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気筒休止を無視した大聖教授の論文の技術ではディーゼルの性能改善が
困難!


最終更新日:2019年7月31日 

                 能登半島国定公園・千里浜なぎさドライブウェイと三菱アウトランダーPHEV

 「公益社団法人・自動車技術会」が2018年4月1日に発行した技術誌「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」には、早稲田
大学の大聖泰弘名誉教授が「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」と題した論文を発表している。
当該論文では、今後、更なる排気浄化と燃費改善が向上できる可能な技術として列挙された自動車用ディーゼルエン
ジン技術の中には、「気筒休止」の技術についての記載が見当たらない。このことから判断すると、「気筒休止」が自
動車用ディーゼルエンジンの排気浄化と燃費改善の機能が大幅に劣ると技術であると、大聖泰弘名誉教授は
確信している学者のようである。
 
 しかし、「気筒休止」が自動車用ディーゼルエンジンでの排気浄化と燃費改善の機能・性能に劣る技術との見
方の大聖泰弘名誉教授の主張は、ポンコツ元技術屋の筆者は、完全な誤りと考えている。したがって、「気筒休
止」の技術を自動車用ディーゼルエンジンの排気浄化と燃費改善の進化が可能として列挙された技術候補から完全に
排除した大聖教授の欠陥論文が 「自動車技術  Vol.72、No.4、2018.」(毎月4万〜5万部程度の発行部数)に堂々と掲
載されていることは、誤った技術情報が世間一般に広く拡散されていると判断しているのが、ポンコツ元技術屋の筆者
の見解である。そのため、自動車技術会が「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」に大聖泰弘名誉教授の論文を掲載した
ことは、日本の自動車技術の発展を阻害する要因にも成り得る由々しき問題と考えている。

 そこで、ポンコツ元技術屋の筆者は、僭越ながらも、「気筒休止」の技術には自動車用ディーゼルエンジンの排気浄
化と燃費改善の機能が無いとする大聖教授の主張が「完全に誤り」と判断される根拠・理由について、以下の通りまと
め、ホームページ上に公開することにした。因みに、大聖泰弘教授は勿論のこと、学生を含む早稲田大学の関係者の
諸氏の中で、本ページに記載した内容に「誤り」があるとの意見開示の意思を有する方は、 是非とも、その旨を閑居
人のプロフィールに記載したポンコツ元技術屋の筆者のメールアドレス宛にEメールを送信していただきたい。仮に
も、、本ページに記載した内容に誤りのあることが判明した場合には、即刻、本ページの訂正、若しくはページ削除等
の適切な処置を講じる所存である。

1.大型ディーゼルトラックの排気浄化と燃費改善は、エンジン部分負荷の性能改善が必須

1−1.高速道路の走行時における大型ディーゼルトラックのエンジン負荷頻度

 大型ディーゼルトラックが日本の高速道路を走行する場合、走行中のエンジン運転のエンジン負荷頻度は、以下の
図1-1に示した通り、エンジンの中・低負荷での運転が極めて高いのが現状である。したがって、エンジンの全負荷運
転状態のディーゼルエンジンの性能向上(=燃費改善と排気浄化)を図ったとしても、日本の高速道路を走行する大型
ディーゼルトラックの燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)を大きく向上することが困難なことは明らかである。

 つまり、日本の高速道路を走行する大型ディーゼルトラックの燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)を大幅に
進展させるためには、大型トラック用ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時における燃費改善と排気浄化(=
NOx削減等)が必須であることは明白である。

図1‐1 高速道路の走行時における大型ディーゼルトラックのエンジン負荷頻度
(出典:http://tech.jsae.or.jp/2014haru/pc/speech.aspx?id=357
(この図1-1は、日野自動車が自動車技術会2014年秋季大会にて発表された論文「過給ディーゼルエンジンの気筒休止についての一考察」[文
献番号20145364]より抜粋)


1−2.WHTCとJE05の試験モードにおける大型ディーゼルトラックのエンジン負荷頻度

 WHTCとJE05の試験モードは、大型トラックの排出ガス、若しくは燃費の規制・基準の適合の評価に採用されてい
る。WHTCとJE05の両方の試験モードでのエンジン運転のエンジン負荷頻度は、以下の図1-2に示した通
り、共にエンジンの中・低負荷での運転が極めて高い。したがって、大型ディーゼルトラックの燃費改善と排気浄
化(=NOx削減等)を良化・向上を図るためには、大型トラック用ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時にお
ける燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)が必須であることは明白である。

 因みに、WHTCとJE05の試験モードは、大型ディーゼルトラックが都市内・郊外・高速等の全ての日本の道路を走
行した場合のエンジン運転状態と一定レベルの高い相関性があるとされている。そのため、大型ディーゼルトラックの
燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)を良化・向上を図るためには、大型トラック用ディーゼルエンジンの中・低負荷運
転時における燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)が必要があることは、当然と考えられる。

図1‐2 WHTCとJE05の試験モードにおけるエンジンの回転数とトルクの比較(エンジンの回転数とトルクの頻度)
(出典:[独]交通安全環境研究所が2014年11月5〜6日に開催した「交通安全環境研究所フォーラム2014」での発表論文「次期重量車用試験サイ
クルの排出ガス性能評価」より抜粋、https://www.ntsel.go.jp/forum/2014files/1105_1130.pdf


第1項の結論
 大型ディーゼルトラックにおいて、「高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、およ び「NOx規制以上のNOx削減」の更なる進化・進展を実現するためには、大型トラック用ディーゼルエンジ ンの中・低負荷運転時における燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)が必須である。

2.大聖教授が主張するディーゼルのNOx削減と燃費改善に有効な技術

2−1.大聖教授の論文では、ディーゼルにおける気筒休止についての記述

 「公益社団法人・自動車技術会」が2018年4月1日に発行した技術誌「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」には、早稲田
大学の大聖泰弘教授が「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」と題した論文を発表されている。当
該論文を読むと、自動車用ディーゼルエンジンにおける今後の更なる排気浄化と燃費改善が可能と大聖教授が主張
する技術が列挙されている。その中で、大聖教授は、ディーゼルエンジンの気筒休止についての記述は、以下の通り
である。

2−1−1.大聖教授論文での第3項の図2では、気筒休止がディーゼルの部分負荷の効率改善に有効と記載

 以下の図2‐1に示した通り、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の大聖教授論文の第3項の図2には、「気筒休止の
技術はディーゼルエンジンでの部分負荷の効率改善に有効」であることが明記されている。この大聖教授の論文にお
ける「気筒休止の技術はディーゼルエンジンでの部分負荷の効率改善に有効」との主張は、本ページの第1項および
第2項に詳述したポンコツ元技術屋の筆者の主張と同じである。

図2‐1 大聖教授論文の第3項の図2には気筒休止がディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善に有効との記載 

3−1−2.論文の第3項で大聖教授が列挙したディーゼルの熱効率向上の技術の中には気筒休止が無し

 以下の図2‐1に示した通り、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の大聖教授論文の第3.1項には、大聖教授は、
型ディーゼルトラックの高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」の今後の進化・
進展を図るためにはディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善が必要と述べている。そして、前述の図2‐1
に示した通り、大聖教授論文の第3項の図2の中にはディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術の一つとして
気筒休止を挙げている。それにもかかわらず、以下の図2‐2に示した通り、ディーゼルエンジンの部分負荷の効率改
善の技術として大聖教授が列挙した技術からは、理由も無しに「気筒休止」が排除されている。

図2‐2 大聖教授論文の第3項の図2を説明したディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術

 以上のように、大聖教授論文の図2ではディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術として「気筒休止」
を記載しているにもかかわらず、大型ディーゼルトラックの高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費
改善」、「モード燃費の改善」を図るための技術について論じた「3.1 一般的な高効率化技術」の項((=前述
図2‐2)ではディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術の本文中には「気筒休止」の技術を大聖教
が黙殺されている。何とも不思議な論文である

2−1−3.大聖教授がディーゼルの部分負荷の性能向上に優れた気筒休止の技術を完全に無視する理由

 本ホームページの前述の第1項に詳述したように、大型ディーゼルトラックにおいて、今後も更なる「高速道路や一般
道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、および「NOx規制以上のNOx削減」の飛躍的な進化・
進展を図るためには、ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善とNOx削減を可能にする技術を新たに開発
し、実用化して行く必要がある。そして、ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善とNOx削減を可能にするた
めには、ディーゼルエンジンの「気筒休止」の技術が極めて有効と考えられる。

 ところが、早稲田大学・大聖泰弘教授は、御自身の「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」に掲載の論文では、大型ディ
ーゼルトラックにおける今後の更なる「高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、
および「NOx規制以上のNOx削減」を実現できる技術候補から「気筒休止」の技術を完全に排除しているのである。こ
れは日本の大型ディーゼルトラックの性能向上にとっては由々しき問題である。そこで、大型ディーゼルトラックの「燃
費改善」や「NOx削減」に有効な「気筒休止」の技術を大聖教授が敢えて黙殺する理由を整理し、以下の図2‐3にまと
めた。

図2‐3 大聖泰弘教授がディーゼルの部分負荷の性能向上に優れた気筒休止の技術を完全に無視する理由
気筒休止ではディーゼルの部分負荷の燃費改善とNOx削減が困難と暗示した大聖論文が発表された理由
 ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費とNOxを大幅に改善できる気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術につい て、大聖泰弘教授が熟知していないのか、若しくは、特許の技術内容を理解していない可能性がある。
(つまり、前述の第2項に示した気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)によるディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費とNOxを大幅 に改善するメカニズムの詳細説明が理解できないのではないかと考えられる)
 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)特許技術がディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費とNOxを大幅に改善できることを 理解していても、一介のポンコツ元技術屋が提案する特許技術に賛同することは、日本を代表する著名な学者である大聖泰弘教授にとっては プライドの許さないことである。そこで、ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費とNOxを大幅に改善できる「気筒休止」の技術そのもの について、大聖泰弘教授が徹頭徹尾、無視する行為を行っている可能性がある。
大聖教授論文の図2(=前述の図3‐1参照)ではディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術として「気筒休止」を記載し、この図2 (=前述の図3‐1参照)について説明した第3項の本文(=前述の図3‐2参照)では、大聖教授が列挙したディーゼルエンジンの部分負荷の 効率改善の技術の中から「気筒休止」の技術を省くと云う、首尾一貫しない内容」なってしまっている。そのような内容となった理由は、大聖教 授が他の技術資料からの技術情報を集めて内容を理解せずに単に切り貼りして作成した論文の可能性があると考えられる。

