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ディーゼル重量車2016年NOx規制の0.4g/kWhは、不当な緩和の欠陥規制

最終更新日:2015年4月11日



1.中央環境審議会の第八次答申(大型ディーゼルトラックの2009年NOx規制の設定)

1-1.中央環境審議会の第八次答申(=2005年4月8日に答申)の概要等

 中央環境審議会の第八次答申は、2005年4月8日に環境省へ提出された。その後、この第八次答申に基づいて、国
土交通省は、ディーゼル重量車の2009年排出ガス規制を実施したのである。そのディーゼル重量車の2009年排出ガ
ス規制の基になった第八次答申の概要を、以下の表1示した。

表1 中央環境審議会の第八次答申(=2005年4月8日に答申)
答申の名称・概要・規制の内容等
答申の名称
審議会の名称

答申の時期
答申の意義


 筆者のコメント
  中央環境審議会から環境省に第八次答申が提出された2005年4月8日頃の当時においては、
 既に、米国では2010年の大型トディーゼルトラックのNOx規制として、0.27g/kWhの厳しい
 NOx規制が検討されていたのである。そのような米国の状況が判明していたにもかかわらず、
 中央環境審議会の第八次答申では、日本が大型トディーゼルトラックにおいて、米国よりも
 大幅に緩い0.7g/kWhのNOx規制を2009年に実施することを答申したのである。
 
  それにもかかわらず、中央環境審議会の第八次答申では、「今回の2009年目標の0.7g/kWh
 を実施することにより、2009〜2010年時点では大型ディーゼルトラックの分野で世界最高レベル
 のNOx規制が日本で実施される」と記載されている。この第八次答申では、米国の2010年の
 NOx規制値=0.27g/kWhと、日本の2009年のNOx規制値=0.7g/kWhとが「同等レベルの
 NOx規制」と断定した出鱈目とも思える記述となっている。

  このことは、ポンコツ元技術屋の筆者にとっては、何とも理不尽なことのように思えて仕方が
 ないことである。そのため、第八次答申を作成された中央環境審議会・自動車排出ガス専門
 委員会の学者・専門家が米国の2010年のNOx規制値=0.27g/kWhと、日本の2009年の
 NOx規制値=0.7g/kWhとが「同等レベルのNOx規制」と断定された根拠・証拠を是非とも教えて
 いただきたいものである。何はともあれ、ポンコツ元技術屋の筆者には、不可解な記述と思える
 第八次答申が2005年4月8日に中央環境審議会から環境省に提出されたことが、何とも納得の
 できないことである。
目標値



 筆者のコメント
 中央環境審議会の第八次答申では、日本の2009年のNOx規制の0.7g/kWhの他に、
 挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3 =0.23g/kWh)と称する将来のNOx規制強化の値を提示している。
 その理由は、米国が2010年実施予定としてに検討中の0.27g/kWhに比較して、日本の2009年の
 大型トディーゼルトラックのNOx規制の0.7g/kWhが大幅に緩いNOx規制であるとの批判を避ける
 ため、当時の中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家による姑息な
 小細工のようにも思えるが、如何なものであろうか。
答申の作成者

注:赤色の下線は、エンジンを専門とする学者・専門家

1-2.環境省のNOxとPMの日・米・欧の規制値比較図(中環審の第八次答申の説明用)

 中央環境審議会・第八次答申に明記された「ディーゼル重量車の2009年のNOx規制強化」の内容を解り易く説明す
るために、環境省が発表・公表した「NOxとPMの日・米・欧の規制値比較図」を、以下の表2にした。

表2 中央環境審議会の第八次答申の発表時に環境省示したNOxとPMの日・米・欧の規制値比較図

 ● 中央環境審議会の第八次答申の発表時に環境省示したNOxとPMの日・米・欧の規制値比較図
(出典:環境省ホームページ http://www.env.go.jp/press/files/jp/6628.pdf
 
 筆者のコメント
  上記の大型トディーゼルトラックについての2009・2010年頃に予測される日・米・欧のNOx・PM規制値の比較図
 の中に、日本のディーゼル重量車の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)が記載されていることは、大きな
 誤りである。何故ならば、第八次答申の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/=0.23g/kWh)と、2009・2010年頃の日本の
 ディーゼル重量車のNOx規制値とは、完全に無関係であるためだ。

 ● 実際の2009・2010年頃におけるNOxとPMの日・米・欧の規制値比較図

 筆者のコメント
  中央環境審議会の第八次答申と同時に、環境省がホームページにおいては、上記の「2009・2010年頃に
 おけるNOxとPMの日・米・欧の規制値比較図」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/6628.pdf)が発表されていた
 ことから、中央環境審議会から環境省に第八次答申が提出された2005年4月8日頃の当時においては、
 中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、2009・2010年頃の大型トディーゼルトラックの
 NOx規制では米国では0.27g/kWhの規制が確実に実施されることを既に承知していたものと推測される。
 
  それにもかかわらず、2005年4月8日に中央環境審議会から環境省に提出された第八次答申の通り、
 中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、日本のディーゼル重量車において、
 米国よりも大幅に緩い0.7g/kWhのNOx規制を2009年に実施するとを決定したのである。そして、
 あろうことか、この第八次答申では、「今回の2009年目標の0.7g/kWhを実施することにより、2009〜
 2010年時点では、大型ディーゼルトラックの分野で世界最高レベルのNOx規制が日本で実施される」
 との虚偽とも思える内容が堂々と記載されている。

  つまり、このことは、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会のエンジンを専門とする東大教授
 ・河野通方氏、早稲田大学教授・大聖泰弘氏、前・交通研理事・小松高男氏、京都大教授・塩路昌宏氏、
 産総研・水野建樹氏が「日本2009年の重量車NOx規制=0.7g/kWhと米国2010年の重量車NOx規制
 =0.27g/kWhとが同等の規制」であると判断されたことになると考えられるが、如何なものであろうか。

  ところで、以前に、筆者は大昔の野蛮人の場合には、「1、2、3までしか数えられないために、4以上を「多数」
 ・「いっぱい」・「多量」との表現しかできないとの話を聞いた覚えがある。この話が事実であれば、大昔の野蛮人
 の場合には少数点以下の概念が無いと考えられるため、1.以下(=少数点以下)は全てが「少ない」・「僅か」と
 判断するものと推測される。そして、仮に、大昔の野蛮人に「日本2009年の重量車NOx規制=0.7g/kWh」と
 「米国2010年の重量車NOx規制=0.27g/kWh」とのNOx規制の厳しさ判断を求めた場合には、日本と米国は
 共に、NOx規制=1.0g/kWh以下であるために、日本と米国の両国では、同じレベルの厳しいディーゼル重量車
 のNOx規制が実施されていると笑い話のような回答するものと推測される。もっとも、これは、ポンコツ元技術屋
 の筆者の単なる推測である。
 
  しかしながら、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会のエンジンを専門とする学者・専門家は、
 「日本2009年の重量車NOx規制=0.7g/kWhと、米国2010年の重量車NOx規制=0.27g/kWhとが共に
 世界最高レベルの規制」であると中央環境審議会の第八次答申に堂々と明記されたのである。その記述を
 見ると、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会のエンジンを専門とする学者・専門家は、大昔の野蛮人
 の判断過程と似ているように思えるが、如何なものであろうか。そして、中央環境審議会のエンジンを専門とする
 東大教授・河野通方氏、早稲田大学教授・大聖泰弘氏、前・交通研理事・小松高男氏、京都大教授・
 塩路昌宏氏、産総研・水野建樹氏が大昔の野蛮人と同様の思考・判断の基準に基づいて第八次答申を作成
 されたように見えてしまうのは、浅学菲才であるが故のポンコツ元技術屋の偏見であろうか。
 
  また、上記の中央環境審議会の第八次答申の発表時に環境省が示したNOxとPMの日・米・欧の規制値を
 比較した図(出典:環境省ホームページ http://www.env.go.jp/press/files/jp/6628.pdfでは、大型トディーゼル
 トラックについての2009・2010年頃の日・米・欧のNOx・PM規制値比較との表題を掲げながら、この図の中に
 日本の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)を記入されていることが、筆者には、意味不明である。
 何故ならば、日本のディーゼル重量車の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)は、2009・2010年頃の
 日本のディーゼル重量車のNOx規制値とは完全に無関係であるためだ。

  それにしても、2015年2月現在の環境省のホームページにおいては、第八次答申と同時期に公表された日本の
 ディーゼル重量車の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)を記入した誤った内容の「2009・2010年頃に
 おけるNOxとPMの日・米・欧の規制値比較」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/6628.pdf)の図が依然として
 掲載され続けているのも不思議なことである。これについても、筆者には理解に苦しむところである。


2.中央環境審議会の第十次答申(大型ディーゼルトラックの2016年NOx規制の設定)

2-1.中央環境審議会の第十次答申(=2010年7月28日に答申)の概要等

 中央環境審議会の第十次答申は、2010年7月28日に環境省へ提出された。今後、この第十次答申に基づいて、国
土交通省は、ディーゼル重量車の2016年排出ガス規制を実施する予定である。このディーゼル重量車の2016年排出
ガス規制の基になる第十次答申の概要を、以下の表2示した。

表1 中央環境審議会の第十次答申(=2010年7月28日に答申)
答申の名称・概要・規制の内容等
答申の名称
審議会の名称

答申の時期

ディーゼル

重量車の

排出ガス

低減対策

(概要)




