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ディーゼルの気筒休止は、コールドスタートのNOx削減にも有効だ!


最終更新日:2014年2月2日
                          白馬・八方池

1 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の採用によるディーゼルエンジンの主な改善

 現在、わが国の大型トラックについて、環境省や国土交通省は、NOx = 0.4 g/kWhのNOx規制強化(=2016年実施
予定)や、2015年度重量車燃費基準の強化が検討中である。また、トラックユーザはトラックの運行の中断を強いられ
るDPFの手動再生の廃止が強く求めており、これについては日本トラック協会が国土交通省に強く要望しているところ
である。このことから、現時点で早急に解決・解消が必要な大型トラックの課題は、ディーゼルエンジンにおける「エンジ
ンの低負荷時(=排気ガス温度の低温時)における尿素SCR触媒のNOx削減率の向上」、「燃費改善」および「DPFの
強制再生頻度の減少」であることが明白である。

 このような現在の大型トラックにおける課題は、大型トラック用ディーゼルエンジンに気筒休止エンジン(特許公開
2005-54771)の特許技術を採用することにより、即座に解決・解消することが容易に可能である。その理由は、気筒休
止エンジンによる大型トラックの低燃費化気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!
および気筒休止はDPFの自己再生を促進 (強制再生の削減で燃費悪化を防止)のページに詳述しているので、ここで
は省略することにする。興味のある方は、以上のページを是非ともご覧頂きたい。

2 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)によるディーゼルのコールドスタート時のNOx削減

2−1 現行のディーゼルエンジンのコールドスタート排出ガス試験におけるNOx増加の現状

 2012年11月6日、7日に開催された「(独)交通安全環境研究所フォーラム2012」において発表された「A 尿素SCRシ
ステム搭載貨物車の路上走行時におけるNOx、NH,およびNOの排出挙動 [著者:山本 敏朗・堤 玲子(環境研究領
域)・岩田 恒夫・小川 恭弘(岩田電業) 加藤 裕(日本MKS)、http://www.ntsel.go.jp/forum/2012files/pt_02.pdf]の論
文では、以下の図1に示したように、現行のディーゼルエンジンにおけるJE05モードのコールドスタート排出ガス試験と
ホットタート排出ガス試験の試験中における「NOxの排出値」と「排気管出口ガス温度」の試験結果が示されている。示
したのが、である。

図1 JE05モードのコールドスタートとホットタートの「NOxの排出値」と「排気管出口ガス温度」
(出典:http://www.ntsel.go.jp/forum/2012files/pt_02.pdfに掲載の図に追記)

 この図1から明らかのように、ディーゼルエンジンのJE05モードのホットスタート試験では、試験の開始後の僅か30
〜40秒後には排気管出口ガス温度が200℃に上昇している。しかし、JE05モードでのコールドスタート試験の排気管出
口ガス温度がホットスタート試験の200℃レベルに到達するのは、試験の開始後の800秒後(=約13分20秒後)である。
特に、JE05モードのコールドスタート試験においては、試験の開始後から400秒までの期間では、排気管出口ガス温
度が20〜70℃の低温状態に陥ってしまっているようだ。そして、コールドスタート試験においては、排気管出口ガス温度
がホットスタート試験と同等レベルの200℃に到達するまでの期間(=試験開始から800秒が経過するまでの期間)で
は、ホットスタート試験に比較して極めて高いNOx排出となっていることが観察される。

 因みに、尿素SCR触媒は、触媒温度が180〜200℃以下では触媒の活性が著しく低下し、尿素によるNOxの還元率
が低い値となってしまう特性がある。一方、コールドスタート試験においては、排気管出口ガス温度がホットスタート試
験と同等レベルの200℃に到達するまでの期間(=試験開始から800秒が経過するまでの期間)では、ホットスタート試
験に比較して尿素SCR触媒の触媒温度が著しく低下するため、極めて高いNOx排出となっていると推測される。このよ
うに、コールドスタート試験においては、試験開始から800秒が経過するまでの期間では、排気管出口ガス温度の低下
によって尿素SCR触媒の触媒温度が低温となるために、高いNOx排出値が計測されるものと考えられる。したがって、
コールドスタート試験の試験開始から800秒が経過するまでの期間における高いNOx排出値を削減するためには、コー
ルドスタート試験の試験開始から短時間で尿素SCR触媒の触媒温度を高温化する技術を開発することが、ディーゼル
エンジンのJE05モードのコールドスタート試験におけるNOx削減には必須となる。

 もっとも、現行の尿素SCR触媒における180〜200℃の触媒活性の低下する温度を更に低温化することが可能となれ
ば、ディーゼルエンジンのコールドスタート試験におけるNOx削減は可能となるが、近い将来に低温時でも触媒活性を
大幅に高めた尿素SCR触媒を新たに開発できる保証は殆んど無いと考えられる。そのため、常識のある学者・専門
家・技術者は、ディーゼルエンジンのコールドスタート試験におけるNOx削減を目的とする場合には、排気ガス温度の
高温化等によりコールドスタート試験の試験開始から短時間で尿素SCR触媒の触媒温度を高温化する技術を開発す
ることを最優先すべきと考える。なぜならば、仮に尿素SCR触媒の低温活性化の技術開発に成功したとしても、現行よ
りもー10〜-20℃程度の低温化を図れる程度であり、コールドスタート試験におけるNOx削減は僅かに過ぎないと推測
されるためである。

2−2 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)によるコールドスタートのNOx削減

 ディーゼルエンジンのJE05モードでのコールドスタート試験の排気管出口ガス温度がホットスタート試験の200℃レベ
ルに到達するのは、試験の開始後の800秒後(=約13分20秒後)である。そのため、コールドスタート試験においては、
試験開始から800秒が経過するまでの期間では、ホットスタート試験に比較して極めて高いNOx排出となっていることが
観察される。 そこで、このコールドスタート試験での0〜800秒の期間において、尿素SCR触媒の温度を急速に高温化
できれば、従来のコールドスタート試験における高いNOx排出値を削減することが可能になる。