 通常、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の大聖教授論文のように、当該論文の図2(=前述の図2‐1参照)ではデ
ィーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術として「気筒休止」を記載し、この図2(=前述の図2‐1参照)について
説明した第3項の本文(=前述の図2‐2参照)では、大聖教授が列挙したディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善
の技術の中から「気筒休止」の技術を省く内容」とした場合には、第3項の本文(=前述の図2‐2参照)では、列挙した
ディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善の技術の中から「気筒休止」の技術を省いた理由や根拠を必ず説明する
ものである。

 ところが、この大聖教授論文では、図2(=前述の図2‐1参照)ではディーゼルエンジンの部分負荷の性能改善の技
術として「気筒休止」を明記し、その図2(=前述の図2‐1参照)を説明する記載し、第3項の本文(=前述の図2‐2参
照)では列挙したディーゼルエンジンの部分負荷の性能改善の技術群から「気筒休止」を何の根拠も示さずに黙殺して
いるのである。このような出鱈目と思える論理展開の論文は、技術論文としては明らかに失格と考えられる。

2−2.大聖教授論文では、陳腐なディーゼル燃焼改善の技術による性能向上を提案

 以下の図2‐4に示したように、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の大聖教授論文の「第3.3項」では、大聖教授
は、ディーゼルエンジンの熱効率を将来的に更に向上できる技術として「コモンレール方式による電子制御多段噴射/
高圧噴射(200〜300MPa)」や「可変機構や多段システムによるターボ過給」等の陳腐な技術を主張している。

図2‐4 大聖教授論文の「第3.3項 できーぜる燃焼の改善」の記述の問題点

 ところで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の革新的次世代低公害車総合技術開発が2004〜2009年
に8億6千5百万円の予算を投入し、「コモンレール方式による電子制御多段噴射/高圧噴射(200〜300MPa)」や
「可変機構や多段システムによるターボ過給」等によってディーゼルエンジンの熱効率の向上を図ることを目的とした
「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」と称するクリーンディーゼルプロジェクトが実施されたことは、ディーゼル
エンジン関係のの学者・研究者には広く知られていることである。そして、NEDOのクリーンディーゼルプロジェクトでは、
2015年度重量車燃費基準よりも10%の大幅な燃費改善を開発の目標に掲げていたのである。しかし、このプロジェク
トが実際に終了した時点では、下図の図2‐5に示した通り、2015年度重量車燃費基準よりも2%も燃費が悪化してしま
ったとの研究結果が報告されたのである。

 図2‐5 NEDOの「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」では、燃費悪化の大失敗

 ディーゼルエンジンの燃費とNOxの削減については、多方面で研究が実施されているが、最近の有名な研究プロジ ェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の革新的次世代低公害車総合技術開発(クリーンディーゼ ルプロジェクト、2004〜2009年)だ。この燃費改善とNOx削減の研究は、8億6千5百万円の予算で実施された「超高度 燃焼制御エンジシステムの研究開発」の大型プロジェクトである。

 この8億円以上の膨大な予算を注ぎ込んで鳴り物入りで実施された「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」 の研究開発に採用された燃費と排出ガスを改善技術は、以下の通りである。
@ 新燃焼技術(PCI燃焼):安定したPCI燃焼、PCI燃焼領域拡大
A 超高圧噴射システム:300MPa (高圧噴射ほど噴霧内の当量比分布が均一化)
B カムレスシステム:吸・排気弁の開口面積の最適化(可変バルブ機構)
C 過給システム:3段過給
D エンジン/後処理のシュミレーションによる最適化と統合的制御
E 燃料:セタン価・蒸発性
F 触媒反応熱を利用した触媒装置:DPF+DeNOx
G 排出ガス成分(CO等)を利用したDeNOx触媒:


図18 革新的次世代低公害車総合技術開発の「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の仕様
(出典:http://app3.infoc.nedo.go.jp/gyouji/events/FK/rd/2008/nedoevent.2009-02-16.5786478868/shiryo.pdf

  ところが、この「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」は、肝心の燃費改善については惨憺たる結果で終 わってしまったようだ。その証拠としては、これまでの多くのNEDOの研究開発の例と異なり、この研究開発では当初 の目標と最終結果との燃費改善が余りにも乖離し過ぎているからである。このプロジェクトでは2015年度重量車燃費 基準よりも10%の大幅な燃費改善を目標に掲げながら、最終結果では、下図の通り、2015年度重量車燃費基準よ りも2%も燃費が悪化してしまったのである。


図19 「超高度燃焼制御エンジシステムの研究開発」の最終結果におけるー2%の燃費悪化
(出典:http://app3.infoc.nedo.go.jp/gyouji/events/FK/rd/2008/nedoevent.2009-02-16.5786478868/shiryo.pdf) 
 
 つまり、NEDOのクリーンディーゼルプロジェクトでは、「300MPaの高圧燃料噴射」や「多段システムによるターボ過
給」の技術ではディーゼルエンジンの重量車モード燃費が改善できないことが試験によって実証されたのである。そし
て、この研究結果は、前述の図2‐5に示したNEDOの報告として、世間に広く公表されたのである。したがって、300
MPaの高圧燃料噴射」や「多段システムによるターボ過給」の技術ではディーゼルエンジンの重量車モード燃費が改善
できないことは、当然、早稲田大学・大聖泰弘教授も熟知されている筈である。

 ところが、前述の図2‐4に示した通り、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」に論文の中では「コモンレール方
式による電子制御多段噴射/高圧噴射(200〜300MPa)」や「可変機構や多段システムによるターボ過給」
等によってディーゼルエンジンの熱効率が将来的に更に向上できるとする主張を、大聖教授が行ったのであ
る。この「200〜300MPaの多段・高圧の燃料噴射」や「多段もターボ過給」等によってディーゼルエンジンの熱効率が
将来的に向上できるとする大聖泰弘教授の主張は、NEDOのクリーンディーゼルプロジェクト(=2004〜2009年に実施)
の研究結果に照らし合わせれば、完全に誤りであることが明白である。

 このように、「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」に掲載の論文では、大聖泰弘教授は、燃費のシュミレーション計算結
果を根拠にして300MPaの高圧燃料噴射が燃費の改善に有効との主張し、「コモンレール方式による電子制御多段
噴射/高圧噴射(200〜300MPa)」や「可変機構や多段システムによるターボ過給」等によってディーゼルエンジンの
熱効率が将来的に更に向上できると述べている。大聖教授は、300MPaの高圧燃料噴射ではモード燃費が悪化する
とのNEDOの研究結果を完全に無視し、300MPaの高圧燃料噴射が燃費の改善に有効との虚偽の主張を行っている
が、これについて、ポンコツ技術屋の筆者が個人的に推測した理由・原因は、以下の通りである。

@ 「300MPaの高圧燃料噴射」や「多段のターボ過給」の技術ではディーゼルエンジンの熱効率の向上が困難である
ことを実証したNEDOのクリーンディーゼルプロジェクト(=2004〜2009年に実施)の研究結果報告の内容を、大聖教授
自身が理解できなかった可能性がある。(つまり、聖教授はNEDOのクリーンディーゼルプロジェクト(=2004〜2009
年)の研究報告の内容を本心から否定していることが原因の場合である。)

A 大聖教授は歳を重ねられていることが原因となり、聖教授自身がNEDOのクリーンディーゼルプロジェクトの研究
報告の存在を忘れてしまっている可能性がある。(つまり、聖教授が歳を重ねて耄碌してしまったことが原因の場合
である。)

B 日本自動車技術会から依頼された論文の行数を埋め尽くす目的のために、大聖教授は、NEDOのクリーンディーゼ
ルプロジェクトの研究報告等の近年の技術情報を平気で無視し、今後のディーゼルエンジンの熱効率の向上技術の論
文(=作文)を作成した可能性がある。(つまり、聖教授が学者としての良心を持ち合わせていない場合である。)

2−3.大聖教授論文では、ディーゼルでの不完全な排気ガスの熱エネルギー回生を提案

 前述の第1項に詳述したように、大型ディーゼルトラックにおいて、今後も更なる「高速道路や一般道路の走行燃費改
善」、「モード燃費の改善」、および「NOx規制以上のNOx削減」の飛躍的な進化・進展を図るためには、ディーゼルエン
ジンの中・低負荷運転時の燃費改善とNOx削減を可能にする技術を新たに開発し、実用化して行く必要がある。しか
し、大型ディーゼルトラックにおける今後のも更なる「実走行燃費やモード燃費の改善」及び「NOxの削減」を実現する
ためにはディーゼルエンジンの部分負荷の効率改善とNOx削減が必須であるとの認識は、早稲田大学の大聖泰弘教
授には極めて希薄のようである。つまり、大聖泰弘教授は、大型ディーゼルトラックの性能改善にはディーゼルエ
ンジンの高負荷の性能改善が重要との誤った見解・確信を持った学者と推測される。

 大聖教授は、この間違った見解・認識の結果として、以下の図2‐6に示したように、「自動車技術 Vol.72、No.4、
2018.」の大聖教授論文の「第3.4項」では、ディーゼルエンジンの熱効率を将来的に更に向上できる技術として、大聖
教授は、「ミラーサイクル」、「可変/多段ターボ過給システム」、「ターボコンパウンドシステム(機械式発電式)」、「ラン
キンサイクル(バイナリ発電)」、「熱電素子発電」等のディーゼルエンジンの高負荷運転時においてのみ十分な排気エ
ネルギーを有効に回生できる機能しか有していない技術を堂々と列挙している。ディーゼルエンジンの部分負荷の効
率改善とNOx削減によってのみ大型ディーゼルトラックの高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改
善」、および「NOx規制以上のNOx削減」が可能である事実からすると、排気エネルギー回生の技術によって大型ディ
ーゼルトラックの性能改善を図るとの大聖教授論文の記述は、明らかに誤りである。

