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最終更新日:2012年6月5日
1.バイオマス由来の燃料は、従来からトラック分野の低炭素・脱石油の手段として必ず登場
日本の政府や研究機関から発表された日本の将来燃料に関する資料には、日本国内で大型トラックの燃料として本
格的に供給することが困難なバイオマス燃料を用いて大型トラックのCO2の削減や脱石油の社会を構築していくとの 文章を頻繁に目に機会がある。しかしながら、それら資料の作成者は、バイオマス燃料を使用して大型トラックのCO2 の削減や脱石油の社会が本当に実現可能とは誰も本気で考えいないだろう。わが国の大型トラックのCO2の削減や 脱石油を可能にする技術アイテムとして、バイオマス燃料以外に記載する他の技術が思い浮かばないため、大型トラ ックにおけるCO2削減と脱石油の理想の燃料として仕方なしにバイオマス燃料を称賛しているように思えるのだ。この ように、日本の政府が発表する政策には、しばしば疑問の思うことがある。その政策の一つの発表資料としてに、表1 に示した経済産業省の「新・国家エネルギー戦略」(2006年5月)があるが、ここにも間違いなく、バイオマス由来の燃料 が登場しているのである。このように、日本の学者・専門家は、トラック貨物輸送分野の低炭素(=CO2削減)・脱石油 の手段として、バイオマス由来の燃料を挙げておけば良いと考えているようだ。
2.バイオマス由来のDME燃料でトラック貨物輸送分野の低炭素と脱石油の実現は困難
2−1. DMEトラックの普及に必要十分なバイオマス由来のDME燃料を確保することは、将来も不可能と予想
現在、世界的に見れば人口増加が続き、世界各地での水不足が深刻なことから、将来の食料不足が懸念されてい
る。特に、最近では、巨大な人口を抱えた中国が経済発展によって生活レベルが向上し、世界から大量の食料を輸入
する国になってしまっていることにも注目すべきであろう。そして、日本の現状を見れば、食料自給率が40%(カロリー
ベース)であるため、多量のバイオマス由来のDME燃料を製造するために必要な乾燥木質などのバイオマス原料を自
給することや輸入することが不可能であることは、明らかだ。
したがって、仮にバイオマス由来のDMEを燃料とするトラックを普及させたくても、日本国内で多数のDMEトラックを運
行させるために必要となるバイオマス由来のDMEの量を確保することは不可能と予想される。そのため、将来ともバイ
オマス由来のDMEを燃料とするDMEトラックをわが国で普及させることは、絶望的と考えるべきではないだろうか。その
ため、筆者はバイオマス由来のDMEを燃料とするDMEトラックの研究開発は、完全に無駄な研究投資と考えている。
2−2. バイオマス由来のDMEは、エネルギー効率の低い資源浪費の欠陥燃料だ!
