![]() 【(独)交通安全環境研究所の「次世代低公害車開発・実用化促進事業(第3期)平成23年度〜平成26年度」の研究内容についての問題点】
最終更新日:2015年1月13日
1.交通安全環境研究所は、大型トラックでのCO2削減の効果がの少ない研究を実施
2011年11月8〜9日に(独)交通安全環境研究所の「平成23年度 交通安全環境研究所フォーラム2011」が開催され
た。その際に配布された「講演概要」の中の表1に示した「1.新たな次世代大型低公車プロジェクトの取り組み」には、 (独)交通安全環境研究所は、「運輸部門のうち多くのCO2を排出する大型車(=大型トラック・トラクタ)分野において、 低炭素化に資する革新的技術の早期実現を図るため、自動車メーカと協働し、技術開発を促進しつつ必要な基準の 整備を行う」ことが明記されている。
そして、(独)交通安全環境研究所が平成23年度〜平成26年度の期間で実施する、「次世代低害車開発・実用化促
進事業(第3期)」の研究開発として、表1に示した通り、以下の内容の研究が実施されているとのことである。
さて、日本の運輸部門の大型車(=大型トラック・トラクタ)分野における低炭素化(=CO2削減)を図るため、交通安
全環境研究所は、平成23年度〜平成26年度の期間で「高効率ハイブリッドトラック」、「電気・プラグインハイブリッドトラ ック(小・中型)」、「高性能電動路線バス」および「次世代バイオディーゼルエンジン」の4項目の技術開を実施中とのこ とである。(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一とそのグループの諸氏が実施中の「次世代低害車開発・実用化促 進事業(第3期)」における4項目の研究開発により、大型車(=大型トラック・トラクタ)分野における低炭素化(=CO2 削減)を実現すると主張されているが、筆者には疑問に思えて仕方がない。これについて、この筆者の胸に引っかかっ て消えない疑問点を以下の表2にまとめた。
以上の表2に示したとおり、(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、日本の運輸部門の
中で多くのCO2を排出する大型車(=大型トラック・トラクタ・バス)分野における低炭素(=CO2削減)の社会を実現す るために、平成23年度〜平成26年度の期間にて「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」として、「 高効率ハ イブリッドトラック」、「電気・プラグインハイブリッドトラック(小・中型)」、「高性能電動路線バス」および「次世代バイオデ ィーゼルエンジン」の研究を実施しているいるとのこと。しかし、、「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」の4 項目の研究は、上記の表2の中で説明したように、わが国における低炭素(=CO2削減)の社会を実現や脱石油の推 進に貢献できない内容と考えられる。したがって、(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏が 「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」の4項目の研究を仮に成功成功裏に終了させたとしても、日本の運輸 部門の大型車(=大型トラック・トラクタ・バス)分野における低炭素(=CO2削減)の社会を実現することが困難と考え られる。
しかし、筆者の考えとは異なり、交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、「次世代低害車開
発・実用化促進事業(第3期)」として実施されている4項目の試験研究によって本当に将来の日本の大型車(=大型ト ラック・トラクタ・バス)分野における低炭素(=CO2削減)の実現ができると信じられているのであろうか。そうであるなら ば、(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、是非とも筆者が表2に示した疑問点の誤り についてのご指摘を、このページの末尾に示した筆者のEメール宛にお送りいただきたいものである。仮に表2に示し た疑問点に誤りがあるならば、筆者は躊躇無く、即刻に誤りの訂正を行う所存である。
しかし、仮に、表2に示した筆者の疑問点の誤りについてのご指摘を筆者にお送りいただけない場合には、(独)交通