 ところで、筆者が2006年4月に開設したホームページにおいて、「エンジンの低負荷時(=排気ガス温度の低温時)に
おける尿素SCR触媒のNOx削減率の向上」、「重量車モード燃費および実走行燃費の改善」および「DPFの強制再生
頻度の減少」の大型トラック用ディーゼルエンジンの課題を解決する手段・方法として2ターボ方式の気筒休止エンジン
(特許公開2005-54771)の特許技術を提案している。この2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
特許技術は、「エンジンの低負荷時における尿素SCR触媒のNOx削減率の向上」、「燃費改善」および「DPFの強制再
生頻度の減少」の他にも、幸運なことに、ディーゼルエンジンのコールドスタート試験における高いNOx排出値を削減す
る機能も備えているのである。

 そして、この2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術がディーゼルエンジンのコールドス
タート試験のNOx排出値の削減できる理由は、以下の通りである。

JE05モードでのコールドスタート試験における高いNOx排出値を削減する0〜800秒の期間では、最高車速が 50km
/h 程度であるため、エンジン運転の負荷頻度は 50 % 以下が大部分であると推測される。一方、2ターボ方式の気筒
休止エンジン(特許公開2005-54771)は、ディーゼルエンジンの負荷が 50 % 以下の運転では、排気ガス温度を従来
のエンジンの2倍程度に高温化できる特許技術である。このように、2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の特許技術を採用したディーゼルエンジンでは、従来エンジンの2倍程度の高温化した排気ガス温度でJE05
モードのコールドスタート試験を行うことができるため、尿素SCR触媒の急速な高温化によるコールドスタート試験の0
〜800秒の期間におけるNOxの排出を削減することが可能である。

2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)では、従来エンジンの約半分の機能・能力・容量の過給
機および排出ガス後処理装置(=酸化触媒、尿素SCR触媒、DPF装置)を並列に装着するシステム(=1台のエンジン
に合計、2台を装着するシステム)である。一方、JE05モードでのコールドスタート試験における高いNOx排出値を削減
する0〜800秒の期間では、最高車速が 50km/h 程度であるため、エンジン運転の負荷頻度は 50 % 以下が大部分で
あると推測される。そのため、コールドスタート試験の0〜800秒の期間では、半分の気筒群が休止し、対部分の残りの
半分の気筒群によりディーゼルエンジンが運転される。そのため、2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)を採用したディーゼルエンジンでは、コールドスタート試験の0〜800秒の期間においては、従来エンジンの2倍
の排気ガス温度によって従来エンジンの約半分の機能・能力・容量の過給機および排出ガス後処理装置(=酸化触
媒、尿素SCR触媒、DPF装置)を排気ガス温度で加熱することになる。

 つまり、ディーゼルエンジンのコールドスタート試験の0〜800秒の期間では、稼動気筒群の排気ガス温度が従来エン
ジンの2倍となり、排気系(=過給機、酸化触媒、尿素SCR触媒、DPF装置)の熱容量が従来エンジンの1/2に半減で
きるため、ホットスタート試験の排気ガス温度に到達する時間は、従来エンジンの800秒から200秒程度まで短縮できる
ことになる。そのため、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)特許技術を採用したディーゼルエンジンにおける
JE05等のコールドスタート試験でのNOx排出を大幅に削減することが可能となる。

 以上のように、2ターボ方式の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用したディーゼルエ
ンジンのコールドスタート試験の0〜800秒の期間では、50%以下のエンジン運転状態が大部分を占めるため、
半分の気筒が休止した状態の運転が主体となる。この気筒休止の運転状態では、この時のエンジンの出力
は、半分の気筒が稼動する状態のために稼動気筒の排気ガス温度を従来エンジンの2倍程度に高温化できる
ことになる。その上に、従来エンジに比べて半分の容量の排気系(=過給機、酸化触媒、尿素SCR触媒、DPF
装置)を並列に配置した構造であるために、気筒休止の運転状態での稼動気筒の排気系の熱容量が従来エン
ジンよりも半減した状態となることから、稼動気筒群の排気系を短時間に高温化が可能である。そのため、コ
ールドスタート試験でのNOx排出値を大幅に削減することが可能となる。

 何はともあれ、現時点では、JE05等のコールドスタート試験のNOx排出を大幅に削減できる実用可能な技術
は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の他には存在しないと考えるのが妥当である。何故な
らば、この筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術以外に、JE05等のコールドスタート試験のNOx排出
を大幅に削減できる手段・技術が公表されたとの情報は、今のところ、見聞きしたことが無いからである。したがって、
気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺する学者・専門家は、ディーゼルエンジンにおいて
はJE05等のコールドスタート試験でのNOx排出の増加が課題だけを述べただけの講演や論文発表を今後も続けるざ
るを得ないものと推測される。

 このように、コールドスタート試験におけるNOx排出が増加する課題だけを述べ、NOxの削減技術に言及しない講演
や論文発表は、NOx削減の技術的な示唆を得ようとする技術者にとっては、完全に欠陥・欠損の講演の聴衆や発表論
文であり、期待外れの何者でも無い。このように、ディーゼルエンジンの課題だけを述べて課題の解決策に何も言及し
ない講演や発表論文は、講演の聴衆や発表論文の読者を蔑視・軽視し、コールドスタート試験におけるNOx削減の課
題解決の方策を必死で模索する技術者を馬鹿にした行為ではないだろうか。そして、この状況を冷静に見れば、気筒
休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術をを無視・黙殺する学者・専門家は、コールドスタート試験における
唯一のNOx削減の方策を自らの意思で封印し、欠陥・欠損の講演や論文発表を行う醜態を演じていることになるので
ある。さてさて、今後、ディーゼルエンジン関係の学者・専門家の誰が欠陥・欠損?の講演や論文発表を実際に行なう
かについては、筆者には興味津々である。なお、この筆者の考えについて、異論のある方は、筆者宛にその旨のEメー
ルをお送りいただければ幸いである。