図2‐6 大聖教授論文の「第3.4項に記載の排気エネルギーの有効利用」の記述の問題点 

 繰り返しになるが、大型ディーゼルトラックの高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、および
「NOx規制以上のNOx削減」の飛躍的な進化・進展を図るためにはディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改
善を可能にする技術(=本ホームページの第1項に詳述)が必須であることが早稲田大学・大聖泰弘教授には理解
できない学者と考えられる。そのため、大聖教授は、大型ディーゼルトラックの燃費改善において実用的には殆ど役に
立たない頓珍漢な排気エネルギーを有効に回生できる技術を大聖教授が堂々と列挙したものと見られる。これは、エ
ンジンを専門とする学者としては、何とも恥ずかしいことと思うが、如何なものであろうか。

 因みに、ターボコンパウンドは、大型トラックの走行燃費の改善が困難な技術だ!のページでは、ポンコツ元技術屋
の筆者が提案している気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、ターボコンパウンドシステム(機械式
発電式)におけるディーゼルエンジンの中負荷運転時の燃費改善を可能にすることを詳述している。興味のある方は、
ご覧いただきたい。

2−4.大聖教授の論文では、時代遅れのディーゼル予混合圧縮着火を推奨

2−4−1. ディーゼルエンジンの燃料である軽油について

 軽油の原料である原油は、「パラフィン系炭化水素とオレフィン系炭化水素の鎖式の飽和炭化水素」と「ナフテン系炭
化水素と芳香族系炭化水素の飽和環(ナフテン環)や芳香族環を持つ炭化水素]」が混合物である。そして、これら炭
化水素の自己着火性に関しては、飽和環(ナフテン環)や芳香族環を持つ炭化水素に比較し、鎖式の飽和炭化水素は
相対的に良好な自己着火性(=自己着火温度が低い炭化水素)の特性を有している。

 このパラフィン系、オレフィン系、ナフテン系、芳香族系の4種類の炭化水素が混在した原油は、常圧蒸留装置によ
り、沸点の差を利用してガス、LPG、ナフサ、灯油、軽油および残油留分に分離され、各種の燃料等の製品が製造され
る。そして、自動車用ディーゼルエンジンの燃料である軽油は、沸点が170〜360℃の留分であり、 日本ではセタン指
数45(あるいは50)以上の規格に合格した53〜55程度のものが日本国内で市販されている。このように、軽油は、相対
的に自己着火性の良いパラフィン系とオレフィン系の炭化水素と、相対的に自己着火性の劣るナフテン系、芳香族系
の炭化水素の混合物となっているが、軽油を構成する4種類の炭化水素成分の混合割合を規定した規格は無い。

2−4−2.現行の大型トラック用ディーゼルエンジンの燃焼について

 ところで、現行のディーゼルエンジンでは、ピストン圧縮上死点前15度(クランク角度)〜10度(クランク角)のタイミン
グでシリンダ内への燃料噴射が開始されて燃料噴霧が形成される。そして、多くのディーゼルエンジンの場合、燃料噴
射開始から十数度(クランク角度)程度の短期間の経過後にシリンダ内(=燃焼室内)に火炎が出現する着火遅れ期
間(=燃料噴射の開始から自己着火の火炎が出現するまでの期間)が存在する。そして、着火により形成された燃料
の火炎が燃料噴霧の全体に伝播して燃焼が完了するのが、現行のディーゼルエンジンの燃焼形態である。

 そのためには、大気温度が−30℃程度の低い大気温度の環境においても、十数度(クランク角度)程度の着火遅れ
期間後に、セタン指数45(あるいは50)の規格に合格した軽油の噴霧の着火火炎が確実に出現させる必要がある。そ
のためには、ピストンの上死点近傍(=圧縮工程を終了する近傍)において、吸入した燃焼室内の圧縮空気の温度
を、吸入空気温度デセタン指数45(あるいは50)の規格に合格した軽油噴霧が確実に自己着火する温度まで高温化す
る必要がある。

 このように、現行のディーゼルエンジンでは、セタン指数45(あるいは50)の規格に合格した軽油の噴霧を確実に自己
着火を起こさせる温度まで高温化を図る方法として、燃焼室内の圧縮空気を高温化する手段が採用されている。それ
が、現行のディーゼルエンジンの圧縮比が15〜16程度に設定されている理由である。これにより、現行のディーゼルエ
ンジンでは、大気温度が−30℃程度の冬季においても、ディーゼルエンジンが失火の不具合を起こすこと無く、円滑に
運転が可能となっている。

図2−7 現行の大型トラック用ディーゼルエンジンの燃焼のまとめ
現行の大型トラック用の
ディーゼルエンジンの仕様
効 果
・圧縮比は15〜17程度 ・圧縮上死点近傍の燃焼室内温度を高温化
 ↓
・大気温度が−30℃程度の冬季でも、セタン指数45以上の軽油での 着実な 着火を実現
・15°〜10°(BTDC)の時期に燃料噴射」を
開始
・燃料噴射は上死点前後の期間で完了
・圧縮上死点近傍の高温の燃焼室内に燃料噴射
 ↓
・高温の燃焼室内に燃料噴射する機構のために噴霧の着火遅れ
 期間を十数度(クランク角度)に短縮
 ↓
・圧縮上死点以降の等容度の高いクランク角度での熱発生を実現し
 高い熱効率を達成
・十数度(クランク角度)の着火遅れ期間 短い着火遅れ期間は、噴射燃料が少量の部分負荷時における燃料の過剰な 拡散を防止
・十数度(クランク角度)の短い着火遅れ期間
は、部分負荷時における少量の噴射燃料が過
剰に拡散することを防止
十数度(クランク角度)の着火遅れ期間の終了時の自己着火の火炎 を起点 とする火炎伝播よる燃料噴霧全体の燃焼を完了
 ↓
・噴射燃料の全量を確実に
・火炎伝播よる噴射燃料の全量を確実に燃焼 ・熱効率の悪化を防止


2−4−3.ディーゼル予混合圧縮着火の燃焼について

 従来のガソリンエンジンは、火花点火でガソリンの予混合気を点火して火炎伝播により燃焼を完了させる燃焼方式で
あり、ディーゼルエンジンは、燃焼室内に噴射した軽油の予混合気の自己着火の火炎が噴霧液滴に伝播した火炎伝
播で燃焼を完了させる燃焼方式である。これに対し、2000年頃からガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方の分
野で研究開発が盛んになった燃焼方式が予混合的な燃焼方式である。

 ガソリンエンジンではHCCI燃焼と称される均一予混合圧縮着火燃焼と呼ばれ、PCCI燃焼と称される予混合圧縮着
火燃焼と呼ばれる燃焼法である。HCCI燃焼の燃料がガソリンであり、PCCI燃焼の燃料が軽油でああることが大きく異
なるが、HCCI燃焼とPCCI燃焼の両方の燃焼は、共に圧縮着火のみで燃焼を完結し、火炎伝播の燃焼の無いことが特
徴である。したがって、HCCI燃焼とPCCI燃焼は、極めて類似した燃焼法であると考えられる。したがって、HCCI燃焼と
PCCI燃焼は、研究内容が類似しており、見方によっては同一の研究内容と見ることも可能である。逆に言えば、HCCI
燃焼の実用化が可能であれば、PCCI燃焼も実用化が可能と考えられる。

 ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、ディーゼルエンジンの部分負荷運転において、ピスト
ンの上死点前の25?°〜35?°(BTDC)の極めて早い時期に燃料噴射を開始することが特徴である。上死点前の2
5?°〜35?°(BTDC)の早い時期は、圧縮行程の途中である。この時点では、シリンダ内の吸入空気が十分に圧
縮されていないため、この死点前の25?°〜35?°(BTDC)の時期では、この吸入空気は、温度が極めて低い上
に、シリンダ内圧力が低い上に、シリンダ内空気の密度が比較的低い状態である。そのようなシリンダの内部に、燃料
(軽油)噴射するため、燃料噴霧は広く拡散・分布することになる。その結果、シリンダ内(=燃焼室内)では、希薄な混
合気が形成される。ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、ディーゼルエンジンの部分負荷運
転において、この希薄混合気を燃焼させるため、現行ディーゼルエンジン燃焼と大きく異なることになる。

 そこで現行ディーゼルエンジン燃焼とディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の相違について、以
下の図2−8にまとめた。

図2−8 現行ディーゼルエンジン燃焼と、ディーゼル予混合圧縮着火(=PCCI)燃焼の比較
現行の大型トラック用の
ディーゼルエンジンの仕様
ディーゼル予混合圧縮着火(=PCCI)燃焼の仕様
・圧縮比は15〜16程度 ・圧縮比は15?〜16?程度
(17?程度までの高圧縮比の場合も有り得ると予想)
・15°〜10°(BTDC)の時期に燃料噴射を開