安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」として実 施されている4項目の試験研究によって本当に将来の日本の大型車(=大型トラック・トラクタ・バス)分野における低 炭素(=CO2削減)の実現が困難なことを承知の上で、この試験研究を実施されているものと推測される。その場合、 (独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、将来の日本の大型車(=大型トラック・トラクタ・ バス)分野における低炭素(=CO2削減)が実現できないことを承知していながら、それがあたかも実現できるかの如く 説明して試験研究費を獲得していたことになると考えられる。このようなことは、人間として恥ずべき詐欺的な行為のよ うに思えるが、如何なもにであろうか。
仮に、これが事実であれば、(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、特別会計とは云
え、貴重な税金の無駄使いを堂々と行っていることになる。このようなことは、近年の膨大な財政赤字のために消費税 の増税を強いられようとしている立場の一般国民にとっては、迷惑この上の無いことではないだろうか。そのため、会 計検査院は、日本の大型車(=大型トラック・トラクタ・バス)分野における低炭素(=CO2削減)の実現に貢献しない研 究である「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)【平成23年度〜平成26年度実施】」が税金の無駄使いである ことを速やかに認定すべきと考えられる。そして、この後藤 雄一氏とそのグループの諸氏が実施している「次世代低 害車開発・実用化促進事業(第3期)」の研究プロジェクトを早期に中止する処置をとって欲しいものである。
1−2.自動車用燃料として失格のバイオマス由来の燃料を研究する交通安全環境研究所
(1) DDF大型トラックの実用化だけが将来の脱石油の実現できる唯一の方法・手段
図1は、世界の油田発見と石油生産の実績と将来の予想をに示したものである。この図1では、世界の石油生産の
ピークは、2008年頃の予想となっている。実際、図2に示した通り、2008年の世界の石油(=原油)生産はピークを迎え
ている。
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何はともあれ、図1に示したように、現在の油田からの生産量の減少と新しい油田が発見・開発される数の先細りが
予想されるため、今後の世界の石油生産が減少の一途をたどることは間違いないと考えられる。このように、石油(=
原油)生産のピークの時代を迎えてしまった、今後の世界の石油生産量は確実に減少し続けると予想される。そのた
めため、近い将来には、石油不足の時代の到来が間違いなく到来するものと予想される。そのため、現在の世界の殆
ど全ての大型トラックには、燃料に軽油が使用されている状況である。そのため、世界中の組織・団体・研究機関等で
は、大型トラックの脱石油を可能にする技術の研究が盛んに実施されているようだ。
一方 図3に示したように、現在では世界の人口は、70億人に近くまで増加してきており、今後、更に増加することが
予想されている。その一方、図4に示した資料によると、世界のエネルギーの全生産量は、2020年頃にピークになって
しまうようだ。そして、その後には人類が確保できるエネルギーの総量は、減少していくものと推測されている。したがっ
て、今後は更なる人口増加によるエネルギー需要が増大するにもかかわらず、地球上の利用可能なエネルギー資源
の枯渇が進行する時代に突入しようとしているのである。このような状況から、近い将来、エネルギー不足が顕在化す
ると危惧されている。このような現状から、将来の大型トラックには、省エネルギー資源を浪費する燃料の使用を避け
ることは、誰が考えても当然のことである。
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この全世界の各エネルギーの生産量 (これまでの実績と将来の予想)の図5を見ると、石油以外の主要なエネルギ
ー資源である天然ガスや石炭の生産は、2008年の石油生産のピークから20年程度の遅れた2025年付近において、ピ
ークを迎えそうである。このように、石油、天然ガスおよび石炭の地球上の主要なエネルギー資源は、現在若しくは近
い将来に生産量のピークを迎えてしまう状況である。したがって、エネルギー資源の枯渇が危惧される現在において
は、将来的に大型トラックの燃料を石油以外の脱石油燃料に転換するにしても、大型トラックにおける脱石油燃料の