2−3 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)によるコールドスタートのNOx削減

 筆者が2006年4月に開設したホームページの気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化気筒休止は、ディー
ゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!気筒休止はDPFの自己再生を促進 (強制再生の削減で燃費悪
化を防止)等において、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、「エンジンの低負荷時(=排気ガス温度の低温
時)における尿素SCR触媒のNOx削減率の向上」、「重量車モード燃費および実走行燃費の改善」および「DPFの強制
再生頻度の減少」等の大型トラック用ディーゼルエンジンの課題を解決できる特許技術であることを詳述している。ま
た、その他にも、この気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許明細書を注意深く読めば、この特許技術を実
用化した場合には、ディーゼルエンジンのJE05モードでのコールドスタート試験におけるNOx排出値が削減できる特許
技術であることが容易に理解できる筈である。つまり、JE05モード等のコールドスタート試験におけるNOx排出値が削
減可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)は、2005年3月3日には特許公開され、2006年4月には筆者のホー
ムページにて公表・公開しているのである。しかしながら、中央環境審議会・大気環境部会の十次答申(=2010年7
月2日)では、以下の表1に示したように、トラック・バス(=重量車)におけるJE05モード等でのコールドスタート試験に
おけるNOx排出値の削減が極めて困難な課題であるかの如く記載されている。

表1 中央環境審議会・大気環境部会の十次答申(=2010年7月2日)の記載内容
中央環境審議会・大気環境部会の十次答申(=2010年7月2日)の記載の一部

 上記の表1に示した中央環境審議会・大気環境部会の十次答申の記載内容を見ると、第十次答申(2010年答申)
のNOx = 0.4 g/kWh(=2016年の実施予定)は、自動車排出ガスの第八次答申(2005年答申)に記載の「挑戦目標
NOx = 0.23 g/kWh」と同等と記載されている。そして、「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」と「第八次答
申(2005年答申)に記載の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が同等と見なされる理由として、十次答申では、「コール
ドスタート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBDシステムの導入」、および「平成27年度重量車燃費基準」等による
「NOx増加の要因」として列挙されているのである。

 しかしながら、トラック・バス(=重量車)における「コールドスタート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBDシステ
ムの導入」、および「平成27年度重量車燃費基準」は、「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」が記載された「第八次答申
(2005年答申)」が環境大臣に提出されて公表された後に、不意に追加された新たな条件のように、この第十次答申
(2010年答申)には記載されている。しかし、実際のところ、2010年7月29日に第十次答申が環境大臣に提出されて公
表される以前から、トラック・バス(=重量車)における「コールドスタート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBDシス
テムの導入」、および「平成27年度重量車燃費基準」は、議論されていたことである。したがって、第十次答申(2010年
答申)の作成を担った中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が「コールドスタ
ート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBDシステムの導入」、および「平成27年度重量車燃費基準」が近い将来に
ディーゼルトラック・バス(=重量車)に導入されることを全く予測していなかったことが事実とすれば、自動車排出ガス
専門委員会のメンバーは、ディーゼルエンジン分野の学者・専門家としては失格に値するのではないだろうか。

 しかも、浅学菲才のポンコツ元技術屋の筆者に理解できないことは、この第十次答申(2010年答申)では、第十次答
申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh(=2016年の実施予定)が第八次答申(2005年答申)に記載の「挑戦目標NOx
= 0.23 g/kWh」と同等あると明記されているのである。そして、第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh(=
2016年の実施予定)が第八次答申(2005年答申)に記載の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同等であると見なす根拠
として、第十次答申(2010年答申)には「コールドスタート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBDシステムの導入」、
および「平成27年度重量車燃費基準」が4項目の要因が列挙されている。しかし、これら4項目の何れの要因も、第八
次答申の「NOx挑戦目標:NOx = 0.23 g/kWh」を反故にする根拠になり得ないと考えられるため、その理由を以下に
まとめた

「オフサイクル対策」
 数十年前に或るトラックメーカが大型トラックの燃料噴射ポンプに電子タイマーを採用した際、実走行の燃費向上の
ために排出ガス試験の運転モードを外れた運転領域においてNOxが増加するエンジン制御を行ったことがある。この
エンジン制御が露見した当時、電子タイマーをディフィートデバイス(出典:http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE
/2011/09/20l9d202.htm)に相当する装置として問題になり、「サイクルビーティング」と称する排出ガス試験の運転モー
ドを外れた運転領域においてNOxが増加するエンジン制御は違法であるとして、環境省・国土交通省が「サイクルビー
ティング」の中止をトラックメーカに強く指導した経緯がある。それ以来、トラックメーカでは、新たなエンジン開発に際し
ては排出ガス試験の運転モードを外れた運転領域においてNOxが急増するエンジン制御を採用しないことが常識とな
っていることであえる。したがって、第十次答申(2010年答申)において、新たに「オフサイクル対策」によってNOxが特
別に増加するとの自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の主張は、筆者には理解できないことである。

「OBDシステムの導入」
 車載式故障診断システム(OBDシステム)は、車両自身が排出ガス対策装置の異常(突発的故障)を検知・監視し、
異常発生時に警報表示して運転者に知らせるとともに、その故障内容を記憶保持する装置のようである。このOBDシ
ステムをトラック・バスに採用することにより、JE05モード等の排出ガス試験で測定されるNOxが特別に増加する要因
になるとの自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の主張は、筆者には理解できないことである。