 以上の中央環境審議会の第十次答申(=2010年7月28日に答申)の概要と疑問点については、次に示した第十次
答申に添付の第十次報告の項において、ディーゼル重量車(大型ディーゼルトラック)に関する次期NOx規制の強化の
概要と疑問点を整理したので、御覧いただきたい。

2-2.中央環境審議会の第十次答申の内容を詳述した添付資料の第十次報告の概要等

 中央環境審議会の第十次答申は、2010年7月28日に環境省へ提出された。今後、この第十次答申の添付資料であ
る第十次報告には、ディーゼル重量車の2016年排出ガス規制についての検討内容が詳細に述べられている。そこで、
この第十次報告の内容を吟味し、このディーゼル重量車の2016年排出ガス規制の検討が適切に行われたか否かを検
討したので、その結果を、以下の表3に示にした。

表3 中央環境審議会の第十次答申(=2010年7月28日に答申)に添付の第十次報告の概要と疑問点
報告の名称
作成者の名


作成の時期
報告の概要

および

疑問点

 (1) 第十次答申に記された今後のディーゼル重量車の排出ガス低減対策

中央環境審議会の第十次報告に記載されたディーゼル重量車の排出ガス規制強化の目標値等
(環境省の環境大臣に2010年7月28日に答申)

  
 中央環境審議会の第十次報告に記載されたディーゼル重量車の排出ガス規制強化のポイント (環境省の環境大臣に2010年7月28日に答申)
排出ガス試験法は、従来の「JE05モード」から、「世界統一試験サイクルであるWHTCに
   変更する。(上記の記述Aを参照)
従来のエンジン暖機時(ホットスタート)排出ガス試験に加え、エンジン冷間時(コールド
   スタート)排出ガス試験を導入し、ホットスタート=86%とコールドスタート=14%との
   重み付けした値を排出ガス測定値とする。(上記の記述Bを参照)
ディーゼル重量車のNOxに係わる許容限度目標値(平均値)は、0.4 g/kWhとする。
   (上記の記述Cを参照)
ディーゼル重量車の0.4 g/kWhの許容限度目標値(平均値)は、2016年末までに
  実施する。(上記の記述Cを参照)

  
 筆者のコメント
  中央環境審議会が2010年7月28日に答申した第十次答申では、2016年末までに実施する
 ディーゼル重量車の0.4 g/kWhの許容限度目標値(平均値)は、上記の「記述D」の通り、
 「欧米との比較においても、将来にわたって世界最高水準の環境技術の開発を促すもの
 と断定されている。この第十次答申の記述内容については、ポンコツ元技術屋の筆者には、
 甚だ疑問に思えるところである。
  その理由は、既にコールドスタート排出ガス試験が導入されて米国は2010年の大型トディーゼル
 トラックのNOx規制値が0.27g/kWhであるためだ。このように、米国の大型トディーゼルトラックの
 は2010年でのNOx規制値が0.27g/kWhにもかかわらず、2016年末までに実施する日本の
 ディーゼル重量車の0.4 g/kWhのNOx規制値が、「欧米との比較においても、将来にわたって
 世界最高水準の環境技術の開発を促すもの」との中央環境審議会の第十次答申の記載は、
 筆者には全く理解できない内容である。

 (2) 第八次答申「挑戦目標値 」と第十次答申の新たな「許容限度目標値」について

  中央環境審議会から環境省に2005年4月8日に提出された第八次答申では、日本のディーゼル
 重量車においては、米国よりも大幅に緩い0.7g/kWhのNOx規制を2009年に実施するとを決定し
 たのである。そして、第八次答申では、日本のディーゼル重量車の将来的なNOxの規制強化の
 目標として、挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)を明記されたのである。

  そして、第十次報告では、以下に示した通り、「2.5.2 第八次答申における挑戦目標値との
 比較」の項において、この「第八次答申の挑戦目標= 0.23 g/kWh」と「第十次答申の許容限度
 目標値(平均値)= 0.4 g/kWh」との関係が述べられている。

中央環境審議会の第十次報告に記載されたディーゼル重量車の排出ガス規制強化のレベル等
(環境省の環境大臣に2010年7月28日に答申)

  上記の第十次報告によると、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、「第八次答申
 の挑戦目標= 0.23 g/kWh」と「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh」との
 関係については、以下の見解のようである。

 @ 第八次答申「挑戦目標値 0.23g/kWh」と第十次答申の「新規制値 0.4g/kWh」の関係

  上記の第十次報告には明確に、「2009年規制向け研究開発用エンジンのデータをもとに、
 次期目標値をJE05モードに基づくホットスタート時の排出量に換算してみたところ、十分な
 データ数でないために、あくまでも目安としてとらえるべきものであるが、0.26 g/kWh となった」
 と述べられている。この記述を判り易く書き換えると、以下の意味と考えられる。
 
  自動車排出ガス専門委員会が2009年規制向け研究開発用エンジンで確認した内容
(第十次報告に明記)
この第十次報告では、1台のディーゼルエンジンによるWHTCモードとJE05モード
のNOx測定試験では、以下の表に示した通り、「WHTCモード(ホットスタート+コールド
スタート)が NOx=0.26 g/kWh」であり、「JE05モード(ホットスタートのみ)が NOx= 
0.4 g/kWh」 の測定結果であったとのことである。
排出ガス試験モード
NOx排出値
WHTCモード (世界統一試験サイクル)
(ホットスタート:86%+コールドスタート:14%)
0.26 g/kWh
JE05モード 
(ホットスタート試験)
0.4 g/kWh

このように、中央環境審議会・第十次答申に添付資料である第十次報告には、中央
環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、WHTCモード(ホットスタート+コールドス
タート)のNOx排出値がJE05モード(ホット スタートのみ)のNOx排出値よりも35%も
少なく計測される事実を試験によって確認されたことが、第十次報告には明記されてい
る。つまり、中央環境審議会・第十次答申に添付の第十次報告には、
(JE05モードのNOx:0.4 g/kWh)(WHTCモードのNOx:0.26 g/kWh)
の可能性のあることが明白に述べられている。


ただし、中央環境審議会・第十次答申の添付資料である第十次報告には、このJE0
5モードのNOx排出値= 0.4 g/kWh のエンジンがWHTCモードのNOx排出値= 0.26 g
/kWhであることを確認した試験データは、十分な数ではないことが明記されている。
 このことから、中央環境審議会・第十次答申に添付の第十次報告には、
(JE05モードのNOx:0.4 g/kWh)(WHTCモードのNOx:0.26 g/kWh)
の可能性のあることも、言外に示唆されたものと推測される。

 A 第八次答申の挑戦目標(=0.23g/kWh)と第十次答申の許容限度目標値の関係
 
 この第十次報告では、「2009年規制向け研究開発用エンジンのデータをもとに、次期目標値をJE05モードに基づくホットスタート時の排出量に換算してみたところ、十分なデータ数でないために、あくまでも目安としてとらえるべきものであるが、0.26 g/kWh となった」と記載されている。
つまり、(JE05モードのNOx:0.4 g/kWh)(WHTCモードのNOx:0.26 g/kWh)の試験結果を根拠にして、WHTCモード(ホットスタート+コールドスタート)のNOx排出値がJE05モードホット スタートのみ)のNOx排出値よりも35%程度も少なく計測されることが事実であると、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は判断していることが第十次報告に明記されている。

 第十次答申のディーゼル重量車のNOx許容限度目標値=0.4 g/kWhが決定された根拠
中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、中央環境審議会・第十次答申に添付の第十次報告において、ディーゼル重量車における「NOx許容限度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等のレベルである」と断定した記述である。

そのそのことを根拠として、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、ディーゼル重量車の第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等レベルのNOx規制を強化する手段として、次期のディーゼル重量車のNOx許容限度目標値を
0.4 g/kWh(=WHTCモード)と設定した第十次答申を環境大臣に答申したとのことである。

 ところで、第十次報告に添付された第十次報告では、「十分なデータ数でないため、あくまでも目安としてとらえるべきもの」との注釈付きでWHTCモードのNOx排出値=0.4 g/kWhは、JE05モードのNOx排出値=0.26 g/kWhに相当することが明記されている。このWHTCモードのNOx排出値がJE05モードよりも35%も少ないNOx排出値になることを根拠にして、「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」は、第八次答申のディーゼル重量車の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh(JE05 モード))と「同等レベル」のNOx規制値であると断定している。そして、「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」は、、第八次答申のディーゼル重量車の挑戦目標の0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh(JE05 モード)を具現化したものであり、ディーゼル重量車の次期のNOx規制値として適切であると結論付けている。

 このことから判断すると、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会のエンジン専門の東大教授・河野通方氏、慶応大教授・飯田訓正氏、産総研・センター長・後藤新一氏、京都大教授・塩路昌宏氏、JARI/主管・杉山 元氏・早稲田大学教授・大聖泰弘氏は、第十次答申が提出された2010年7月28日の時点においても、答申第八次答申に記載されたJE05モードでのディーゼル重量車のNOx挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh[])のNOx規制レベルを将来的に必ず日本で実施すべきとする信念・方針があるもの推測される。