廃材などの木質系バイオマスを可燃性ガスに変え、そのガスから触媒反応によって液体炭化水素を作ることが可能
である。その方法は、図1に示したように、先ず最初に木質系バイオマスを800〜1000℃の高温による蒸し焼き状態を
維持してガス化し、水素(H2)と一酸化炭素(CO)を作る。そしてガス中のH2とCOの比を調整し、触媒の入った装置内
でH2とCOを高圧・高温で反応させるることによって液体炭化水素を生成する。その際、触媒の種類、反応圧力、温度
を変えることで、軽油(FTディーゼル)、ガソリン、混合アルコール、ジメチルエーテルなど、さまざまな物質を作ることが
可能である。
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多くのトラック用の燃料に木質系チップを原料とした燃料を供給できるようにするためには、多量の木質系チップから
大量の液体炭化水素(=軽油【FTディーゼル】、DME等)を工業的に製造する必要がある。しかし、これを実現するため
に、図1に示したように、木質系チップから液体炭化水素を製造技術では、、高温化や高圧化を維持するプロセスが必
須であり、この製造工程における高温化・高圧化のために大量のエネルギーの投入が必要である。そのため、木質系
チップから製造した液体炭化水素(=軽油【FTディーゼル】、DME等)は、Well-to-Tankのエネルギー効率が極めて低い
値になってしまう欠点がある。
この木質系チップから製造したDMEのエネルギー効率の調査データは、「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本に
おける輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告書】 平成16年11月 トヨ
タ自動車梶@みずほ情報総研鰍ノ記載されている。それによると、表1に示したように、超低硫黄軽油(硫黄の含有率
=0.0001wt%以下)のWell-to-Tankのエネルギー効率が 0.883 であり、LNG(液化天然ガス)のWell-to-Tankのエネル
ギー効率が 0.858 であるのに対し、木質系チップから製造したDMEのWell-to-Tankのエネルギー効率は 0.536 の
低い値(=低効率の値)を示している。そのため、省エネルギー資源が求められている現在においては、天然ガス由来
とバイオマス由来の何れのDMEも大型トラックの燃料としては、明らかに欠陥燃料と考えられる。(表2参照方)
注1:出典は、「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する
研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研
注2:出典は、天然ガス専焼のCNG大型トラックは、重量車燃費基準に不適合の欠陥トラックのページ
自動車技術会学術講演会前刷集No.71-00(2000年5月) 「323 中型トラック用ECOS-DDF 天然ガスエンジンの開発 」(20005001) (主著者:
石田)
以上の表2に示した「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とし
た温室効果ガス排出量に関する研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研鰍フデータを見ると、
大型トラックの燃料に天然ガス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を用いる場合に比べ、エネルギー資
源を32%以上も浪費し、同様に木質系チップ系バイオマス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を用いる
場合に比べ、エネルギー資源を65%以上も浪費しすることが信頼のある組織・団体の平成16年(=2003年)の報告書
に公表されている。したがって、省資源・省エネルギーを求められている現在社会では、常識のある学者・専門家は、
平成16年の時点で大型ディーゼルトラックの燃料としてDMEが失格であることを理解している筈である。
このように、大型トラックの燃料に天然ガス由来とバイオマス由来の何れのDMEを用いた場合でも、大型トラックに軽
油を用いる場合に比べ、エネルギー資源を多量に浪費していまう欠陥がある。一方、上記の表2に示したように、大型
トラックのエンジンにDDFエンジン(軽油着火型天然ガスエンジン)を採用した場合には、軽油を燃料に用いた場合の大
型トラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率で大型トラックを運行できるのである。このことは、筆者の論文【自
動車技術会学術講演会前刷集No.71-00(2000年5月) 「323 中型トラック用ECOS-DDF 天然ガスエンジンの開発 」
(20005001) (主著者:石田)】において平成13年(2000年)に既に発表していることだ。そのため、現在では、天然ガス
由来とバイオマス由来の何れのDMEも大型トラックの燃料としては失格であることが既に判明している一方、DDF大型
トラックは従来の軽油ディーゼル大型トラックに比べて「脱石油」と「低炭素(=CO2の削減)」を実現できることが既に確
認できているのである。このように、平成16年(=2003年)の時点において、大型トラックの「脱石油」および「低炭素