「平成27年度重量車燃費基準」
 2004年9月に経済産業省において総合資源エネルギー調査会・省エネルギー基準部会の下部組織として「重量車判
断基準小委員会」が設置されるとともに、国土交通省において、「重量車燃費基準検討会」が設置されたようだ。そし
て、両者同一の構成委員から成る合同会議形式で、関係者からのヒアリング等を行いつつ、製造時業者等の判断基
準となるべき事項(対象となる自動車の範囲、燃費測定方法、燃費区分、燃費基準値、目標年度)について審議が重
ねられてきた経緯(http://www.tossnet.or.jp/staticContents/public_html/mtou_saikin/img/17nendo/050929_nenpi.pdf
がある。このように、2004年9月から重量車の燃費基準の検討が始まっていることから、第八次答申(2005年答申)の
提出時には、将来的に重量車の燃費基準の導入は既に検討中であったと推測される。そのような状況において、当時
中央環境審議会・大気環境部会自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」
と合意し、第八次答申(2005年答申)に記載したのである。したがって、この第八次答申(2005年答申)に「挑戦目標NO
x = 0.23 g/kWh」が重量車の燃費基準の実施・施行を全く無視したものとは考えることは、極めて困難である。したが
って、「平成27年度重量車燃費基準」を理由に、第八次答申(2005年答申)の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を反故
にする理由に挙げることには、筆者には理解できないことである。

「コールドスタート試験の導入」
 そもそも、従来の「ホットスタート試験」だけに偏った現行の日本の重量車排出ガス試験法には、実際の走行状態か
ら大きく乖離した欠陥のあることは、昔から広く認識されていたことである。何故ならば、米国の重量車の排出ガス試
験法(=FTP Transient Cycle : 通称 1199秒モード)では、昔から「ホットスタート試験」と「コールドスタート試
験」の両方が実施されている(=http://www.dieselnet.com/standards/cycles/ftp_trans.phpを参照)ためで
ある。したがって、2016年に実施の次期の排出ガス規制における排出ガス試験法の変更時に「コールドスタート試験」
を導入することは、それまでの日本の排出ガス試験の欠陥を正す処置に他ならない。そのため、日本の重量車の排出
ガス試験法における「コールドスタート試験」の新たな追加は、至極、当然な排出ガス試験法の是正と云えるだろう。し
たがって、「コールドスタート試験の新たな導入」によってNOx規制値を緩和することは、本末転倒も甚だしいことであ
る。また、ディーゼルエンジンの「コールドスタート試験」によって生じるNOx増加を回避・抑制が可能な技術である気筒
休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、2005年3月3日に公開され、2006年4月には筆者がホームページ
に掲載していることである。そのため、第十次答申(2010年答申)が作成された時点では、ディーゼルエンジン関係の
多くの専門家・技術者には、この気筒休止エンジンの特許技術は、既知であったと推測される。したがって、中央環境
審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の一部の学者・専門家も、「コールドスタート試験」によって生じ
るNOx増加を回避・抑制が可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の存在を認識されていた可能
性があると推察される。
 しかし、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家にとっては、ポンコツ元技術
屋の筆者が提案する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を認めることは、彼らのプライドと自尊心を
深く傷付ける事象と推測される。そのため、自動車排出ガス専門委員会は、「コールドスタート試験」におけるNOx増加
の回避・抑制が可能な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺し続けることに合意?した可
能性があると予想される。その結果、第十次答申(2010年答申)では、「コールドスタート試験」におけるNOx増加の問
題を指摘するだけであり、その問題を解決する対策技術を何も例示することができなかったものと推測される。このこ
とは、自動車排出ガス専門委員会が「コールドスタート試験」のNOx削減が可能な実用性のある唯一の技術である
筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を無視・黙殺したことによる当然の帰結と云えるのではないだろうか。そして、
中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)
の特許技術を今後も頑なに無視・黙殺し続ける限り、「コールドスタート試験」のNOx削減がディーゼルエンジン
の解決すべき課題と唱え続ける状況から抜け出すことが困難と推測される。このような醜態とも云える事態に終止
符を打つ唯一の方法は、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会が気筒休止エンジン(特許公
開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺する合意?を早期に撤回することだと思うが、如何なものであろうか。

 そもそも、米国の重量車の排出ガス試験法(=FTP Transient Cycle : 通称 1199秒モード)では、数十年もの昔から
「ホットスタート試験」と「コールドスタート試験」の両方が実施されていることである。そのため、「コールドスタート試験」
が不要な、これまでの日本の重量車の排出ガス試験は、その試験法に欠陥があっただけである。そして、第十次答申
(2010年答申)において、日本の重量車の次期の排出ガス試験に「コールドスタート試験」が追加されることになったの
は、これまでの日本の重量車の排出ガス試験の欠陥を是正しただけに過ぎないのである。他方、従来から排出ガス試
験に「コールドスタート試験」が実施されている米国の重量車の2010年規制におけるNOx規制が、NOx = 0.27 g/kWh
である。それにもかかわらず、日本の重量車(=トラック・バス)における中央環境審議会・大気環境部会の第十次答
申(2010年答申)に示されたNOxの次期規制値としては、「コールドスタート試験の導入」、「オフサイクル対策」、「OBD
システムの導入」、および「平成27年度重量車燃費基準の施行」の事象により、NOx = 0.4 g/kWhの緩いNOx規制値
が答申されている。しかも、「第十次答申(2010年答申)」には、「第八次答申(2005年答申)に記載の挑戦目標のNOx
= 0.23 g/kWh」が「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」と同等と断定するような、読者を驚愕させる「意
味不明?」の内容が堂々と記載されているのである。もっとも、このような「意味不明?」のために記載内容を理解でき
なかった読者であっても、日本では権威ある環境省・中央環境審議会・大気環境部会の「第十次答申(2010年答申)」
に記載されている【「第八次答申(2005年答申)に記載の挑戦目標のNOx = 0.23 g/kWh」は、「第十次答申(2010年答
申)のNOx = 0.4 g/kWh」と同等】との内容は、正確な技術情報と不本意ながらも考える人は多いようである。その例
を以下の図1に示す。このような誤った技術情報が広く流布してしまっている現状について、中央環境審議会・大気環
境部会の自動車排出ガス専門委員会のメンバーの人達は、エンジン関係の学者・専門家としての「後ろめたさ」や「罪
悪感」を感じることが無いのであろうか。