 また、今後、第十次報告の中に示されたWHTCモードのNOx排出値がJE05モードよりも5%も少ないと云う「不十分なデータ数の試験データ」に誤りのあることが判明した場合には、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会のエンジン専門の東大教授・河野通方氏、慶応大教授・飯田訓正氏、産総研・センター長・後藤新一氏、京都大教授・塩路昌宏氏、JARI/主管・杉山 元氏・早稲田大学教授・大聖泰弘氏は、学者・専門家としての良心から、当然、中央環境審議会・ディーゼル重量車における第十次答申の「次期のNOx許容限度目標値0.4 g/kWh」を即刻に変更する行動を起こされるものと推測される。

 なお、参考として、以下に中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会の委員名簿を示した。

中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会の委員名簿
 

 もっとも、中央環境審議会の第十次答申では、WHTCモード(ホットスタート+コールドスタート)のNOx排出値がJE05
モード(ホットスタートのみ)のNOx排出値よりも35%も少なく計測されたとの「不十分なデータ数」の不完全な試験デー
タを基に、「NOxの次期目標の 0.4 g/kWhは、第八次答申における挑戦目標のレベルに達している」との結論が強引
に導き出されているようにポンコツ元技術屋の筆者には思えて仕方がない。何故ならば、この日本のディーゼル重量
車の新型車において2016年に実施が予定されているNOx=0.4 g/kWhの許容限度目標値(平均値)は、「不十分な
ータ数」の不完全な試験データを基に決定されているいるために、大きな誤りを犯す危険性の高いことが誰も否定でき
ないためである

 そこで、中央環境審議会の第十次答申に明記されたディーゼル重量車(GVW=3.5トン超え)の「NOx= 0.4 g/kWh
次期NOx許容限度目標値(平均値)」が妥当であるか否かについて、(独)交通安全環境研究所が2014年11月5〜6日
に開催した「交通安全環境研究所フォーラム2014」において発表されたWHTCモードとJE05モードとのNOx排出を比較
した試験結果を基に検証したので、それを以下の項に纏めた。

3.WHTCモードとJE05モードのNOx排出値を比較した(独)交通研の研究報告と疑問点

  (独)交通安全環境研究所が2014年11月5〜6日に開催した「交通安全環境研究所フォーラム2014」において、交通
安全環境研究所・環境研究領域の鈴木央一氏、山口恭平氏、石井 素氏および自動車基準認証国際調和技術支援室
の成澤和幸氏は、「次期重量車用試験サイクルの概要と排出ガス性能評価法としての特徴」(出典:http://www.ntsel.
go.jp/forum/2014files/1105_1130.pdfと題する論文が発表された。その概要は、以下の表3に示した通りである。

表4 「交通安全環境研究所フォーラム2014」における「重量車用試験サイクルと排出ガス性能評価法」の発表論文
1.講演会の名称およびその主宰団体




2.発表論文の題目

(出典:http://www.ntsel.go.jp/forum/2014files/1105_1130.pdf
3.発表論文の著者

4.本研究の目的


 交通安全環境研究所が2014年11月5〜6日に開催した「交通安全環境研究所フォーラム」で発表の「次期重量車
用試験サイクルの概要と排出ガス性能評価法としての特徴」と題する論文では、ディーゼル重量車の排出ガス試験
法について、従来のJE05モード(ホットスタートのみ)から次期排出ガス規制採用されるWHTCモード(ホットスタート
+コールドスタート)に変更した場合の排出ガス測定値に及ぼす影響についての試験結果が纏められている。
5. 本研究においてNOx排出値の比較が実施された排出ガス試験モード

WHTCモード世界統一の過渡試験サイクル)
   ・ホットスタート(エンジン暖機時の排出値
   ・コールドスタート(エンジン冷間時の排出値))
   ・コンバインド(ホットスタート=86%とコールドスタート=14%との重み付けしたの排出値
JE05モード
   ・ホットスタート(エンジン暖機時の排出値
WHSCモード世界統一の定常試験サイクル)
6.排出ガス試験におけるエンジン運転負荷の状況

(1) WHTCモードとJE05モードについて

 下図に示したように、WHTCモードは、JE05モードよりも高負荷の領域の排出ガスを計測する試験法であること
が特徴である。

JE05モード=エンジンは、中・低負荷の領域に限定した運転(下図のの領域)

WHTCモード=エンジンは、中・低負荷+高負荷の全領域で運転(下図の〇+の領域)

WHTCモードとJE05モードのエンジン運転負荷の状況

(2) WHSCモードについて

 下図に示したように、WHSCモードは、WSTCモードと同様に、エンジンの全負荷の領域の排出ガスを計測する試
験法であることが特徴である。

WHTCモード=エンジンは、中・低負荷+高負荷の全領域で運転(下図の〇+の領域)


7. 排出ガス試験モードの比較試験に供試されたディーゼルエンジン 

 排出ガス試験モードの比較試験に供試されたディーゼルエンジンは、以下の通りである。
  積載量12〜14トン用のエンジン : エンジンA & エンジンB
  ● 積載量7〜10トン用と路線バス用エンジン : エンジンC

供試エンジンの緒元

参考 : 供試エンジンは、市販トラックに搭載のエンジン?
エンジンA?
エンジンB? 
エンジンC?
トラックメーカ
UDトラックス、
日野自動車
三菱ふそう
エンジン名称
GH11TC
E13C<ET-II>
6M60T2
総排気量 cc
10,836
12,913
7,545
最高出力
[kW(PS)/rpm]
302 (410) /1,800
279(380)/1800
199(270)/2500
最大トルク
[N・m(kgf・m)/rpm]
1,814 (185) /1200
1912(195)/1100
785(80)/1100-2400
8.A、B、Cエンジンを用いたWHTC、WHSCとJE05モードとのNOx排出の比較試験結果

 下記に示した「3.2 WHTC、WHSCとJE05モードの比較」の項では、WHTCモード(ホットスタート+コールドスター
ト)に変更した場合の排出ガス測定の試験結果について、(独)交通研の理解・見解が纏められている。ここで筆者
が特に注目する内容は、「記述A」および「「記述A」である。


上記の項の中で筆者が特に注目する「記述A」および「「記述B」
記述 A
 エンジンCはA、Bよりもしたのクラスの車両を対象としたものであり、図3で示した例ほどではないが、JE05モードにおいて低い負荷領域を多く使用する。そのために尿素SCR等の適合がそれに合わせて行われたとみられ、WHTCにおける後処理温度の上昇が必ずしもNOxの低減につながっていない。
記述 B
 実機試験の結果からJE05モードからWHTCとすることで 0.1 g/kWh程度増加しており、0.7の1/3程度から0.4への変更は、当初の考え方を踏襲した上で技術的にもて概ね妥当な水準といえる。
9.A、B、Cエンジンを用いたJE05モード試験におけるNOx排出値

 本論文では、以下の通り、A、B、Cの3台の供試エンジンを用いたJE05モード排出ガス試験によって得られた
NOx排出値が示されている。

A、B、Cの3台の供試エンジンにおけるJE05モードのNOx排出値

 本論文の重量車用試験サイクルと排出ガス性能評価に供試されたA、B、Cの3台のエンジンは、験によると、
(独)交通安全環境研究所がA、B、Cの供試エンジンのJE05モード排出ガス試験を実施した結果、NOx排出値は
0.5〜0.6 g/kWhであったとのことである。これは、ポスト新長期規制(=NOx:0.7 g/kWh)に適合のNOx排出値であ
る。ところで、このJE05モードでは、以下に示したように中・低負荷領域(下記のJE05とWHTCのエンジン運転の負
荷領域図のの領域)でエンジン運転が主体の試験法である。そのため、これらA、B、Cの3台の全ての供試エン
ジンは、ポスト新長期規制に適合させるために、エンジンの中・低負荷領域においては、尿素SCR触媒によるNOx
還元機能が十分に発揮できるように制御されているものと推測される。

JE05モードとWHTCモードのエンジン運転の負荷領域


本論文のJE05モードの排出ガス試験から得られた「技術情報」
JE05モードの排出ガス試験により判明した事象は、A、B、Cの3台の供試エンジンがエンジン
の中・低負荷領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域図のの領域)において、尿
素SCR触媒によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施したエンジン制
御が行われていると推測されることである。

 注記
 エンジンの中・低負荷領域において、「適切な尿素水の供給」等の制御により、尿素SCR触媒による十
分なNOx削減を可能にしているため、日本のトラックメーカが市販するA、B、Cの3台の供試エンジンは、
JE05モードのNOx排出値を 0.5〜0.6 g/kWhに抑制し、ポスト新長期規制に適合させているものと推測さ
れる。
10.A、B、Cエンジンを用いたWHTCモードとWHSCモードとのNOx排出値の比較

 本論文では、以下の通り、A、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTC(C)モード(=世界統一の過渡試験サイ
クルのコールドスタート)とWHTC(H)モード(=世界統一の過渡試験サイクルのホットスタート)の排出ガス試験によ
って得られたNOx排出値が示されている。

A、B、Cエンジンを用いたWHTC(C)モードとWHTC(H)モードとのNOx排出値

 本論文によると、(独)交通安全環境研究所が実施したA、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTC(C)モード
とWHTC(H)モードの排出ガス試験では、NOx排出値については、以下の結果となったとのことである。