・全負荷運転時でも燃料噴射期間は
20°(クランク角度)程度
 ↓
燃料噴射は上死点前後の期間で完了
・25?°〜35?°(BTDC)の時期に燃料噴射」を開始と予想
 ↓
・圧縮行程途中で低い温度のシリンダ内に燃料を噴射
 ↓
着火遅れ期間が20?°〜30?°(クランク角度)程度の長期間
・燃料噴射の終了は、ピストンの上死点前に終了と予想
・着火遅れ期間は、十数度(クランク角度)程度
の短期間
 ↓
・15°〜10°(BTDC)の燃料噴射開始とは、
十数度(クランク角度)程度の着火遅れ期間と
の組み合わせで、上死点近傍の燃焼開始と熱
発生率の高い等容度(=上死点経過後の上死
点に近いクランク角度での熱発生)により、高い
熱効率を実現
着火遅れ期間は、20?°〜30?°(クランク角度)程度の長期間
 ↓
・日本における−30℃から+40℃の年間の大気温度変動では、着火遅れ期 間が大幅に変動する危険が過大
・軽油におけるパラフィン系、オレフィン系、ナフテン系、芳香族系の4種類の炭 化水素の混合比率の変動により、着火遅れ期間が大幅に変動する危険が過大
 ↓
・着火遅れ期間が短くなる変動ではピストン上死点前の着火となるため、エンジ ンの逆回転やディーゼルノックによるエンジン破損の不具合が発生
・着火遅れ期間が長くなる変動ではピストン上死点を大幅に経過した膨張行程 途中の着火となるため、熱効率が大きく低下する不具合が発生
・十数度(クランク角度)の短い着火遅れ期間
は、部分負荷時における少量の噴射燃料が過
剰に拡散することを防止
 ↓
部分負荷時の少量噴射に見合った燃料と空気
の混合気が形成されるため、部分負荷時での
排気損失の削減(=部分負荷時での無駄な吸
入空気の過熱による熱損失の削減))
・20?°〜30?°(クランク角度)の長い着火遅れ期間とすることにより、燃焼 室内に希薄な混合気の分布を広範囲に形成
 ↓
部分負荷時の希薄な混合気形成により、部分負荷時でのNOx削減とPM削減 が可能であるが、部分負荷時での無駄な吸入空気の過熱による熱損失が増大
 ↓
・部分負荷時に熱効率が悪化する危険

 以上のように、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、現行ディーゼルエンジン燃焼と比較し
た場合、部分負荷時での希薄な混合気形成によってNOx削減とPM削減できる素晴らしい特徴がある。ところが、残念
なことに、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、部分負荷時だけの運転しか不可能である上
に、このPCCI燃焼時には従来のディーゼル燃焼に比べて熱効率が悪化してしまうことである。

 つまり、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、部分負荷時の熱効率を悪化させる致命的な
欠陥があるため、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃焼技術としては明らかに失格と考えられる。その上、日本に
おける気象条件や軽油の市販状況を考慮すると、図2−9に示した通り、現行大型トラック用ディーゼルエンジンのよう
な円滑な運転が困難なことから、日本では将来にわたって、このディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI
燃焼)の技術が実用化される可能性は皆無と考えられる。

図2−9 現行ディーゼルエンジン燃焼と、ディーゼル予混合圧縮着火(=PCCI)燃焼の優劣
現行の大型トラック用の

ディーゼルエンジンの仕様
・火炎伝播よる噴射燃料の全量を確実に燃焼
 ↓
・年間での−30℃から+40℃の大気温度変動や、軽油におけるパラフィン系、オレフィン 系、ナフテン系、芳香族系の4種類の炭化水素の混合比率の大幅な変動する日本も状況に おいて、現行のディーゼルエンジンの燃焼では円滑な運転を実現
ディーゼル予混合圧縮着火

(=PCCI)

の燃焼の仕様
・広範囲に拡散・分散した希薄混合気は、自己着火による燃焼により燃焼を完了(=火炎伝 播の燃焼は無し)
 ↓
・日本では年間−30℃から+40℃の大気温度変動や、軽油におけるパラフィン系、オレフィ ン系、ナフテン系、芳香族系の4種類の炭化水素の混合比率の大幅な変動する状況のた め、ディーゼル予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)では、エンジンの運転不能や破損の危 険や、部分負荷時の熱効率が悪化

 このように、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、日本における−30℃から+40℃の年間
の大気温度変動や軽油の品質のバラツキによって発生するエンジン運転上の不具合に加えて、部分負荷時の熱効率
の悪化の問題もあるため、大型トラック用ディーゼルエンジンの燃焼技術としては実用性に欠けることが明白である。

 現在、大幅な大気温度変動や軽油の品質のバラツキが歴然と存在する現在の状況において、「自己着火」と「火炎
伝播」の組み合わで燃焼を完結する現行ディーゼルエンジン燃焼は、適切な圧縮比の採用によって安定した着火遅れ
と燃焼の進行が実現できたため、古くから日本のディーゼルトラックに採用されてきた。これに対し、エンジン部分負荷
運転でのNOx削減とPM削減のメリットだけに目を奪われた馬鹿な学者・研究者・技術者の諸氏は、2001年頃から「自
己着火」のみで燃焼を完結するディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の技術をディーゼルエンジン
の将来的な燃焼技術と声高に推奨してきたのである。そのため、仮に、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼
(=PCCI燃焼)の技術がディーゼルエンジンの将来的な燃焼技術であれば、この技術に関する特許出願や論文発表が
現在でも益々、増加している筈である。

 ところが、冬季の−30℃から夏季の+40℃程度の大気温度変動や、軽油におけるパラフィン系、オレフィン系、ナフ
テン系、芳香族系の4種類の炭化水素の混合比率の大幅な変動する状況のため、ディーゼル予混合圧縮着火燃焼
(=PCCI燃焼)では、エンジンの運転不能や破損の危険や、部分負荷時の熱効率が悪化してしまうことが明らかとなっ
たため、2013年以降にはディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)に関する研究開発が中止される傾
向である。その証拠は、以下に示した「図2‐10 日本におけるPCCI燃焼とf類似したHCCI燃焼の特許出願件数の推
移」と、「図2‐11 日本における予混合圧縮着火燃焼の論文発表件数の推移」である。これら予混合圧縮着火燃焼の
特許出願件数と論文発表件数の推移を見ると、両方の件数とも2013年以降には激減してしまっている傾向が明らか
だ。

図2‐10 日本におけるPCCI燃焼とf類似したHCCI燃焼の特許出願件数の推移
出典:「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要)自動車エンジン技術」平成27年3月
https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/26_9.pdf

図2‐11 世界におけるPCCI燃焼とf類似したHCCI燃焼の論文発表件数の推移
出典:「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要)自動車エンジン技術」平成27年3月
https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/26_9.pdf

 この平成27年3月の特許庁の「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要)自動車エンジン技術」に示された
PCCI燃焼とf類似したHCCI燃焼の特許出願件数や論文発表件数の推移結果から見ると、現時点(=2018年6月現在)
では、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の技術は、将来的に実用化が困難な欠陥技術である
との理解が一般化し、多くの大学、研究機関、企業において当該燃焼技術の研究開発が中止になった様子が見て取
れる。

 この「自己着火」だけで燃焼を完了するディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)が実用化不能な最
大の原因は、大幅な大気温度変動や軽油の品質のバラツキが存在する場合には「自己着火」の着火遅れ期間が激し
く変化するすると云う、工学上の根本原理を完全に無視した結果ではないかと考えられる。要するに、ディーゼルエン
ジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の騒動は、間抜けな学者・研究者・技術者がエンジン燃焼工学上の根本原
理を無視した夢想技術の偏った思い込み結果のように思うが、如何なものであろうか。

 もっとも、2013年頃から、この「自己着火」だけで燃焼を完了するディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=
PCCI燃焼)の実用化が不能であることに多くの学者・研究者・技術者が気付き始めたことは、当然の成り行きと考えら
れる。その結果、2013年以降には、ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の研究開発を慌てて「中
止」若しくは「対外的な喧伝」を止める学者・研究者・技術者が数多く表れた。そのため、ディーゼルエンジンの予混合
圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の特許出願件数と論文発表件数は、急激に減少したものと考えられる。

 したがって、現時点(=2018年6月現在)では、ディーゼル燃焼の本質を理解した学者・研究者・技術者は、ディーゼ
ルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の技術が将来的に実用化が不可能な欠陥技術であると判断してい
ると見るのが妥当である。しかし、現在でも予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)の技術がディーゼルエンジンの将来的
な性能向上技術と推奨する学者・研究者・技術者は、ディーゼル燃焼を理解できない本当の馬鹿な人間ではないかと
考えられる。

 ところで、2018年4月1日に発行された「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」には、早稲田大学の大聖泰弘教授の「自動
車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」と題した論文の第4.3項では、以下の図2‐12に示したように、
聖教授がディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)が将来的に実用化すべき燃焼技術として現在でも
執拗に推奨している。

図2‐12 大聖教授論文の「第4.3 予混合的な燃焼方式の発展」の記述の問題点 

 
 この第2項では、自動車技術会が2018年4月1日に発行した技術誌「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」には、早稲田
大学の大聖泰弘教授が「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」と題した論文では、大型ディーゼルト
ラックの高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、「NOxの削減」はディーゼルエンジンの中・低
負荷運転時の燃費改善が必要であるにもかかわらず、早稲田大学・大聖泰弘教授は大部分の記述が大型ディーゼル
トラックの性能改善技術として無効な全負荷性能を改善する技術列挙されている。つまり、当該の大聖教授論文は、
大型ディーゼルトラックについて、「性能改善技術」と偽って「性能改善が困難な技術」を列挙する極めて問題のある内
容であることを説明した。それらを纏めると、以下の図2‐13の通りである。

2‐13 「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の大聖教授論文の問題点

論文「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」(著者:)の問題点

(自動車技術会発行の「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」の著者:大聖泰弘教授の論文)
詳述した項目
(大聖教授論文の内容)
 大聖教授は、大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費改善」、
「モード燃費の改善」の今後の進化・進展を図るためにはディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の
燃費改善が必要と述べている。
 ↓
(当該論文の誤った主張)
 大聖教授論文に記載されたのディーゼルエンジンの性能改善の技術は、大部分が全負荷性能を
改善する技術で占められており、中・低負荷性能の改善技術は実用不能な運転時に限定されて
おり、中・低負荷性能の改善技術は実用化が困難なディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼
(=PCCI燃焼)だけである。つまり、大聖教授論文は、大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般
道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」を可能にする技術が皆無と云うことで
ある。
前述の

2−1−1.項を

参照
 (大聖教授論文の内容)
 大聖論文の第3項の図2には、「気筒休止の技術はディーゼルエンジンでの部分負荷の効率改善
の技術として「気筒休止」が明記されている。しかし、「3.1 一般的な高効率化技術」の項(=前述
の図2‐2)では、大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費
改善」、「モード燃費の改善」が可能な列挙技術の中から「気筒休止」の技術を大聖教授が削除して
いる。
 ↓
(当該論文の誤った主張)
 ディーゼルエンジンでの「気筒休止」は大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路を走行する
場合の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」が困難な技術であると、大聖泰弘教授は誤解している
ようだ。
前述の

