試験データを根拠にしていることを隠蔽して)DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料で
あり、将来の有望な燃料」との詐欺的とも云えそうな誤った主張の本論文が掲載されているのだ。この論文が日本機
械学会誌に掲載されたのは、「技術情報の操作を行うことによって多くのDME関係者が政府の特別会計予算からDME
関係の補助金を獲得し易くするための宣伝に日本機械学会が一役買った結果ではないか」と、筆者は疑ってしまうの
である。

 何度も繰り返すが、DMEはWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメントで評価した場合には、その評価結果が「天然
ガス由来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約約30%〜60%程度もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃
料」と考えられる。しかし、日本機械学会はホームページでは「DME(ジメチルエーテル)燃料普及のための提言」(出
典のhttp://www.jsme.or.jp/teigen/teigb01.htm、または日本機械学会のDME燃料普及のための提言のコピーを参
照)と称し、ディーゼルエンジンの将来燃料としてDMEを推奨しているのだ。このようなことは、筆者には日本機械学会
の指導的立場の人達が技術者・専門家としての良心を失ってしまっているような印象を受けるのである。また、日本機
械学会誌の「DMEトラックの最新開発状況」の論文を見ると、世間に数多く存在するある種の業界誌のように、特定グ
ループに利益誘導をするために、詐欺的な「DMEトラックの最新開発状況」の論文を掲載している機械学会誌は、日本
機械学会の倫理規定の「3.公正な活動」に記載されている「・・・・、特定の権威・組織・利益によらない中立的・客観的
な立場から討議し,責任をもって結論を導き,実行する.」ことの規定に違反しているのではないかと考えられる。この
「DMEトラックの最新開発状況」の論文について、日本機械学会の技術倫理委員会は、社会倫理に違反していないと
の見解であるのだろうか。それとも、組織上では技術倫理委員会の組織があっても日本機械学会誌に掲載されている
論文に対しての社会倫理に違反の有無をチェックする意思の無い有名無実の存在なのであろうか。何れにしても、日
本機械学会誌の「DMEトラックの最新開発状況」の論文を見る限り、日本機械学会の倫理規定は単なる「お飾り」のよ
うであり、日本機械学会は自身の倫理規定についての違反を云々する考えが最初から無いように思えるのである。何
れにしても、立派な倫理規定を掲げた日本機械学会がこのような誤った主張の論文を日本機械学会誌に堂々と掲載
し、未だに訂正していないことは紛れもない事実と考えるが、如何なものであろうか。

 以上のようなことは日本機械学会誌への信頼を著しく損なうことになると考えられるが、これは筆者だけの偏った見
方であろうか。何はともあれ、「(Tank-to-Wheelの試験データを根拠にしていることを隠蔽して)DMEはディーゼルエン
ジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」と主張するDMEに関する誤った技術情報の論文が2010年5月
号「次世代燃料の製造・利用技術」企画小委員会の専門家に承認され日本機械学会誌に掲載されたままで未だに
訂正されていないことについては、筆者には不思議に思えてならない。

4.最近の自動車技術会におけるDME燃料&DMEトラックに関する論文発表の状況

 毎年5月に開催されている自動車技術会の春季大会では、近年ではDME自動車に関する最新の研究や技術が数多
く発表され、DMEトラックが低公害と脱石油の面で優れた特性を持つために将来的に有望と盛んに推奨されていた。と
ころが、DMEトラックをWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメントで評価した場合には、その評価結果が「天然ガス由
来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃料」であることが明白で
ある。

 そのため、筆者は、燃料資源を浪費するDMEトラックは、将来的に広く普及する可能性が全く無いことを、専門家を
含めた多くの人達に知って貰うために、2010年8月24 日に「軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する
機械学会の疑問」と題するページを追加した。このホームページによって、燃料資源を浪費するDMEトラックが将来的
に普及する可能性が皆無であることを認知されたか否かは、今のところ不明である。そこで、DMEトラックに関する最
新の研究・開発の状況を少しでも把握するために、最近の自動車技術会の春季大会で毎年の発表される論文の本数
と、DMEトラックが燃料資源を浪費する欠陥を説明した本ホームページの開設について、時系列で以下の表4に整理し
た。

表4 最近の自動車技術会(春季大会)でのDMEトラック関連の発表論文数と、本ホームページの開設時期
年 月
DME関係の自動車技術会(春季大会)での発表論文数と、ホームページの開設
2009月5月
自動車技術会(春季大会)でのDME関係の発表論文数  5 本
2010年5月
自動車技術会(春季大会)でのDME関係の発表論文数  10 本
2010年8月
このページを開設し、DMEトラックが燃料資源を浪費する欠陥のあることを説明
2011年5月
自動車技術会(春季大会)でのDME関係の発表論文数  0 本
2012年5月
自動車技術会(春季大会)でのDME関係の発表論文数  2 本