図1 全日本トラック協会の「天然ガストラック普及促進のための個別課題と提言」資料の一部
(出典:http://www.jta.or.jp/kankyo/naturalgas/natural_gas.pdf

 このように、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会は、「第八次答申(2005年答申)に記載
の挑戦目標のNOx = 0.23 g/kWh」が「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」と同等と断定する理不尽な主
張が第十次答申(2010年答申)に堂々と記載されているのである。しか、この主張について、誰もが納得できるような論
理的・合理的な根拠が「第十次答申(2010年答申)」に明記されていないようだ。

 これについて、筆者の個人的な推測を言わせて貰えば、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化気筒休
止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!にも詳述しているように、自動車排出ガス専門委員
会の学者・専門家が、「JE05モード等のホットスタート試験とコールドスタート試験におけるNOx削減」、「重量
車モード燃費の削減」に極めて有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を意図的に無視・
黙殺した結果、中央環境審議会・大気環境部会の「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」は、「第
八次答申(2005年答申)に記載の「挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」を強引に緩和せざるを得なかったとも考え
られる。仮に、これが事実であれば、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家
は、日本重量車(=トラック・バス)のNOx規制強化のレベルを少しでも緩くするための活動を積極的に行っているこ
とになる。これについて、一般国民の筆者には真実を知る由も無いが、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の
御意見を伺って見たいものである。

 そうは言っても、「第十次答申(2010年答申)」では、「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」が「第八
次答申(2005年答申)に記載の挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同等である述べられていることは事実であ
る。そして、これは、誰が見ても工学的に見て意味不明にしか思えない記載内容である。その理由は、この「第十
次答申(2010年答申)」の記載内容を言葉通りに信じれば、重量車の次期NOx規制値(=2016年実施予定)は、NOx
= 0.23 g/kWhに相当することになり、米国のNOx = 0.27 g/kWh(=2010年規制)よりも厳しいNOxのレベルになると
結論付けられることになる。しかし、現実の世界では、「第十次答申(2010年答申)」の通りに重量車の次期NOx規制値
(=2016年実施予定)が実施された場合は、NOx = 0.4 g/kWhの規制が行われると推測される。したがって、「第十次
答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」が「第八次答申(2005年答申)に記載の挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同
等であると記載されている「第十次答申(2010年答申)」の記載内容の意味は、筆者には全く理解できないことである。

 つまり米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢に詳述しているように、第十次答申
(=2010年7月)によれば、重量車(=トラック・バス)に関し、米国のNOx = 0.27 g/kWh(=2010年規制)よりも大幅に
緩いNOx = 0.4 g/kWhのNOx規制を2016年に実施されると考えられる。その場合、常識的には、日本の多くの国民
は、「米国よりも大幅に緩い日本の重量車のNOx規制」に追い込まれたとの認識を持つものと予想される。そのような
認識を日本の国民に持たせないようにするため、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学
者・専門家は、「第十次答申(2010年答申)」では、「第十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」が「第八次答申
(2005年答申)に記載の挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同等であると強引に記載された可能性が否定できない。この
ような誤解を招く内容の「第十次答申(2010年答申)」を公表・答申することによって、近い将来(=2016年)の日本
量車(=トラック・バス)のNOx = 0.4 g/kWhのNOx規制は、「ホットスタート試験」と「コールドスタート試験」の両方が昔
から実施されている米国のNOx = 0.27 g/kWh(=2010年規制)と同等の厳しさであるとの誤った認識を国民に植えつ
けるための詐欺行為のようにも思えるが、如何なものであろうか。

 何はともあれ、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上
の一挙両得の技術だ!に詳述しているように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を実用化すれ
ば、コールドスタート試験が導入された場合でも重量車の第八次答申(=2005年)のNOx挑戦目標であるNOx = 0.
23 g/kWhが達成できる上に、2015年度重量車燃費基準から 5% 程度の燃費を向上が可能となると予想される。しか
し、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、NOx削減と燃費改善に極めて
有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を敢て無視・黙殺し、「第十次答申(2010年答申)」の中に「第
十次答申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」が「第八次答申(2005年答申)の挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同等
であるとの意味不明な記載を行っているのである。

 そして、日本の重量車(=トラック・バス)に関し、米国のNOx = 0.27 g/kWh(=2010年規制)よりも大幅に緩いNOx
= 0.4 g/kWhのNOx規制を2016年に実施すべきであるとの第十次答申(2010年答申)を環境大臣に提出してしている
ため、近い将来においての日本の重量車(=トラック・バス)のNOx規制は、米国に比べて大幅に緩和された状況が継
続さることになる。その最大の原因は、2005年3月3日に特許公開され、2006年4月には筆者がホームページに掲載し
ている気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が無視・黙
殺し、排除していることが原因と推察される。そして、重量車(=トラック・バス)の「NOx削減」と「燃費改善」の有効な技
術が見出せていない現状を認識していながら、「NOx削減」と「燃費改善」の両方に有効な気筒休止エンジン(特許公開
2005-54771)の特許技術の無視・黙殺する「やせ我慢」を、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、今後も
延々と続ける所存であろうか。

 そして、その一方で、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、これからも「ホットスタート試験のNOx削減」、「コ
ールドスタート試験のNOx削減」、「重量車モード燃費の改善」、「FPF装置のフィルターの強制再生頻度の削減」が重量
車(=トラック・バス)用ディーゼルエンジンの解決すべき重要課題であると、無様に叫び続けるのであろうか。なお、第
十次答申(2010年答申)には、気筒休止エンジンによる大型トラックの低燃費化にも詳述しているように、燃費改善に
ついては、重量車モード燃費の改善効果が1%未満の2段過給」、「EGR率の向上(一部にはLP-EGR採用)」、「燃料
噴射圧力の向上とPCI燃焼」、「ターボコンパウンド」等の「ガラクタ」・「ポンコツ」の技術が堂々と列挙されている。しか
し、「コールドスタート試験のNOx削減」の技術については、「ガラクタ」・「ポンコツ」に類する技術さえも記載できていな
いのである。したがって、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、重量車用ディーゼルエンジンの「コールドスタ
ート試験のNOx削減」の技術的課題を解決する技術情報を何も有していないと見るのが妥当のようである。この状況を
見ると、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、ディーゼルエンジンの「ホットスタート試験のNOx削減」、「コー
ルドスタート試験のNOx削減」、「重量車モード燃費の改善」、「FPF装置のフィルターの強制再生頻度の削減」の課題解
決に有効な気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺しながら、このれらのディーゼルエンジ
ンの課題解決の有効な方策を何も提示・提案することができない醜態を晒しているように思える、如何なものであろう
か。