A、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTC(C)モードとWHTC(H)モードの排出ガス試験結果
WHTCモード試験結果のNOx排出値の注目点
Aエンジン
Bエンジン
ホットスタートのNOx排出値がコールドスタートNOx排出値から削減された割合
  AエンジンのホットスタートのNOx排出値は、コールドスタート1/8まで削減
  BエンジンのホットスタートのNOx排出値は、コールドスタート1/4まで削減
Cエンジン CエンジンのホットスタートのNOx排出値は、コールドスタートNOx排出値の1/2程度
までの僅かしか削減されていない。

コールドスタートNOx排出値は、Aエンジンが2.6 g/kWhであり、Cエンジンが2.8 g/kWhで
ある。一方、コールドスタートの排気ガス温度が低い場合には尿素SCR触媒のNOx削減が機
能しないこを考慮すると、尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しない状態では、Aエン
ジンとCエンジンのNOx排出値は、2.7 g/kWhの前後であり、ほぼ同等と云える。

ホットスタートNOx排出値は、Aエンジンが0.33 g/kWhであり、Bエンジンが0.45 g/kWhで
あるが、CエンジンのホットスタートNOx排出値は、1.35 g/kWhである。その結果、Cエンジ
ンのホットスタートNOx排出値は、A、Bエンジンの3.5倍もの多くのNOxを排出してい
との結果である。

 本論文の重量車用試験サイクルと排出ガス性能評価に供試されたA、B、Cの3台の全てのエンジンには、排出
ガス後処理装置として、尿素SCR触媒装置とDPF(=粒子状物質捕集装置)が採用されている。そのため、A、B、
Cの3台の供試エンジンは、同種の排出ガス低減技術を採用したトラック用ディーゼルエンジンであると云える。そ
のような同種の排出ガス低減技術を搭載した採用した3台の供試エンジンでありながら、AエンジンのWHTCホット
スタートNOx排出値が0.33 g/kWhであり、BエンジンのWHTCホットスタートNOx排出値が0.45 g/kWhであるの
に対し、CエンジンのWHTCホットスタートNOx排出値が1.35 g/kWhとの極めて高い試験結果になっている。つま
り、排気ガス温度や後処理装置の触媒温度が高温となるホットスタートのWHTC(H)の排出ガス試験法でありなが
ら、CエンジンのWHTCホットスタートNOx排出値だけは、他のA、Bエンジンに比べて3.5倍もの異常に多く
のNOx排出値を測定しているのである。

 一方、前述の「9.A、B、Cエンジンを用いたJE05モード試験におけるNOx排出値」の項の「第1の技術情報」
示したように、排気ガス温度や後処理装置の触媒温度が高温となるホットスタートの排出ガス試験法であるJE05
モードにおけるA、B、Cの3台の供試エンジンのNOx排出値は、0.5〜0.6 g/kWhの略同等レベルであったとのこと
だ。そして、これらのA、B、Cの3台の供試エンジンは、何れもポスト新長期規制(=NOx:0.7 g/kWh)に適合して
いることが確認されたのである。これは、ホットスタートのJE05モードのエンジン運転領域であるエンジンの
中・低負荷領域(下図のの領域)において、A、B、Cの3台の供試エンジンは、尿素SCR触媒によるNOx
削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施したエンジン制御が行われていると推測される。
そのため、A、B、Cの3台の供試エンジンは、ホットスタートのJE05モードにおいては、尿素SCR触媒が適
切に制御され、NOx還元機能が十分に発揮された結果と考えれれる

 しかし、ホットスタートのWHTC(C)の排出ガス試験のエンジン運転おいては、AエンジンではホットスタートWHTC
(H)のNOx排出値が0.33 g/kWhまで削減され、BエンジンではホットスタートWHTC(H)のNOx排出値が0.45 g/kW
hまで削減されているが、CエンジンではホットスタートNOx排出値は、1.35 g/kWhの高いNOx排出となっているの
である。これは、WHTCモードは、中・低負荷+高負荷の全領域(下記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域
図の〇+の領域)でエンジンの運転が行われる排出ガス試験法であるため、エンジン高負荷の領域(下記のJE
05とWHTCのエンジン運転の負荷領域図のの領域)における尿素SCR触媒の適切な制御されてるエンジンであ
るか否かいないでのAエンジンとBエンジンがホットスタートWHTC(H)の排出ガス試験運転の有無によって、ホット
スタートWHTC(H)のNOx排出値の良否(=NOx排出量の増減)が決定されると考えられる。

JE05モードとWHTCモードのエンジン運転の負荷領域

 つまり、A、B、Cの3台の供試エンジンによるホットスタートWHTC(H)モードのNOx測定結果から判明した事象
は、以下の通りと考えられる。

ホットスタートWHTC(H)モードのNOx測定結果から判明した内容
WHTC(H)モードのNOx測定結果から判明した内容
Aエンジン
Bエンジン
 AエンジンとBエンジンのホットスタートWHTC(H)のNOx排出値が0.33 〜0.45g/k
Whと少ないのは、A、Bエンジンでの中・低負荷+高負荷の全領域(上記のJE05モード
とWHTCモードのエンジン運転の負荷領域図の〇+の領域)において、尿素SCR触媒
の適切な制御が実施されている証拠と考えられる。
Cエンジン  CエンジンのホットスタートWHTC(H)のNOx排出値が1.35 g/kWhで極めて高いの
は、Cエンジンでの高負荷の領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域
の領域)において、尿素SCR触媒の適切な制御が実施されていいない証拠と推測
される。
(注記:Cエンジンは、中・低負荷の領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域
の領域)に限定して尿素SCR触媒の適切な制御が実施され、高負荷の領域(上記のJE0
5とWHTCのエンジン運転の負荷領域図のの領域)では尿素水の節約等のために尿素SCR
触媒の適切な制御が実施されいない証拠と推測される)


 本論文のWHTC(C)モードとWHTC(H)モードの排出ガス試験から得られた「技術情報」
WHTC(C)モード(=コールドスタート)とWHTC(H)モード(=ホットスタート)の排出ガス試験に
よって判明した事象は、A、Bの2台の供試エンジンがエンジンの中・低負荷+高負荷の全領域
(上記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域図の〇+の領域)において、尿素SCR触媒
によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施されているが、Cエンジン
は、尿素SCR触媒の適切な制御がエンジンの中・低負荷の領域(上記のJE05とWHTCのエンジン
運転の負荷領域図のの領域)に限定して実施されていると推測されることである。

そして、Cエンジンは、尿素水の消費節約等のために、エンジンの高負荷の領域では、尿素
SCR触媒の適切な制御を実施していないと推測されることである。
(注記:これが事実であれば、Cエンジンは、特定のエンジン運転条件での排出ガス制御の無効化(=デ
フィートストラテジー・サイクルビーティング)を採用している可能性があると推測される。)
 
11.A、B、Cエンジンを用いたWHTCモードとWHSCモードとのNOx排出値の比較

 本論文では、以下の通り、A、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験によ
って得られたNOx排出値が示されている。

A、B、Cエンジンを用いたWHTCモードとWHSCモードとのNOx排出値の比較

 本論文によると、(独)交通安全環境研究所が実施したA、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTCモードとW
HSCモードの排出ガス試験では、NOx排出値については、以下の結果となったとのことである。

A、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験結果
A、B、Cの3台の供試エンジンのNOx排出値の注目点
WHTCモード CエンジンのNOx排出は、AエンジンとBエンジ2倍程度の多くのNOxを排出
WHSCモード CエンジンのNOx排出は、AエンジンとBエンジ3倍程度の多くのNOxを排出

 本論文の重量車用試験サイクルと排出ガス性能評価に供試されたA、B、Cの3台の全てのエンジンには、排出
ガス後処理装置として、尿素SCR触媒装置とDPF(=粒子状物質捕集装置)が採用されている。そのため、A、B、
Cの3台の供試エンジンは、同種の排出ガス低減技術を採用したトラック用ディーゼルエンジンであると云える。そ
のような同種の排出ガス低減技術を搭載した採用した3台の供試エンジンでありながら、WHTCモードの排出ガス
試験では、CエンジンのNOx排出は、AエンジンとBエンジン2倍程度の多くのNOx排出を示している。そし
て、WHSCモードでは、CエンジンのNOx排出は、AエンジンとBエンジの3倍程度の多くのNOxを排出を示し
ている。このことは、WHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験では、AエンジンとBエンジンに比較してC
エンジン尿素SCR触媒装置のNOx削減の機能が十分に発揮できていないと推測される。


WHTCとJEO5モードのエンジン運転領域

WHSCモードのエンジン運転領域(=

 上記に示したWHTCとWHSCモードの排出ガス試験のエンジン運転領域の時間頻度を見ると、WHTCとWHSCモ
ードは共にエンジンの低・中・高負荷の全ての負荷領域での排出ガスの測定が実施される試験法である。したがっ
て、低・中・高負荷の全ての負荷領域で尿素SCR触媒装置が最大のNOx削減の機能を発揮するように制御したエ
ンジンの場合には、WHTCとWHSCモードでのNOx排出値を十分に削減することが可能となる。ところが、低・中負
荷に限定したエンジン負荷領域で尿素SCR触媒装置がNOx削減の機能を発揮させるが、エンジンの高負荷領域で
尿素水の消費抑制を目的として尿素SCR触媒装置がNOx削減の機能を抑制または停止させるするように制御した
エンジンの場合には、WHTCとWHSCモードでの高いNOx排出値を示すことになる。