 上記の表3を見ると、2010年8月24 日に筆者が「軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学会
の疑問」と題するホームページを追加し、燃料エネルギーの資源を浪費するDMEトラックが将来的に普及する可能性
が皆無であること説明した以前では、2009年春季大会:5本、2010年春季大会:10本のDME関連の論文が発表されて
いる。しかし、2010年8月に筆者が燃料エネルギーの資源を浪費するDMEトラックが将来的に普及する可能性が皆無
であること説明したホームページを開設した後の2011年春季大会ではDME関連の論文が発表が皆無であった。これ
は、DME関連の研究開発を行っていた多くの学者・専門家が、本ホームページに記載した「天然ガス由来のDMEでは
Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)による正しい評価」に訂正して書き直すと、DMEは軽油ディーゼルよ
りも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来的にエネルギー浪費を招く欠陥燃料」であることを理解したためと
推測していた。

 ところが、2012年5月の春季大会では、久々に2本のDME関連の論文が発表されていることが判明した。そして、この
2012年5月の自動車技術会・春季大会で発表された2本のDME関連論文の著者には、鰍「すゞ中央研究所の島崎直
基氏が加わっているのである。この鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、前述の表2に示した日本機械学会誌2010
年5月号の掲載論文「DMEトラックの最新開発状況」の中で、「Well-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)の評
価を行なわず、Tank-to-Wheelの試験データを根拠としてDMEがディーゼルエンジンの高効率性を持つ将来の有望な
燃料」と、これまでは誤った主張をされていた専門家である。

 その鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、ディーゼルトラックの燃料として致命的な欠陥がある天然ガス由来DME
からバイオマス由来のDMEに密かに大転換することを決断されたものと推察される。そのため、2012年5月の自動車技
術会・春季大会で発表の鰍「すゞ中央研究所 島崎直基氏2本のDME関連の論文は、表5に示したように、「将来の石
油代替燃料とバイオマス燃料の普及を支える燃料生成, 製造技術からエンジン等使用時までの研究成果を集め、今後
の確実な普及へ向けた課題について討論する低炭素社会を担う新燃料」のセッションで「バイオマス由来のDME関係
の論文」を発表されたのではないかと考えられる。

表5 2012年5月の自動車技術会・春季大会でのDME燃料関係の発表論文


 これまで、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、前述のように、日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に
掲載された「DMEトラックの最新開発状況」の論文において、「天然ガス由来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約30%
もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃料」である事実には全く触れず、「(Tank-to-Wheelの試験データを
根拠にしていることを隠蔽して)DMEはディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との詐
欺的とも云えそうな誤った主張をされていたのである。

 しかし、最近の2012年5月の自動車技術会・春季大会で発表の鰍「すゞ中央研究所 島崎直基氏と(独)交通安全環
境研究所の佐藤由雄氏とのDME関連の論文の発表されたセッションの説明を見ると「バイオマス燃料の普及を支
え・・・・」と記載されている。このことから、特に島崎直基氏は、DMEトラックに用いるDME燃料を、これまでの天然ガス
由来のDMEから、バイオマス由来のDMEに大転換されたことが確実なように考えられる。これは、天然ガス由来のDME
バイオマス由来のDMEとは、原料が天然ガスとバイオマスとが異なるだけであるため、天然ガス由来のDMEからバイ
オマス由来のDMEに大転換する「変わり身」・「大変身」を何の断わりも無しに行うことの理不尽・不合理が明白に露見
しない利点があったためではないだろうか。これは、天然ガス由来のDMEとバイオマス由来のDMEとは、DMEとしては
全く同一であるために可能な「変わり身」・「大変身」である。このような変身がサラッと誰の目にも気付かれずにできた
ことは、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏にとっては、幸運なことであったと推測される。しかし、こてまでの島崎直基
氏の日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載された「DMEトラックの最新開発状況」の論文等論文を熱
心に読まれていた人達は、最近の島崎直基氏の論文では、知らぬ間にDMEトラックの燃料が天然ガス由来のDMEか
らバイオマス由来のDMEに、突然、転換していることについて、少しは驚かれた人もいるのではないだろうか。