 もっとも、これまで中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家がトラックメ
ーカに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を実用化することを積極的に推奨していれば、現
在のディーゼルエンジンの「重量車モード燃費の改善」や「FPF装置の強制再生頻度の削減」の課題を解決で
きる展望が開けたことから2016年に実施予定である重量車(=トラック・バス)の日本の次期NOx規制を2010
年の米国重量車Nox規制(NOx = 0.27 g/kWh)と同等のレベルである第八次答申(=2005年)のNOx挑戦目
標のNOx = 0.23 g/kWhとすることが可能であったと推測される。このような気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の特許技術を無視・黙殺する自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の不見識な行為が、現在の日本の
重量車(=トラック・バス)におけるNOx規制強化の遅延を引き起こしている主な要因と考えられる。この筆者の意見に
ついて、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家の反論を是非とも聞かせて欲しいものである。また、以上のような
ことが事実であれば中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、日本政府の
公人に準じる人間としての本来の責務である国民に対する誠意ある奉仕の義務から大きく逸脱しているように思うが、
如何なものであろうか。

 ただし、ディーゼルエンジンの「ホットスタート試験およびコールドスタート試験のNOx削減」、「重量車モード燃費の改
善」、「FPF装置のフィルターの強制再生頻度の削減」の面で気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)優れた機能・
効果を発揮する特許技術であることを自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が理解できない場合には、自動車
排出ガス専門委員会がこの特許技術を無視・黙殺することを合意・決定したことは、当然の成り行きである。つまり、
動車排出ガス専門委員会が気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術の機能・効果が納得できないため
に「ポンコツ技術」・「ガラクタ技術」と判断し、排除した可能性も否定できない。その場合には、自動車排出ガス専門委
員会は、学者・専門家としての当然の処置を行ったものと考えられる。そして、自動車排出ガス専門委員会の学者・専
門家は、日本政府の公人としての本来の責務である国民に対する誠意ある奉仕の義務を果たしていることになる。と
ころが、この場合には、自動車排出ガス専門委員会は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)優れた機能・効
果を理解する能力に欠ける人達の集団であり、この委員会が学者・専門家としての能力・資質に問題がある人達で構
成されていることになる。しかし、この委員会が日本を代表する学者・専門家で構成されているため、気筒休止エンジン
(特許公開2005-54771)優れた機能・効果を理解する能力に欠けるとは、常識的には考えられないことである。

 したがって、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、ディーゼルエンジンの「ホットスタート試験およびコールド
スタート試験のNOx削減」、「重量車モード燃費の改善」、「FPF装置のフィルターの強制再生頻度の削減」の機能・効果
を発揮する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を意図的に無視・黙殺・隠蔽を図っていると考えるの
が妥当のように思われる。このような見方は、筆者が浅学菲才なポンコツ元技術屋であるが故の大きな過ちであり、そ
もそも、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を優れた特許技術との信じ込みから生じた独り善がりの過誤・非常
識な筆者の妄想に過ぎない場合も考えられる。これについては、このホームページをご覧いただいた読者自身で判断
していただきたい。

 そうは言っても、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、2005年3月3日に
特許公開され、2006年4月には筆者がホームページに掲載している気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許
技術を第十次答申(2010年答申)の中には記載せず、無視・黙殺、若しくは排除していることだけは、確たる事実であ
る。そして、第十次答申(2010年答申)には、日本の重量車(=トラック・バス)の課題を解決する手段・方法について、
「重量車モード燃費の改善」については機能・効能の劣る「ポンコツ」・「ガラクタ」の技術を列挙しているが、「ホットスタ
ート試験およびコールドスタート試験のNOx削減」についての技術的な示唆が皆無であることも歴然たる事実である。
特に、第十次答申(2010年答申)では、「第八次答申(2005年答申)」の挑戦目標であるNOx = 0.23 g/kWhを反故にす
る一方で、日本の次期のNOx規制値としてNOxの排出レベルを米国よりも大幅に緩和したNOx = 0.4 g/kWhが答申さ
れている。この次期のNOx規制値にNOx = 0.4 g/kWhの緩いNOxレベルが決定された根拠の一つとして、コールドス
タート試験の新規導入が挙げられていることから推察すると、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、第十次
答申(2010年答申)の作成時には、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術以外の「コールドスタート試
験のNOx削減」を可能にする知識・情報を何も有していなかった見るのが妥当と考えられる。

 したがって、日本の重量車(=トラック・バス)の次期NOx規制について米国のNOx = 0.27 g/kWh(=2010
年規制)よりも大幅に緩いNOx = 0.4 g/kWhのNOx規制を2016年に実施することを第十次答申(=2010年7
月)に記載せざるを得なかった最大の原因・理由は、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門
委員会の学者・専門家が気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺したためではな
いかと推測される。つまり、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)特許技術を無視・黙殺、若しくは排除しなければ、第十次答申(2010年答申)には、日本の重量車(=トラッ
ク・バス)における次期のNOx規制値として、第八次答申(2005年答申)の挑戦目標であるNOx = 0.23 g/kWhのNOx
規制を2016年に実施する旨を明確に記載できた筈と考えられる。そして、第十次答申(2010年答申)には、「第十次答
申(2010年答申)のNOx = 0.4 g/kWh」が「第八次答申(2005年答申)に記載の挑戦目標NOx = 0.23 g/kWh」と同等
との意味不明な内容の無様な記述が不要であったと推測される。