3−1−2.項及び
2−1−3.項を

参照
 (大聖教授論文の内容)
 大聖教授論文の「第3.3項」では、大聖教授は、ディーゼルエンジンの熱効率を将来的に更に向上
できる技術として「コモンレール方式による電子制御多段噴射/高圧噴射(200〜300MPa)」や
「可変機構や多段システムによるターボ過給」等の陳腐な技術を主張している。
 ↓
(当該論文の誤った主張)
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2004〜2009年に実施した革新的次世
代低公害車総合技術開発と題した研究では、「コモンレール方式による電子制御多段噴射/高圧
噴射(200〜300MPa)」や「可変機構や多段システムによるターボ過給」等の技術は、NOx削減
には有効であるが、2015年度重量車燃費基準よりも2%ものモード燃費の悪化を招いたとの研究
結果であった。ところが、大聖教授は、300MPaの高圧燃料噴射ではモード燃費が悪化するとの
NEDOの研究結果を完全に無視し、大聖論文では、燃費のシュミレーション計算結果を根拠にして
300MPaの高圧燃料噴射はモード燃費が改善できるとの主張を行っている。この妄想にような
論調は、一般的には出鱈目な論文として軽蔑されるべきと思うが、如何なものであろうか。
前述の

2−2.項を

参照
(大聖教授論文の内容)
 大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の
改善」の今後の進化・進展を図るためにはディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善が
必要である。それにもかかわらず、大聖教授論文の「第3.3項」では、ディーゼルエンジンの熱効率
を将来的に更に向上できる技術として、「ミラーサイクル」、「可変/多段ターボ過給システム」、
「ターボコンパウンドシステム(機械式発電式)」、「ランキンサイクル(バイナリ発電)」、「熱電素子
発電」のディーゼルエンジンの高負荷運転時においてのみ十分な排気エネルギーを有効に回生
できる機能しか有していない技術が堂々と列挙されている。
 ↓
(当該論文の誤った主張)
 排気エネルギーを回生する技術は、エンジンの全負荷性能の改善には有効であるが、中・低負荷
運転時の性能改善が僅少である。ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の性能改善必要となる
大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路を走行する場合の走行燃費改善」、「モード燃費の
改善」、「NOxの削減」等は、排気エネルギーを回生する技術では実現が困難である。
 そこでポンコツ元技術屋の筆者が提案していることは、後述の第3項に詳述しているように、排気
エネルギーを回生する技術を用いて大型ディーゼルトラックの「性能改善」を実現するためには、
「ミラーサイクル」、「可変/多段ターボ過給システム」、「ターボコンパウンドシステム(機械式
発電式)」、「ランキンサイクル(バイナリ発電)」、「熱電素子発電」と「気筒休止」を組み合わせて
中・低負荷運転時における排気エネルギーの回生装置の効率向上を図ることである。これは、
ディーゼルエンジンでの気筒休止の有効性を理解できない大聖泰弘教授にとっては無理な話かも
知れないが・・・・・・・。
前述の

2−3.項を

参照
(大聖教授論文の内容)
 大聖教授は、大型ディーゼルトラックの「性能改善」を実現するため、ディーゼルエンジンの予混合
圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)が将来的に実用化すべき燃焼技術として推奨している。
 ↓
(当該論文の誤った主張)
 ディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)は、ディーゼルの理想的な燃焼の出現と
勘違いした研学者・研究者・技術者が2001年頃から熱狂的に究開発を始めた技術である。
このPCCI燃焼は、前述の図2‐10&図2‐11に示した通り、2001年頃から2013年頃までの
数十年間にわって世界中で多くの研究調査が実施された結果、燃焼室内に分布した燃料の
「自己着火」だけで燃焼を完結させる燃焼形態のため、大幅な大気温度の変動や軽油の品質の
バラツキが存在する場合には「自己着火」の着火遅れ期間が激しく変化してしまう解決不能な問題
のあることが判明した。
 その他にも、このPCCI燃焼では、燃費悪化の不具合の存在が明らかとなったため、2013年頃から
多くの学者・研究者・技術者は、PCCI燃焼の研究を放棄し始めたのである。そして、現時点
(=2017年6月現在)では、PCCI燃焼の研究開発を実施し続ける学者・研究者・技術者は、極めて
少なくなってしまっているのが現状である。ところが、大聖教授は、将来的に大型ディーゼルトラック
の「性能改善」を実現する技術として、PCCI燃焼の技術を推奨する時代遅れの誤った技術情報を
御自身の論文で発表する愚挙を堂々と行っている。何とも信じられないことである。
前述の

2−3.項を

参照方

 以上のように、自動車技術会が2018年4月1日に発行した技術誌「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」には、早稲田大
学の大聖泰弘教授が「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」と題した論文を発表している。この
聖教授論文を読むと、大型ディーゼルトラックの高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改
善」、「NOxの削減」の性能改善ではディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善が必要であるにもかか
わらず、早稲田大学・大聖泰弘名誉教授は大型ディーゼルトラックの性能改善に無効な全負荷性能を改善す
る的外れな技術を列挙している。

 この原因として考えられることは、常日頃の早稲田大学の研究室や講義の中では、大聖泰弘名誉教授は「高圧噴射
(200〜300MPa)や多段システムによるターボ過給」、「排気エネルギー回生技術」や、「燃費不良な上に実用化が困
難なディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)」等の技術によって大型ディーゼルトラックの燃費と
NOXの改善が可能あるとする誤った的外れの主張を行っていることについて、早稲田大学の中では異論・反論が皆無
であったと推測される。それ以上に、早稲田大学内では大聖泰弘名誉教授の間違った主張が肯定され、称賛されてい
た可能性も十分に考えられる。その結果、大聖泰弘名誉教授は、御自身の主張内容の誤りを自ら認識する貴重な機
会を喪失した状況に置かれているのかも知れない。

 なお、大聖泰弘名誉教授が歳を重ね過ぎて耄碌し始めたために学者の職務を全うする能力を欠き始めた場合であ
っても、早稲田大学内に正確な知識を持った若いエンジン関係者が大聖泰弘名誉教授の大型ディーゼルトラックの性
能改善に関する主張・見解の誤りを指摘して修正していれば、大型ディーゼルトラックの性能改善には全負荷性能の
改善が有効との誤った的外れの主張の論文を大聖泰弘名誉教授「自動車技術 Vol.72、No.4、2018.」に投稿するこ
とが無かったと考えられる。したがって、大型ディーゼルトラックの性能改善に関する誤った技術情報の論文を「自動車
技術 Vol.72、No.4、2018.」に発表した大聖泰弘名誉教授の愚行は、早稲田大学のエンジン部門の関係者には馬鹿し
か居ないために起こってしまった不祥事とも考えられる。如何なものであろうか。これについての反論等は、末尾のメー
ルアドレス宛にいただければ幸いである。

 ところで、話は変わるが、公益社団法人・自動車技術会の「倫理規定」では、情報発信について「研究成果や成果を
社会に正しく説明します。」と堂々と宣言しているのである。したがって、虚偽の技術情報の大聖教授論文が掲載される
ことは、常識的に有り得ないことである。ところが、現実には、虚偽の技術情報が満載の大聖名誉教授の論文が自動
車技術会誌に掲載されたのである。これは、自動車技術会の「倫理規定」が単なる飾り物である場合や、「自動車技
術」誌の編集委員会が無能で阿呆な人間であったことが原因と考えられる。このようなことは、日本自動車技術会の約
4万人の会員にとっては、迷惑この上ないことである。

 ところで、これも全くの余談ではあるが、国土交通省(=独立行政法人自動車技術総合機構の交通安全環境研究
所)は、2016年の夏季において、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が路上走行中に
NOx削減装置を停止させるエンジン制御を採用しているために最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出する事実を実
際の走行試験で確認した。その試験結果のデータは、大聖泰弘教授が委員長を務める「排出ガス不正事案を受けた
ディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」に提出されている。ところが、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド
(トヨタ)のディーゼル車は、路上走行中にNOx削減装置を停止することが明確に禁止されている2015年6月以前の「車
道路運送車両の保安基準」に適合していると国土交通省から「型式指定」を受けた取得したディーゼル乗用車である。

 この路上走行中にNOx削減装置を停止することが明確に禁止されている「車道路運送車両の保安基準」に適
合して「型式指定」を受けた2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、実際には路
上走行中にNOx削減装置を停止させるエンジン制御を採用しているために最大でNOx規制値の34倍のNOxを
排出していることを、国土交通省が試験データが確認したのである。この試験データの存在は、2015年6月発売の
ランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、「道路運送車両の保安基準」に違反した「不正なエンジン制御ソフ
ト」を採用したディーゼル乗用車あることが誰でも容易に理解できることである。

 ここで、仮に、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車では「不正ソフトの採用」のためにNO
x規制値の34倍のNOxを排出しているとの内容の報告書を「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方
法見直し検討会」が作成した場合、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車は、「道路運送車
両の保安基準」に違反していることが明白なため、国土交通省から当該ディーゼル車の「型式指定の取り消し」の処分
を受る可能性ことになると予想される。その場合、当該ディーゼル車について、トヨタ自動車は、即刻の販売禁止やユ
ーザからの既販車の買取り等が必要となり、莫大な損害を被ることになる。この状況に陥ることを事前に回避する唯一
の方法は、不正ソフトのエンジン制御によって最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出する2015年6月発売のランドク
ルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトを搭載していない(=不正ソフトが不採用)と、「排出ガス不正事案
を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」に断定した報告書を作成して貰うことである。