 何はともあれ、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏のDMEトラックの論文では、DME燃料としては天然ガス由来からバ
イオマス由来に突然、変更されたは、確実なようだ。そして、これによって、島崎直基氏はこれからも「(バイオマス由来
の)DMEがディーゼルエンジンの将来の有望な燃料」と主張し、島崎直基氏のこれまでの主張が間違っていなかったと
得意満面で主張されるように筆者には思えるのである。果たして、本当に、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏が意図・
主張されているように、バイオマス由来のDMEを導入すれば、わが国のトラック貨物輸送分野において、将来的に低炭
素、脱石油の社会を本当に実現することができるのであろうか。これについては、退職したポンコツ元技術屋の筆者に
は、わが国のトラック貨物輸送分野におけるバイオマス由来のDMEの導入による低炭素、脱石油の実現は、将来的に
も極めて困難ではないかと予想している。

5.DME燃料でトラック貨物輸送分野の低炭素と脱石油の実現は困難だ!

 そもそも、将来のトラック用の新しい燃料を選定(=推奨)する場合、以下に示した@、AおよびBのそれぞれの条件
に適合していることが必要である。仮に、@〜Bの中の一つの条件でも満たしていない場合には、トラック用の燃料とし
ては失格であると考えられる。

 @ 現在の軽油や天然ガス(=CNG=LNG)に匹敵する十分な量を確保できることが可能なこと。

 A.現在の軽油や天然ガス(=CNG=LNG)と同等以上の高いWell-to-Tankのエネルギー効率であること。

 B.現在の軽油や天然ガス(=CNG=LNG)と同等以下のCO2排出量にできる見通しがあること。


 そこで、バイオマス由来のDMEである乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)について、以上の@〜Bの
3条件を満たしているか否かについて評価すると、以下の通りとなる。

乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)は、「現在の軽油や天然ガス(=CNG=LNG)に匹敵する十分な
量を確保することが明らかに困難」であるために、@の条件には適合しない

乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)のWell-to-Tankのエネルギー効率は、「現在の軽油や天然ガス
(=CNG=LNG)に比べて大幅に低い」ために、Aの条件には適合しない

乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)のWell-to-Tankのエネルギー効率は、「現在の軽油や天然ガス
(=CNG=LNG)に比べてCO2排出量が大幅に低い」ために、Bの条件には適合する

 以上のように、バイオマス由来のDMEである乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)は、将来のトラック
用の新しい燃料として必須である@〜Bの条件に中で、Bの条件には適合しているが、@とAには完全に不適合であ
る。したがって、バイオマス由来のDMEである乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)は、将来のトラック用
の新しい燃料としては完全に失格であることは、誰の目にも明らかであることが簡単に理解される筈である。もっとも、
ここに示したのは乾燥木質系バイオマスー合成ガスーDME(BioDME)の例であるが、乾燥木質系バイオマスー合成ガ
スーDME(BioDME)と同様に、大抵のバイオマス由来のDMEは、Bの条件には適合できるが、@とAには完全に不適
合であるものと推測される。したがって、バイオマス由来のDMEは、わが国ではディーゼルトラック(=DMEトラック)用
燃料として必要な量を確保することが不可能であり、軽油や天然ガス(=CNG=LNG)に比べて大幅にエネルギー資源
を浪費する欠陥がある。そのため、バイオマス由来のDMEによる自動車の低炭素・脱石油は、不可能だ!に詳述して
いるように、バイオマス由来のDMEは、ディーゼルトラック(=DMEトラック)用の燃料としては、失格である。

 したがって、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の両氏が将来のディーゼ
ルトラック用の新しい燃料としてバイオマス由来のDMEを推奨されていることは、ディーゼルエンジンの専門家として完
全に誤った主張をされているものと考えられる。そのため、島崎直基氏と佐藤由雄氏の両氏は、名誉のためにも、
来のトラック用の新しい燃料としてバイオマス由来のDMEを熱心に推奨されていることを、即刻、訂正された方が望まし
いと思うが、如何なものであろうか。それとも、島崎直基氏と佐藤由雄氏の両氏は、天然ガスから合成のDMEとGTL
は、トラック用燃料に不適に詳述しているような「天然ガス由来のDMEは、将来のトラック用の新しい燃料には不適」と
する筆者の意見・主張が誤りであるとの見解を持たれているのであろうか。これについて、機会があれば、他の多くの
人達のご意見をお聞かせいただきたいと思っている。

 上記本文中で誤り等がございましたら、日本機械学会の関係者を含めてメール等にてご指摘下さいませ。また、疑問
点、ご質問、御感想等、どのような事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応
させていただきます。

                
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