(=CO2の削減)」の手段としては、DMEが失格であり、DDFエンジン(=DDFトラック)の技術以外に無いことが既に明ら
かとなっている。それにもかかわらず、平成16年(=2003年)以降も、トラックの将来燃料にDMEを推奨する論文の発
表が盛んに行われているようだ。このことは、筆者には不思議の思えて仕方の無いことである。
2.最近の自動車技術会におけるDME燃料&DMEトラックに関する論文発表の状況
これまで、毎年5月に開催されている自動車技術会の春季大会では、DME自動車(=DMEトラック)に関する最新の
研究や技術が数多く発表され、DMEトラックが低公害と脱石油の面で優れた特性を持つために将来的に有望と盛んに 推奨されていた。ところが、DMEトラックをWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメントで評価した場合には、その評価 結果が「天然ガス由来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来性の無い燃料」 であることが明白である。
そのため、筆者は、燃料資源を浪費するDMEトラックは、将来的に広く普及する可能性が全く無いことを、専門家を
含めた多くの人達に知って貰うために、2010年8月24 日に「軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する 機械学会の疑問」と題するページを追加した。このホームページによって、燃料資源を浪費するDMEトラックが将来的 に普及する可能性が皆無であることを認知されたか否かは、今のところ不明である。そこで、DMEトラックに関する最 新の研究・開発の状況を少しでも把握するために、最近の自動車技術会の春季大会で毎年の発表される論文の本数 と、DMEトラックが燃料資源を浪費する欠陥を説明した本ホームページの開設について、時系列で以下の表3に整理し た。
上記の表3を見ると、2010年8月24 日に筆者が「軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学会
の疑問」と題するホームページを追加し、燃料エネルギーの資源を浪費するDMEトラックが将来的に普及する可能性
が皆無であること説明した以前では、2009年春季大会:5本、2010年春季大会:10本のDME関連の論文が発表されて
いる。しかし、2010年8月に筆者が燃料エネルギーの資源を浪費するDMEトラックが将来的に普及する可能性が皆無
であること説明したホームページを開設した後の2011年春季大会ではDME関連の論文が発表が皆無であった。これ
は、本ホームページの表1に示した「天然ガス由来のDMEではWell-to-Wheelのライフサイクルアセスメント(LCA)によ
る正しい評価」に訂正して書き直すと、DMEは軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣り、将来的
にエネルギー浪費を招く欠陥燃料」であることを理解され、ディーゼルトラックの燃料に天然ガスのDMEを用いることの
欠点・欠陥を理解された、DME関連の論文が発表されなかったものと、これまで推測していた。
しかしながら、2012年5月の春季大会では、久々に2本のDME関連の論文が発表されていることが判明した。そして、
この2012年5月の自動車技術会・春季大会で発表された2本のバイオマス由来のDME関連論文の著者には、鰍「すゞ
中央研究所の島崎直基氏も加わっているのである。この鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、前述の表1に示した
日本機械学会誌2010年5月号の掲載論文「DMEトラックの最新開発状況」の中で、「Well-to-Wheelのライフサイクルア
セスメント(LCA)の評価を行なわず、Tank-to-Wheelの試験データを根拠として(天然ガス由来の)DMEがディーゼルエ
ンジンに用いるべき将来の有望な燃料」と、誤った主張を堂々と行っていた専門家である。
ところが、最近、表4に示したように、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、ディーゼルトラックの燃料として致命的な
欠陥がある「天然ガス由来DME」から、「バイオマス由来のDME」に密かに大転換することを決断したようだ。その証拠
として、2012年5月の自動車技術会・春季大会で発表の鰍「すゞ中央研究所 島崎直基氏はバイオマス由来のDMEに
関する2本の論文を発表したようだ。その中の1本の論文は、(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏との共著であ
る。そのため、鰍「すゞ中央研究所 島崎直基氏と(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏は、共にトラックにおける
将来の石油代替燃料として、バイオマス由来のDME燃料が将来の有望な燃料であるとの意見・見解・主張の持ち主の
ようである。しかも、バイオマス由来のDME燃料をトラックの燃料に用いる論文を発表するセッションの題名が「低炭素
社会を担う新燃料」とは、驚きである。何故ならば、バイオマス由来のDMEのWell-to-Tankのエネルギー効率が軽油よ