Well-to-Wheelのエネルギー効率が現在の軽油ディーゼルトラックのWell-to-Wheelのエネルギー効率に比較して同等
以上のエネルギー効率を確保すべきことは、誰の目にも疑いの無いことだ。
このように、全世界を見ると、今後の更なる人口増加によるエネルギー需要が増大するにもかかわらず、地球上の
利用可能なエネルギー資源の枯渇が進行する時代に突入しようしているのである。特に、石油は2008年頃に生産のピ
ークを迎えたため、生産量が減少し続けている。そのため、燃料のほとんどを石油に依存している大型トラックにおい
ては早急に燃料の脱石油を図らなければ、円滑なトラックによる円滑な物流に大きな支障を来たすことになる恐れが
ある。このように、地球上の利用可能なエネルギー資源の枯渇が進行する時代において大型トラックの脱石油を図る
ためには、現行の軽油ディーゼルの大型トラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率を確保しながら脱石油を可
能にする大型トラックを実用化する必要がある。
前述の図3に示したような世界人口の更なる増加のため、今後の世界の石油需要は増大するものと予想される。そ
れにもかかわらず、図1、図2に示したように、既に2008年に石油ピーク迎えるてしまったている。このように、現在で
は「世界人口の更なる増加」と「石油資源の枯渇」の危機的な時代に突入しようとしているのである。不幸なことに、そ
のような時代に突入し始めたとしても、世界の経済活動や市民生活を維持・発展させていくためには、トラックによる円
滑な貨物輸送の維持が不可欠である。ためには、現時点でほぼ100%の燃料を石油に依存している大型トラックは、
早急に脱石油化を図る必要がある。その場合、近い将来には地球上の利用可能な石油資源の枯渇の時代の到来が
必至であることを考えると、早急なトラックの脱石油が必要であることは誰もが認めるところである。このトラックの脱石
油においては、前述の図4に示した如く、世界のエネルギーの全生産量が2020年頃にピークになってしまうことを考慮
すると、最悪の場合でも現行の軽油ディーゼルトラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率で運行が可能
な脱石油のトラックを選択する必要があることは明白である。そこで、天然ガスと石炭をエネルギー資源に用いて
各種の脱石油の大型トラックを運行した場合のWell-to-Tankの燃費の優劣(=ネルギー効率の優劣)を表3に示した。
注1:出典は、「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する
研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研
注2:出典は、天然ガス専焼のCNG大型トラックは、重量車燃費基準に不適合の欠陥トラックのページ
この脱石油のエネルギー資源である天然ガスと石炭をエネルギー資源とした各種の新燃料(=天然ガス、DME、
CTL,GTL)をトラックに用いた場合のエネルギー効率を示した表3を見ると明らかなように、現行の軽油ディーゼルのト
ラックと同等のWell-to-Wheelのエネルギー効率のトラックは、DDFトラックだけである。天然ガス専焼トラック、天然ガス
由来DMEトラック、石炭由来DMEトラック、天然ガス由来GTLトラック、石炭由来GTLトラックのWell-to-Wheelのエネル
ギー効率は、軽油ディーゼルに比べて30%〜70%程度も劣っている。このことから、数年後には世界人口の更なる
増加によるエネルギー需要が増大するにもかかわらず、既に2008年に石油ピーク迎えると共に、地球上の利用可能な
エネルギー資源の枯渇のために全世界のエネルギー生産量が減少する時代に実用化すべき脱石油の大型トラック は、DDF大型トラックを実用化し、これを普及していく方法・手段しか無いことが明らかだ。なお、DDFトラックの詳細につ いては、DDF運転とディーゼル運転の選択が可能なDDF大型トラック およびDDF運転とディーゼル運転の選択が可能 なDDF大型トラック に記載しているので、興味のある場合には御覧いただきたい。
しかしながら、日本の多くの会社・研究組織・研究団体等は、現時点ではDDFトラックの研究開発には本格的に着手
していないようだ。そして、現在でも従来と大きく変わること無く、惰性のようにトラックの燃料にDMEやGTL用いる研究
を熱心に行っているようだ。このようなDMEトラックやGTLトラックの研究は、筆者には試験研究費の無駄使いそのもの
と考えられる。近い将来、国の税収不足のために消費税の増税が実施されようとしているわが国において、将来的に