 ここで、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトによって最大でNOx規制値の
34倍のNOxを排出していることが発覚する以前から、仮に、この「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検
査方法見直し検討会」の委員長を務める大聖泰弘教授がトヨタ自動車の利益を最優先にする行為を実行する「用心
棒」の委託業務を有償で引き受けていたとすれば、トヨタ自動車の強い要望を受けたトヨタ自動車の「用心棒」の大聖
泰弘教授は、当該ディーゼル車の件でトヨタ自動車での損失発生を未然に防止するため、2015年6月発売のランドクル
ーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車では「不正ソフトが不採用」であるとの嘘の判定を下した「排出ガス不正事案を受
けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」の報告書を強引に作成した可能性がある。

 実際のところ、不正ソフトのエンジン制御によって最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出する2015年6月発売のラン
ドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトを搭載していない(=不正ソフトが不採用)と断定する”道路運
送車両の保安基準”に違反する虚偽の判定を行った「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直
し検討会」の報告書が作成されたことは、歴然たる事実である。もっとも、この2015年6月発売のランドクルーザー・プラ
ド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトを搭載していない(=不正ソフトが不採用)と断定する”道路運送車両の保安基
準”に違反する虚偽の判定を主導したのは、「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討
会」の委員長を務める大聖泰弘教授に間違いないように思うが、真偽は不明でである。

 勿論、「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」により、この2015年6月発売のラン
ドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトを搭載していない(=不正ソフトが不採用)と断定された結果、
トヨタ自動車は莫大ば損失が回避できたことから、トヨタ自動車の「用心棒」と思える大聖泰弘教授は、委託研究等の
迂回経路の資金供与を含めて多額の利益(=大聖教授所属の研究室の研究費を含む)をトヨタ自動車から獲得してい
る可能性が高いと考えられる。この状況を見ると、大聖泰弘教授は学者としての良心が欠如した人物のように思えて
仕方がない。

 このような大聖泰弘教授の厚顔無恥な活動の結果、2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル
車は、不正ソフトで最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出することが確認された後も、「車道路運送車両の保安基
準」に適合のクリーンディーゼル車として販売され続けたのである。2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)
のディーゼル車を購入したユーザーは、国土交通省や大聖泰弘教授他の学者諸氏によって当該ディーゼル車が不正
ソフトにより最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出することの事実を隠蔽工作された結果、2015年6月発売のランドク
ルーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車がクリーンディーゼル車であるとのトヨタの宣伝文句に騙されて誇らしく運転し
ている可能性があると考えられる。ところが実際には、この2015年6月発売のランドクルーザー・プラド(トヨタ)のディー
ゼル車を購入したユーザーは、当該ディーゼル車の走行領域の大気のNOx汚染を進行させているのが実態である。 
この状況は、何とも、哀れな事ではないだろうか。なお、この件の情報については、2015年発売トヨタ・プラド・ディーゼル車
は、不正ソフトで規制の34倍のNOxを排出する保安基準違反の欠陥車!のページに詳述しているので、興味のある方
は御覧いただきたい。

 また、大聖泰弘教授は、長年にわたって中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の委員を務
めた学者である。この自動車排出ガス専門委員会が作成した中央環境審議会・大気環境部会の第八次答申(2005年
1月)では、現在の米国のNOx規制(NOx = 0.27 g/kWh)よりも厳しい日本の大型トラックのNOx規制値挑戦目標と称
する「0.7 g/kWhの3分の1」(=0.23 g/kWh)のNOx削減の目標が掲げられていたのである。そのため、トラックメーカを
含む日本の殆どの大型トラック用ディーゼルエンジンの関係者は、中央環境審議会の第十次答申では、大型トラック
の次期のNOx規制強化案としては「0.7 g/kWhの3分の1」(=0.23 g/kWh)のNOx規制値の案が答申されるものと予想
していたようだ。

 ところが、その後、突然、中央環境審議会は、それまでの第八次答申(2005年1月)中央環境審議会の第十次答申で
は、第八次答申(2005年1月)の「大型トラックのNOx規制値挑戦目標(=0.23 g/kWh)」を完全に反故とし、それまでの
NOx規制強化の目標を大幅に緩和したNOx = 0.4 g/kWhの緩い大型トラックのNOx規制案を答申した。この答申によ
「大型トラックの2016年NOx規制値(=0.4 g/kWh)」が決定され、施行された。なお、第十次答申を作成したのは、勿
論、大聖泰弘教授が委員を務めた自動車排出ガス専門委員会である。

 この日本の「大型トラックの2016年NOx規制値(=0.4 g/kWh)」は、2010年の米国のNOx規制(NOx = 0.27 g/kWh)
よりも相当に緩いNOx規制である。このように、大型トラックのNOx規制が米国よりも大幅に緩い規制とすることにつ
いても、大聖泰弘教授の多大な貢献があったものと推測される。この件の情報については、米国よりも緩い大型トラッ
クのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢のページに詳述しているので、興味のある方は御覧いただきたい。

 このように、大聖泰弘教授は、「日本の大型トラックのNOx規制を米国よりも大幅に緩い規制にすること」や、
不正ソフトのエンジン制御によって最大でNOx規制値の34倍のNOxを排出する2015年6月発売のランドクル
ーザー・プラド(トヨタ)のディーゼル車が不正ソフトを搭載していない(=不正ソフトが不採用)と断定する”道路
運送車両の保安基準”に違反する虚偽の公的な判定を行うこと」を実行した学者である。これらを見ると、大聖
泰弘教授は、「日本の大気環境の悪化」や「道路運送車両の保安基準の違反」の問題も意に介すること無く、
堂々と自己の個人的な目的・利益の獲得を完遂できる人物と推測される。

 このような違法と思しき行為を大聖泰弘教授が露骨に敢行した動機は、2015年発売トヨタ・プラド・ディーゼル車は、不正
ソフトで規制の34倍のNOxを排出する保安基準違反の欠陥車!に詳述したように、これは、国民を犠牲にした自己利
益の獲得であり、国民を馬鹿にした行為ではないだろうか。これは、人として最も軽蔑される品行であることが明らか
だ。

第2項の結論
 「公益社団法人・自動車技術会」が2018年4月1日に発行した技術誌「自動車技術 Vol.72、No.4、 2018.」には、早稲田大学・大聖泰弘名誉教授が「自動車エンジンシステムの高効率化の可能性と到達点」 と題した論文を発表している。

 当該論文では、大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改 善」、「NOxの削減」はディーゼルエンジンの中・低負荷運転時の燃費改善が必要であるにもかかわらず、 大型ディーゼルトラックの性能改善技術として著者の早稲田大学・大聖泰弘教授が列挙した技術は、大部 分が全負荷性能を改善する技術で占められいる。また、列挙された諸技術の中の唯一の中・低負荷性能 の改善技術は、実用化が困難なディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼(=PCCI燃焼)だけである。つ まり、大聖教授論文では、大型ディーゼルトラックの「高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃 費の改善」、「NOxの削減」を高度化・増進できる技術の記載は、皆無である。

 したがって、当該論文の表題は、「大型ディーゼルトラックの性能改善が不可能な技術」と訂正し、多くの 学者・研究者・技術者に対して研究開発に着手してはならない技術を列挙した資料であることを明確にす べき考えられる。 

3.ディーゼル車のNOxと燃費の改善は気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)で可能

 大型ディーゼルトラックにおいて、「高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、および「NOx規制
以上のNOx削減」の更なる進化・進展を実現するためには、大型トラック用ディーゼルエンジンの中・低負荷運転時に
おける燃費改善と排気浄化(=NOx削減等)が必須である。このディーゼルエンジンの中・低負荷運転時における燃費
改善と排気浄化(=NOx削減等)が気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術である。

3−1. 2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)のメカニズム 

 この2ターボ過給機方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では、図3‐1に示したように、多気筒ディー
ゼルエンジンを第1気筒群と第2気筒群に分け、気筒群毎に独立した吸気通路、排気通路、EGRガス通路の各通路を
設け、それら通路毎にEGR弁、EGRクーラ、EGR通路、過給装置、給気インタークーラ、排気絞り弁、DPF装置、酸化
触媒装置、NOx吸蔵還元装置、尿素SCR装置等の吸排気関連制御装置を配置し、気筒群毎の吸入空気、EGRガス
および排気ガスの流れが互いに混合しない流れ通路の回路とする。

図3‐1 気筒群個別制御エンジンの部分負荷における運転状態
   (第1気筒群=稼動、第2気筒群=休止)


 そして図3‐2に示したように、エンジンECUの信号により、」第1気筒群と第2気筒群への燃料供給、過給装置および
排気後処理装置は気筒群毎に独立して制御するものである。これによってエンジンの部分負荷運転では、何れか一方
の気筒群に燃料を供給してエンジン出力を発生させる稼動気筒群として運転し、他の気筒群には燃料供給を中止する
休止気筒群として運転し、過給装置および排気後処理装置は、それぞれの気筒群に適した制御を行う。なお、部分負
荷時の稼動気筒群は一定時間毎に第1気筒群と第2気筒群とを切り替えるようにする。
         
図3‐2 気筒休止エンジンにおけるエンジンECUによる制御

3−2 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)で部分負荷時でのNOxと燃費の改善理由

3−2−1. 排気ガス温度の高い低燃費のエンジン運転の条件(過給ディーゼルエンジン)

 現在のポスト新長期排出ガス規制(2009年規制)適合の大型トラック用インタークーラ過給ディーゼルエンジンは、
尿素SCR触媒装置とDPF装置を採用することによってNOxとPMを削減し、規制に適合させている。このインタークーラ
過給ディーゼルエンジンは、図3-3の模式図に示したように、正味平均有効圧力の増加に反比例して燃料消費率が良
化し、正味平均有効圧力(Pme)の増加に比例してタービン入口、タービン出口および尿素SCR触媒入口の排気ガス
温度が高温となる特性があることは広く知られていることである。