りも大幅に劣る欠陥があるため、バイオマス由来のDMEは、「低炭素」云々の以前に、トラックの燃料に用いることが将
来とも不可能である。
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これまで、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学
会の疑問に詳述しているように、日本機械学会誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載された「DMEトラックの最新
開発状況」の論文において、「天然ガス由来のDMEは、軽油ディーゼルよりも約30%もWell-to-Wheelの熱効率が劣
り、将来性の無い燃料」である事実には全く触れず、「(Tank-to-Wheelの試験データを根拠にしていることを隠蔽して)
DMEがディーゼルエンジンの高効率性を持つ燃料であり、将来の有望な燃料」との詐欺的とも云えそうな誤った主張を
堂々と行っていたのである。
ところが、最近では、2012年5月の自動車技術会・春季大会で発表の鰍「すゞ中央研究所 島崎直基氏と独)交通安
全環境研究所の佐藤由雄氏とが共著で発表したDME関連の論文発表のセッションの説明を見ると「バイオマス燃料の
普及を支える・・・・」と記載されている。このことから、特に島崎直基氏は、DMEトラックに用いるDME燃料を、これまで
の天然ガス由来のDMEから、バイオマス由来のDMEに大転換したことが確実なように考えられる。これは、天然ガス由
来のDMEとバイオマス由来のDMEとは、原料が天然ガスとバイオマスとが異なるだけであるため、天然ガス由来の
DMEからバイオマス由来のDMEに大転換する「変わり身」・「大変身」を何の断わりも無しに行うことの理不尽・不合理
が容易に露見しない利点があったためではないだろうか。これは、天然ガス由来のDMEとバイオマス由来のDMEとは、
DMEとしては全く同一であるからできることある。このような変身を誰の目にも気付かれずにできたことは、鰍「すゞ中
央研究所の島崎直基氏にとっては、幸運なことであったと推測される。しかし、こてまでの島崎直基氏の日本機械学会
誌2010年5月号(Vol.113、N0.1098)に掲載された「DMEトラックの最新開発状況」の論文等論文を熱心に読まれていた
人達は、最近の島崎直基氏の論文では、知らぬ間にDMEトラックの燃料が天然ガス由来のDMEからバイオマス由来の
DMEに、突然、転換していることについて、少しは驚かれた人もいるのではないだろうか。
何はともあれ、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、ディーゼルトラックに用いる将来の燃料として、従来の論文で
は軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学会の疑問に詳述しているように天然ガス由来の
DMEを推奨していたが、最近の2012年5月の自動車技術会・春季大会でのDME燃料関係の発表論文では、バイオマス
由来のDMEを推薦しているようである。このように、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏は、ディーゼルトラックに用いる
将来の燃料として、天然ガス由来のDMEからバイオマス由来のDMEに変更さしているようであるが、DMEを推奨してい
ることには変わりはないようである。ところが、前述の表2に示したように大型トラックの燃料に木質系チップ系バイオマ
ス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を用いる場合に比べ、エネルギー資源を65%以上も浪費しするこ
とが信頼のある組織・団体の平成16年(=2003年)の報告書に公表されている。このような大型トラックにバイオマス由
来のDMEを用いた場合はエネルギー資源を浪費することが明らかにもかかわらず、島崎直基氏は、現在でも「(バイオ
マス由来の)DMEがディーゼルエンジンの将来の有望な燃料」と主張しているのだ。これは、反社会的とも言っても過言
ではないかと思うが、如何なものであろうか。
現在社会では、小学生や家庭の主婦にも省資源を念頭においた生活が求められている時代である。そのような省エ
ネルギー・省資源が最重要視される現在においては、エネルギー資源を激しく浪費するDMEがディーゼルトラックの将
来の燃料には失格であることは、専門家でなくても容易に理解できることだ。したがって、「バイオマス由来」と「天然ガ
ス由来」の何れのDMEであっても、わが国のトラック貨物輸送分野において、将来的に大型トラックの低炭素、脱石油
の社会を実現する燃料としてDMEが広く一般に普及していくことは全く考えられない。このようなことは、退職したポンコ
ツ元技術屋の筆者にも容易に判ることであることから、現役の専門家である鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏や(独)
交通安全環境研究所の佐藤由雄氏は、前述の表2に示した「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送
用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車
みずほ情報総研鰍フデータから、大型トラックの燃料に天然ガス由来のDMEを用いた場合は、大型トラックに軽油を