何の役にも立たないDMEトラックやGTLトラックの研究に多額の政府の試験研究予算が使われているとすれば、実に
嘆かわしいことだ。多くの国民にとっては、何とも遣り切れないことである。
(2) トラックの脱石油に無効なバイオマス由来の燃料を調査・研究する交通安全環境研究所
木質系バイオマスを可燃性ガスに変え、そのガスを触媒等の反応させる手段を用いてガス化合成によって軽油(FT
ディーゼル)、ガソリン、DME等のトラック・バスの石油代替燃料を製造する基本的な技術は、ドイツが第二次世界大戦
当時から行っていたようであり、最近になって新しく見い出されたものでは無い。しかし、(独)交通安全環境研究所は、
図1に示した装置を用い、廃材などの木質系バイオマスを可燃性ガスに変え、そのガスからトラック・バスの石油代替
燃料の軽油(FTディーゼル)、ガソリン、DMEを合成する研究を現在でも熱心に実施しているようだ。その方法は、図1
に示したように、先ず最初に木質系バイオマスを800〜1000℃の高温による蒸し焼き状態を維持してガス化し、水素
(H2)と一酸化炭素(CO)を作る。そしてガス中のH2とCOの比を調整し、触媒の入った装置内でH2とCOを高圧・高温で
反応させるることによって液体炭化水素を生成することが可能とのことだ。その際、触媒の種類、反応圧力、温度を変
えることで、軽油(FTディーゼル)、ガソリン、ジメチルエーテルなど、さまざまな物質を作ることができるようである。
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ところで、バイオマスを高温による蒸し焼き状態を維持してガス化し、ガス中のH2とCOの比を調整し、触媒の入った
装置内でH2とCOを高圧・高温で反応させるることによって製造したバイオマス由来のFT合成油およびDME(=ジメチル
エーテル)を燃料に用いてトラックを運行させることが可能である。そこで、このバイオマス由来のFT合成油およびDME
は、原料がバイオマスであるために軽油に比べて低炭素燃料の特徴がある。そこで、これらバイオマス由来のFT合成
油とDMEと共に、従来から低炭素燃料として一部の地域で既に供給されている天然ガスについての燃料のWell-to-
Tankのエネルギー効率を表4に整理した。また、表4には、バイオマス由来のFT合成油とDME、および天然ガスをトラッ
クに使用した場合のTank-to-Wheelのエネルギー効率と、軽油ディーゼルトラックを基準とした場合のWell-to-Wheelの
燃費の優劣(=エネルギー効率の優劣)を記載した。更に、表4には、バイオマス由来のFT合成油とDME、および天然
ガスを大型トラックの燃料に使用した場合の脱石油の大型トラックを運行した場合の将来的な大型トラックとして実用
性の可否の評価も記載した。
注1:出典は、「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する
研究報告書】 平成16年11月 トヨタ自動車梶@みずほ情報総研
注2:出典は、天然ガス専焼のCNG大型トラックは、重量車燃費基準に不適合の欠陥トラックのページ参照
この上記の表4から明らかなように、軽油ディーゼルのトラックと比較した場合、天然ガス専焼トラックの運行では
30%も多くのWell-to-Wheelでのエネルギーを消費することになり、木質系バイオマス由来のDMEトラックの運行では
65%も多くのWell-to-Wheelでのエネルギーを消費することになり、木質系バイオマス由来のFT合成油トラックの運行
では92%も多くのWell-to-Wheelでのエネルギーを消費することになりる。そのため、殆んど全ての分野において、省エ
ネルギーが最も重要視される現在では、木質系バイオマス由来のDMEとFT合成油は、「脱石油」や「バイオマスで有る
が故の低炭素(=CO2排出削減)」の燃料であるとしても、大型トラックの燃料としては失格であることが誰の目にも明
らかなことだ。一方、天然ガスと軽油を併用するDDFトラックは、軽油ディーゼルと 同等のエネルギーの消費で運行で
きるのである。
このDDFトラックに搭載されているDDFエンジンは,各シリンダの吸気ポートに設けたガスインジェクタから吸気弁の開
弁期間中に主燃料の天然ガスをシリンダ内に向かって噴射して運転するするエンジンである.その燃焼形態は,シリン
ダ内に天然ガスの過濃領域と空気の多い領域に分けた不均一な混合気を形成させ,ディーゼルの高い圧縮比を変え
ずに全負荷時に多量の天然ガスを供給した場合でもノッキングを生じさせないようにしたものである。そして,燃焼室内