図3-3 一般的なインタークーラ過給ディーゼルエンジンの燃料消費率と排気ガス温度の特性

 一般の大型トラック用インタークーラ過給ディーゼルエンジンでは、以上の図2-3の模式図の中に記載したように、5
0%近傍以上の正味平均有効圧力では、低い燃費でエンジンが運転できるのだ。そして、50%近傍以上の正味平均
有効圧力では、排気ガス温度も尿素SCR触媒の入り口付近において200℃程度以上の常に高い温度でエンジンが運
転されている。したがって、一般の大型トラック用インタークーラ過給ディーゼルエンジンでの50%以下の部分負荷で
のて燃費向上を図るためには、ディーゼルエンジンの50%以下の部分負荷において稼働する気筒の正味平均有効
圧力を増大させることが必須である。

3−2−2. 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)での部分負荷時の排気温度高温化

 この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を適用した6気筒の過給ディーゼルの気筒休止エンジン
は、2台のターボ過給機を並列に装着する2ターボ方式の気筒休止システムとなる。そして、この2ターボ方式の気筒
休止システムでは、2分した気筒群の各気筒群の運転負荷を独立して制御することにより、大型トラックの実走行燃費
を大幅に改善することが可能である。この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術における実走行燃費
を大幅に改善する制御とは、以下の図3-4に示した「燃費低減型の気筒群制御法」とすることが可能である。

図3-4 2ターボ方式(=多気筒を2気筒群に分割)の「燃費低減型の気筒群制御の方法」
2ターボ方式(=多気筒を2気筒群に分割)の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)における
「燃費低減型の気筒群制御法」
過給ディーゼルエンジンの 0〜2/4負荷の低負荷領域の運転制御
片方の気筒群の各気筒では0〜4/4負荷の稼動気筒として運転し、他方の気筒群の各気筒では休止気筒として 運転する。

過給ディーゼルエンジンの2/4〜4/4負荷の高負荷領域の運転制御
片方の気筒群の各気筒では全負荷(=4/4負荷)の一定負荷の稼動気筒として運転し、他方の気筒群の各気筒 では0〜4/4の必要な負荷に調節する稼動気筒として運転する。



 そして、以下の図3-5に示した通り、この6気筒の過給ディーゼルの気筒休止エンジンにおいては、エンジンの1/2
負荷以下において、3気筒の気筒群だけを稼動する気筒休止運転が可能である。そして、大型トラックの実際の走行
においては、エンジン運転の1/2負荷以下の軽負荷が多用されるため、軽負荷において3気筒を休止するエ
ンジン運転が可能な筆者提案の2ターボ方式の気筒休止システム(=気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771))は、大型トラックの十分な走行燃費の向上が可能である。

図3-5 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を適用した過給6気筒エンジンの気筒休止制御マップ
筆者提案の2ターボ方式の気筒休止システム
気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
(1)気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の気筒休止制御のマップ
    (6気筒過給エンジン)


2)大型トラックの高速道走行時の燃費改善

 ・高速道路の走行燃費は、5〜10%の低減
  (著者の推定)
(3)大型トラックのJE05モードの燃費改善

 ・重量車モード燃費は、5〜10%の低減
  (著者の推定)

3−2−3.気筒休止(特許公開2005-54771)による尿素SCR触媒での大幅なNOx削減

尿素SCR触媒に尿素水を供給して排気ガス中のNOxをNOxを還元する場合、図3-6、図3‐7に示したようにSCR触媒
入口温度が180℃以下に低下するとNOx削減の機能が顕著に低下する特性がある。

図3-6 尿素SCR触媒におけるSCR触媒入口温度とNOx低減率の関係ーB
出典 NEDO「革新的次世代低公害車総合技術開発」(中間評価)分科会資料6-7
    [革新的後処理システムに研究開発](公開用)平成18 年5月29日
    (日野自動車)

図3‐7 尿素SCR触媒におけるSCR触媒入口温度とNOx低減率の関係ーA
(出典:大型商用車用尿素SCRシステムも開発、日産ディーゼル工業)
http://www.jsae.or.jp/~dat1/mr/motor23/mr20062305.pdf#search='尿素SCR'
(尿素SCR触媒におけるSCR触媒入口温度の低下によるNOx低減率の顕著な低下)

 因みに、大型ディーゼルトラックのJE05モード排出ガス試験においては、尿素SCR触媒等の排出ガス後処理装置の
入り口における排出ガスの平均温度は、図2‐8に示したように197℃であり、JE05モード排出ガス試験の約半分の
時間が200℃以下の温度温度である。

図3‐8 JE05排出ガス試験における排出ガス後処理装置の入口の排気ガス温度
(出典:JCAPUディーゼル車WG報告 http://www.pecj.or.jp/japanese/jcap/jcap2/jcap2_5th.html

 以下に示した図2‐7から明らかなように、現行のディーゼルエンジンのJE05モード排出ガス試験においては、尿素
SCR触媒の入り口における排気ガスの温度は、排出ガス試験の約半分の時間が200℃以下の温度であることが判
る。このよな200℃以下の低い排気ガスに尿素SCR触媒が暴露されている場合には、尿素SCR触媒でのNOx削減率
が著しく低下する。その結果、現行のディーゼルエンジンでは、尿素SCR触媒による十分なNOxの削減が困難ととなっ
ているのである。今後、JE05モード排出ガス試験でのディーゼルエンジンのNOx排出を十分に削減できるようにするた
めには、JE05モード排出ガス試験での排気ガス温度低下するエンジンの軽負荷におい、SCR触媒入口付近の排気ガ
ス温度が200℃以上に高温化することが望ましい。言い換えれば、アクセルペダル踏込み量が少ないアクセルペダル
位置でもSCR触媒入口の付近の排気ガス温度が200℃以上に高温化できるようにエンジンを制御することによって、
尿素SCR触媒のNOx削減の機能を高めることが可能となるのである。この大型ディーゼルトラック用の気筒休止エンジ
(特許公開2005-54771)におけるNOx改善ができる理由を、図3‐9にまとめた。

図3‐9 大型ディーゼルトラック用の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)におけるNOxの削減理由
気筒休止の効果
過給ディーゼルエンジンにおける気筒休止によるNOxの削減の理由
(気筒休止エンジン:特許公開2005-54771)
効果の根拠
根拠の説明
NOxの削減
尿素SCR触媒でのNOx削減の促進
 この気筒休止エンジンの部分負荷時における燃焼運転の気筒群での
高い排気ガス温度は、燃焼運転する気筒群の尿素SCR触媒での高い
NOx削減率を維持することが可能となる。この気筒休止エンジン(特許
公開2005-54771)における尿素SCR触媒での高いNOx削減率の維持は、
従来エンジンよりも大幅にNOxを削減できることである。

 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の6気筒ディーゼルエ ンジン
では、部分負荷時において、一方の気筒群(3気筒)を燃焼気筒として運転
し、他方の気筒群(3気筒)を休止気筒として運転する。燃焼運転させた
気筒群(3気筒)の各気筒の排気ガス温度は、全気筒を燃焼させる従来
エンジンにおける各気筒の排気ガス温度よりも高くできることになる。

 また、最近では、「尿素SCR触媒の低温活性化の研究」と題する論文が数多く発表されているようである。そうは云っ
ても、尿素SCR触媒の低温活性化の促進は、それを実現することが極めて困難な技術開発である。そのため、仮に、
この技術開発が大成功を収めたと論文等で発表されたとしても、尿素SCR触媒のNOx削減率が急激に低下する温度
が現在の200℃から最大でも数十℃程度の低温化が図れるだけと予想される。今のところ、低温でのNOx削減率の高
い触媒としては銅ゼオライトが有望のようであるが、この銅ゼオライトの実用上の問題は何も無いのであろうか。また、
この銅ゼオライトを用いることによって「低温の排気ガスにおけるNOx削減率の向上」が可能としても、NOx削減率が急
激に低下する温度が現在の尿素SCR触媒における200℃から最大でも数十℃程度の低温化が図れるだけである。

 これに対し、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を実用化すれば、ディーゼルトラック・バスの実走
行時やJE05モードの重量車排出ガス試験時におけるエンジン運転頻度の高い1/2負荷以下のエンジン運転状態に
おいては、気筒休止により燃焼に使われる吸入空気量が半分となるために排気ガス温度が2倍近くに高温化できるの
である。このように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用した場合には、ディーゼルトラック・バスの実走行
時やJE05モードの重量車排出ガス試験時の排気ガス温度を2倍近くに高温化できるため、従来のディーゼルエンジン
では排気ガス温度の低いエンジン部分負荷運転時においても、現行の尿素SCR触媒におけるNOx削減率の大幅な向
上が容易に実現できるのである。

3−2−4 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)による大幅な走行燃費の向上

 筆者が提案している2台のターボ過給機を並列に装着する2ターボ方式の過給ディーゼルの気筒休止エンジン(特許
公開2005-54771)において、例えば6気筒のディーゼルエ ンジンの部分負荷時において、3気筒を休止気筒として残り
の3気筒を燃焼気筒として運転を行った場合には、大幅なエンジン燃費の削減とNOxの削減が可能となる。この気筒
群制御による気筒休止運転での燃費削減とNOx削減の理由を、以下の図3‐10にまとめた。

図3‐10 大型ディーゼルトラック用の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)における燃費改善の理由
気筒休止の効果
過給ディーゼルエンジンにおける気筒休止による燃費改善の理由
(気筒休止エンジン:特許公開2005-54771)
効果の根拠
根拠の説明
燃費の削減
燃焼気筒のポンピング損失の削減
 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の6気筒ディーゼル
エ ンジンでは、3気筒に1台の小型過給機を装着し、並列に配置
した2台の小型過給機毎に2つの気筒群に分割し、2つの気筒群
を独立して負荷を制御する構造である。そして、部分負荷時に
おいて、一方の気筒群(3気筒)を燃焼気筒として運転し、他方の
気筒群(3気筒)を休止気筒として運転する。この時、燃焼気筒
として運転する気筒群(3気筒)には3気筒の過給に最適な容量
の小型過給機を装着しているので、一方の気筒群(3気筒)を
休止気筒として運転した際の燃焼気筒として運転する気筒群
(3気筒)の小型過給機の過給機効率は、1台の大型過給機を
装着した従来の6気筒エンジンの過給機効率よりも高い効率で
運転できるため、ポンピング損失が大幅に削減できることである。
燃焼気筒の冷却損失の削減
 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の6気筒ディーゼル
エ ンジンでは、部分負荷時において、一方の気筒群(3気筒)を
燃焼気筒として運転し、他方の気筒群(3気筒)を休止気筒として
運転する。燃焼運転させた気筒群(3気筒)における供給燃料
当たりのエンジンでの冷却面積は、全気筒を燃焼させる従来
エンジンにおける供給燃料当たりのエンジンでの冷却面積の半分
に縮小できることになる。そのため、片一方の気筒群を休止運転
した時には、燃焼運転した他方の気筒群での冷却損失が半減
できるため、従来エンジンよりも大幅に削減できることである。