 このように、尿素水の節約を狙って低・中負荷に限定したエンジン負荷領域で尿素SCR触媒装置がNOx削
減の機能を最大に発揮させるように制御したエンジンは、WHTCとWHSCモードのようなエンジンの低・中・
高負荷の全ての負荷領域での排出ガスの測定が実施される試験法においては、当然ながら高いNOx排出
値を示すことになる。つまり、エンジンの低・中・高負荷の全ての負荷領域で排出ガス計測を実施するWHTC
とWHSCモードでは、エンジンの高負荷領域で尿素水の消費抑制を目的として尿素SCR触媒装置がNOx削減の
機能を抑制または停止させる制御を採用したエンジンは高いNOx排出値を示すと考えられる。

 そして、本論文の(独)交通安全環境研究所が実施したA、B、Cの3台の供試エンジンを用いたWHTCモードとW
HSCモードの排出ガス試験のNOx排出値を見ると、前述のように、WHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験で
は、CエンジンのNOx排出は、AエンジンとBエンジン2〜3倍程度の多くのNOx排出を示している。このように、エ
ンジンの低・中・高負荷の全ての負荷領域での排出ガスの測定が実施されるWHTCとWHSCモードにおいてCエン
ジンのNOx排出がAエンジンとBエンジン2〜3倍程度の多くのNOx排出を示していることは、Cエンジンが尿素水
の節約を狙ってエンジン高負荷で尿素SCR触媒装置の「停止」または「NOx削減機能の低下」させる制御を実施し
ているものと推測される。これに対し、AエンジンとBエンジンは、低・中・高負荷の全ての負荷領域で尿素SCR触媒
装置が最大のNOx削減の機能を発揮する制御を採用しているため、低・中・高負荷の全ての負荷領域での排出ガ
スの測定が実施されるWHTCとWHSCモードにおいても低いNOx排出値を示しているものと推測される。

 因みに、前述の「9.A、B、Cエンジンを用いたJE05モード試験におけるNOx排出値」の項に示したように、エン
ジンの中・低負荷領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転領域の領域)の排出ガス測定を実施するJE05モ
ードにおいては、A、B、Cの3台の供試エンジンは、何れのエンジンも略同等のNOx排出ガス値を示している。この
ように、A、B、Cの3台の供試エンジンは、JE05モード試験では略同等の低いNOx排出ガス値を示していることか
ら、何れの供試エンジンにおいても、エンジンの中・低負荷領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転領域
領域)では尿素SCR触媒によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施する制御が行われ
ていると推測される。

このように、による排出ガス試験において、エンジンの中・低負荷領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転領域
の領域)での排出ガス測定を実施するJE05モードでは、A、B、Cの3台の供試エンジンのNOx排出値は
等レベルである。しかし、エンジンの低・中・高負荷領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転領域〇+の領
域)の全ての負荷領域での排出ガス測定を実施するWHTCとWHSCモードでは、Cエンジンだけが高いNOx排出値
を示しているのである。このことから判明したA、B、Cの3台の供試エンジンの尿素SCR触媒装置におけるNOx削
減の制御の形態は、以下に示した状況と判断するのが妥当と考えられる。

A、B、Cの3台の供試エンジンの尿素SCR触媒装置のNOx削減制御
A、B、Cの3台の供試エンジンにおける尿素SCR触媒のNOx削減制御の注目点
Aエンジン
Bエンジン
全てのエンジン運転負荷領域(=低・中・高負荷)での尿素SCR触媒のNOx削減制御
(上図ののエンジン運転領域)
Cエンジン ・限定したエンジン運転負荷領域(=低・中負荷)での尿素SCR触媒のNOx削減制御
(上図ののエンジン運転領域)

 この(独)交通安全環境研究所が実施したWHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験では、A、B、Cの3台の供
試エンジンのを用いた本論文の排出ガス試験結果から、AエンジンとBエンジンは、WHTCモードとWHSCモードの
排出ガス試験では低・中・高負荷の全てのエンジン負荷領域で尿素SCR触媒装置が最大のNOx削減の機能を発
揮する制御を採用していると推測される。しかし、Cエンジンは、エンジン運転負荷領域(=低・中負荷)では尿素
SCR触媒が正常に作動してNOx削減できるが、エンジンの高負荷では尿素SCR触媒が停止またはNOx削減機能を
抑制する制御を採用している見るの妥当である。
 
 本論文のWHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験から得られた「技術情報」
WHTCモードとWHSCモードの排出ガス試験によって判明した事象は、A、Bの2台の供試エン
ジンがエンジンの中・低負荷+高負荷の全領域(上記のWHTCとWHSCのエンジン運転の負荷領
図の〇+の領域)において、尿素SCR触媒によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供
給」等を確実に実施されている

そして、Cエンジンは、尿素水の消費節約等のために、エンジンの高負荷の領域では、尿素
SCR触媒の適切な制御を実施していないと推測される。
(注記:これが事実であれば、Cエンジンは、特定のエンジン運転条件での排出ガス制御の無効化(=デ
フィートストラテジー・サイクルビーティング)を採用している可能性があると推測される。)
 

3−2.市販禁止の脱法・違法制御の供試エンジンで排出ガス試験モードを評価した欠陥論文

 前述の3−2.項には、(独)交通安全環境研究所が2014年11月5〜6日に開催した「交通安全環境研究所フォーラム
2014」において、交通安全環境研究所・環境研究領域の鈴木央一氏、山口恭平氏、石井 素氏および自動車基準認証
国際調和技術支援室の成澤和幸氏は、「次期重量車用試験サイクルの概要と排出ガス性能評価法としての特徴」と題
する論文の記述内容についての検討した、その結果、明らかとなった事象は、以下の通りである。

(独)交通研・鈴木央一氏の発表論文における各種の排出ガス試験サイクルのNOx排出試験結果
JE05モードの排出ガス試験により判明した事象は、A、B、Cの3台の供試エンジンがエンジンの中・低負荷領域(=JE05のエンジン運転の負荷領域)において、尿素SCR触媒によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施したエンジン制御が行われていると推測されることである。これにより、A、B、Cの3台の供試エンジンは、2009年のディーゼル重量車排出ガス規制のNOx=0.7 g/kWhに適合し、市販されているとのことである。

 ● WHTC(C)(=コールドスタート)、WHTC(H)(=ホットスタート)、WHTC、WHSCの各モードの排出ガス試験によって判明した事象は、A、Bの2台の供試エンジンがエンジンの中・低負荷+高負荷の全領域(=JE05、WHTC、WHSCのエンジン運転の負荷領域)において、尿素SCR触媒によるNOx削減を図るための「適切な尿素水の供給」等を確実に実施されているが、Cエンジンは、尿素SCR触媒の適切な制御がエンジンの中・低負荷の領域(上記のJE05とWHTCのエンジン運転の負荷領域図のの領域)に限定して実施されていると推測されることである。

WHTC(C)(=コールドスタート)、WHTC(H)(=ホットスタート)、WHTC、WHSCの各モードの排出ガス試験によって判明した事象は、そして、Cエンジンは、尿素水の消費節約等のために、エンジンの高負荷の領域(=JE05、WHTCWHSCの各モードのエンジン運転における負荷領域)では、尿素SCR触媒の停止等の制御が実施されていると推測されることである。つまり、Cエンジンは、エンジンの高負荷の領域(=JE05、WHTC、WHSCのエンジン運転の負荷領域)では、尿素水の供給を停止または削減し、尿素SCR触媒がNOxの還元による排気ガス浄化機能を意図的に中止または低下さる制御が採用されていると推測される。これは、Cエンジンを搭載したトラック・バスがユーザからの尿素水の消費量増大による不満を事前に回避することが最大の目的と推察される。

JE05、WHTC、WHSCの各モードの排出ガス試験におけるエンジン運転領域
(JE05、WHTC、WHSCの各モードの中・低負荷領域と高負荷領域)
WHTCとJEO5モードのエンジン運転領域
WHSCモードのエンジン運転領域(=

 一般的に、排出ガス試験モードのエンジンの運転が実施されないエンジン負荷領域を意図的に選択して尿素SCR触
媒等の排出ガス削減装置の停止等の手段・方法を用いて排出ガス削減の機能を大幅に低下させる制御を採用したエ
ンジンは、「排出ガス制御の無効化」(=デフィートストラテジー、デフィートデバイス、サイクルビーティング)と称して古く
から脱法行為のエンジンと見なされてきた。そして、これまで「排出ガス制御の無効化」の制御を採用したエンジンとし
ての告発があった場合には、国土交通省は「排出ガス制御の無効化」の脱法・違法行為と見なし、これまでも厳しく販
売の禁止と改善の指導をしてきた経緯がある。このような「排出ガス制御の無効化」の脱法・違法行為は、最近では
筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化の「11−7.違法行為のシステム制御で燃費向上を図っていたトラック
メーカの燃費改善の困窮」の項に示したいすゞ自動車の例がある。