用いる場合に比べ、エネルギー資源を32%以上も浪費し、同様に木質系チップ系バイオマス由来のDMEを用いた場
合は、大型トラックに軽油を用いる場合に比べ、エネルギー資源を65%以上も浪費しするため大型ディーゼルトラック
の燃料としてDMEが失格であることが平成16年(=2003年)時点で判明しているのもかかわらず、平成24年(=2012
年)の時点でも執拗に大型ディーゼルトラックの燃料としてDMEを推奨する目的・動機は一体、何なのであろうか。
このように、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の両氏は、バイオマス由
来のDMEが省エネルギー・省資源の面からディーゼル燃料としては致命的な欠陥があることを無視・黙殺し、バイオマ
ス由来のDMEにおける低炭素(=CO2削減)の優位性だけを取り上げてバイオマス由来のDMEがディーゼルエンジン
の将来の燃料として意見・主張をされているようだ。果たして、、低炭素(=CO2削減)の優位性だけを根拠にバイオマ
ス由来のDMEがディーゼルエンジンの将来の燃料であるとの鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と(独)交通安全環境
研究所の佐藤由雄氏の両氏の筆者にはとても両氏の本心とはとても思えないのである。そして、バイオマス由来の
DMEがディーゼルエンジンの将来の燃料であるとの頓珍漢な論文を発表している鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と
(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の両氏の目的は、単なる政府関係予算からの試験研究費の確保だけが目
的であるように思えるのである。仮に、これが事実であれば、このような行為は、2012年10月頃に世間を賑わせた東大
付属病院・特任研究員の森口尚史氏が政府助成金1億6千万円の一部を使って使って実施した「iPS細胞(人工多能
性幹細胞)から心筋細胞を作り、患者の心臓に移植する世界初の臨床応用を行ったとする虚偽の研究発表」と類似し
た研究費詐欺に相当するように思えるが、これは筆者の単なる思い過ごしであろうか。そして、鰍「すゞ中央研究所の
島崎直基氏や(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏のバイオマス由来のDMEの研究に国の予算が投入されていた
のであれば、会計検査院が税金の無駄使いを厳しくチェックすべき案件に相当するように思うが、如何なものであろう
か。
なお、老婆心ながら言わせていただければ、島崎直基氏と佐藤由雄氏の両氏は、それぞれの御自身の名誉のため
にも、将来のトラック用の新しい燃料としてバイオマス由来のDMEを熱心に推奨していることを、即刻に中止した方が望
ましいと思うが、如何なものであろうか。余計なお世話であろうが、ディーゼルエンジンの専門家としての汚点を残す恐
れが多分にあるような気がしてならないのだ。それとも、島崎直基氏と佐藤由雄氏の両氏は、このページや天然ガスか
ら合成のDMEとGTLは、トラック用燃料に不適に詳述しているような、「天然ガスとバイオマスとの何れが原料であっ
ても、それを原材料として製造されるDMEは、将来のディーゼルトラック用の新しい燃料としては不適である」と
する筆者の意見・主張が誤りであるとの見解を持っているのであろうか。そして、筆者が浅学菲才の元技術屋である上
に、第一線を退いて長い時間を経過しているために最新の技術情報に疎くなっているため、バイオマス由来のDMEが
軽油と比較した場合にエネルギー資源の浪費を招くと、筆者が勝手に誤解しているとの見解を持っているのであろう
か。そして、大型トラックの将来燃料として失格であるとの的外れなバイオマス由来のDMEの批判を馬鹿な筆者が勝手
に行っているに過ぎないと、島崎直基氏と佐藤由雄氏の両氏は考えているのであろうか。
その場合には、筆者のDMEに関する意見・主張に誤りがあるとして、筆者宛にメールをお送りいただきたいと思ってい
る。そのメールを受け取ることによって「将来のディーゼルトラック用の新しい燃料としてDMEが不適」とする筆者の意
見・主張が誤りであることが確認できれば、このページの記載内容は、即刻に訂正または削除したいと考えている。
何はともあれ、このような鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の試験研究
は、将来のわが国の「低炭素」、「脱石油」に全く貢献できない税金の無駄使いであると推察されるため、即刻、中止し
て欲しいものである。近い将来に国家財政の破綻が予想されるために消費税の増税が議論されている日本において、
このような税金の無駄使いが堂々と行われているとすれば、多くの国民にとっては迷惑千万なことではないだろうか。
そして、鰍「すゞ中央研究所の島崎直基氏と独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の両氏の研究に国の予算が投入
されているのであれば、会計検査院が税金の無駄使いを厳しくチェックすべき案件に相当するように思うが、如何なも
のであろうか。会計検査院による税金に巣食うシロアリ退治が望まれるところだ。
3.DDFトラックの実用化によって大型トラックの分野での低炭素・脱石油が可能だ!