 最近、下記に示したように、日本機械学会誌2013年8月号(2018.
8 Vol. 116 No. 1137)の年鑑の熱工学のページでは、「8・2・2 燃焼
技術・燃料」の項において、燃焼室内の低流動化によるディーゼルエ
ンジンの冷却損失の低減により、ヨーロッパの乗用車の燃費測定試
験モードNECDで5%の燃費向上が確認されたと記載されている。


(出典:日本機械学会誌2013年8月号(2018. 8 Vol. 116 No. 1137)
の年鑑の熱工学の「8・2・2 燃焼技術・燃料」の項)

 一般的に、乗用車での燃費総測定試験モードでは、エンジンの極
めて低負荷運転の頻度が高いが、そのようなエンジン運転状態にお
いてもシリンダ内の低流動化によるディーゼルエンジンの冷却損失
の低減により、5%の燃費向上が可能とのことである。一方、大型ト
ラックの場合は、実走行や重量車モード燃費の測定運転モード(=
JE05モード)でもエンジン負荷が50%以下での運転頻度が高いこ
とから、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を大
型トラックの採用することによって、シリンダの冷却面積が幾何学的
に半分になるために、実走行や重量車モード燃費の測定運転モード
(=JE05モード)でのエンジン冷却損失は、大幅の削減できることに
なる。そのため、大型トラックの気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の技術を採用した場合には、大型トラックの実走行や重量車
モード燃費が大きく改善できることは間違いないと考えられる。
燃焼気筒のサイクル効率の向上
 そもそも、理想サイクルであるカルノーサイクルでは、以下の式に
示した通り、高熱源の温度THが高温になるほど、高い熱効率と
なるのである。したがって、排気ガスエネルギー回生装置の入り口
の排気ガス温度が低温となる大型トラックの実際の走行では、
排気ガスエネルギー回生装置の採用による大型トラックの走行
燃費を十分に向上することは難しい。


       ただし、添字 H:高熱源の温度、L:低熱源の温度
(出典:http://fnorio.com/0102heat_engine(gas_cycle)1/heat_
engine(gas_cycle)1.htm
 
 このように、可逆機関であるカルノーサイクルは、絶対温度TH
の高温熱源と、絶対温度TLの低温熱源の間で作動する熱機関
の中で「最も効率の良い動力熱機関」である。このカルノー
サイクルの効率は熱源の絶対温度のみで決まり、高熱源の温度
を高温にすればする程、カルノーサイクルの熱効率が良くなるの
である。このことは、エンジン技術者でなくても、誰もが知って
いる極めて常識的なことだ。

 このカルノーサイクルと同様に、ディーゼルサイクルにおいても、
稼動するエンジンの気筒の最高温度を高温化することにより、
ディーゼルエンジンの熱効率を向上できることは、エンジンの
技術者・専門家であれば、容易に理解できることだ。

 例えば、現在の大型トラックに搭載されている6気筒ターボ
エンジンの部分負荷運転において、3気筒を休止して残りの
3気筒を稼動する気筒休止の運転制御を行った場合の稼動
気筒の燃料噴射は、6気筒を同時に稼動する従来のエンジン
の2倍近くの燃料噴射量となる。そのため、この気筒休止運転
の状態では、稼動気筒の気筒内の燃焼温度は、従来の全気筒
を同時に稼動する従来エンジンの気筒内の燃焼温度を倍加
する高温化が容易に実現できることになる。この気筒休止
エンジンの部分負荷運転の稼動気筒における気筒内の燃焼
温度の高温化は、稼動気筒のサイクル効率の向上が可能と
となる。

 一方、現在の大型トラックの実走行時には、ディーゼルエンジン
の部分負荷運転が主体である現状から考えると、大型トラックの
実走行時の燃費向上を図るためには、ディーゼルエンジンの部分
負荷時の燃費改善を行う必要がある。この部分負荷時の燃焼
気等のサイクル効率を向上するためには、カルノーサイクルの
効率向上と同じく、ディーゼルエンジンの部分負荷時の燃焼気筒
の燃焼温度を高温にすることだ。この部分負荷時の燃焼気筒の
高温化によって、ディーゼルエンジンの部分負荷時の燃費が、
容易に向上できるのである。これを現実化できる技術が、筆者
の提案している気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
ある。

 この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用した
6気筒ディーゼルエ ンジンでは、部分負荷時においては、
一方の気筒群(3気筒)を燃焼気筒として運転し、他方の
気筒群(3気筒)を休止気筒として運転する。燃料噴射する
気筒群(3気筒)の各気筒の最高圧力・最高温度は、常に
全気筒に燃料噴射する従来エンジンの各気筒の最高圧力・
最高温度よりも2倍近くの高温化が実現きるのだ。この気筒
休止エンジンの部分負荷時における燃焼運転する気筒群の
高い最高圧力・最高温度は、必然的に高いサイクル効率が
得られることになる。したがって、大型トラックのエンジンに
気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を採用した
場合には、大型トラックの重量車モード燃費や実走行燃費の
大幅な向上が可能となる。
燃焼気筒の排気損失の削減
 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の6気筒ディーゼル
エ ンジンでは、部分負荷時において、一方の気筒群(3気筒)を
燃焼気筒として運転し、他方の気筒群(3気筒)を休止気筒として
運転する。燃焼運転させた気筒群(3気筒)の各気筒の燃焼に
消費する給気量は、全気筒を燃焼させる従来エンジンにおける
各気筒の燃焼に消費する給気量の1/2となるため、排気損失を
半減することが可能となる。
DPFでのフィルタの自己再生の促進
気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の6気筒ディーゼルエ
 ンジンでは、部分負荷時において、一方の気筒群(3気筒)を
燃焼気筒として運転し、他方の気筒群(3気筒)を休止気筒として
運転する。燃焼運転させた気筒群(3気筒)の各気筒の排気ガス
温度は、全気筒を燃焼させる従来エンジンにおける各気筒の排気
ガス温度よりも高くできることになる。この気筒休止エンジンの
部分負荷時における燃焼運転の気筒群での高い排気ガス温度
は、燃焼運転する気筒群のDPF装置のフィルタに堆積したパティ
キュレートの燃焼を可能にするため、DPF装置の自己再生が促進
されることになる。この気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)におけるDPF装置の自己再生の促進は、従来エンジン
となる。
 このように、気筒休止エンジンは、従来エンジンよりもDPF装置
の手動再生と強制再生の頻度が大幅に削減できるため、燃費が
削減できることである。

 なお、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術内容については、気筒休止エンジンによる大型トラックの低
燃費化気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!にも詳述しているので、興味のある
方は御覧いただきたい。
第3項における結論
 大型ディーゼルトラックにおいて、「高速道路や一般道路の走行燃費改善」、「モード燃費の改善」、およ び「NOxの削減」の更なる進化・進展を実現するためには、大型トラック用ディーゼルエンジンに気筒休止 エンジン(特許公開2005-54771)の新技術を採用することが必須である。

 ところで、「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準
ワーキンググループ」及び「交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費小委員会」合同会議は、2018年
年12月12日に、新しい燃費基準案を発表した。20トン<GVW≦25トンの大型トラックの新しい燃費基準案は4.42(km/
L)である。これは、現行の2015年度重量車燃費基準より9.4%の強化を実施することにした。この関係法令の改正(重
量車の新しい燃費基準の策定)は、2018年4月とのことである。
 
 ところで、現在の大部分の20トン<GVW≦25トンの大型トラックは、2015年度重量車燃費基準:4.04(km/
L)より10%良好なモード燃費を達成して優遇税制を適用されている車両が多い状況である。つまり、現在(=
2018年6月)の大部分の大型トラック(=20トン<GVW≦25トン)のモード燃費は、「2015年度重量車燃費基準
+10%改善」の 4.45(km/L)を達成しているのだ。したがって、現行の大型トラックは、そのままで新しい大
型トラックの2025年度重量車燃費基準:20トン<GVW≦25トンの 4.42(km/L)の燃費基準には既に適合して
いる状態と云うことになる。

 したがって、近い将来において、大型トラック(=20トン<GVW≦25トン)が低燃費の優遇税制の適用を受け
るためには、2025年度重量車燃費基準 4.42(km/L)よりも10%良好なモード燃費の 4.86(km/L)を達成す
る必要があると推測される。一方、大型トラック(=20トン<GVW≦25トン)において、「新しい2025年度重量車
燃費基準+10%改善」の 4.86(km/L)を容易に達成できる技術は、気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の特許技術以外には存在しないと考えられる。

 また、最近の軽油の価格高騰は、トラック輸送業者に採算悪化の問題を引き起こしている筈である。この問
題解決を図るため、トラック輸送業者がトラックメーカに大型トラックの走行燃費の改善を強く求めていることは
間違いない。そこで、トラックメーカがトラック輸送業者の要望を早期に実現できる唯一の方法は、トラックメー
カが万難を排して、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用した大型ディーゼルトラックを早急に実用
化することだ。もっとも、このポンコツ元技術屋の筆者の主張は、耄碌爺さんが著したような誤った技術情報を
満載した論文発表の早稲田大学・大聖泰弘名誉教授には全く理解できない内容ではないかと考えられるが、如
何なものであろうか

 最後に、上記の本文中に誤り等がございましたら、メール等にてご指摘下さい。また、疑問点、ご質問、御感想等、ど
のような事柄でも結構です。筆者宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。 なお、
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