 そして、仮に、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を第十次答申(2010年答申)に記載することが
意図的に排除されていたことが事実であれば、日本を代表すると学者・専門家の集団と云われる自動車排出ガス専門
委員会は、日本の重量車(=トラック・バス)におけるNOxの規制強化の進展を阻む行為・活動を熱心に行っているよう
に思えるが、如何なものであろうか。そして、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、「ホットスタート試験とコー
ルドスタート試験のNOx削減」および「重量車モード燃費の改善」に優れた機能・効果を発揮する気筒休止エンジン(特
許公開2005-54771)の特許技術を無視・黙殺・排除する愚かな行為により、将来の日本の重量車(=トラック・バス)NO
x規制値を「第八次答申(2005年答申)」の挑戦目標であるNOx = 0.23 g/kWのレベルに強化できない自縄自縛の状
況に陥っていると云えそうだ。何とも、馬鹿げたことではないだろうか。その結果、中央環境審議会・大気環境部会の
自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、これからも「2015年度重量車燃費基準の存在とその強化を図
るために挑戦目標のNOx = 0.23 g/kWの達成が困難」とか、「日本での排出ガス試験におけるコールドスター
ト試験の新たな導入のために挑戦目標のNOx = 0.23 g/kWの達成が困難」との訳の分からないことを理由に
挙げながら、「第八次答申(2005年答申)」に記載された重量車の挑戦目標であるNOx = 0.23 g/kWの規制
強化の実施を先送りしようとしているようである。このことは、大型トラックのNOx削減と燃費向上に有効な気筒休止
を黙殺する学者諸氏のページにも触れているので、興味のある方は御覧いただきたい。
 
 一方、2024年5月に気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)特許権が消滅してしまう特許技術である。そのこと
を考慮して、仮に、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が重量車の継続生産車におけるNOx = 0.23 g/kWの
NOx規制強化を約10年程度の先送りにして2024年6月以降に施行する処置を行った場合、各トラックメーカは、気筒休
止エンジン(特許公開2005-54771)の特許権が消滅しているために、この特許技術を採用してNOx = 0.23 g/kWの規
制に適合させたトラック・バス(=重量車)は、特許料を支払うこと無く市販することが可能となる。なお、2024年6月に
継続生産車のNOx規制強化が施行される場合には、新型車のNOx規制強化は、2022年若しくは2023年の施行となる
のが通例である。

 また、重量車の継続生産車におけるNOx = 0.23 g/kWの新たなNOx規制が2024年6月以降に施行された場合に
は、継続生産車のトラック・バスは、特許権の消滅した筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用して
いることになるため、これを市販する際には、トラックメーカは「自社開発の新技術を採用!」との宣伝を行っても誰か
らも批判を受けることが無くなるのである。これは、トラックメーカにとっては、願ってもないことだ。このように自動車
排出ガス専門委員会が気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許権の消滅する時期を狙って日本の重量車の
NOx規制強化を意図的に策定した場合には、姑息な手段を用いてトラックメーカに特別な便宜供与を行うことになり、
言語道断と思うが、如何なものであろうか。もっとも、このような筆者の見方について、中央環境審議会・大気環境部会
の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、全くの「見当違い」との見解であるならば、政府は大型トラックの新
たな低燃費・低排出ガス基準を早期に設定せよ!に詳述しているように、日本の重量車(=トラック・バス)における
「NOx = 0.23 g/kWの低NOx基準」2015年度重量車モード燃費基準から5%程度を向上した低燃費基準」
とを早急に設定すべきと考えるが、如何なものであろうか。

 なお、日本のトラック・バス(=重量車)の使用過程車におけるNOx = 0.23 g/kW(=第八次答申の挑戦目標)のNOx
規制強化が約10年程度の先送りとなる2024年6月以降の施行となった場合には、自動車排出ガス専門委員会の学
者・専門家は、トラックメーカから大いに感謝されることは間違い無いと考えられる。ところが、その一方では、今後も長
期にわたってトラック・バスにおける米国と同等レベルのNOx規制強化が10年単位の大幅な先送りとなるため、日本の
国民は大気環境改善の停滞と云う不幸に見舞われ続けることになる。このように、日本のトラック・バス(=重量車)の
継続生産車におけるNOx = 0.23 g/kW(=第八次答申の挑戦目標)のNOx規制強化が約10年程度の先送りにされて
2024年6月以降の施行となった場合には、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専
門家は、トラックメーカからは「福の神」と賞賛されるであろうが、一般の国民からは「疫病神」と嫌悪され、軽蔑される
のではないだろうか。何はともあれ、現状を見ると、中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の
学者・専門家は、筆者提案の気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許権が存在する期間内においては、この
特許技術を採用しなくても適合できるように、大型トラック・バス(=重量車)については米国よりも大幅に緩いNOx規制
の状況を維持し続けることに無我夢中のように思えるのである。もっとも、このような見方は、筆者だけの偏見と一蹴さ
れそうであるが、如何なものであろうか。

 ところで、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢にも詳述しているように、第十次答
申(2010年答申)の通りにNOx = 0.4 g/kWの重量車のNOx規制強化が2016年に施行されたとしても、日本の重量車
(=トラック・バス)では、その後も米国のNOx = 0.27 g/kW(=2010年規制)よりも大幅に緩いNOx規制の状況が相変
わらず続くことになる。そのため、日本の国民は、米国よりも劣るNOxの大気環境に曝された生活を余儀なく強いられ
ると予想される。その一方では、トラックメーカは、米国よりも緩いNOx規制のおかげでNOx削減の研究開発費を継続
して削減できると云う「願ったりかなったり」の恩恵を受け続けるものと推察される。これらのことを考えると、第十次答
申(=2010年答申)、日本の国民にとっては、何とも好ましくない内容のように思えるが、如何なものであろうか。この
2016年にNOx = 0.4 g/kWのような重量車の緩いNOx規制を実施すべきとする第十次答申(=2010年答申)を作成し
中央環境審議会・大気環境部会の自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、誠意を尽くして職務を全うしたと
国民に公言できるのであろうか。