以上のように、バイオマス由来のDMEは、「膨大なバイオマス原料の資源浪費」や「自動車用燃料の量的確保が困
難」となる問題があるため、将来のトラック用の新しい燃料としては不適である。また、天然ガスから合成のDMEとGTL は、トラック用燃料に不適および軽油よりもエネルギー効率が30%も劣るDMEを推奨する機械学会の疑問に詳述し ているように、天然ガス由来のDMEも「膨大なエネルギー資源の浪費」の欠陥があるために、将来のディーゼルエンジ ンの新しい燃料としては不適である。そのため、バイオマス由来と天然ガス由来の何れのDMEであっても、DMEそのも のが将来のトラック用ディーゼルエンジンの燃料としては失格であることは明らかである。そこで、わが国におけるトラッ ク貨物輸送分野における「低炭素」と「脱石油」を図る手段として、将来のディーゼルトラックに推奨すべき燃料は、天然 ガス(=CNG or LNG)であると、筆者は予想している。
この天然ガスはセタン価が極めて低いことから、空気と天然ガスの混合気を燃焼させるには,外部からの点火が必
要となる。この天然ガスを燃料とするエンジンは大きく分けて2種類あり、その一つはスパークプラグの火花放電を用い て天然ガスのみを燃焼させるスパークプラグ方式天然ガス専焼エンジンがある。そして他の天然ガスエンジンは、燃焼 室内にパイロット噴射した軽油の自己着火の火炎により天然ガスを燃焼させる軽油着火型のディーゼルデュアルフュ エル(DDF)エンジンである.
先ず、前者のスパークプラグ式天然ガスエンジンの大型CNGトラックは、従来の大型ディーゼルトラックに比較した場
合、ディーゼルと同等のCO2を排出し、ディーゼルよりも燃料エネルギーを31%も多く浪費する致命的な欠陥がある。 このスパークプラグ式天然ガスエンジンの大型CNGトラックは、天然ガス専焼大型トラックは、重量車燃費基準に不適 合の欠陥トラックだ!に詳述しているように、従来の大型ディーゼルトラックに比較した場合にはディーゼルよりも燃料 エネルギーを31%も多く浪費する致命的な欠陥がある。
そして、後者の天然ガスエンジンは、燃焼室内にパイロット噴射した軽油の自己着火の火炎により天然ガスを燃焼さ
せる軽油着火型のDDFエンジンである。この軽油着火型のDDFエンジンは、従来の大型ディーゼルトラックに比較し た場合、ディーゼルと同等の熱効率であることに加え、ディーゼルよりCO2が15%少なくできる長所がある。以上の内 容については、昨年(2008年)の11月14日に潟Gヌ・ティー・エス(http://www.nts-book.co.jp/)に発行された「クリーンデ ィーゼル開発の要素技術動向」と云う専門書(http://www.nts-book.co.jp/item/detail/summary/energy/20081114_51. html)の第5章の7項に、「環境負荷から環境浄化へ---天然ガスを併用するディーゼルエンジン---」の項に詳しく記載 されているので、参考にしていただきたい。
このようにDDFエンジンは、ディーゼルと同等の高い熱効率を有しているので、大型トラックにおいてディーゼルエン
ジンに代替して用いることについては熱効率の面からは何の問題も無い。したがって、天然ガスを併用するDDFエンジ ンは、今後の大型トラックの「CO2削減」や「脱石油」を推進するための最適な天然ガスエンジンであると断言して良い のではないだろうか。 したがって、将来、我が国においてDDF大型トラックを開発して実用化し、一般に広く普及した場 合には、大型トラック分野における低炭素(=CO2削減)・脱石油を図ることが可能である。このDDFエンジンの詳細に ついてはディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジン、DDF大型トラックについてはDDF運転とディーゼ ル運転の選択が可能なDDF大型トラック のページに詳述しているので、興味のある方は御覧いただきたい。