 ポンコツ元技術屋の筆者の記憶では、国土交通省がディーゼルエンジンの「排出ガス制御の無効化」の脱法・違法
行為の中止・改善を指導したのは、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプの電子タイマーが採用され始
めた25年程度も昔ではないかと記憶している。それは、日本の13モードの排出ガス試験法では排出ガス測定試験が
アイドル運転後の一定時間後に終了することに注目した或るトラックメーカが、大型トラックに搭載のエンジンにアイド
ル運転後の一定時間の経過後にNOx削減のための制御である燃料噴射時期の遅延を中止し、燃料噴射時期を大幅
に進角させて燃費向上を図る脱法・違法の電子制御を採用したことである。その結果、この大型トラックは、当時の排
出ガス規制に適合しているにもかかわらず、実際の市場の走行では、多くのNOxの垂れ流す状況が生じたのである。
当時、これについては、その後、国土交通省(=当時の運輸省)は、ディーゼルエンジンの「排出ガス制御の無効化」に
ついて「排出ガス制御の無効化」として大きく問題視し、そのトラックメーカに「排出ガス制御の無効化」の中止を指示し
たような記憶がある。その後、国土交通省は、当然ながら、「排出ガス制御の無効化」に対しては厳しく目を光らせてい
る筈と思っていた。

 ところが驚いたことに、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏が発表した「次期重量車用試験サイクルの排出ガス
性能の評価」の論文な内容を詳細に検討すると、この鈴木央一氏の研究に使われた3台の供試エンジンの中のCエ
ンジンは、エンジンの高負荷の領域(=JE05、WHTC、WHSCのエンジン運転の負荷領域)では、尿素水
の供給を停止または削減し、尿素SCR触媒がNOxの還元による排気ガス浄化機能を意図的に中止または低
下させる「排出ガス制御の無効化」の制御を採用していると推測されるのである。

 つまり、国土交通省の自動車の型式認定試験を行う自動車審査部を抱えた(独)交通安全環境研究所の鈴木央一
氏が発表した論文の研究に使用されたCエンジンは、尿素SCR触媒がエンジンの中・低負荷の領域(上記のJE05エン
ジン運転の負荷領域図のの領域)に限定してNOxを削減するように適切に作動するようにな制御を採用し、2009年
のディーゼル重量車排出ガス規制のNOx=0.7 g/kWhに適合させているようである。そのため、エンジンの高負荷運転
時の排出ガスを測定するJE05以外のWHTC(H)、WHTC、WHSCの排出ガス試験モードでは、Cエンジンは、JE05モ
ードの排出ガス試験においてエンジン運転が実施されない高負荷で尿素SCR触媒が停止等によってNOx削減機能が
大幅に低下させる「排出ガス制御の無効化」の制御を採用しているため、異常に高いNOx排出値が測定されると考え
られる。因みに、コールドスタートのWHTC(C)は、尿素SCR触媒の温度が低いために尿素SCR触媒によるNOx削減の
機能が発揮できないため、エンジン制御の如何に係わらず、高いNOx排出値が測定されることになると考えられる。

 (独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は、このような「排出ガス制御の無効化」の制御を採用しているCエンジンを
含む3台の供試エンジンを使ってWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、JE05、WHSCの各種排出ガス試験モードの排出ガ
の評価試験を実施し、それを論文発表したのである。その中のNOx排出に関する結果が以下に示した「WHTC(C)、
WHTC(H)、WHTC、JE05、WHSCの各種排出ガス試験モードにおけるNOx排出(=図6)」である。

鈴木央一氏の発表論文の各試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)

 この(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏の発表論文の各試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)を見ると、
A、B、Cの3台の供試エンジンについてのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCモードのNOx排出値には、明らかに
異常とも思える大きなバラツキ・散乱が読み取れる。このNOx排出値の大きなバラツキ・散乱の原因は、Cエンジンがエ
ンジンの低・中負荷の領域に限定して尿素SCR触媒が正常に作動してNOx削減する機能を備えているが、エンジンの
高負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御した「排出ガス制御の無効化」の制御を採
用したエンジンであるためと、ポンコツ元技術屋の筆者には思えて仕方がないのである。つまり、Cエンジンは、エンジ
ンの高負荷の領域でNOx削減の機能が劣るため、エンジンの高負荷領域でのNOx排出も含めて測定するWHTC(C)、
WHTC(H)、WHTC、WHSCモードの排出ガス試験では、高いNOx排出値が計測されることになる。

 これに対し、高負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御する「排出ガス制御の無効
化」の不正な制御を採用していないAエンジンとBエンジンは、エンジンの高負荷領域でのNOx排出も含めて測定する
WHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCモードの排出ガス試験でも、常にエンジン高負荷の領域での尿素SCR触媒NOx
削減の機能が作動するため、低いNOx排出値を測定されているのである。

 このように、上記の鈴木央一氏の発表論文の各試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)に示されたA、B、Cの3台
の供試エンジンのNOx排出値のバラツキ・散乱は、A、B、Cの3台の供試エンジンの中に、「排出ガス制御の無効化」
の脱法・違法な制御のCエンジンが紛れ込んでいるためと考えられる。要するに、排出ガス後処理装置の出鱈目な制
御を行う「排出ガス制御の無効化」の制御を採用した脱法・違法なエンジンが供試エンジンに紛れ込んだ場合には、
WHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、JE06、WHSCモードの試験サイクルのNOx排出の評価をすることが不可能になると云
うことである。

 しかし、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は、A、B、Cの3台の供試エンジンについてNOx排出値の大きなバ
ラツキ・散乱については、何の論評も行っていないのである。そして、この異常とも言えそうなNOx排出値の顕著なバラ
ツキ・散乱を完全に無視して、発表論文の各試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)から、下記の結論を強引に導き
だしているのである。

第十次答申の次期NOx規制=0.4g/kWhが第八次答申のNOx挑戦目標=0.23g/kWhと同等とする鈴木央一氏の主張
ディーゼル重量車)

 (独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は、上記の発表論文の各試験サイクルにおける大きなバラツキ・散乱のNO
x排出の評価(=図6)を根拠にして、中央環境審議会・第十次答申に示された「ディーゼル重量車におけるNOx許容限
度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等のレベル
である」との答申について、概ね妥当な水準といえるとの主張しているのである。この「概ね妥当な水準といえる」
の出鱈目と思える主張を(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏が主著者を務める論文に堂々と記載した動機を推
測すると、以下の二つの理由が考えられる。

理由 @ 
 (独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏とそのグループの専門家は、「各種の排出ガス試験サイクルのNOx排出の
評価(=図6)」のCエンジンのNOx排出値データの顕著なバラツキ・散乱について、誰もが異常とも考えず、各種の排
出ガス試験サイクルのNOx排出の正確な評価に有用なNOx排出データとの見解である。その場合、次期排出ガス試験
モードのWHTCと現行のJE05モードについて、「各種の排出ガス試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)」に示された
A、B、Cの3台の供試エンジンNOx排出値の平均を比較して、WHTCモードのNOx排出値が現行JE05モードのNOx排
出よりも大幅に増加と結論が導き出された可能性がある。しかし、この結論は、供試したCエンジンがエンジンの高負
荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御した「排出ガス制御の無効化」の脱法・違法な
エンジンであることを見落とした鈴木央一氏とそのグループの専門家の愚行によって引き起こされた研究業務の完全
な失敗の結果の場合が考えられる。
 
理由 A
 (独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏とそのグループの専門家は、中央環境審議会・第十次答申に示された「デ
ィーゼル重量車におけるNOx許容限度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/
kWh(=JE05モード)と同等のレベルである」との答申を肯定・賛同するための論文発表を上司から命じられた可能性
がある。この第十次答申に示された「NOx許容限度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)が第八次答申のNOx挑戦目
標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等」とのNOx排出試験データを作り出すため、エンジンの高負荷の領域での尿素
SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御した「排出ガス制御の無効化」のためにWHTCモードのNOx排出
値の高いCエンジンを市販トラック・バスの車種の中から意図的に捜し出した可能性がある。そして、この違法・脱法の
Cエンジンを供試エンジンに加えることによって、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏とそのグループの専門家
は、WHTCモードのNOx排出値が現行JE05モードのNOx排出よりも大幅に増加するとの結論を作為的導き出す「捏
造もどき」が行われた場合が考えられる。この場合、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏とそのグループの専門
家は、専門家・人間としての良心を捨てることになるが、サラリーマンとしての生活・出世を守るための苦汁の選択であ
ると考えられる。

 このように、中央環境審議会・第十次答申に示された「ディーゼル重量車におけるNOx許容限度目標値:0.4 g
/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等のレベルであ
る」との答申について、「概ね妥当な水準といえる」とする(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏の主張は、
エンジンの高負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御した「排出ガス制御の
無効化」を採用した違法・脱法制御のCエンジンにおけるWHTCモードでの高いNOx排出値が根拠のとなってい
るのは明らかである。もっとも、このCエンジンがエンジンの高負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機
能しないように制御した「排出ガス制御の無効化」を採用した違法・脱法制御のエンジンとした見解・判断は、単なるポ
ンコツ元技術屋の筆者の誤った偏見かも知れない。

 そこで、この論文の主著者の(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は、このCエンジンがエンジンの高負荷の領域
での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しないように制御した「排出ガス制御の無効化」を採用のエンジンでは無
いと明確に否定されるのであれば、Cエンジンが「排出ガス制御の無効化」のエンジンで無い証拠となるA、B、Cの3台
の供試エンジンのWHTCモードとJE05モードのダイリューショントンネルのNOx排出のチャートを末尾の筆者のEメール
宛てにお送りいただきたい。筆者がそのNOx排出のチャートを拝見させていただき、Cエンジンが「排出ガス制御の無
効化」のの制御を採用していないことを納得できれば、Cエンジンが「排出ガス制御の無効化」のエンジンとした筆者の
のさせて貰えば、エンジンでな無い証拠はとした見解・判断は、見解・判断は完全に誤っていたことのなる。その場合
には、このページの削除、若しくは訂正したいと考えている。