にパイロット噴射した軽油の予混合気が最初に自己着火して火炎を形成し,この火炎が天然ガスの希薄予混合気を
燃焼させるエンジンである。このDDFトラックは、燃料に軽油と天然ガスを併用するため、大型トラックの脱石油化に有
効であり、しかも、ディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジンおよびDDF運転とディーゼル運転の選択
が可能なDDF大型トラック に詳述しているように「大型トラックの低炭素(=CO2排出削減)」にも大きく貢献できる優れ
たトラックである。
このように、大型トラックの「脱石油」と「低炭素(=CO2排出削減)」に有効であると共に軽油ディーゼルと同とのWell-
to-Wheelのエネルギー効率のDDFトラックの技術が既に存在している現在においては、Well-to-TankおよびWell-to-
Wheelの観点から大型トラックの燃料としては完全に失格の木質系バイオマス由来のDMEとFT合成油を大型トラックの
燃料に使用した場合の「低炭素(=CO2排出削減)」の効果を調査・分析する研究を実施することは、「愚の骨頂」では
ないだろうか。何度も繰り返すが、Well-to-TankおよびWell-to-Wheelのエネルギー効率が軽油よりも大幅に劣
る木質系バイオマス由来のDMEとFT合成油は、将来とも大型トラックの燃料に使用できない欠陥燃料であるこ
とが明らかだ。
そもそも、前述の表3に示した平成16年11月のトヨタ自動車梶Eみずほ情報総研鰍フ「輸送用燃料のWell-to-Wheel
評価」【日本における輸送用燃料製造(Well-to-Wheel)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告書】のデー
タを見た人は誰でも、木質系バイオマス由来のDMEとFT合成油が大型トラックの燃料として失格の欠陥燃料であること
を容易に理解してしまう筈だ。そして(独)交通安全環境研究所の専門家と云われる人達は、当然、このトヨタ自動車
梶Eみずほ情報総研鰍フ報告書(平成16年11月)の内容を熟知しているものと考えられる。それにもかかわらず、(独)
交通安全環境研究所は、2012年11月6〜7日開催の「平成24年度 交通安全環境研究所フォーラム2012」で配布された
「講演概要」には、トラック・バス用の燃料として木質系バイオマス由来のDMEとFT合成油を用いた場合の 「D 次世代
バイオマス燃料自動車のLCA−木質バイオマスを原料とするガス化合成燃料の事例分析ー」の論文を発表しているの
である。そして、この論文には、「将来的に有望なバイオマス燃料を選択していくためには、車両への適用性及び温室
効果ガス(GHG)排出量を含めた総合的な環境負荷を評価する手法を確立していく必要がある」とし、「本研究はそうし
た観点にたち、今回は、木質バイオマスを原料にしたガス化合成により製造される燃料を取り上げ、原料の前処理・輸
送から燃料製造そして車両走行の全体を通じてのCO2排出量についてLCA(life cycle assessmemt:ライフサイクルア
セスメント)を行った」と記載されている。しかし、この論文の内容については、筆者には多くの疑問点があるので、それ
を表5にまとめた。
このように、表5に疑問点等をまとめた「D 次世代バイオマス燃料自動車のLCA−木質バイオマスを原料とするガ
ス化合成燃料の事例分析ー」の論文を拝見すると、(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏、川野大輔氏、石井素 氏、東京理科大学大学院の渡辺祐太郎氏、東京理科大学大学の小井土賢二氏、堂脇清志氏は、バイオマス由来の DMEやFT合成油等が将来のトラック用燃料(=自動車用燃料)として重大な欠陥のあるにもかかわらず、将来の将来 のトラック用燃料自としてこれらバイオマス由来のDMEやFT合成油等が普及する時代が来るとの誤った見通し・予想・ 先入観を持っているようだ。そして、佐藤由雄氏とそのグループの人達は、大型トラック等の燃料として重大な欠陥の あるバイオマス由来のDMEやFT合成油等の無駄な調査・研究をこれからも継続して実施する意向であることを論文の 中で堂々と述べている。このことは、佐藤由雄氏とそのグループの人達が政府予算の無駄使いによる赤字国債の上 乗せし、更なる国の負債の増加に大きく貢献しようとしていることを自ら宣言しているようなものだ。そして、困ったこと に、DMEやFT合成油等に関する佐藤由雄氏とそのグループの人達の知識・認識が完全に誤っていることに、彼ら自身 が何も気付いていないようにも感じられることである。哀れとしか言いようが無いと思うが、如何なものであろうか。