ところで、スウェーデンのボルボ・トラックスは、2011年5月31日に長距離輸送向けに大型DDFトラック(写真1参照)を
発売(出典:http://www.volvotrucks.com/trucks/global/en-gb/newsmedia/pressreleases/Pages/pressreleases.aspx? pubid=10743)した。その発表によると、エンジンは13リットル、最高出力は440HP(338kW)、最大トルクは2300Nmで ある。天然ガス(LNG)の利用率は75%であり、エンジンの熱効率は、スパークプラグ式天然ガスエンジンに比べて、30 〜40%高く、CO2排出量はディーゼルトラックに比べて10%削減することができるとのこと。また、筆者がこれまで説明 してきたように、走行中に天然ガス(LNG)を使い果たした場合には、軽油のみで走行することも可能である。2011年に は100台程度をオランダ、イギリス、スウェーデンで販売する予定で、8月から生産が開始されるとのことだ。今後、2年 程度で、欧州の6〜8カ国で年間400台程度の販売が予定されているようだ。
ところで、ボルボは、トラックメーカとしては世界で始めて大型DDFトラックの市販を開始したが、残念なことに、この
ボルボの大型DDFトラック・トラクタに搭載されたエンジンは、旧式の技術とも云える吸気管内噴射式のDDFエンジン である。一方、この旧式の吸気管内噴射式DDFエンジンの性能を更に向上できる新しい技術が既に世の中に存在し ており、それが天然ガスをシリンダ内に直接噴射する直噴式DDFエンジンである。この直噴式DDFエンジンは、吸気 管内噴射式DDFエンジンに比べ、DDFエンジンにとって重要な要素である「排出ガス性能の向上」や「天然ガス(LN G、CNG)の使用割合を向上」できることが特徴である。
したがって、仮に、日本で大型DDFトラックが開発されるのであれば、ボルボの吸気管内噴射式のDDFエンジ
ンを搭載した大型DDFトラックよりも優れた性能を持つ直噴式DDFエンジンを搭載した大型DDFトラック・トラ クタを是非とも早期に実用化して欲しいところだ。そして、この大型DDFトラック・トラクタには、筆者が提案する直噴 式DDFエンジン(特許公開2008-51121)の技術を採用して欲しいものだ。その場合には、大型DDFトラック・トラクタは、 直噴式DDFエンジンを搭載しているにもかかわらず、「ディーゼル走行」と「DDF走行」との任意の走行モードを選択し て運行できるようになるのである。
何はともあれ、天然ガスを併用するDDFエンジンは、ディーゼルと同等の高い熱効率を有している上に、大型トラック
の「CO2削減」や「脱石油」を推進することが可能なため、我が国において早急にDDF大型トラックの実用化が望まれ る。わが国における今後のトラック関係の学者・専門家やトラックメーカの大いなる健闘が期待されるところである。 な事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。 ![]()
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