 そもそも、次期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行のJE05の各種排出ガス試験
モード排出ガス性能評価する試験研究において、エンジンの低・中負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分
に機能しない「排出ガス制御の無効化」(=デフィートストラテジー、デフィートデバイス、サイクルビーティング)を採用し
た脱法・違法制御のCエンジンを供試エンジンに加えることは、正しい評価結果が得られないことが明白である。例えて
言うと、ペットボトルの飲料水に毒物や病原菌が混入した場合は、その飲料水を飲むと中毒や病気になるため、ペット
ボトルの中の水は、本来の飲料水としての価値が無くなるのと同じである。ところが、何らかの方法を用いて毒物や病
原菌が混入した水の「毒物の浄化」や病原菌の除菌・駆除」に成功すれば、ペットボトルの中の水は再び飲料水として
の価値が生まれるのである。これと同様に、次期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現
行のJE05の各種排出ガス試験モード排出ガス性能評価に供試されたA、B、Cの3台のエンジンの中に紛れ込んだ
物や病原菌に相当する「排出ガス制御の無効化」の脱法・違法な制御のCエンジンのNOx排出値を除去・削除すれば、
上記の鈴木央一氏の発表論文の「各試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)」のNOx排出値が有用な試験データとし
て生かすことが可能と考えられる。

 そして、次期期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行のJE05の各種排出ガス試験
モードの排出ガス性能を正確に評価するためには、「排出ガス制御の無効化」(=デフィートストラテジー、デフィートデ
バイス、サイクルビーティング)を採用した脱法・違法制御のCエンジンのNOx排出データを削除することが必要・不可
欠である。そこで、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏が発表した論文に記載されたA、B、Cの3台の供試エンジ
ンによるWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、JE05、WHSCの各種排出ガス試験モードにおけるNOx排出結果(=図6)か
ら、「排出ガス制御の無効化」を採用した脱法・違法行為のCエンジンンのNOx排出データだけを削除した修正図を下
記に示した。この修正図によって初めて次期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行
のJE05の各種排出ガス試験モードの排出ガス性能が正しく評価できると考えられる。

(独)交通研究の試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)」から「排出ガス制御の無効化」のCエンジンのデータ削除

 A、B、Cの3台の供試エンジンの中から、エンジンの高負荷の領域での尿素SCR触媒のNOx削減が十分に機能しな
いように制御した「排出ガス制御の無効化」を採用した違法・脱法制御のCエンジンの異常なNOx排出データを削除し
たことにより、上記の「各種試験サイクルのNOx排出の評価(=図6)」のNOx排出値は、極めてバラツキ・散乱が少な
いことが判る。これは、各種試験サイクルの正確なNOx排出の評価試験を行うために、違法・脱法制御のCエンジンを
供試エンジンから排除する当然の処置を行っただけである。すべき、「排出ガス制御の無効化」を採用した違法・脱法
制御のCエンジンにおける異常なNOx排出値を排除したためと考えられる。この「排出ガス制御の無効化」を採用した
違法・脱法制御のCエンジンのNOx排出値を削除したAエンジンとBエンジンの「各種試験サイクルのNOx排出の評価
(=図6を見ると、重量車用試験サイクルのWHTCモード(=コールドスタート+ホットスタート)とJE05モード(=ホットス
タート)のNOx排出値は、ほぼ同一であることが明らかである。したがって、中央環境審議会・第十次答申に示された
「ディーゼル重量車におけるNOx許容限度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23
g/kWh(=JE05モード)と同等のレベルである」との答申の内容は、完全に誤りであると推察される。

(独)交通研・鈴木央一氏の「次期重量車用試験サイクルの排出ガス評価」論文の試験データから判明した事象
(この鈴木央一氏の論文は、2014年11月5〜6日開催の(独)交通安全環境研究所の「交通安全環境研究所フォーラム2014」にて発表)
重量車用試験サイクルのWHTCモード(=コールドスタート+ホットスタート)とJE05モード(=ホットスタート)のNOx排出値は、ほぼ同一であることが判明した

中央環境審議会・第十次答申に示された「ディーゼル重量車におけるNOx許容限度目標値:0.4 g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)と同等のレベルである」との答申の内容は、完全に誤りであることが確認された。

中央環境審議会・第十次答申に基づいたディーゼル重量車の2016年NOx規制の0.4g/kWh(=WHTCモード)は、第八次答申のNOx挑戦目標:0.23 g/kWh(=JE05モード)を不当に緩くした欠陥のNOx規制値と推察される。

 2014年11月5〜6日に開催された「交通安全環境研究所フォーラム2014」において、(独)交通安全環境研究所の鈴
木央一氏が発表した「次期期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行のJE05の各種
排出ガス試験モードの排出ガス性能を評価する研究」の論文の試験結果は、A、B、Cの3台の供試エンジンの中に
れ込んだ「排出ガス後処理装置(=尿素SCR触媒)の制御の無効化」を採用した脱法・違法行為のCエンジンンの試験
データも含まれているため、各種排出ガス試験モードの排出ガス性能を正確に評価することが困難な状況であった。そ
こで、「排出ガス後処理装置(=尿素SCR触媒)の制御の無効化」を採用した脱法・違法行為のCエンジンンの試験デ
ータを排除した結果、A、Bの3台の供試エンジンの試験データにより、次期期重量車用試験サイクルのWHTC(C)、
WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行のJE05の各種排出ガス試験モードの排出ガス性能を正確に評価することが可能と
なったのである。

 このCエンジンの試験データを排除し、Aエンジンと、Bエンジンの3台の供試エンジン試験データによる次期
重量車用試験サイクルのWHTC(C)、WHTC(H)、WHTC、WHSCと現行のJE05の各種排出ガス試験モードの
排出ガス性能を正確な評価の結果、重量車用試験サイクルのWHTCモード(=コールドスタート+ホットスター
ト)とJE05モード(=ホットスタート)のNOx排出値は、ほぼ同一であることが実証されたのである。このことにつ
いては、この発表論文の主著者である(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は異論が無いものと推察される。

 そのため、今後、(独)交通安全環境研究所の鈴木央一氏は、今後、(独)交通安全環境研究所のホームページに掲
載された本論文の内容の訂正・修正を行うものと推察される。そのようにしなければ、(独)交通安全環境研究所の
鈴木央一氏は、「排出ガス後処理装置(=尿素SCR触媒)の制御の無効化」を採用した脱法・違法行為のCエ
ンジンンの試験データを根拠として、「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」
が第八次答申のディーゼル重量車の挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)(JE05 モード)と「同等レベ
ル」との誤った技術情報を、政府の自動車の型式認定試験を担当する自動車審査部を抱えた(独)交通安全環
境研究所のホームページ上に、今後も、延々と掲載し続けることになる。この場合、普通の神経の持ち主であれ
ば、羞恥心にさいなまれ、毎日が針のムシロにいるような気持ちのなるのではないかと推測される。もっとも、(独)交通
安全環境研究所の鈴木央一氏は、Cエンジンンの試験データを見ても、このCエンジンンが「排出ガス後処理装置(=
尿素SCR触媒)の制御の無効化」を採用した脱法・違法行為のエンジンであることに気付いていないのであれば、日本
の大型トラックのNOx規制の強化に関し、国民のために極めて有益な業務を遂行していると、自己満足に陥っているも
のと考えられる。この場合は、国民にとっては、迷惑この上ないことではないだろうか。

 ところで、前述の「2-2.中央環境審議会の第十次答申の内容を詳述した添付資料の第十次報告の概要等」にも述
べたように、第十次報告においても、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、「次期目標値は、第八次答申
のレベルに達している」と記載し、「第十次答申の許容限度目標値(平均値)= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」が第
八次答申の「ディーゼル重量車の挑戦目標=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh(JE05 モード)」と同等のレベルと
強調しているのである。このように、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会は、第八次答申の「ディーゼル重
量車の挑戦目標=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh(JE05 モード)」を基準にして「第十次答申の許容限度目標値= 0.4 g
/kWh(WHTCモード)」がディーゼル重量車の次期のNOx規制値として適正であると断定しているのである。

 このことから判断すると、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会のエンジン専門の東大教授・河野通方
氏、慶応大教授・飯田訓正氏、産総研・センター長・後藤新一氏、京都大教授・塩路昌宏氏、JARI/主管・杉山
元氏・早稲田大学教授・大聖泰弘氏は、第十次答申が提出された2010年7月28日の時点においても、2005年4
月の第八次答申に記載されたJE05モードでのディーゼル重量車のNOx挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g
/kWh)のNOx規制レベルを日本で将来的に必ず実施すべきとの判断基準を一貫して堅持しているものと推測さ
れる。