また、下記の表4に示したように、2012年5月の自動車技術会・春季大会では、(独)交通安全環境研究所の佐藤由
雄氏は、バイオマス燃料関係のセッションにおいて、「DME過給エンジンの燃費改善に関する研究」の共著者に名を連
ねているようだ。これを見ると、(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏は、バイオマス由来のDMEのWell-to-Tankの
エネルギー効率が軽油よりも大幅に劣る欠陥があるにもかかわらず、バイオマス由来のDMEをトラックの将来の燃料
として普及させるための技術情報の発信に一生懸命のようだ。このように、トラック用燃料として重大な欠陥のあるバイ
オマス由来のDMEをトラックの将来燃料に推奨する(独)交通安全環境研究所の佐藤由雄氏の厚顔無恥とも思える活
動は、筆者には不可解なことであり、信じられないことだ。
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何はともあれ、(独)交通安全環境研究所の学者・専門家は、如何なる理由で日本のWell-to-Wheelの「脱石油」と「低
炭素(=CO2削減)」に無効と考えられる技術の調査・研究のテーマを好き好んで選択し、この調査・研究を熱心に実施
しているようである。このことは、筆者には全く理解できないことだ。因みに、筆者の意見としては、近い将来、わが国に
おける大型トラックの「脱石油」と「低炭素(=CO2削減)」を本当に実現するならば、大型トラック等の燃料として重大な
欠陥のあるバイオマス由来のDMEやFT合成油等の無駄な調査・研究を即刻に中止し、ディーゼルに比べ15%のCO
2削減が可能なDDFエンジンやDDF運転とディーゼル運転の選択が可能なDDF大型トラック のページに詳述いている ような、DDFエンジンを搭載したDDF大型トラックの研究開発を早急に開始すべきと考えている。
2.軽油に比べて熱効率が30%も劣るDMEの自動車燃料の規格を作成する愚かな人達
以上のように、バイオマスから合成したDMEを燃料とするDMEトラックは、軽油を燃料とするディーゼルエンジンよりも
Well-to-Wheelの燃費(=熱効率)が65 % も劣る重大な欠陥がある。そのため、将来、軽油の代替の燃料として自動 車用燃料にバイオマスから合成したDMEを広く普及させた場合、地球上の自動車分野のエネルギーの消費を無駄に 増加させることになることが明らかである。そのようなエネルギー資源の浪費を招く軽油に代替してバイオマスから合成 したDMEを自動車用燃料として広く一般化する可能性は、常識的に考えれば、皆無と考えられる。しかし、世の中に は、バイオマスから合成したDMEが自動車用燃料として広く普及するとの常識の無い学者・専門家が存在するようだ。 その学者・専門家は、将来的な自動車用燃料にDMEが普及することに備えて、以下の表7に示したように、バイオマス から合成したDMEの自動車用燃料の規格作成に懸命に取り組んでいるようである。ポンコツ元技術屋の筆者から見れ ば、荒唐無稽な行為のように見えるが、如何なものであろうか。
以上うのことから、最近の(独)産業技術総合研究所の研究計画では、小熊 光晴氏、鳥羽 誠氏、小渕 存氏、佐々
木 基氏、後藤 新一氏を含む学者・専門家は、政府予算を使ってトラック用燃料に使用不能な欠陥のあるバイオマス から合成したDMEについて、「自動車用DME燃料品質の国内外標準化」と云う業務を熱心に推進しているいるようで ある。これを見ると、(独)産業技術総合研究所の小熊 光晴氏、鳥羽 誠氏、小渕 存氏、佐々木 基氏、後藤 新一氏を 含む学者・専門家は、ディーゼルエンジンの燃料の観点からの評価では、バイオマスから合成したDMEが軽油よりも燃 費(=Well-to-Wheelの熱効率)が30%程度も劣る重大な欠陥があるとの認識が欠けているように見受けられるのであ る。
そのため、(独)産業技術総合研究所の光晴氏、鳥羽 誠氏、小渕 存氏、佐々木 基氏、後藤 新一氏を含む学者・専
門家は、「自動車用DME燃料品質の国内外標準化」が適切な業務を実施中との認識であるかも知れない。 しかし、ポ ンコツ元技術屋の筆者から見れば、バイオマスから合成したDMEが将来とも自動車用燃料として普及する可能性が将 来とも皆無なために、「自動車用DME燃料品質の国内外標準化」が不必要と考えられる。したがって、「自動車用DM E燃料品質の国内外標準化」は、日本では将来とも何の役には立たないことが明らかであり、「愚の骨頂」・「荒唐無稽 な行為」と思えるのである。そのため、トラック用燃料に使用不能なDMEの燃料品質の標準作成は、バイオマスから合 成したDMEの燃料品質の標準を作成する(独)産業技術総合研究所の政府予算の執行は、会計検査院の適切な検査 によって中止されることを切に望むところである。