 以上のように、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家が理不尽・不条理とも思える気筒休止エンジン(特許公開
2005-54771)の特許技術を無視・黙殺、若しくは排除する行為を行ったとしても、インターネットの普及した現在では、
近い将来、この特許技術が重量車(=トラック・バス)の「ホットスタート試験およびコールドスタート試験のNOx削減」、
「重量車モード燃費の改善」、「FPF装置のフィルターの強制再生頻度の削減」に有効な特許技術であることを、多くの
ディーゼルエンジン技術者が認識する時期・時代は、遠からず到来するものと予測される。仮に、その時が来た際に
は、自動車排出ガス専門委員会の学者・専門家は、それまでに中央環境審議会・大気環境部会の第十次答申(2010
年答申)の記載内容を完全に葬り去り、それまでの意見・主張を密かに撤回し、気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の特許技術の実用化に向けた研究開発の推進を何食わぬ顔で推奨するのであろうか。それとも、自動車排出
ガス専門委員会の学者・専門家は、あらぬ方向に目をやりながら、「気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)に関す
る技術情報を得る機会がこれまで無かった」との弁明を行い、シラを切るのであろうか。何れの場合も、多くの人から
浅ましい行為として後ろ指を指されても仕方の無いことだと思われる。そして、現行のディーゼルエンジンの課題を解決
する手段として、近い将来に気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術が確実に実用化されると信じている
が、果たして、筆者の予測通りの展開になるか否かは、「神のみぞ知る」である。

3 ディーゼルのNOxと燃費を改善する気筒休止エンジン(特許公開2005-54771) [まとめ] 

 気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!にも詳述しているように、筆者提案の「ディー
ゼルエンジンの燃費とNOxとの同時の削減を実現できる革新的な技術」である気筒休止エンジン(特許公開2005-
54771)の特許技術を実用化すれば、政府(=環境省・国土交通省)は、日本の「NOxと燃費の規制強化」が容易に実
現できると筆者は固く信じている。つまり、米国よりも緩い大型トラックのNOx規制を施行し続ける日本政府の怠慢にも
詳述しているように、大型トラックに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術を採用しさえすれば、「日本
の大型トラックにおいての米国よりも緩いNOx規制」を実施せざるを得ない悲惨な状況が、現時点でも即刻に解決・解
消できるのである。

 その他にも、表2に示したように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の特許技術は、「DPF装置での自己再生
の運転領域の拡大による燃費向上」、「ターボコンパウンド等の排熱エネルギーの回収効率を向上」、「エンジン部分負
荷における尿素SCR触媒の触媒活性化によるNOx削減」、使用過程車における尿素SCR触媒のHC被毒の回復」、
よび「JE05モードでのコールドスタート試験におけるNOx排出の削減」の優れた機能・効能が発揮できるため、現在の
大型トラックが抱えている課題の殆んどを解決できる新技術である。

表2 気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の機能と効果のまとめ
大型トラックに気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)を採用した場合のメリット
効果の内容
@
部分負荷時の気筒休止の効果により、重量車モード燃費は5〜10%の向上が可能
(部分負荷時における「サイクル効率の向上」および「冷却損失の削減」による燃費改善効果)
[例えば、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!を参照]
燃費の改善
A
部分負荷時の排気ガスの高温化により、DPF装置での自己再生の運転領域の拡大による燃費向上
後処理制御システム(特許公開2005-69238)を採用した場合には、更なる燃料浪費の防止を促進)
(ポスト噴射またはHC排気管噴射のDPF強制再生の回数減少し、強制再生による燃料浪費を防止)
[例えば、気筒休止はDPFの自己再生を促進 (強制再生の削減で燃費悪化を防止)を参照]
燃費の改善
B
部分負荷時の排気ガスの高温化により、ターボコンパウンドでの排熱エネルギーの回収効率を向上
[例えば、ターボコンパウンドは、大型トラックの走行燃費の改善が困難な技術だ!を参照]
[例えば、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!を参照]
[例えば、気筒休止は、ディーゼル排気ガスのエネルギー回生装置の効率を向上を参照]
燃費の改善
C
部分負荷時の排ガス温度の高温化により、尿素SCR触媒でのNOx削減率の向上が可能
[例えば、気筒休止は、ディーゼルのNOx削減と燃費向上の一挙両得の技術だ!を参照]
NOxの削減
D
実走行時の排ガス温度の高温維持機能により、使用過程における尿素SCR触媒のHC被毒の回復
後処理制御システム(特許公開2005-69238)場合には、更なる尿素SCR触媒のHC被毒の回復)
NOxの削減
(燃費悪化防止)
E
JE05モード等におけるコールドスタート試験のNOx排出の削減に有効
(JE05等のコールドスタート試験のNOx排出を大幅に削減できる唯一の実用的な技術)
NOxの削減

 以上のように、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を実用化し、この技術を大型トラックに新たに採用
することによって、現在の大型トラックの課題が殆んど解決できるのである。そのため、我が国における今後の大型ト
ラックにおける燃費向上とNOx削減の促進を図るためには、中央環境審議会の自動車排出ガス専門委員会を含む政
府・官僚(=環境省・国土交通省等)の人達は、気筒休止エンジン(特許公開2005-54771)の技術を早期に実用化する
ための行動を起こすべきと考えるが、如何なものであろうか。
 
 上記の本文中で誤り等がございましたら、メール等にてご指摘下さいませ。また、疑問点、ご質問、御感想等、どのよ
うな事柄でも結構です。閑居人宛てにメールをお送りいただければ、出来る範囲で対応させていただきます。

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