 一方、本項で詳述しているように、(独)交通安全環境研究所・鈴木央一氏の「次期重量車用試験サイクルの排出ガ
ス性能評価」の論文における「排出ガス後処理装置(=尿素SCR触媒)の制御の無効化」を採用した脱法・違法行為の
Cエンジンンの不適切・過誤の試験データを排除した試験結果の解析により、「重量車用試験サイクルのWHTCモー
ド(=コールドスタート+ホットスタート)とJE05モード(=ホットスタート)のNOx排出値は、ほぼ同一であること
が判明」したのである。この(独)交通安全環境研究所・鈴木央一氏の「次期重量車用試験サイクルの排出ガス性能
評価」の研究結果に基づき、中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会のエンジン専門の東大教授・河野通方氏、
慶応大教授・飯田訓正氏、産総研・センター長・後藤新一氏、京都大教授・塩路昌宏氏、JARI/主管・杉山 元氏・早稲
田大学教授・大聖泰弘氏は、学者・専門家としての良心から、当然、ディーゼル重量車については、中央環境審議
会・自動車排出ガス専門委員会は、第十次答申の次期のNOx許容限度目標値0.4 g/kWh」を即刻に強化
し、NOx許容限度目標値:0.23 g/kWh(=WHTCモード)のレベルの規制を実施する行動を起こすことが本来
の姿であり、学者・専門家としての良心的な行動と考えられる。

4.ディーゼル重量車のNOx規制:0.23g/kWh(=WHTCモード)の適合を可能にする新技術

 何はともあれ、中央環境審議会は、2005年4月8日の第八次答申において、ディーゼル重量車の将来のNOx規制は、
挑戦目標(=0.7g/kWhの1/3=0.23g/kWh)のレベルの規制強化を実施すべきである答申したのである。そして、中央
環境審議会は、現在でも、ディーゼル重量車の将来のNOx規制が第八次答申のNOxレベルに規制を強化強化すべき
との方針には変わらないようである。ところが、2010年7月に提出された第10次答申では、次期のNOx許容限度目標値
として 0.4 g/kWhの不当に緩い誤ったNOx許容限度目標値が答申されたのである。しかし、中央環境審議会の第十次
答申は、排出ガス試験サイクルの排出ガス性能評価の誤った試験データを基に設定されたものである。したがって、
は、中央環境審議会は、今後、ディーゼル重量車のNOx許容限度目標値の 0.4 g/kWhを更に厳しくしたNOx許容限度
目標値:0.23 g/kWh(=WHTCモード)のレベルのNOx規制強化を早急に実施すべき状況にあると考えられる。

 また、ディーゼル重量車(=大型トラック)の燃費については、2015年度重量車燃費基準が2006年4月1日に施行され
たのが現行の燃費規制である。この大型トラックの2015年度重量車燃費基準も施行以来、10年近くの年月が経過して
いるため、現時点では大型トラックの大部分の車種が2015年度重量車燃費基準に適合した状態に到ったことや、トラ
ックユーザの更なる燃費向上の要望やCO2削減の社会的ニーズから、2015年度重量車燃費基準の基準強化が検討
され始めているようである。そのような状況を鑑みると、わが国では近い将来に、2015年度重量車モード燃費基準から
+10%程度の向上の重量車燃費基準の基準強化を図ることが適切ではないかと推察される。

わが国において、近い将来に実施すべき大型トラックのNOx規制と度重量車モード燃費基準強化(案)
(筆者の個人的な提案)
名 称
NOxと燃費の削減 レベル
@
低NOxの基準
(2016年の次のNOx規制強化)
低NOx基準 = 0.23 g/kWh (= WHTCモード)
2016年の次期NOx規制値の約 43 % 減)
2005年の第八次答申のNOx挑戦目標レベル)
A
低燃費の基準
(2015年度重量車燃費基準の次の燃費基準)
2015年度重量車モード燃費基準から
+10%程度の向上

 上記のわが国で近い将来に実施すべき大型トラックのNOx規制値(WHTCモード)と度重量車モード燃費基準強化の
両方に大型トラックを適合させることのできる技術が、筆者の提案している気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
である。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、ディーゼルエンジンの重量車モード燃費値を5〜10%の改
善すると同時に、WHTCモードでの尿素SCR触媒のNOx削減率を大幅に向上できる新しい技術である。したがって、こ
筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を大型トラックのディーゼルエンジンに採用す
れば、「NOx排出値= 0.23 g/kWh(= WHTCモード)までの削減」と「2015年度重量車モード燃費基準よりも+
10%程度の燃費向上」を実現した大型トラックが容易に実用化できるのである。

 なお、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術によって大型トラックの燃費改善とNOx削減が容易に実
現できる理由・原理の説明は、このページの記述が長くなることを避けるため、ここでは割愛する。しかし、気筒休止エ
ンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用することによって大型トラックの燃費改善とNOx削減が可能となる理由と
根拠を知りたい読者は、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化、または気筒休止は、ディーゼルのNOx削
減と燃費向上の一挙両得の技術だ!を是非とも御覧いただきたい

 ところで、2016年に実施が予定されている「NOx規制値= 0.4 g/kWh(WHTCモード)のNOx規制強化」とは別に、近い
将来、仮に国土交通省が2015年度重量車燃費基準の+10%程度の向上」を求めた大型トラックの燃費基準の強化
を決断した場合、トラックメーカは、この「NOx規制値= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」と「2015年度重量車燃費基準の+1
%程度の向上」を満足する「低NOx・低燃費トラック・バス」を開発せざるを得ないことになる。その場合、大型トラック
用ディーゼルエンジンに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用すれば、この「低NOx・低燃費トラ
ック・バス」は容易に実用化できることになる。

 しかしながら、現時点(=2014年10月現在)では、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の
怠慢に詳述しているように、政府(国土交通省および環境省)は、大型トラックにおいては現行の米国のNOx規制値= 
0.27 g/kWh(=2010年規制)に比べて大幅に緩い「NOx規制値= 0.4 g/kWh(WHTCモード)」の規制を2016年に実施す
る予定である。先進国を自認する日本にとっては極めて恥ずかしいことではないだろうか。この現状は、大型トラックの
NOx削減と燃費向上の新技術を黙殺・隠蔽する学者諸氏に詳述しているように、日本のディーゼルエンジン関係の学
者・専門家が一致団結して大型トラックのNOx削減と燃費改善に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特
許技術を無視・黙殺している品性下劣な行為も大きく影響しているものと考えられる。このような状況に日本が陥ってし
まっているのは、国土交通省と環境省が現時点でディーゼル重量車における「緩いNOx規制の実施」と「2015年度重量
車燃費基準の強化の先送り」が原因ではないかと疑われても仕方がないように思えるのである。

 このような状況では、日本の大型トラックにおける低NOxや低燃費の技術開発が停滞することになり、結果的に世界
の大型トラックの技術発展からの大きな遅れを生じてしまうことになると推察される。そこで、この状況を打破する必要
があるが、そのための最良の手段・方法は、国土交通省および環境省がディーゼル重量車の「NOx規制 = 0.23
 g/kWh (= WHTCモード)のレベル」と「2015年度重量車モード燃費基準からの+10%程度の向上」の規制強
化を率先して早急に実施することである。幸いなことに、ディーゼル重量車においては、これらのNOxと燃費の
規制強化には気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用することによって容易に適合が可
能になるのである。したがって、今後、国土交通省および環境省は、ディーゼル重量車の「NOx規制 = 0.23 g/kWh 」
と「2015年度重量車モード燃費基準からの+10%程度の向上」の規制強化を、迷うこと無く早急に実施すべきと考えら
れる。これによって、国土交通省および環境省は、省エネルギー、CO2削減、およびNOx削減における積極的な施策
に対して国民からの強い支持・賞賛を受けるものと考えられる。

 ついでに申し上げると、2016年3月3日に国土交通省は、クリーンディーゼルエンジンが搭載と宣伝して市販されて
いる現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、東京近郊の冬場の10℃近傍以下での路上走行では
保護制御ソフトによってNOx削減装置を停止させるためにNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxを垂れ流
す欠陥?のあることを発表した。しかし、驚くことに、国土交通省は、この冬場の路上走行でNOxを垂れ流すランドクル
ーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車がエコカー減税の政府の優遇策を受けて今後も市販することを承認しているよう
である。

 因みに、欧州のディーゼル自動車では、2017年9月には「路上走行のNOx排出値が台上試験のNOx基準値の2.1
倍以内」の路上走行のNOx排出値に規制する予定を既に発表している。しかし、朝日新聞デジタルの2016年3月5日
の報道j記事によると、日本の国土交通省は、これから5年後(=2021年2月頃?)に欧州と同様のディーゼル自動車
での路上走行のNOx排出値の規制実施を検討し始めたようである。これが事実であれば、東京近郊の冬場の10℃近
傍以下での路上走行でNOx規制値の2.9倍〜12.7倍の高濃度のNOxの垂れ流しの欠陥を改善したランドクルー
ザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、2021年2月頃になるまで、日本では市販されない可能性もあると考えられる。
これは、トヨタ自動車がランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車の路上走行での高濃度のNOxの垂れ流しの欠
陥を改善できる技術が未開発と、国土交通省が認識しているためであろうか。

 ところが、この現行のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車に気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
特許技術を採用した場合には、冬場の路上走行で高濃度のNOxの垂れ流す欠陥を容易に改善することが可能であ
る。つまり、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディー
ゼル車は、冬場の路上走行においても、NOx規制値のクリーンなNOx排出状態でのの運航が可能になる。これにつ
いては、気筒休止は、プラド(トヨタ)ディーゼル車の冬場のNOx垂れ流しの欠陥を改善に詳述しているので、興味のある方
は、御覧いただきたい。

 上記本文中で誤り等がございましたら、メール等にてご指摘下さいませ。また、疑問点、ご質問、御感想等、どのよう
な事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。

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