3.天然ガス併用のDDFトラックは、大型トラックのCO2削減と脱石油の実現が可能
ところで、欧米の一部の天然ガスの安価な地域に限定されてはいるが、、軽油着火型の天然ガスエンジンであるディ
ーゼルデュアルフュエル(DDF)エンジンを搭載したDDFトラックが、限られたユーザによってかなり以前から使用されて いる。このDDFトラックに搭載されているDDFエンジンは,各シリンダの吸気ポートに設けたガスインジェクタから吸気弁 の開弁期間中に主燃料の天然ガスをシリンダ内に向かって噴射して運転するするエンジンである.その燃焼形態は, シリンダ内に天然ガスの過濃領域と空気の多い領域に分けた不均一な混合気を形成させ,ディーゼルの高い圧縮比 を変えずに全負荷時に多量の天然ガスを供給した場合でもノッキングを生じさせないようにしたものである。そして,燃 焼室内にパイロット噴射した軽油の予混合気が最初に自己着火して火炎を形成し,この火炎が天然ガスの希薄予混 合気を燃焼させるエンジンである。
このように、DDFエンジンでは燃料として単位発熱量当たりのCO2発生量が51g/MJと、単位発熱量当たりのCO2発
生量が69g/MJの軽油の両方を使用することがDDFエンジンの特徴である。そして、このDDFエンジンを搭載したDDF トラックが実際の貨物輸送で消費する燃料は、50%が天然ガス、50%が軽油である。このように、DDFトラックでは使用 燃料の約半分が天然ガスによってが運行されるため、このDDFトラックのCO2排出量は、ディーゼルトラックのCO2排 出量よりも15%前後の削減が可能となる。このような、「CO2削減」や「50%程度の脱石油」が可能なDDFエンジンや DDFトラックについて興味のある方は、ディーゼルに比べ15%のCO2削減が可能なDDFエンジンおよびDDF運転とデ ィーゼル運転の選択が可能なDDF大型トラック に詳述しているので、御覧いただきたい。
以上ように、DDFエンジンやDDFトラックの技術を実用化すれば、わが国の大型トラックの「CO2削減」や脱石油」が
容易に実現できるである。そして筆者はこのDDF技術について、日本自動車技術会の講演論文(著者:石田明男 他, 323 中型トラック用ECOS-DDF天然ガスエンジンの開発,学術講演会前刷集No.71-00,社団法人 日本自動車技術 会)を発表し、2006年には筆者のホームページでも詳細に説明しているのである。それにもかかわらず、(独)交通安全 環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、DDFエンジンやDDFトラックの技術を完全に黙殺される一方、 平成23年度〜平成26年度の期間に「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」のプロジェクトとして、大型車(= 大型トラック・トラクタ・バス)分野における低炭素(=CO2削減)の効果が期待できない「 高効率ハイブリッドトラック」、 「電気・プラグインハイブリッドトラック(小・中型)」、「高性能電動路線バス」および「次世代バイオディーゼルエンジン」 の無駄な研究を実施されているのである。(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏が本当に 日本の大型車(=大型トラック・トラクタ・バス)分野における「低炭素(=CO2削減)」や「脱石油」を推進する意思がある のであれば、「次世代低害車開発・実用化促進事業(第3期)」(平成23年度〜平成26年度)の「 高効率ハイブリッドトラ ック」、「電気・プラグインハイブリッドトラック(小・中型)」、「高性能電動路線バス」および「次世代バイオディーゼルエン ジン」の無駄な研究を即刻に中止し、DDFエンジンを搭載した大型DDFトラックの開発研究に着手すべきと考える。
このように、交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、「低炭素(=CO2削減)」や「脱石油」に
有効な「DDFエンジン」や「DDFトラック」の技術を無視しているが、スウェーデンのボルボ・トラックスは、2011年5月31日 に長距離輸送向けに大型DDFトラック(写真1参照)を発売(出典:http://www.volvotrucks.com/trucks/global/en-gb/ newsmedia/pressreleases/Pages/pressreleases.aspx?pubid=10743)した。その発表によると、エンジンは13リットル、最 高出力は440HP(338kW)、最大トルクは2300Nmである。天然ガス(LNG)の利用率は75%であり、エンジンの熱効率 は、スパークプラグ式天然ガスエンジンに比べて、30〜40%高く、CO2排出量はディーゼルトラックに比べて10%削減 することができるとのこと。また、筆者がこれまで説明してきたように、走行中に天然ガス(LNG)を使い果たした場合に は、軽油のみで走行することも可能である。2011年には100台程度をオランダ、イギリス、スウェーデンで販売する予定 で、8月から生産が開始されるとのことだ。今後、2年程度で、欧州の6〜8カ国で年間400台程度の販売が予定されて いるようだ。
このボルボの大型DDFトラックの発売情報を知った(独)交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸
氏は、さぞかし驚かれたのではないだろうか。このボルボの大型DDFトラックの発売によって、交通安全環境研究所の 後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、大型DDFトラックを無視する心の拠りどころを失い、戸惑いを感じているので はないかと推察される。ボルボが天然ガスを燃料とするDDFトラックの市販を開始したことによって、数年前の金融危 機のリーマンショックならぬ「ボルボ ショック」とも呼べそうな衝撃を受けたものと推察される。果たして、交通安全環境 研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、これからも頑なに「CO2削減」や「脱石油」に有効なDDFトラックを無 視し続ける一方、わが国の脱石油と低炭素社会(=低CO2社会)の実現には殆ど貢献できない「次世代低害車開発・ 実用化促進事業(第3期)」の「 高効率ハイブリッドトラック」、「電気・プラグインハイブリッドトラック(小・中型)」、「高性 能電動路線バス」および「次世代バイオディーゼルエンジン」の無駄な研究をこれからも熱心に継続して実施し続ける のであろうか。
筆者のような一般国民からすれば、欧州でボルボが「CO2削減」や「脱石油」に有効なDDFトラックの販売に踏み切
ったことを受け、交通安全環境研究所の後藤 雄一氏とそのグループの諸氏は、世の中の流れを率直に受け入れて これまでの交通安全環境研究所の研究方針を変更し、積極的に大型DDFトラックを開発する方向に大きく舵を切って 欲しいものだ。万が一でも、仮にそうなった場合には、わが国の大型トラックの分野において、大型DDFトラックによる 「CO2削減」と「脱石油」が推進できることになり、大いに好ましいことではないかと思っている。
ところで、ボルボは、トラックメーカとしては世界で始めて「CO2削減」や「脱石油」に有効な大型DDFトラックの市販を
開始したが、残念なことに、このボルボの大型DDFトラック・トラクタに搭載されたエンジンは、旧式の技術とも云える吸 気管内噴射式のDDFエンジンである。一方、この旧式の吸気管内噴射式DDFエンジンの性能を更に向上できる新し い技術が既に世の中に存在しており、それが天然ガスをシリンダ内に直接噴射する直噴式DDFエンジンである。この 直噴式DDFエンジンは、吸気管内噴射式DDFエンジンに比べ、DDFエンジンにとって重要な要素である「排出ガス性 能の向上」や「天然ガス(LNG、CNG)の使用割合を向上」できることが特徴である。
したがって、仮に、日本で大型DDFトラックが開発されるのであれば、ボルボの吸気管内噴射式のDDFエンジ
ンを搭載した大型DDFトラックよりも優れた性能を持つ直噴式DDFエンジンを搭載した大型DDFトラック・トラ クタを是非とも早期に実用化して欲しいところだ。そして、この大型DDFトラック・トラクタには、筆者が提案する直噴 式DDFエンジン(特許公開2008-51121)の技術を採用して欲しいものだ。その場合には、大型DDFトラック・トラクタは、 直噴式DDFエンジンを搭載しているにもかかわらず、「ディーゼル走行」と「DDF走行」との任意の走行モードを選択し て運行できるようになるのである。 何はともあれ、わが国のディーゼル関係の学者・専門家やトラックメーカの大いな る健闘が期待されるところである。
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